DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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一章 王宮の女戦士
1-09覚悟
王宮戦士が、守るべきもの。
ライアン自身が、守りたいもの。
ライアンは、守りたいものを守るため、その力を得るために、王宮戦士になった。
守りたいものは、最初にあったのだ。
いつでも、最初であるべきなのだ。
ホイミンは、どうか。
答えは、出た。
ライアンは問う。
「私はライアン。王宮戦士だ。お前の仲間だった、魔物たちを斬るのが仕事だ。仲間になるのなら、お前にも私の仕事を手伝ってもらわねばならない。その覚悟は、あるか」
ホイミンは答える。
「うん!ぼくは人間になって、みんなと仲良く暮らしたいんだ。ライアンさんは、みんなを守る戦士さまなんだね。ぼくも、ライアンさんのお手伝いがしたいよ。お願い、ぼくを仲間にしてよ!」
ホイミンとて、この世界を生き抜いてきた魔物である。
憧れるほど人を知ったなら、人と魔物との現実も知ったろう。
愚問である。
それでも、確認する必要があった。
お互いが覚悟を決める、決めたと伝える、その宣言。
ライアンは微笑む。
「わかった、ホイミン。お前を、仲間にしよう。このライアンの力及ぶ限り、お前を守ろう」
「わーい!ありがとう!ぼくライアンさんのために、めいっぱい頑張るねっ」
ホイミンが仲間に加わった!
ホイミンを仲間に加えたライアンは、なおも古井戸の底を進む。
ホイミンは嬉しそうにライアンの周りを漂い、盛んに話しかける。
「ライアンさん、ライアンさん!えへへ、よんでみただけ。」
ライアンは、いくら大人が言い聞かせても子供が入り込んでしまうものなら、この機会に少し魔物を減らしておくのもよかろうし、もしも子供がいれば、話し声につられて大声を返すなり、出てくるなりもしよう、動けぬほど弱っていても、元より隅々まで調べるつもりであるのだからと、浮かれるホイミンを咎め立てはしなかった。
自分が庇い、守ってやれば良い。
「ぼくホイミが得意なんだよ。痛くなったら、いつでもいってね。」
実際、このホイミは便利な代物であった。
戦士の国バトランドでは魔法の使い手が少なく、世話になる機会も無かったが、軽い打ち身や切り傷などはもちろんのこと、火炎魔法の火傷なども、瞬く間に治る。
治癒力を高め体力を回復する薬草では、一瞬で完治とはいかない。
ホイミンに攻撃がいかぬよう、攻撃を躱さずに敢えて受け止め守るなどしているが、その手間を補って余りある。
案外、守られているのはライアンのほうかも知れなかった。
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