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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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一章 王宮の女戦士
  1-28一緒

 やっと王宮を出られた。
 心配はありがたいことだが、ひとりに捕まると、次々に捕まって時間がかかる。

「ホイミン。待たせたな」

「ううん。ライアンさんは、人気者だね」

 苦手な王宮に長く(とど)められたのに、ホイミンは嬉しそうだ。
 ライアンとの別れを覚悟していたのが、杞憂(きゆう)で済んだから。
 ライアンも気付いてはいたが、すぐには出られぬ場合を考慮し、王宮を離れるつもりであるとは言わずにいた。

「ライアンさんも、叱られたりするんだね。ぼくびっくりしちゃった!」

「あの人には、よく叱られるな」

 昔から、世話ばかりかけている。

「小隊長さんは、ライアンさんが心配なんだね。ぼくちょっと怖かったけど、いい人なんだね」

「そうだな」

「ライアンさん、ライアンさん!えへへ、また一緒に旅ができるねっ」

 ずっと一緒に、とは、ホイミンは言わない。

 ライアンの、危険が増すばかりの旅に、最後までついて来ることはできぬだろう。

 離れることでしか守れぬなら、ライアンはそうするだろう。

 自分を守るライアンの危険を、自分のせいで増やさぬために、ホイミンは聞き分けるだろう。

「そうだな。また、一緒だ」

 いつか離れるのだとしても、今は。

「ホイミン。行くぞ」

「はい、ライアンさん!」


 行けるところまで、共に行こう。 
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