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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神

作者:竜牙
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使徒大戦
第二章
  2.04

 
前書き
Hシーンは抜きです。朝ちゅんで行きます(笑)

よみたい方には、同人誌を探して頂くということで(笑) 

 

[newpage]

2.04

 ゲンドウ、冬月、ミサト、リツコとチルドレン二名による会議は白熱した(内容については後ほど改めて記す)が、夜半をすぎ、時刻が遅くなったことから、いったんお開きになることになった。結局今回の会合では現状までの経緯を確認しただけで終わってしまった。話あわなければならないことはまだまだたくさんある。
 だが、シンジ自身も身体を再構成したばかりで疲労を感じていた。栄養補給の必要もある。焦る気持ちはあるが、現状でカヲルの動向がつかめていない以上、できることはないのだ。初号機も破損箇所の修復が終わっていない。
「父さん。今日はいったん帰って休む。明日また続きをしよう……」
「大丈夫なの、シンジ。対策ができてない状態であの変態ホモが責めてきたらヤバイじゃないのよ」
「それはないと思うんだ。カヲル君は全ての用意ができるまではボクと対峙しようとはしないんじゃないかな。それをするくらいなら、あのときとどめを刺していっただろう? たぶん、アダムの所在がつかめて、その因子を手に入れるか、少なくとも手に入れる方法が分からない限りは、大丈夫じゃないかな。とは言っても、そんなに時間が残されているとも思えないけどね……」
「そう言われてみればそうね……いまは何もできないんだから、割り切って燃料補給しに行きましょう。アタシハンバーグがいいな」
「ええっ、ボクが作るの? ボクも疲れてるんだけどなあ……」
「だめ? アタシ外で食べるより、シンジの料理のほうがいいなあ」
 上目遣いの甘えんぼアスカちゃん攻撃が炸裂した。もちろん体をすり寄せてサービスするのも忘れない。
 その破壊力にシンジはあっけなく撃沈。真っ赤になって、ぶんぶん頷いた。
「う、うん、わかったよ! じゃあ買い物して帰ろう!」
「うんっ!」
 その答えにうれしそうに笑うアスカを見て、シンジは疲れなんて吹っ飛んでしまうのだった。
──アスカったらいつのまにあんな技を? 末恐ろしいわ。もう完全に操縦してるじゃないの……。
 ミサトは戦慄した。アスカの戦略家としての才能は家庭でもいかんなく発揮されるらしい。もっともアスカにそんなつもりは毛頭なく、ただたんに本当に甘えているだけだった。今まで強気で弱みをみせないで生きてきたアスカにとって、誰かに甘えるという行為自体が新鮮で楽しいのだ。
 だからシンジを操縦しているつもりはまったくない。無意識にやっているからこそ恐ろしいという意見もあるが。
 というわけでシンジとアスカは帰宅することになった。ミサトは残る。
「今日くらいは邪魔しちゃアスカに殺されちゃうわよ」
「分かってんじゃない、ミサト。たまには使えるわね!」
 相変わらず一言多いのは変わってないのね、とミサトは苦笑した。そういうこと言うなら邪魔するわよ、と意地悪をしたいところだがそうも行かない。
 大人たちは大人たちで都合がある。今日シンジから得られた情報の検証と、今後の方針を子どもたち抜きである程度、意見の摺り合わせをしておきたかった。子どもたちが既にほとんどの情報を持っているとしても、やはりできるなら聞かせたくないことも多い。政治とは綺麗なものではありえないのだ。


 遅めの夕食を終わり、アスカは風呂に向かった。コアから出てきてすぐに着替える前に一度、そして帰宅してすぐにもう一度シャワーを浴びているのに。女性というのはきれい好きなものなんだな、とシンジは考えていた。天然の鈍感男である。
 よく思われたい相手がいるからこそ汗の匂い、体臭が気になるということもあるが、今晩アスカがわざわざ風呂に入り直したのは、もちろん胸に期するものがあるからだ。
 シンジのほうにも期待が無いわけではない。アスカに想いを抱いているし、当然性欲だってある。想いが通じ合ったのだから、いずれはと思ってはいた。しかし、なにぶんまだ中学生である。まだまだ自分たちにとっては先のことだと思っていた。
「シンジ……お風呂あいたよ」
 バスルームの扉が開き、ふわっと甘い香りがリビングまで漂ってくる。アスカの髪の香りだ、と思うだけでシンジは、顔面の血流が上昇するのを感じた。なんていいにおいなんだろう。
 タオルを頭に巻いたまま、ひょこっと顔を出したアスカに向かってシンジはほほえみ、冷蔵庫から牛乳を取り出す。この愛しい少女は、ほっておくと必ずラッパ飲みするので、シンジがマグカップに注いであげなければならない。
「あ、ありがと」
 お礼を言われるっていいなあ……と、シンジはちょっと感動を味わっていた。もちろんアスカに言われるということに意味があるわけだ。
 マグカップを手に取ったアスカの姿をみて、シンジはちょっとびっくりした。いつもタオルを巻いただけのあられもない姿で出てきていたのに、今日はしっかりパジャマを身につけている。
 露出度は下がっているのに、なんだかとても新鮮で、シンジは鼓動が早まるのを感じた。
「……なに見てんのよぅ」
 見つめるシンジの視線に恥ずかしくなったのか、いつもの左手を腰にあてた男らしいグイ飲みではなく、両手でマグカップを持って口に含んでいる。
──うっ、可愛い……!
 いつものきっぷのいいアスカももちろん大好きなのだが、今日の意外な仕草はシンジのハートをまともに打ち抜いた。男というものは好きな女の子の意外な女の子らしさに弱いものである。ここでポイントなのは「意外な」という部分である。なぜか普段から女の子らしいよりも、ふとしたときにちょっと出る仕草にドキンチョとしてしまうものなのだ。
「いや、その……」
「なあに? アタシに見惚れてたの?」
 冗談交じりにアスカは言う。天然記念物級の朴念仁であるシンジからそういう台詞が出るとは思っていないからこそ言えるものではある。
 だが、意外にも真っ赤になったシンジが素直に「う、うん、そうなんだ」なんて答えたもんだから、アスカのほうも茹であがったタコのように顔から蒸気を上げるハメになった。
「な、なに言ってんのよ! バカシンジのくせに生意気よ!」
「なんだよ、アスカから言い出したんじゃないか」
「う、うるさいわね! いいからお風呂行ってきなさいっ」
「さっきシャワー浴びたからいいよ」
「いいから行ってきなさいっ! 命令よ!」
 可愛い暴君に逆らうのがムダだと言うことは既に遺伝子にまで刷り込まれている(註:それが0.11パーセントの内訳だというわけではない)ので、シンジは慌ててバスルームに駆け込んだ。
「なんだってんだよ、もう……」
 ちょっとぼやきつつも、素直に服を脱ぎ浴槽につかる。リビングはリビングで、アスカが人の気も知らないで、とプリプリしていた。いちどは分かり合っても、ちょっとしたすれ違いでヤキモキするのは普通の恋人同士と変わらないようだ。
 シンジが出てきたときにはもうアスカは自室に引っ込んでいた。丹念に乾かさなければ長い髪はすぐ枝毛だらけになってしまう。いつものことなのでシンジは特に気にしない。
 フスマ越しにアスカにおやすみ、と言って自分も部屋に引き上げた。
 タオルドライだけで水分の残る頭のまま、シンジはベッドに身を投げた。考えてみるとこの天井を見上げるのもずいぶんと久しぶりである。エヴァの中では時間の観念が曖昧で、アスカと二人居心地がよすぎてついつい長居してしまったらしい。その間に取り返しのつかない局面まで進んでいたらと思うと笑えないところだ。
「……シンジ」
 明かりを消して目をつぶったところでアスカの声が聞こえた。ベッドから身を起こす。
「どうしたの?」
「入ってイイ?」
 今までならそんなの訊きもしないで乗り込んできたのに。
「もちろん、いいよ」
 シンジがフスマを開けて招き入れると、パジャマ姿のアスカは大きめのクッションを抱えていた。その姿が妙に年相応というか、幼く見えてシンジは微笑む。だが、そんなほのぼのとした気分は次のアスカの台詞で吹き飛んだ。
「……いっしょに寝ようと思って」
「ええっ!」
「だめ?」
「だ、だめじゃないけど……その、ボクだって男なわけで、アスカは綺麗だし、いいにおいがするし、そのボクも我慢できなくなっちゃうというか、男はみんなオオカミだし、男女七歳にしてってアスカも言ってたし……」
「だめ?」
 重ねて問う不安そうに見上げる視線に、シンジはイヤとは言えなくなる。目の前の少女が人のぬくもりというものに、どれほど飢えているのかを知っているのだから。
「……いいよ、いっしょに寝よう」
 シンジがそういうと、アスカは一転して花がほころぶように、うれしげに微笑んだ。その笑顔に心臓がダンスを始める。いかんいかん……平常心、平常心。
 ベッドの端っこに寄って、アスカのスペースを空ける。アスカはシンジの枕をずらして自分のクッションを置いて、ベッドの中に滑り込んできた。
 シンジの鼻腔に、先ほどかいだばかりのアスカの髪の香りが、数十倍の濃度で襲ってきた。それだけで若いシンジの分身は、ご主人様の意志もなんのその、元気に自己主張を始める。
──静まれ、静まれ、静まってくれよぅ。
 体を固くしてぎゅっと目をつぶるシンジの横で、アスカもしばらくためらうようにまっすぐに寝ていた。だが、やはり満足できないようで、シンジに身を寄せてきた。
──うわっ、柔らかい! それに熱いくらいだ……。これは拷問だよう……。
 なんとも甘い拷問もあったもんだが、シンジにとっては抱きしめたい、今すぐむちゃくちゃにしたいという欲望を我慢しなければならないということが前提なので、そう感じてしまうわけだ。
 おずおずと、ためらいがちにアスカの腕がシンジの体にまわされ、パジャマの足がシンジの素足に重なる。
──うわーーーーっ! あ、アスカっ!
 シンジはますます緊張して身をこわばらせてしまう。それをアスカは拒絶されているように感じた。
「シンジ……」
「?」
「……抱きしめてくれないの?」
「い、いいの?」
 まぬけな質問だが、本人もアスカも気づいてないからセーフである。
「あたりまえじゃない。イヤだったらこんなことしないわ」
 シンジはこわごわとアスカの方に向き直り、アスカの体を抱き寄せる。密着するとよけいにアスカの体温が熱く感じられ、シンジは脳みそが焼き切られてしまうんじゃないかと心配になった。そしてその凶悪なほどの柔らかさ。自分よりもハードなトレーニングを続けているのに、どうしてアスカの体はこんなに柔らかいんだろう。
 もっともアスカの体はやはり引き締まっていて、ウエスト周りや下半身などは同年代の少女と比べても肉が薄い。けれどもシンジにとっては初めてふれる異性の体に、そんな比較などできようもないし、第一こればかりは減らない見事なアスカのバストがシンジの薄い胸を柔らかく押していたから。
 心臓がうるさいほど鳴っている。アスカに聞こえたらどうしよう。それに下半身がちょっと困った事態になったままだ。思わずシンジは腰を引く。
 それはアスカにとっては不満だったらしく、少しでも近くにと密着してくる。
「あ」
 アスカの小さい声が耳朶を打った。その声は雷鳴のようにシンジを打ちのめした。
 ばれてしまった。アスカはじつは男女関係には潔癖性に近い。少しでもそういう生臭いものを感じさせた相手には、容赦なく鉄拳を見舞っていたことからも分かる。こんなことで嫌われたくはない。
「シンジ……興奮してるのね」
 シンジの予想と異なり、アスカはシンジの下半身の状態を知っても離れることはなかった。
 それどころか、シンジの背中にまわした腕にぎゅっと力を込めた。
 アスカの甘い吐息が顔にかかってシンジは頭の芯がしびれた。アスカの呼吸も荒くなっている。アスカも興奮してるんだ。思わずシンジの腕にも力がこもる。
「あ……っ」
 ぎゅうっと抱きすくめられて、アスカは小さな声をもらした。思ったよりも広い肩幅にときめいた。身長はまださほど変わらないはずなのに、骨格の違いなのだろう、抱きすくめられるとアスカは自分がすっぽりとシンジの腕の中に収まってしまうことに驚いた。そしてそれがたまらなく気持ちがいいことだと知った。
 二人は堅く抱きしめあって、お互いの存在を痛いほど感じていた。


 ……つづく。
 
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