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国連宇宙軍奮闘記

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冥王星会戦(中編)

 
前書き
今回戦闘シーンが無いような。 

 
――2199年5月20日――
――地球 国連宇宙軍司令部――


「1200、第1艦隊は冥王星の沖合28万キロの宙域にて会敵した模様、戦況はいまだ不明。」
 通信士官が報告する。
「ここまでは予定通りだな。」
 藤堂長官が報告を聞き、作戦の主目標の進捗状況を尋ねる。
「新型機関の起動実験の方はどうだ?」
「地球周辺に敵影無し!」
「間もなく実験開始です!」
「うむ。」
作戦は順調に進んでいた。


地球 A-140造船所・新型機関実験室


 A-140に搭載される新型機関の始動実験が間もなく始まろうとしていた。
「新型機関にエネルギーを30%注入、完了!」
 計器を見ていた科学者が目標に到達していたことを告げる。
「新型機関始動!」
 それを聞いた主任が機関の始動を指示する。
 それにより機関が始動されたのだが…
「おいおい、始動しないぞ?」
 新型機関はうんともすんとも言わなかった。
「エネルギーを追加注入して機関を動かせ。」
 主任がさらにエネルギーを注入して無理やり起動させようとする。
「新型機関にエネルギーをさらに10%注入します。」
 新型機関にエネルギーがさらに追加されるとやっと機関が動き出す、が…
「どうした!」
「機関出力安定しません!」
「なに!」
 今度は機関が不安定に動き出した。
「原因を調べろ!」
 主任が指示を飛ばすとすぐに各部署から報告をあがってきた。
「機関各所で異常加熱が発生しています!」
「エネルギー伝導菅で融解や断裂が起きかけています!」
「たったこれだけの始動で!?」
 主任が驚きの声を上げる。
「待ってください、機関出力安定していきます。」
「なんとか安定してきたのか?」
機関が安定して動き出したのだが…
「た、大変です、エネルギー残量が残り5%を切りました!」
「は、速すぎる!」
「機関停止します。」
こうして機関の始動実験が終了してしまったのだった。


――冥王星付近 国連宇宙軍旗艦・戦艦『えいゆう』艦橋――


「正体不明の移動物体発見! は、速い!!」
レーダー士官が驚いた声を上げる。
「ミサイルか!?」
 すぐさま近藤副長がレーダー士官に聞く。
「違います、現在のコースだと艦隊のすぐ側を通過します!」
「なに!」
 すぐに高速の移動物体が艦隊のそばを通り抜けていく。
「あれは惑星間航行速度をはるかに超えている。」
 沖田提督が驚きの声を上げる。
「所属不明の移動物体は現在海王星を通過中、現在のコースで火星最接近まで約4時間!」
 レーダー士官が計算した結果を報告する。
「沖田提督、どうしますか?」
 近藤副長が指示を求める。
「…国連宇宙軍司令部にこの事を報告しろ。」
沖田提督は少し悩んでから命令した。


――地球 国連宇宙軍司令部――


「『えいゆう』沖田提督より入電、“所属不明の移動物体、火星に向かう!”」
「レーダーに捕らえました、所属不明の移動物体は火星に落下中、墜落します!」
レーダー担当の士官が報告する。
「落下予想位置測定!」
すぐに別の士官が命令する。
「極冠の崖の側です。」
「誰か近くに観測員はいるか?」
藤堂長官が訪ねる。
「はい、訓練中の学生が二人います、藤堂長官。」
「誰だ。」
藤堂長官はすぐさま聞き返す。
それに対し一人が名簿をめくりながら答える。
「古代進と島大介です。」
「役に立ちそうか?」
藤堂長官は再び聞き返す。
「特殊任務用に特別訓練中です、まだ完全ではありませんが十分にこなせるはずです。」
藤堂長官は目をつぶった後すぐに言う。
「よし、連絡しろ。」
すぐさま国連宇宙軍司令部から火星に命令が送られた。


――火星 観測基地――


「おい、このメーターちょっと変だぞ。」
メーターを言いながら古代が言う。
「そんな筈は無い、俺がちゃんと調整したからな。」
島が起こりながらそれに反論していると突然地面が揺れる。
「うわ!」
「なんだ!」
通信機が空電と共に唸りだす。
『地球司令部より指令、火星観測所所属観測員の古代進、並びに島大介、墜落した飛行物体の正体を確認せよ! 繰り返す、墜落した飛行物体の正体を確認せよ!』
「きっと今のだぜ。」
 島が先ほどの揺れの原因を判断する。
「冥王星の付近で戦闘中なんだ、どっちかの船が落ちたんじゃないか?」
 古代が飛行物体の正体を予測した。
「しかし、それにしちゃあ海王星からは距離がありすぎるぜ!」
 島がその予測に反論する。
「とにかく、確認してみるしかないな。」
「ちょっと待て、震度計が震源地を計測してる。」
 古代がヘルメットを取って機体に向かおうとすると、島がそれを制止する。
「どれ、ここからなら偵察機を使えば30分ほどで行ける距離だ。」
 計器を覗き込んだ古代が大体の予測を立てた。
「よし、行くぞ!」
2人は機体に乗り込んでいった。


――火星 極冠上空 95式偵察機コックピット――


「おい、古代! あれだ! 敵でも地球のものでもないぞ。」
 墜落した残骸を発見した島が驚きの声を上げる。
「よし、降りるぞ!」
「地表は起伏が激しい、気をつけろ。」
 操縦している古代に地表の様子を見た島が注意し、それを聞きながら古代は慎重に機体を操った。


――火星 宇宙船墜落現場――


「脱出ポッドみたいだな。」
 彼らの目の前には巨大なカプセル状の物体が墜落していた。
「宇宙船自体はあそこに墜落しているな。」
 宇宙船は大気圏突入後地面に激突し大破し、黒煙を上げている。
「それにしてもこの脱出ポッド、こうして見る限り敵でもましてや地球の物でも無いぜ。」
 その脱出艇は見たことも無い形をしていた。
「ああ、そうだな。」
 古代も同意見らしい。
「おい、このハッチ少し開いている。」
 二人で脱出カプセルを調べていると、古代が少しだけ開いているハッチを見つけた。
「開けるぞ!」
「気を付けろよ!」
 古代がハッチに手をかけるとすぐにハッチは開き、その中には人が乗っていた。
「どうだ?」
 島が古代に尋ねる。
「だめだ、生命反応0。」
 中にいた人間はすでに亡くなっていた。
「女、だよな?」
「ああ、きれいな人だ。」
 中で亡くなっていたのはきれいな女性だった。
「おい古代、腕に何か持っているぞ。」
 その遺体を見ていた島が手に握られているカプセルを拾い上げた。
「なんだ? 通信カプセルか?」
 そのカプセルを簡単に調べると信号らしきものが発信されていた。
「よし、回収して帰ろう。」
 彼らは一通り調べると報告のために観測基地に帰投した。
 
 

 
後書き
次回で冥王星は終了。 
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