| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百三十三話 GONG

                  第百三十三話 GONG
 戦う陣形に戻るロンド=ベル。その中でだ。
 万丈がだ。ケイサル=エフェスに問うのだった。
「一ついいかな」
「何だ」
「あんたは最初のガンエデンだったんだね」
「如何にも」
 その通りだとだ。ケイサル=エフェスも答える。
「その通りだ」
「そしてそれが」
「アウグストス」
 ケイサル=エフェスはこの単語を出してきたのだった。
「それだったのだ」
「そしてそれが」
「そうだ。真の創世神」
「ズフィルード」 
 バルマーの創世神の名もだった。ここで重なった。
「そういうことだったんだね」
「バルマー帝国は我が築いた国家だ」
「あそこまでしたのはあんただったのか」
「遥かな過去に」
「じゃあやっぱりこいつは」
「人間!?」
「そうよね。孫光龍と同じで」
「そうなる?」
 ロンド=ベルの面々はここでこう考えたのだ。ガンエデンの話を踏まえてだ。彼もまたそうだと考えたのである。しかしそれはだった。
 彼自身がだ。こう言うのだった。
「だが」
「だが!?」
「だがっていうと?」
「今の我は違う」
 これがそのケイサル=エフェスの言葉だった。
「今の我はだ」
「へっ、やっぱりそう言うんだな!」
 エイジが彼のその言葉を聞いて言い返す。
「神様ってな!」
「如何にも」
「今まで何度もそういう奴に会ってきたんだよ!」
 エイジが言うのはこのことだった。
「今更な!そんなことを言われてもな!」
「そうだ、何とも思うかよ!」
「もうね!」
「一つ言っておく」
 ここでまた言うケイサル=エフェスだった。
「御前達がバルマーで倒したのはだ」
「あれか」
「ルアフの使っていた」
「あれのことか」
「そう、あれはだ」
 どうかというのだ。ルアフが乗っていたそれは。
「あれは抜け殻だ」
「抜け殻!?」
「抜け殻っていうと」
「アウグストス、我の魂が抜けただ」
 そのだ。抜け殻に過ぎないというのである。
「そうしたものに過ぎなかったのだ」
「そういえばアウグストスって」
「ええ、確かイルイも言っていた」
「つまりは」
「最初の強念者!?」
 それだとだ。彼等は気付いたのだった。
「オリジナルのサイコドライバー」
「それだっていうのか」
「それが」
「ナシム=ガンエデンの中に」
 ケイサル=エフェスはまた話す。
「地球のアウグストスの魂が宿っていたように」
「バルマーのガンエデンにも」
「あのゲペル=ガンエデンにも」
「そうだっていうのか!」
「そうだ。それが我だ」
 まさしくだ。彼自身だというのだ。
「我だったのだ」
「そしてです」
 今度はシュウが話す。
「そのアウグストス、ケイサル=エフェスはです」
「こいつは?」
「こいつは一体」
「どうしたっていうの?」
「五百年前に」
 この年数が話された。
「自分自身をガンエデンシステムから切り離したのです」
「五百年前っていうと」
「そうだよな」
「あいつが出て来た時」
「ルアフが」
「はい、そうです」
 その通りだと答えたのはルリアだった。
「その頃です。あの男がガンエデンとなったのは」
「ケイサル=エフェスの存在に気付かないうちに」
「そうなっていた」
「それでどうしてなのかな」
 万丈がここでまた問うた。
「何故あんたは自分の使命をルアフに渡したんだい?」
「そのことか」
「そう、バルマー防衛を」
 そのだ。彼の果たすべき責務をだというのだ。
「それはどうしてなんだい?」
「確かに。おかしいよな」
「バルマーの主がどうして」
「それを放棄して」
「我はまつろわぬ霊の王になったのだ」
「その因果律の中でか」
 クォヴレーがこう問い返した。
「そうなることを選んだというのか」
「そうだ。それによって得た力」
 それは何かというとだった。
「強念と対の力をだ」
「まさかそれが」
「この宇宙を無に返す力」
「それこそが」
「そうだ。人はだ」
 どうするべきか。ケイサル=エフェスは己の考えも語った。
「肉体という器を捨て」
「何っ!?」
「それじゃあそれは」
「人類補完計画!」
「全く同じじゃないか!」
「まさか父さんも」
 シンジは父ゲンドウがケイサル=エフェスに気付いていたのかと考えた。
「それで補完計画を」
「いえ、彼はこの存在のことには気付いていませんでした」
 それはシュウが話す。
「若し気付いていたとすればおそらく今ここにいるでしょうから」
「ケイサル=エフェスの方に」
「はい、そうされていた筈です」
「じゃあ父さんは気付かなかったからこそ」
「あれで済んだという一面もあります」
 こう話されるのだった。それがゲンドウにとって救いでもあったのだ。
 そしてだ。さらにであった。ケイサル=エフェスは話すのだった。
「ではだ」
「戦うってのか」
「遂に」
「我の力を見せよう」
 こう言うとだ。彼の周りにだ。
 無数のバルマーのマシンの他に。彼等も出て来たのだった。
「鳥と魚と獣!」
「クストースの三匹!?」
「ガンエデンだからか!」
「それで出したっていうのか!」
「如何にも」
 その通りだと。ケイサル=エフェスも話す。
「この力はルアフにはなかった筈だ」
「偽りの霊帝だからか」
「それでか」
「こうした存在は操れなかった」
「そういうことか」
「けれど」
 ここでだ。護が言う。
「何か色が違うよ」
「そうね。多分」
 命もその三匹を見て話す。
「彼等にも怨霊の意志が流れ込んでいるのよ」
「その奴等を操り!」
 凱も言う。
「あらゆる世界の生命を根絶やしにせんとする悪霊の王!」
「それこそが」
「そうだ、ケイサル=エフェスだ!」
 凱がこう叫ぶとだ。他の面々も口々に言う。
「そんな奴!」
「誰が放っておけるかってんdな!」
「この最後の戦いに勝って!」
「どの世界も過ごすんだ!」
「あらゆる世界はその一つ一つが一枚の葉です」
 シュウはここでこんなことを言った。
「そしてあらゆる世界が大樹の葉になっています」
「世界樹だな」
「そうです。その世界樹を守る為にも」
 シュウもだ。ケイサル=エフェスと対峙していた。
「私もまた戦いましょう」
「それは汝の為でもあるな」
「その通りです」
 シュウも微笑みそのことを否定しない。
「私はそうして強制的にどうこうされるのが嫌いですから」
「だからだな」
「その貴方を倒します」
「我はまつろわぬ霊の王にして」
 また言うのであった。
「あまねく世界の楔を解き放つ者なり」
「全部を破壊してか!」
「それでかよ!」
「そうだ。全ての肉なる者達よ」
 その言葉が続く。
「今こそ土塊の肉体を捨て」
「本当にそのままね」
「そうね」
 それはミサトとリツコが聞いてもだった。
「補完計画ね」
「こちらの方が大掛かりで遥かにドス黒いけれどね」
 こう話す二人だった。その間にもだ。
 ケイサル=エフェスはだ。こんなことを言うのだった。
「新生せよ。さすればだ」
「言うことはわかるよ」
 シンジも既に読んでいた。
「あらゆる苦しみから解放されるんだね」
「そうだ。そして我をだ」
「受け入れろっていうんだね」
「心を尽くし。魂を尽くし。力を尽くしてだ」
「それはできないよ」
 シンジは真剣な顔でそれを拒否した。
「それは逃げだし。それに」
「それにだというのか」
「僕達は貴方の様な邪な存在を受け入れられない」
 だからだというシンジだった。
「だから。それはね」
「そうよ!わかったらね!」
 アスカはケイサル=エフェスに対しても噛み付かんばかりである。
「やっつけてやるわよ!覚悟しなさい!」
「全軍攻撃用意!」
「攻撃目標ケイサル=エフェス!」
「これが最後の戦いだ!」
 こう口々に叫び戦闘に入るのだった。
 戦いに入ったところでだ。アムロが言う。
「これは・・・・・・!」
「そうだな」  
 クワトロがそのアムロの言葉に頷く。
「悪意がだ」
「奴を中心に集ってきている!」
「数億・・・・・・いや」
「違う!」
 二人はすぐに察した。
「これは数え切れないだけのだ」
「死者の悪意」
「それが集ってきている!」
「ムゲの比ではないか」
「我の下に集う魂、それは」
 それは何かというとだ。
「まつろわぬ霊のもの」
「だからか!」
「これだけの悪意が」
「全ての宇宙から集めた悪意」
 それだけにだ。かなりのものだった。
「肉なる者にそれを消し去ることは出来ぬ」
「いや、可能だ!」
 サンドマンがそのケイサル=エフェスに言い返す。
「必ずだ!」
「そう言うのか」
「そうだ。何度でも言おう」
 サンドマンも負けてはいない。
「この世に不可能なことはないのだか」
「言うものだ。では見せてもらおう」
「それではだ」
 サンドマンはグラヴィゴラスの艦橋からメイド達に命じる。
「諸君、いいな」
「了解です」
「それではですね」
「主砲、一斉発射だ」
 そうしろと言ってだった。
 グラヴィゴラスの主砲がケイサル=エフェスを撃つ。しかしそれだけではだ。
 神は微動だにしない。しかしだった。
「これで終わりではない」
「さらにですね」
「主砲を」
「これが最後だ。例え主砲が壊れようともだ」
 それでもだというのだ。
「撃つ。いいな」
「了解です」
「本当に最後ですから」
「それなら本当に」
「最後の最後まで」
 グラヴィゴラスの主砲が吠える。それは他の戦艦もだった。
 それはケイサル=エフェスだけでなく敵軍全体にだ。攻撃を浴びせていく。
 敵の数は次第に減っていく。しかしだった。
「くっ、こいつはか」
「何ともないな」
「これだけの攻撃を浴びせてるのに」
「まだ」
「この程度ではだ」
 ケイサル=エフェス自身も言う。
「我は倒せぬ」
「まだです!」
 クスハがだ。言葉を返す。
「貴方の思い通りになんてさせません!」
「無駄だ」 
 だがケイサル=エフェスはそのクスハにも言う。
「サイコドライバーの汝とてだ」
「どうだというのですか!」
「悪霊達の前では赤子も同然だ」
「くっ、こいつの発する悪意」
 ブリットはそれを感じてだった。
「一瞬でも気を抜くと」
「そうね。それだけで」
「身体の隅々まで入り込んで来る」
「これが真の霊帝の力」
「ルアフとは比べ物にならない」
「何て禍々しい」
「我はまつろわぬ神」
「人間じゃないってのかよ!」
 トウマがそのケイサル=エフェスに問い返す。
「そうだっていうのかよ!」
「数え切れない程の銀河の死と再生」
 こんなことも言ってきた。
「それが我に力を与えてくれた」
「今までの無限の世界の」
「その崩壊と再生がか」
「こいつの力の源」
「そうだっていうのね」
「無限力こそが」
 どうかというのだ。
「全ての諸悪の根源」
「輪廻というのか?」
 曲がりなりにも僧侶のティアンはふと気付いた。
「もしや」
「我はそれから逃れた者」
「ふむ」
「まつろわぬ神」
「そうした意味では御仏と同じか」
 ティアンは彼の言葉からこう考えた。
「しかし根本的に違うな」
「はい、確かに」
 ティアンの言葉にデメクサが真剣な顔で頷く。
「私は仏教には詳しくないですが」
「それでもわかるな」
「解脱ですね」
 デメクサはこの単語を出した。
「それですね」
「うむ。それになる」
「彼は逃れたといいますが」
「それは解脱ではない」
「解脱はより高みに至ることだと思いますが」
「あ奴は違う」
 はっきりとだ。ティアンは言い切った。
「より邪な存在になったのだ」
「そうだな。ティアン殿の言う通りだ」
 ジノもその言葉に頷く。
「あれは。闇の中に入ったのだ」
「輪廻から逃れるのにも様々だ」
 ティアンはまた言う。
「中にはあの様にして」
「闇となる者もいるのか」
 ファングもこのことについてわかったのだった。
「そしてその闇の中で」
「左様、ああした存在になるのだ」
「ではあいつは!」
 ロザリーも言う。
「最早!」
「人と神と悪魔を超え」
 その彼の言葉だ。
「この世界の過去と未来の全てを統べる者」
「神ですらも超えた神」
「それだってのかよ!」
「人間の意志なぞ無限の絶望の前には」
 また言うケイサル=エフェスだった。
「何の意味さえ持たない」
「震えている」
 ヒイロはふと気付いた。
「俺の手が」
「その様だな」
「奴の悪意の前に」
「個人の意志ではだ」
 ケイサル=エフェスはヒイロにも話す。
「まつろわぬ霊の集いし我を討つことはできぬ」
「悪魔じゃねえっていってもな」
 甲児もだった。
「この底知らねえ悪意は」
「恐怖」
「それを感じるね」
 鉄也と大介も言う。
「この俺も」
「こんな奴ははじめてだ」
「魔神といえども我の敵ではない」
 三人が操る魔神達もこの神の前には無力だった。
「この因果律の支配者の前にはだ」
「くそっ、けれどな!」
「それでもだ!」
「僕達は戦う!」
 マジンガーチームも向かう。死闘が続く。
 その中でだ。洸もだった。
「ライディーンが言っている」
「何て?」
「全ての歪みはこいつからはじまっている」
 こうマリに話すのだ。
「ありとあらゆる歪みが!」
「じゃあこいつは」
「まさに」
「あらゆる災いの元なんだ」
 マリだけでなく神宮寺にも話す。
「この恐ろしい力こそが」
「くっ、それなら!」
「俺達もだ!」
 神宮司達はブルーガーを駆り洸と共に向かう。しかしその戦いは。
 神の前にだ。ロンド=ベルの動きは完全に止まってしまっていた。
「だ、駄目だ!」
「恐ろしい体力だ」
「何て強さ」
「攻撃も尋常じゃないし」
「この悪意も」
 リュウセイもいる。
「何てドス黒さだ」
「このままではバンプレイオスもだ」
 ここでマイも言う。
「飲み込まれてしまうぞ」
「リュウセイ、今はだ!」
「ああ、戦うのもいいけれどっていうんだな!」
「己を見失うな!」
 ケイサル=エフェスの悪意にだ。
「いいな!」
「そうして時を待つのよ」
 アヤもそのリュウセイに話す、
「今はね」
「我と一つになれ」
 声が脳から直接リュウセイに語り掛けてくる。
「さすればだ」
「さすれば、何だってんだ!」
 リュウセイは怒鳴って彼に言い返す。
「何があるってんだ!」
「この世の理を操る力を汝に与えよう」
「らすぼすお得意の勧誘かよ!」
 リュウセイはこう喝破した。
「生憎だがな!」
「だが。何だ」
「俺はまだ生きてるんだ!」
 リョウ返すのである。
「死人の仲間入りなんかしてたまるかよ!」
「愚かな」
 その言葉を聞いてだ。
 ケイサル=エフェスのマシンの前が開き。そうして。
 そこから六本の腕を持つ漆黒の何かが出て来たのだった。
「命ある者よ」
「な、何だ!?」
「祭壇かありゃ」
 そこが開きだった。
「古の白き祭壇、今ここに」
「あいつ何だ!?」
 その六本腕がだ。前に曼荼羅を思わせるものを出しだ。
「天よ!地よ!」
「せ、世界が!?」
「世界が変わった!?」
 ロンド=ベル全員をだ。何かが襲って来たのである。
 漆黒になりその中でだ。
 無数の悪霊達が彼等を取り囲みだ。まとわりついてきたのだ。
「あ、悪霊達が!」
「来たってのかよ!」
「な、何だ!?」
「一体どうなるってんだ!」
「いかん、精神攻撃だ!」
 ここで大文字が気付いた。
「諸君、気を確かに持て!」
「は、はい!」
「わかりました!」
「一瞬でも油断をすれば取り込まれる!」
 まさにその為であった。
 彼等は何とか耐えた。しかしだ。
 その今は収められた六本腕についてだ。こう言い合った。
「な、何だったんだ今のは」
「まさかあれが」
「あいつの正体!?」
「ケイサル=エフェスの」
「そうだっていうの!?」
「人間じゃない」
 そのことがわかったのだった。
「あの老人の姿は仮の姿」
「正体があれか」
「禍々しい神」
「悪霊の神」
「これでわかった筈だ」
 そのケイサル=エフェスも言う。
「我の力がだ」
「くっ、今のをもう一度受けたら」
「俺達はもう終わりだ」
「折角こいつ一人に追い詰めたってのに」
「これじゃあ」
「これだけではない」
 こう言ってだ。さらにだ。
 ある程度傷ついていた身体がだ。回復したのだった。
「こうしたこともできる」
「再生能力!?」
「まさか、そんな力まであるなんて」
「何処までバケモノなんだよ」
「あれが神の力」
「まつろわぬ神の」
「駄目だ」
「も、もう」
 諦める声まで出て来た。
「こんな奴にはもう」
「何をしても」
「ここで負けて」
「そして何もかもが」
「終わるのね」
「折角ここまで来たのに」
「それでも」
 こう言う声が出てしまう。しかしだ。
 彼等にだ。この声が告げるのだった。
「まだです」
「!?その声は」
「まさか」
「はい、私です」
 戦場にだ。あの彼女が出て来たのは。
「ガンエデン!」
「ということは」
「イルイちゃん!?」
「そうです。皆さん」
 そのイルイ、大人の姿の彼女が言うのだった。
「絶対に諦めてはいけません」
「じゃあ戦えっていうのね」
「絶対に諦めるずに」
「そのうえで」
「諦めたらそれで終わりです」
 だからだというのだ。
「皆さんは希望そのものなのですから」
「俺達が希望」
「そうだっていうの!?」
「あんなとんでもない奴相手なのに」
「それでも」
「神でも。無敵ではないのです」
 だからだというのだ。
「ですから。決してです」
「諦めるな」
「そして勝て」
「そういうことなのね」
「その通りです。私は貴方達と出会い変わりました」
 かつてのだ。バルマー戦役のことだ。
「そして今に至ります」
「あの時みたいにか」
「それで倒す」
「こいつも」
「そうしましょう。皆さん」
 また言うイルイだった。今度の言葉は。
「聞いて下さい、この声を」
「声!?」
「声っていうと」
「まさか。百万年後のこの時代に」
「そんな声なんて」
「声は。時代を超えます」
 そうだとだ。イルイが言うとだ。
 彼女の言葉通りそれが聞こえてきたのだ。その声が。
「!?聞こえる!」
「確かにだ!」
「皆の!」
「声が!」
「戦士達よ」
「ゲペルニッチか!」
 バサラが応える。
「まさかここに来たってのか!」
「それは違う」
 そうではないとだ。ゲペルニッチは言う。
「しかしだ」
「百万年前の世界からだな」
「そうだ。御前達を見ているのだ」
「私がです」
 イルイがだ。ここでまた言う。
「時空をつなげました」
「それでか」
「こうして話ができるのか」
「何か凄いな」
「力は。こうした時に使うものですから」
 だからだと言うイルイだった。
「ですから」
「イルイちゃん本当に凄く変わったな」
「ああ、そこまで考えるなんて」
「その為に力を使うなんて」
「そんなことまで考えるなんて」
「我等はだ」
 そのゲペルニッチがまた話す。
「御前達のスピリチアの輝きにだ」
「信じてくれるのね1」
「賭けよう」
 こうミレーヌにも言うのだ。
「我等の全てを」
「シンジ君」
 今度はだ。カヲルだった。
「絶望していないよね」
「カヲル君!?」
「僕は。魂だけになってるけれどね」
 それでもだとだ。カヲルはシンジに微笑んで言うのだ。
「それでも。君達を見ているよ」
「カヲル君・・・・・・」
「僕は君達を信じている」
 こうも言うカヲルだった。
「そして君の強さを」
「信じてくれるんだね」
「信じているからこそ言うんだ」
 だからだというのだ。
「今こうして」
「そうだね。それじゃあ」
「最後まで戦うのだ!」
「誇り高き戦士達よ!」
 ハイネルとリヒテルもいた。
「御前達のその強さにだ!」
「全ての未来がかかっているのだ!」
「ならば我々は喜んで賭けよう!」
「御前達の光に!」
「兄さん!」
「リヒテル!」
 健一と一矢が応える。
「そうだ。俺達は絶望することはないんだ!」
「今も!」
「戦士達よ」
 今度はフェイルロードだった。
「諸君等に。全てを託そう」
「殿下、そうしてくれるんだな!」
「私達に」
 フェイルに応えるのはマサキとシュウだった。
「なら、この戦いもな!」
「果たさせてもらいましょう」
「頼んだぞ」
「ザッシュ、最後まで頼む」
 カークスは我が子に告げた。
「この全てを賭けた戦いを」
「父さん・・・・・・」
「大きくなったな。御前が帰ってくればだ」
 どうするのか。カークスは微笑んで言う。
「私は安心して引退できるな」
「うん、僕は父さんの分まで頑張るからね」
「全てはこの戦いにある」
「我等は喜んで見守ろう」
 天使達だった。
「全ては。希望と愛の中にある」
「私の子供達」
 デュミナスも。その魂が現れた。
「全ては任せました」
「うん、デュミナス」
「僕達は楽しく生きているから」
「見守っていて下さい」
 ティス達が笑顔でデュミナスに告げた。
「僕達は御前と共にある」
「父さん!」
 今度は獅子王博士だった。
「バスターマシンがザ=パワーを取り込んだことで」
「それでなのか」
「ええ、そうよ」
 絆もだ。その姿を見せた。
「私達はいつもいるから」
「母さんまで・・・・・・」
「宙、卯月君」
「父さんか!」
 今度は司馬博士だった。宙が叫ぶ。
「来てくれたのか!」
「少し帰って来た」
「それでなのか」
「そうだ。御前もまた」
「わかっている!」
「戦え、宙!」
 我が子への最大限の励ましだった。
「その力の限り!」
「ああ、母さんやまゆみ、皆を守る為に!」
 まさにだ。その為にだった。
「俺はやる!やってやる!」
「戦士達を歌うだ!」
 デウスだ。
「その熱い想いは死の波動さえ打ち破る!」
「その通りだ」
 イゴールもいた。
「想いは力だ」
「あんたも来たか!」
「父さんも!」
 忍とアランがイゴールに応える。
「よし、何かな!」
「これまで以上の力がこみあげる」
「その怒りの炎で悪を焼き尽くせ」
「ああ、そうするさ!」
「俺達五人の力で」
「やってやるからね!」
 沙羅に亮、雅人も応える。
 そして洸もまた。
「感じる。ライディーンが」
「ああ、俺にもわかる」
「これまでにない凄まじい力が沸き起こっています」
 神宮寺と麗が言う。
「その力ならな」
「最早恐れるものはないでしょう」
「では洸君、ここは」
「やりましょう!」
 猿丸とマリもだった。
「及ばずながら僕達も」
「戦わせてもらうわ!」
「感じるな、マーズ」
「うん、兄さん」
 タケルとマーグはお互いを見合っている。
「我々の両親達がだ」
「見守ってくれているんだ」
「ならばだ。希望を捨てずにだ」
「戦おう」
「ララアか」
「来たのか」
 アムロとシャアは彼女を見ていた。
「この遥かな未来に」
「来てくれたというのか」
「言ったでしょ」
 ララアは二人に優しい声で語り掛ける。
「人は何時か時間さえ支配できるようになると」
「そして今俺達の前に」
「出てくれたのか」
「未来を手に入れて」
 これがララアの二人への言葉だった。
「ズン類の」
「ああ、わかった」
「なら。勝利を手に掴もう」
 シャアも変わっていた。人類の未来を信じるようになっていた。
 カガリはユウナに言っていた。
「わかるな」
「うん、いるね」
「父上が。あの中に」
「いやね、僕としてはカガリの補佐だけれどね」
「ここでもそう言うか?」
「いやあ、運命だからねえ」
 本当に相変わらずのユウナである。
「受け入れるよ」
「いつも思うが言ってくれるな」
「何しろそれが僕の仕事だから」
 だからだというのだ。
「なら。叔父上の御願いは聞かせてもらうよ」
「済まないな」
「じゃあ。やろうか」
「トレーズ、いるか」
 ミリアルドも感じていた。
「御前もまた」
「その通りだ」
 そしてだ。彼の声もだった。
「私もいる」
「やはりな」
「お父様も」
「ミリアルド、そしてマリーメイア」
 微笑んで二人に話すトレーズだった。
「道は正しい。このままだ」
「歩む」
「そうすれば」
「そうだ。やがて辿り着ける」
 こうだ。気品の笑顔で友と娘に話すのだ。
「私達の目指しているその場所にだ」
「そうだな。それではだ」
「ここは。何があろうとも」
「戦い。そして勝ってくれ」
 トレーズはまた彼等に告げた。
「私達の目指している約束の場所に辿り着く為に」
「わかった」 
 ミリアルドが頷きだった。トレーズの言葉を受け入れた。
 ケイサル=エフェスは。その光達を見つつだ。イルイに言った。
「ナシムよ」
「ゲペル、久し振りですね」
「茶番は止めろ」
 こう告げるのだった。
「アカシックレコードにへつらい」
「そうしてだというのですね」
「その無限力を味方につけたか」
「いえ」
「違うというのか」
「私は導いただけなのです」 
 それだけだとだ。イルイは返すのだった。
「ロンド=ベルを」
「この者達をか」
「彼等を愛する者達の言葉を」
 それをだというのだ。
「導いただけです」
「戯言を。それが」
「へつらっているというのですね」
「そうではないのか」
「いえ」
「また違うといのか」
「貴方という悪意を討つのは」
 ケイサル=エフェスを見据えて。そうしての言葉だった。
「人日との願いなのです」
「だからそれがだ」
「無限力にへつらっていると」
「そうだ。それ以外にどう言うのだ」
「目を覚ますのです」
 イルイの言うことがここで変わった。
「ゲペル、いえケイサル=エフェス」
「何が目を覚ますというのだ」
「人は自らの力でアポカリュプシスを乗り越えたのです」
「我をだというのか」
「はい、これからは」
 未来は。それは。
「これからの歴史は神でも悪魔でもなく」
「誰がどうするというのだ」
「人が」
 まずは誰かという言葉への答えだった。
「自らの手で築いていくものです」
「肉なるものに」
 だがだ。ケイサル=エフェスはわかろうとしない。
「我の怨念が理解できようか!」
「貴方はまだ」
「見るのだ、ナシムよ」
 イルイの名を呼びつつ。
 全身からエネルギーを放ちだ。派手な爆発を幾つも起こすのだった。
 それを見てだ。キリーが言った。
「たまんないぜ」
「ああ、悪意がな」
「物理的な力まで持っちゃってるわね」
 慎吾とレミーも言う。
「ああなったらな」
「ちょっとやそっとじゃな」
「こりゃ面白い戦いになりそうだな」
 キリーが軽口を叩くとだった。
 ケン太もいた。彼が話すのだった。
「無限力の発動にはね」
「それにはあれだな」
「生きている人間の力」
「それが鍵だったよな」
「うん、それと同じで」
 そのケン太の言葉だ。
「悪霊達もね」
「あいつによってか」
「ケイサル=エフェスってのを通じて」
「そのうえでだな」
「それで生み出しているんだ」
「それでケン太」
 慎吾が彼に問う。
「あいつの攻略法は?」
「もうわかってるよね」
 ケン太は微笑んで慎吾に返す。
「もうそれはね」
「ははは、そうだな」
「言われてみればね」
「そんなのはとっくにわかってることだったな」
 慎吾に続いてレミーとキリーも笑って話す。
「それならもう」
「私達の力で」
「やるとするか」
「うむ、そうだ!」
「我等の力でだ!」
 カットナルとケルナグールも叫ぶ。
「人間の力か」
「思えば頼もしいもよ」
「確かに」
 そしてブンドルもだった。
 グラスを掲げ。彼は優雅に言うのだった。
「悪霊達を前にしても果敢に戦う」
「それこそがだな」
「そう言うのだな」
「そうだ。それこそが」
 そしてだった。この言葉だ。
「美しい・・・・・・」
「よし、最後もな!」
「この言葉だ!」
「ああ、やってやるか」
 ジョナサンはだ。彼女を見ていた。
「あんたも来てくれたしな」
「ジョン、いつも見ていたわ」
「ああ、わかってたさ」
 ジョンは微笑んでアノーアに答える。
「いつも。見ていてくれたよな」
「私は。貴方の母親だから」
「俺はずっと気付かなかったんだ」
 残念な顔でだ。ジョナサンは言った。
「母親ってやつがどういったものかな」
「ジョン・・・・・・」
「だがもうわかった」
 今はだ。そうなったというのだ。
「俺はあんたの息子で」
「ええ」
「あんたは俺の母親だ。例え何があろうともな」
「じゃあジョナサン」
「御袋さんと一緒にだな」
「ああ、行くさ」
 笑ってだ。ヒメと勇にも応える。
「この最後の戦いにな」
「オルファンさん、見ていて!」
「俺達はやる!」
 ヒメと勇も言う。
「この戦いに勝って!」
「未来を手に入れる!」
「よし、俺もだ!」
 バサラが。叫ぶ。
「歌うか!」
「最後の最後でね!」
「ああ、とびっきりのライブだ!」
 ミレーヌにもこう返す。
「行くぜ、悪霊共!」
「ファイナルステージよ!」
「俺達の歌を聴けーーーーーーーーーーっ!!」
「コノ歌!」
 シビルがその歌を聴いて言う。
「コノ歌ガ!」
「おお、今遂に」
「ガオオオオオオオン!」
「はじまるんだな!」
 ガビルにグラビル、ギギルも思わず声をあげる。
「ここに真の美が、魂の美が!」
「はじまるか!」
「何、この歌」
 ミレーヌはバサラのその歌を聴いて言った。
「今までにない曲だけれど」
「この曲はな」
 レイがそのミレーヌに話す。
「バサラが」
「私達に預けてくれた曲」
 ミンメイだ。何と彼女まで来た。
「それなのです」
「私達に!?」
「ええ、だから」
「ここはな」
「・・・・・・歌う」
 ミンメイに続いてレイ達も言う。
「演奏は任せろ」
「だからミレーヌさんは私と」
 ミンメイは微笑みミレーヌに話す。
「歌いましょう」
「ええ、あたし達も!」
「一緒に!」
 シェリルとランカは既にステージにいた。衣装を着て。
「その歌歌うわよ!」
「皆で!」
「行くぜゴングだ!」
 バサラが今ギターを手に高らかに叫ぶ。
「どいつもこいつも歌いやがれ!」
「わかりました!」
「了解だもんね!」
 ラクスとマイクも笑顔で応える。
「今ここで!」
「最高のクライマックスだもんね!」
「では私もこれから」
「ベリーグッド!すっごくいい歌だもんね!」
 彼等も加わりだ。他の面々も。
「歌うぞ!」
「ああ、この歌で奴を退ける!」
「ケイサル=エフェス!今の貴様には!」
「絶対に負けない!」
「スコアと歌詞を全機に転送!」
 ラクスが命じた。
「そして私も!」
「そうだな。歌うか」
「歌わずにいられません」
 微笑みだ。ヘンケンに答える。
「これだけの歌は」
「では。全員で」
「鳴らすぜ、今!」
 また叫ぶバサラだった。
「生命のゴングをな!」
「これが歌」
 カヲルは満足している笑みの中でシンジに言う。
「リリンの生み出した文化の極みだよ」
「カヲル君、僕も」
「歌うんだ、シンジ君」
 微笑みだ。シンジにも話す。
「君のその心と共に」
「うん、そうするよ」
「全ては。今はじまるんだ」 
 シンジに。こう話していく。
「君達の未来が」
「くっ、これは!」
 ケイサル=エフェスにだ。何かが起こった。
「まさか我の力が」
「どうやら」
 驚愕する彼にだ。シュウが言う。
「再生の力は封じられましたね」
「これは何故だ」
「貴方は悪意そのもの」
 こう神に言うのだった。
「ならばその対極にある力にはです」
「弱いというのか」
「はい」
 まさにそうだというのだ。
「その通りです」
「馬鹿な、そんなことが」
「いや、これは」
「この歌は」
「凄いぜおい!」
「聴けば聴く程!」
 ケイサル=エフェスは否定しようとする。しかしだ。
 それ以上にだ。ロンド=ベルの面々が言うのだった。
「皆で歌えば!」
「力が出て来るぜ!」
「溢れ出る感情」
 レイもだ。微笑んで言う。
「生きる力、生きる意志」
「おいレイ!」 
 バサラはそのレイにも言う。
「歌うぜ!」
「はい、この歌を」
「歌好きだな!」
「どうしてそのことを」
「俺にはわかるんだ!歌が好きな奴がな!」
 バサラは直感でだ。そういうこともわかるのだ。
「だからだよ!」
「だから」
「ああ、鳴らすぜ!」
「はい」
「生命のゴングを!」
「今ここで」
「ぬおおおおおおおおおおっ!」
 ケイサル=エフェスが叫んだ。そして。
「我の再生の力が」
「最早ありませんね」
「我に流れ込む悪意の波動は」
 それは。
「無限ではなかったのか」
「そんなものがな!」
「無限であってたまるか!」
 コスモとバサラが同時に返す。
「この世で無限のもの!」
「それは!」
 竜馬とマリンがそれを言う。
「正しき心!」
「それだけだ!」
「正しき心に想いと力が集まり」
「限りない奇跡を生む!」
「わかるか悪霊!」
 またコスモが彼に言う。
「死んじまった奴等にな!」
「あたし達の命!」
「奪われるつもりはない!」
 カーシャとギジェも言う。そうしてだった。 
 今ここにだ。全てが。
「ゲージがだ」
「上がっていっているんだな」
「そうだ。最高になった」
 ギジェがコスモに話す。
「今こそだ」
「ああ、今こそ!」
「この世界を守り!」
「未来を創る!」
「そうだ」 
 ここでだ。クォヴレーにだ。
 彼がだ。こう言ってきたのだった。
「御前の力で。俺の力で」
「そうだな。俺自身の力で」
「あの神を倒すのだ」
「イングラム=プリスケン」
 クォヴレーは彼の名を呼んだ。
「これで最後だな」
「そうだ。俺は並行世界を巡り歩き」 
 その中でだというのだ。
「遂にこの世界でだ」
「この。バルマー帝国のある世界で」
「因果律を歪める元凶を突き止めた」
「それがか」
「あのケイサル=エフェスだった」
「そして俺は奴を倒そうとした」
「そうだ。しかしだ」
 ここでイングラムは言うのだった。
「奴の意を。本人が気付かないままに受けた」
「ユーゼス=ゴッツォに」
「精神を奪われ操られた」
 バルマー戦役の話だ。
「そしてガンエデンとの戦いでだ」
「その肉体も」
「だからだ。御前の力を借りた」
 そのだ。クォヴレーのだ。
「そして御前は俺になった」
「俺は御前になった」
 人形だったクォヴレーがだ。イングラムになったのだ。
「御前には済まないことをした」
「いい」
 クォヴレーはイングラムのその謝罪はいいとした。
「気にするな」
「いいというのか」
「俺は人形だった」
 戦う為だけの。バルシェムだったのだ。
「しかし御前はその俺に心をくれた」
「そう言ってくれるのか」
「俺は御前になった」
 またこう言うクォヴレーだった。
「なら。それでいい」
「では。これからは」
「俺が因果律の番人になる」
 そうなるというのだった。
「安心してだ」
「旅立っていいか」
「後は任せるのだ」
 こう言ってだ。イングラムを安心させてだ。
 あらためてだ。ケイサル=エフェスを見て言う。
「俺が。因果律を守る」
「ではだ」
「さらばだイングラム=プリスケン」
 そして。
「俺自身」
 こう言ってだ。あらためて神と対峙するのだった。
 トウマもだ。ミナキに言っていた。
「それじゃあな」
「最後の戦いね」
「ああ、これで決める」
 大雷鳳からだ。ケイサル=エフェスを見ていた。
「賭ける。一気にな」
「ええ、じゃあ私は」
 ミナキはだ。どうするかというと。
「貴方と共に」
「来てくれるんだな」
「何処までも」
 そうするというのだ。
「だから」
「ああ、行くぞミナキ!」
 トウマの目が燃える。
「長い戦いもこれで終わる!」
「完全に!」
 彼等も言い合う。セレーナもまただった。
 アルマにだ。微笑んで言っていた。
「じゃあ。長い戦いもね」
「これで終わりですね」
「ええ、終わりよ」
 こう言うのである。
「私達の勝利でね」
「まだ決まってないですよ」
「これから決めることよ」
 そのだ。勝利でだというのだ。
「だからそれでいいのよ」
「いいんですか」
「その通りよ。じゃあ」
「はい、じゃあ」
「行きましょう。勝つわよ」
「わかりました」
「本当に長かったけれど」
 これまでの戦いを思い出しながら。セレーナは呟く。
「これで何もかもがね」
「終わりですね」
 アルマもこう考えていたのだった。
 クスハとブリットもだ。四神と共にいてだった。
 まずはクスハがブリットに話す。
「これで最後だけれど」
「色々とあったよな」
「本当に。多くの戦いを経て」
「多くの希望と絶望を見てきたな」
「それも遂に」
「終わるんだ」
 ブリットの声は強いものだった。
「完全に」
「では諸君!」
 ダイテツが指示を出す。
「これより最後の戦いをはじめる!」
「了解です!」
「そして!」
「それを終え我等の世界に戻る!」
 こうも言うダイテツだった。
「いいな、そうするぞ!」
「はい、それじゃあ」
「今から」
 こうしてだった。最後の戦いがはじまるのだった。
 ケイサル=エフェス。そのまつろわぬ神、因果律を歪める神との戦い。あらゆる世界を護る為の戦いも。最後を迎えようとしていた。


第百三十三話   完


                                        2011・7・1
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧