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新機動戦記ガンダムW -星間戦争記-

作者:ax
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紅い星と蒼い星 ~戦争前夜編~

 
前書き
はじめまして~「ax」です
結構古めのアニメが好きなので今回これ書こうと思います。
本編・EW・FT・敗者たちの栄光・を全て読んだ(見た)事がある人はもちろん、「ワタシがんだむWワカラナイ」って人も読めると思います。

 

 
MC<マーズセンチュリー>-0037 火星

火星が独立し一つの国家となって30年(地球歴でいう30年)
多少の事件はあったものの、今は完全な地球化、いや、それ以上になりつつある
しかし、人というものは、いずれ力を求める
あの男のように…


火星圏大気外訓練施設「ネオ・バルジ」
ここはOZ火星軍の訓練施設で実戦に使用するのと同じビーム砲(バルジ砲)を搭載しており、かつての宇宙要塞バルジとほぼ同じ作りになっている。

「サユイラ特尉!!宇宙空間での訓練、お疲れ様です!!」
作業用の旧型宇宙服を身に着けたOZ火星軍の兵士が敬礼し、外で訓練していた上官を迎えた。
「次はライトニング・カウントとの戦闘シュミレーションだったな」
サユイラと呼ばれた男の声は大人びていて年齢は20前後だろうか。
「すまんが後は任せた」
「はっ!」
サユイラはエアロックを出てヘルメットを外すとそこには、黒と銀の不気味な仮面をかぶった長い金髪の顔があった。仮面で目元は見えないが、口元はなにやらあまりいいことが無かったことを物語っている。
「地球からMSが5機…ステルス機の様だったが、ブラックファングの新型か」
MC34年頃から地球圏は独立武装組織ブラックファングによる同時多発的な攻撃にあっていた。しかし当時から火星に来る様子は見られなかったのでサユイラは何か不吉なものを感じ取ったのだ。
そしてサユイラは何か確信したかのように右腕の通信機を開いた。
「ミシェル、地球からMSだ!!私が出撃()る、あのガンダム、使わせてもらうぞ」
ミシェル・クシュリナーダ。かつてEVE・WARSで地球統一国家軍を率いたトレーズ・クシュリナーダの子孫で、OZ火星軍の総帥である。サユイラとは古くからの友人で、特別にタメ口を許可している
「許可しよう。しかし総帥として一つだけ言っておく」
通信機のディスプレイに映るミシェルは少し笑みをみせ力強く言った
「絶対に死ぬなよ」
「了解した」
返事をすると早々と通信機の電源を落し、MS格納庫へ走った。走ったと言うより飛んでいったといった感じだろうか。
格納庫には赤と黒のカラーリングのワイバーンのような戦闘機があった。
サユイラはそれに勢いよく飛び乗ると、管制官が忙しく叫んだ
「ロック001から103までグリーンです!射出のタイミングをサユイラ特尉に譲渡します」
「I have control サユイラ・ウィンクラフト、ガンダムエピオンⅡ…出撃する!!」
力強い声とともにペダルを踏み込むと、機体は勢いよく格納庫を飛び出した。
サユイラに強力なGがかかった。
「殺人的な加速だッ!」

サユイラが苦しみながら呟いた直後レーダーが反応した
「―WARNING―」警告音をあげたモニターを見るとそこに5機の黒いMSが映っていた。
MSは両肩に大きめのビームキャノンを搭載していて、隊長機と思われる機体にはそれが2台ずつ搭載してありいかにも隊長らしい。
「高エネルギー反応!?この距離で撃つのか!?」
エピオンⅡとMS部隊の距離はリーオーのドーパーガンの射程距離の1.5倍近くの距離があった。
5機MSのが一斉にビームを放った。
サユイラは反射でグリップの横のレバーを引いた。
5本のビームの束が一点に集まり、ぶつかり合って大爆発を起こした。
その刹那、爆風の中からとがった羽が生えたMSが突っ込んでいった。
エピオンⅡの戦闘形態である。エピオンⅡは懐からビームソードを抜き放ってブラックファングの新型に切りかかった。
「私を甘く見るな…」
1機のMSが爆発を起こした。いや、2機…3機と次々に爆発していく。
あの一瞬で5機のエネルギー供給パイプを正確に断ち切ったのだ。
「すばらしい性能だ、さすがライトニング・カウント、ゼクス・マーキスの機体の改良機だ!」
とち狂った様に叫びをあげると仮面の内の目がくすんだ、が、光っている。
「前方ォォ!!!」
どうやら幻覚を見ている様だ。サユイラはエピオンⅡを何も無い宇宙空間に向け、飛び立たせた。
「サユイラ!目を覚ませ!」
ミシェルの叫び声がエピオンのコックピット内に響いた。
「な、何も無い…あれは一体…」
サユイラの瞳が輝ける瞳に戻った。
「エピオンシステムに飲み込まれていたんだろう」
エピオンシステム。それはエピオンⅡの親機、ガンダムエピオンに搭載されていたゼロシステムとおなじようなシステムで、システムに取り込んだ外部の情報を分析して今後起こりうる全ての結果をパイロットに直接送り込むシステム。
かつてのガンダムパイロット達もそれによりかなりの精神的ダメージをうけた、大変扱いにくいものである。
「システムに…」
サユイラは淡々と、かつ悔しそうにつぶやいた。
数秒、沈黙が続き、ミシェルが深刻そうに切り出した。
「サユイラ、今地球から通信が来た…内容は」
『我々ブラックファングは地球圏統一国家を支配した、その報告と同時に火星に宣戦布告をする。以上、ヒイロ・ユイ閣下万歳!』
ミシェルの声と入れ違いに中年の男の声が聞こえてきた。惑星間通信ということもあって、時々ノイズが入るが内容はハッキリと聞き取れた。
「ヒイロ・ユイ!?どういう事だ!?」
驚くのもしかたない、そもそもヒイロ・ユイとは、AC180年生まれのガンダムパイロットで、人工冬眠カプセルでMCまで生きてはいたがその後は生死不明で、火星政府、地球政府、プリベンターetc…が全力で捜しても発見できずにいた人物だ。
「私もさすがに驚いた、あのヒイロ・ユイでない事を祈りたいね」
「あぁ…とにかく今はヒイロ・ユイの正体ではなく「戦争」という事実の方が重要だ」
「そうだな、私はOZ総帥として…そして一人の火星住民(マーシャン)として、この星を守りたい、君も戦ってくれるね?」
「拒否権は無い。しかし喜んで戦わせてもらう!」
モニターごしだったが、二人は力強く言葉を交わした。

地球の太平洋に位置する小さな島の不気味な要塞、「パンドラ」はヒイロ・ユイが率いるブラックファングの拠点である。そこの一角で黒髪に茶色い瞳の日本人系の男が海を眺めていた。
「火星へのマゼラス部隊は全滅か…」
「はい」
マゼラスとは、火星圏でサユイラが迎撃した黒いMSの事らしい。
「よし」
ヒイロが2~3mほど離れたところにひざまずいていた兵士に振り返り自信ありげに口を開いた。
「全部隊に伝えろ、『火星への進軍を開始しろ』とな」
「はっ!」
兵士は立ち上がって敬礼すると部屋を出て行った。それとほぼ同時にヒイロが呟いた。
「私のトールギスと火星(きみたち)のガンダム、どちらが強いか勝負だ…フフフ…ハッハッハッハッハ!!!」

サユイラはOZ火星軍宇宙基地のMS格納庫に一人の女と一緒に来ていた。
袖の模様や制服の勲章を見る限り、サユイラと同身分の人間である。
「あれがエルヴのガンダムか…」
「えぇ」
エルヴ・マカロフ。OZ火星軍特尉で、サユイラのバディである。顔は童顔だが、大人の女性といった感じの雰囲気を感じられる。髪は金色でショートヘアだ。
「ウィングガンダムM<マーズ> 。高機動・高火力の射撃機よ」
その機体は白ベースの青といった、清楚なイメージの機体である。元々は、惑星間探査用無人MSとして開発されたが、ブラックファングの存在によって襲撃に備え、長距離射撃用高出力メガ・ビームキャノンを連装した重い武装をバーニア出力のみでカバーするという大変不安定な機体で、その設計思想から、『ウィングガンダムトールギス』とも呼ばれている。
「私たち、バディになってから5年になるけど、やっと上級の機体を動かせるって感じよね」
「だな」
二人は元々一部のエリートしか入れない火星の兵士育成学校で機械整備の仕事をしていたが、ミシェルにその努力を認められ資金全面援助で入学することができた一兵士で、入学して2年目に入軍、バディになった。それが5年前である。
「二人とも特尉になって、サユイラは「ゼクス・マーキスの再来」とまで言われるようになって」
「この素顔はもう君にしか見せられない、それくらい信用してきたからこそここまでこられたんだよ」
そう言うとサユイラは仮面をはずし、エルヴのほうを見た。その瞳はまぶしいほどに輝くダイヤモンドのようで、一般人出身にもかかわらず、どこか品を感じる。その顔をみてエルヴは微笑んだ。
「エルヴ…私と共に来てくれてありがとう、そして、今回の戦い…」
「存分に戦おう、勝利の為に…でしょっ」
エルヴはサユイラの言葉をさえぎって言うと、キュートにウィンクしてみせた。
見つめあう二人の頬は少し赤くなっていた。二人の間にバディとしてではなく、何か他の感情が芽生えはじめていた。

OZ火星軍宇宙戦艦ビクトゥーリア。ネオ・バルジのすぐ横につけてある巨大なそれは、艦にしては特徴的な形をしていて、本体から上に飛び出るように付いているブリッジ、両サイドから伸びる腕の先のMS用滑走路、前方に伸びてから後方に反転した様に付いているバーニア、戦艦中央部にある巨大な砲台etc…と専門知識の無い素人でも、普通の艦とは違うというのがわかるほどだ。
その艦体のブリッジにサユイラとエルヴは赴いた。そこでは、忙しそうに発進の準備が進められていた。
「急いで発進準備をしろ!!地球軍は既に進軍を開始しているぞ!!」
ビクトゥーリアの艦長、キッド・ビクトリアは独眼の銀髪で、この艦の基本設計から開発、テストと、たくさんの仕事をこなしている。
「キッド艦長!」
サユイラが背後から呼びかけた。
キッドは振り向き、笑顔を見せながら話はじめた。
「サユイラ、エルヴ、待っていたよ。君たちがいるだけで随分気が楽だよ」
「ありがとうございます」
挨拶を済ますとエルヴが話はじめた。
「今回の戦闘ですが、地球軍は強化型リーオー‘ミルキーウェイ’を使ってくると考えられますが…」
「確かに、君のところのスパイの情報から、この戦いに出してくる可能性は高いな」
いつも笑顔であふれているキッドが珍しく深刻そうな顔になった。
「その性能は未知数…だが、『再誕のトールギス』と呼ばれている以上、かなりの性能を持っているはずです」
サユイラが淡々としゃべるとキッドは少し顔をしかめた。
「な、何にせよ注意すべき機体か…」
サユイラとエルヴは二人とも何かを感じ取った。何か不吉な…病気?
二人が少し深刻そうな顔になったとき、管制官から報告がきた。
「艦長!発進準備できました!!」
「よし!では、全艦に告ぐ!!…進軍開始!!!!」
キッドの掛け声と同時にビクトゥーリアを含め、7隻の艦体のバーニアが青白い火を噴いた。轟音と共に艦内を大きな揺れが襲った。火星には太陽光収束レンズが取り付けてあり、それを突破するときに艦体が揺れるのだ。
「よし、では各自、体を休めておくように!」
「では、私たちはこれで」
エルヴが言うと二人は敬礼した。
キッドに見送られ、ブリッジを出ると、二人は感じ取った不吉な事について話しはじめた。
「艦長は…長くないな…」
「クルーたちは気づいてないようだけど、もういつ死んでもおかしくないわね。」
「H‐000ウィルス…か」
「えぇ、恐らく」
「だが、艦長とて軍人だ、そう簡単には死ぬまい」
「そうね」
二人はそれぞれの部屋につくとお互いに笑顔をみせ、部屋に入っていった。

それから一週間、宇宙は静寂を続けていた。特に事件もなくただ静かに…
 
 

 
後書き
だいぶ読みにくい…w
今後、MSVなどもうpしていこうとおもいます。

注意)火星歴での1年は地球歴でいう2年ほどです。と、いうことで、よろしくおねがいします!!    axでした 
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