DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-10町の宝
偽王子の首筋に、刃物が押し付けられる。
この距離では、取り押さえられない。
暴漢たちは偽王子を引きずり、裏口から脱出する。
追いかけ、外へと出る。
暴漢たちは、馬上で待ち受けていた仲間に偽王子を渡し、別の馬に飛び乗って、瞬く間に駆け去った。
「あのような、なよなよとした者が。アリーナ様の名を騙ったりするから、天罰が下ったのです。自業自得です」
クリフトは完全に人が変わっている。なよなよというか、あれは。
「攫われたのが本物の王子で無くて幸いでしたな。我らが助けねばならぬ道理は、ありませぬが。どうされますかな」
「それは助けるが。目的がわからないことにはな」
神官風の男が言う。
「お前たち。どうか王子を助け出してほしい。さすれば、褒美は思いのままだ。」
老人が言う。
「なんとしたことじゃ。メイ……王子が攫われてしまった。」
「無い袖を振ってまで、褒美で釣ろうなどとは。私たちをなんだと思っているのでしょう」
クリフトは呆れが勝って落ち着いたようだ。
本当に良かった。
「何も知りませんでしたな。全く、役に立たぬ」
ブライは、いつも通りだ。
町の子供が言う。
「ねえ、さっき犬のコロがこんな手紙をくわえてきたんだ。よんでみるね。『王子を返してほしくば、明日の夜、この町の宝、黄金の腕環を、町の墓場までもってこい。』なんだろ、これ?」
墓守の男が言う。
「黄金の腕環は、この町の宝だった。しかし、その宝があるばっかりに、争いが絶えず。遂に、南の洞窟に封じたそうだ。」
「いちいち、することが回りくどいな。犬に手紙を持たせるわ、宝を他人に取りに行かせるわ。」
「フレノール南の洞窟は、遺跡として価値の高いものですが、魔物の巣窟でもありますからの。手っ取り早く悪事を働いてことを為そうとする愚か者どもには、荷が重いでしょうな。大方、適当な人質を物色しておったところに、偽王子めが現れて、狙いを付けたのでしょう。到着後、間も無くの犯行であったようですからな」
「俺なら、返り討ちにできたのにな。それに王子の護衛だって、普通はもっと強いだろ」
「油断大敵ですぞ。まあ、愚か者の考えることですからな。偽物を狙ったがために、かえって彼奴らの思う通りになりそうだとは。全く忌々しい」
「しかし、そのような者たちに、黄金の腕環など渡してしまって良いものでしょうか。腕環を巡る争いは、腕環の持つ邪悪な力のためと聞いたことがあります」
「取ろうと思えば取れるなら、今回だけ見捨てても同じだろう。助けるぞ」
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