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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百十九話 もう一つの補完計画

              第百十九話 もう一つの補完計画
 戦いがだ。再びはじまろうとしていた。
「やっぱりなあ」
「またいるな」
「ピンピンしてたがるよ」
 出撃したロンド=ベルの面々は口々に言う。
「あの連中は幾ら倒してもかよ」
「復活するってか」
「キリがないか?」
「それに」
 彼等は話していく。
「あの連中は何の為にだろうな」
「俺達と戦うんだろうな」
 こんな話もするのだった。
「それがわかららなくなってきたな」
「どうしてあそこまで一体」
「話は後よ」
 ミサトがここで彼等に言ってきた。
「とりあえずは戦いましょう」
「あっ、ミサトさん」
「結局それしかないんですね」
「今は」
「ええ、そうよ」
 その通りだと述べるミサトだった。そうしてだ。
 そのうえでだ。彼が出撃したのだ。
「よし、シンジ!」
「やるな!」
「今は!」
「はい、やらせてもらいます」
 皆に応える彼だった。しかしだ。
 不意にだ。エヴァがだ。
「!?」
「えっ、どうしたの!?」
 ミサトもその異変に気付いた。急にだ。
 暴走をはじめたのだ。急にだ。
「なっ、エヴァが!」
「暴走!?そんな!」
「どうして急に!?」
 ミサトだけでなくリツコも驚きの声をあげる。
「一体何が」
「何が起こっているの!?」
「まさかこれが」
 加持が目を鋭くさせた。
「あの連中のか」
「遂に我等の願いがはじまる」
 あの場所でだ。彼等が言うのだった。
「我等人類に福音をもたらす真の姿に」
「等しき死と祈りを以て」
「人々を真の姿に」
「それは魂の安らぎでもある」
「では儀式をはじめよう」
「くそっ、はじまったか!」
「加持君、これは一体」
「ゼーレの奴等」
 加持が忌々しげに言った。
「初号機をヨリシロにするつもりか!」
「ヨリシロ!?」
「ああ、そうだ」
 こうミサト達に話すのだ。
「それにして」
「今こそ中心の樹の復活を」
「我等が僕」
 また彼等が言っていく。
「エヴァシリーズは皆」
「この時の為に」
「エヴァ初号機前に出ます!」
 マヤが叫ぶ。
「コントロール不能です!」
「それにです!」
 マコトも言う。
「次元測定値が反転!」
「何ですって!?」
「マイナスを示しています!」
「計測不能です!」
 ヒカリも言ってきた。
「数値化できません!」
「エヴァシリーズ!」
 シゲルもだった。
「S2機関を解放!」
「アンチATフィールドか」
 加持が報告を聞きながら呟く。
「それだな」
「全ての現象が似てるわ」
 リツコが今の状況を分析して話す。
「十五年前とね。酷似してるわ」
「じゃあ今のは」
「ええ、間違いないわ」 
 深刻な顔でミサトに話すリツコだった。
「サードインパクトの前兆ね」
「それなのね」
「悠久の時を示す」
「赤き土のミソギを以て」
「まずはジオフロントを真の姿に」
「そのうえで」
「あの、下からですけれど」
 ケンスケが青い顔で報告してきた。
「大規模な爆発が!」
「この光ね」
「多分は」
「今度は何だっていうの?」
「それよりもだ!」
 加持はいぶかしむミサトに言ってきた。
「彼だ!」
「そう、シンジ君よね」
「大丈夫なのか、今は!」
「おい、シンジ!」
 甲児が彼に声をかける。
「生きてるのかよ!」
「しっかりするんだ!」
 洸も声をかける。
「エヴァをそこから離脱させるんだ!」
「動け!動け!動け!」
 シンジも必死に操縦しようとする。しかしだ。
 全く動かない。その中で言うのだった。
「一体どうなってるんだ!」
「どうなっているのだ」 
 ハマーンも言葉がない。
「今は」
「一体何が起こるというの?」
 ミネバもグワダンの艦橋で呆然となっている。
「誰かわかる人は」
「申し訳ありません」
「これはです」
 ランスもニーも唖然となっている。
「我々もです」
「何が何なのか」
「しかしです」
 イリアはこう言うのだった。
「何かよからぬことが」
「ええ、それは私も感じるわ」
 ミネバは暗い顔でイリアに答えた。
「このプレッシャーは」
「恐ろしいものです」
「まさかな」
「これがな」
「世界の終焉だというのか」
 カットナル、ケルナグールに続いてだ。ブンドルも言う。
「バルマーと講和がなったが」
「よりによってこの星でとはな」
「この事態になるとはな」
 彼等も言葉がなかった。そしてだ。
 加持がだ。また言うのだった。
「人類の生命の源たるリリスの卵」
「リリス!?」
「ああ。黒き月」
 ミサトの言葉に応えて話す彼だった。
「今更その中に還るってのはな」
「お断りしたいものね」
「けれどそれはな」
 どうかというのだ。
「リリス次第だからな」
「そうなるのね」
「バルマー帝宮からです」
 シゲルが報告をあげてきた。
「正体不明のエネルギー体が休息接近!」
「ATフィールドも確認!」
 マコトも言う。
「それもです!」
「まさか」
 マヤがそれを聞いて言う。
「使徒!?」
「いや、違う!」
「じゃあ一体今度は」
「えっ!?」
 誰もがだ。その出て来たものを見て唖然となった。それはだ。
 何もかも白く。六つの、虫に似た波根を生やしたレイだった。目は紅い。
 だがその身体はとてつもなく巨大で。惑星から空まで上半身を出していた。そのレイだった。
「レイ!?」
「まさか!」
「あれがかよ!」
「嘘だろ、おい!」
 スティングが思わず叫ぶ。
「あれがレイかよ!」
「夢・・・・・・じゃねえか!」
 アウルは自分でそれを否定した。
「俺は起きてるからな!」
「おいおい、それはねえだろ」
 ロウもこう言うしかなかった。
「何処をどうやったらこうなるってんだよ」
「人、人間」
 ステラの言葉だ。
「けれどあれは」
「おいおいおい、幾ら何でもこれはねえだろ!」
 闘志也もいつもの威勢が弱まっている。
「どうなってんだ!」
「綾波、どうして」
 シンジもその彼女を見て唖然となっている。
「こんなことが」
「エヴァ初号機の欠けた自我を以て」
「そのうえで」
 また彼等が話していく。
「人類の補完を」
「三度の報いの時が今」
「今度はです!」
 ケイスケがまた言う。
「エヴァシリーズのATフィールドが共鳴しています!」
「それがさらに増幅しています!」
 ヒカリも報告する。
「これって一体」
「同化だな」
 加持が二人の報告を聞いて述べた。
「それだな」
「同化!?」
「といいますと」
「新鋭グラフシグナルダウン!」
 マコトが報告してきた。
「デストルドーもです!」
「形而化されていきます!」
 それはシゲルが言う。
「このままでは!」
「まずいな」
 加持は言った。
「これ以上はパイロットの自我が持たないぞ」
「それじゃあシンジ君は」
「ああ、今やな」
 加持はまたミサトに話した。
「生命の胎芽たる生命の樹へとな」
「それになのね」
「還元している」
 加持は話を続ける。
「この先にな」
「この先に?」
「サードインパクトの無からヒトを救う箱舟となるか」
「それとも?」
「人を滅ぼす悪魔となるか」
 こう話していくのだった。
「未来は彼と」
「シンジ君ね」
「ロンド=ベルに委ねられたな」
「つまり私達に」
「やるしかないんだろうな」
 これが彼の結論だった。
「ここはな」
「頼んだわよ」
 ミサトはそのシンジ達を見て呟く。
「シンジ君、皆もね」
「ああ。けれどな」
 ここでまた言う加持だった。
「また動くぞ」
「動く!?」
「見るんだ、あの連中を」
 エヴァのだ。量産型をだというのだ。するとだ。
 彼等はそれぞれ動きだ。立体的に何かの陣の如きものを築いた。
 そしてそれがだ。何かになった。それは。
「!?あれは」
「あの文字に紋章みたいなのは!?」
「一体」
「何だってんだ!?」
「カバラですね」
 シュウがここで言った。
「カバラの生命の樹です」
「そうね、それね」
 ミサトもだ。目を鋭くさせてシュウのその言葉に頷いた。
「あれはまさにそれね」
「カバラのか」
「あのユダヤ教の奥義」
「それがか」
「ここでか」
「今度は何が起こるんだ?」
 誰もがだ。これからのことを考えた。そこにだった。
 リュウセイがだ。声をあげたのだった。
「くっ!何だ!?」
「これは!」
 そしてだ。マイもだった。二人が最初に声をあげたのである。
「人の意志が!」
「心が吸い寄せられていく!」
「むっ、バルマーの星もだ」
「ええ、そうね」
 ライとアヤはバルマーの星を見た。するとだ。
 星の地表に無数の十字架が立ちだ。赤く染まっていた。それはこれまでのバルマーではなかった。
 それを見てだ。誰もが言うのだった。
「何だってんだよ」
「本当に一体何が起こるんだ?」
「今度は一体」
「何が」
「!?何!?」
「これは」
 そしてだ。今度はだ。プルとプルツーがそれぞれ両手で頭を押さえて言うのだった。
「この嫌な感覚!」
「不愉快なプレッシャーが!」
「これは」
「世界が」 
 フォウとファも言う。
「悲しみに満ちていく」
「孤独が人の心を」
「駄目だ!」
 洸もだ。ライディーンの中で叫ぶ。
「その扉を開いては駄目なんだ!」
「洸!」
「どうしたんだ!」
 マリと神宮寺がその洸に問う。
「一体何を」
「何を感じた!」
「ライディーンが言っている!」
 これが洸の言葉だ。
「答えを出すのは早過ぎると!」
「答えはまだ早い?」
「まさかこの補完計画が」
 今度は麗と猿丸が言うのだった。
「この動きは地球のものよりも進んでいるようですが」
「ではこのまま」
「人はまだ運命に抗う力を持っている筈だ!」
 洸はライディーンのその言葉を聞いて言うのだった。
「ライディーンはそう言っている!」
「一万二千年前の話だ」
「それはだ」
 不動がだ。加持の今の言葉に突っ込みを入れた。
「我々の世界の周期でもあるな」
「そうですね。偶然でしょうが」
「妙な話だな」
「全くです。そしてです」
 さらに話を続ける加持だった。
「その一万二千年前のことですが」
「アポカリュプシスだな」
「そう、そのアポカリュプシスにおいて」
 どうなのかをだ。加持は話すのだった
「それを予見しムー帝国はライディーンを造り上げた」
「この世界においてだな」
「はい、そうしたのです」
 さらに話す加持だった。
「宇宙怪獣や妖魔、巨人族、プロトデビルンと」
「あらゆる敵からだったのね」
「そうなる。我々を守る為にだ」
 ミサトにも話すのだった。
「造り上げたのだ」
「それがライディーンだったんですね」
 洸がここで尋ねた。
「そうだったんですか」
「そうだったんだよ」
 加持は洸にも話すのだった。
「ライディーンは。そうしたものだったんだよ」
「そして俺はそれに乗って」
「戦うのが運命だったんだろうな」
「そうだったのですね」
 彼にも話してだった。そのうえでだ。
 今度はだ。ゲッターがだ。
「おい、リョウ!」
「これは!」
「ああ、わかっている!」
 竜馬は隼人と弁慶に答えた。
「ゲッターが怒っている!」
「そうだな、この怒りは」
「あいつにだな」
「ブラックゲッターも同じだ!」
 武蔵も言うのだった。
「あのレイに対して」
「あいつに敵意を示している!」
 竜馬もそのことを認識した。
「今のレイに!」
「当然だな」
 ここでまた言う加持だった。
「ゲッター線は進化を促す力だ」
「だからですか」
「ああ。そしてそれは人の意志に反応するんだ」
 今度はミチルに話すのだった。
「やはりゲッター線は補完をヒトとしての進化の放棄と見たんだな」
「じゃあゲッターはか」
「俺達を」
「補完を進めるなら」
「そうだろうな」
 加持は竜馬達三人にも話した。
「銀河に不適格な生命体としてその未来を摘むかもな」
「恐竜帝国や百鬼帝国みたいになんだな」
「そしてだな」
 今言ったのがゴウだった。
「俺達が戦ったあの」
「昆虫人類みたいに」
「俺達もか」
 後の二人も言うのだった。今は真ドラゴンもだ。
 レイに敵意を見せていた。ゲッターもだった。
 そしてだ。ゴーショーグンもだった。
「ビムラーもみたいね」
「ああ、そうだな」
「予想通りだけれどな」
 レミーに真吾、キリーが言う。
「癇癪ってところかしら」
「敵を見てな」
「こりゃまたナーバスなことで」
「ビムラーも同じなんだな」
 加持はビムラーとゲッターを同じとして話す。
「補完で閉じた世界になるのならな」
「じゃああれじゃない」
「ケン太の旅立ちも」
「アポカリュプシスの可能性への提示も」
 ゴーショーグンの三人はそれぞれ話していく。
「全て無駄になるじゃない」
「それはちょっとな」
「勘弁して欲しいもんだけれどな」
「マジンガイザーもかよ!」
 今度は甲児だった。
「すげえ怒ってるぜ」
「アクエリオンもだ」
「ブレンも!」
「サイバスターもかよ!」
「何かあらゆるマシンが」
「今のレイに」
「敵意を」
 光はその中でだ。レイアースに問うた。
「レイアース、これは何なんだ!?」
「わからない。ただ」
「ただ!?」
「今のレイは危険だ」
 レイアースはこう光に話すのだ。
「得体の知れない力を感じる」
「得体の知れない力」
「それを」
「そうだ、感じる」
 また光に話した。
「危険だ。あまりにも」
「ブリット君、ここは」
「そうだな、クスハ」
 この二人も話すのだった。
「今は何としても」
「あの二人を止めないと」
「そうみたいね」
 セラーナも二人に同意して言う。
「このままじゃね」
「最悪の結果になるよな」
 トウマもだった。
「その人類補完計画ってのにな」
「全てが飲み込まれる」
 クォヴレーも言った。
「それだけは避けなければならない」
「四神も言っている!」
 ブリットが叫ぶ。
「そならだ!」
「超機人は古の文明が我々に託した」
 また言う加持だった。
「最後の希望だからな」
「それでなんですね」
「四神も」
「ああ。同じ過ちを繰り返させない為に」
 加持はクスハとブリットに話した。
「ここでだ」
「戦う」
「そうすると」
「ゲージがおかしい」
 ギジェはこの時イデのゲージを見ていた。
「パワーが下がっていく」
「えっ、どういうこと!?」
 カーシャがそのギジェに問うた。
「それって」
「わからん、イデは何を考えている」
 ギジェは目を大きく見開いて話す。
「それがわからない」
「イデか」
 加持はイデについても言及した。
「それは」
「器を捨ててよね」
「ああ、そうだ」
 またミサトに話すのである。
「一つになった意志」
「ということはね」
「補完計画と同じだったんだ」
 それを言う加持だった。
「つまりイデは」
「同じ結論に辿り着いたから」
「支持をするのかしら」
「それなら補完によって一つになった心は」
「イデとも融合する」
「そうなるのかもな」
「へっ、面白いぜ!」
 バサラがギターを手にした。
「これはな!」
「何が面白いのよ」
「聴かせ甲斐のある奴が出て来たぜ!」
 こうだ。ミレーヌにも言うのだ。
「こんな面白いことになるなんてな!」
「ちょっとバサラ!」
 ミレーヌはバサラの今の言葉にだ。
 びっくりしてだ。こう言い返した。
「今どういう状況下わかってるの!?」
「そんなの関係ねえぜ!」
 これがバサラの返事だった。
「俺は何時だってな!」
「どうだっていうのよ!」
「俺のハートを歌うだけだ!」
 やはりだ。バサラは今もバサラだった。
「それだけだぜ!」
「歌、そうだな」
 加持はその歌についても言った。
「歌はアポカリュプシスに立ち向かう力になるな」
「そうなのね」
「歌が」
「プロトデビルンの時と同じさ」
 こうミサトとリツコにも話す。
「けれどそれはな」
「それは?」
「それはというと?」
「俺達はそれをどう活かすか」
 こう言う彼だった。
「それがわからないままだったからな」
「そうね、ずっとね」
「ずっとそうだったわ」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 彼等はだ。言うのだった。
「それがわかったのはあの時」
「プロトデビルンの時、そして」
「バジュラの時もね」
「プロトカルチャー」
 こうそれぞれ話していく。彼等はわかってきたのだ。
 その中でだ。カトルがだ。シンジに問うていた。
「シンジ君!シンジ君!」
「大丈夫ですか!?」
 カトルだけでなくだ。ニコルも問う。
「大丈夫でしたら!」
「返事をして下さい!」
「駄目なのかよ」
 ディアッカが忌々しげに呟いた。
「返事がねえな」
「まさか、いやそんな筈がない!」
 イザークがそれを否定する。
「おあいつはまだ生きている!」
「それならここは」
 アムロが言った。
「まずはだ」
「まずは?」
「中佐、どうされるんですか?」
「エヴァシリーズを殲滅する」
 そうするというのである。
「そしてエヴァ初号機の動きを止めてだ」
「そうしてですか」
「そのうえで」
「そうだ、エヴァのコアでもある彼を」
 そのだ。シンジをだというのだ。
「救出するんだ」
「そうするんですね」
「ここは」
「そうしてシンジ君をですか」
「助け出すんですね」
「それしかないわね」
 ミサトもだ。腹を括った顔で言った。
「この事態を止めるにはエヴァシリーズを消滅させるしかないわ」
「はい、じゃあ」
「ここはですね」
「まずはエヴァを」
「量産型を」
 こう話してだ。彼等はだ。
 量産型に向かう。しかしだ。
 その中でだ。ミサトはまた言うのだった。
「世界とシンジ君ね」
「まさかと思うけれど」
「ええ、カルネアデスの方舟ね」
 それだとだ。リツコに話すのだった。
「どっちかをね」
「そう本気で思ってるの?」
「前の私だったらそう思っていたわ」
 ミサトの言葉は限定だった。
「けれど今の私はね」
「そういう考えにはならないわね」
「世界は絶対に救うわ」
 これは絶対だというのだ。
「けれどシンジ君もね」
「絶対によね」
「それができなくて何だっていうのよ」
 ミサトは強い声で言う。
「一人を救えなくて。世界は救えないわ」
「そういうことね。それじゃあ」
「ここは」
 こう話してだった。彼等はだ。
 戦いに向かう。そしてだった。ミサトはまた言った。
「最優先事項はね」
「はい、それは」
「何ですか?」
「各機はエヴァ初号機の動きを止めて」
 そうしてだというのだ。
「シンジ君を救出して!」
「任務了解」
 ヒイロが応える。
「答えはそれしかない」
「そうね。やれるわ」
 ミサトはだ。前を見据えていた。
「絶対に。何があってもね」
「随分と変わったな」
 加持がここでミサトに言った。
「前だったら片方だけを取っていたよな」
「そうね。世界をね」
「それがか。今は」
「両方よ。やってみせるわ、いえ」
「いえ?」
「絶対にできるわ」
 言葉をだ。こう言い換えたのである。
 そしてだ。また言う彼女だった。
「どっちもね」
「それならな!」
 ここで前に出たのはだ。アポロだった。
 シリウスとシルヴィアに声をかけてだ。言うのだった。
「いいな、わかってるな!」
「無論だ」
「このアクエリオンで!」
「あいつを救い出す!」
 こうだ。熱い声で言うのである。
「そうしてやる!」
「では考えはあるのだな」
「それ、どうなの?」
「そんなのはない!」
 これがアポロの返答だった。
「そんなものは必要ない!」
「言い切ったわね」
 シルヴィアはその言葉にまずはこう返した。
「じゃあこのまま。一撃で」
「ああ、アクエリオンでダメージを与えてだ」
「あの手で。やるのね」
「そうだな。あれが一番だ」
 シリウスは意外にもだった。
 アポロのその考えに賛同した。そのうえでだ。
 アポロに対してだ。こう言ったのである。
「ではだ。今からだな」
「ああ、一気に手を伸ばしてな」
 そしてだと。アポロは言うのだ。
「ATフィールドを打ち破ってだ」
「中にいるシンジをだ」
「助け出すのね」
「考えなんて必要ない!」
 まさにだ。アポロらしい言葉だった。
「一気に突き破る!それで終わらせる!」
「そうよね。相手は暴走してるし」
「考えの通じる相手ではない」
「それならね」
「こちらも下手な考えは捨ててだ」
「それにだ!」
 アポロがまた叫ぶ。
「俺達は三人だけじゃない」
「ええ、皆がいるわ」
「共にアクエリオンに乗る仲間達がだ」
 今は操縦から離れているだ。彼等がだというのだ。
 シリウスとシルヴィアは彼等に対して。こう問うた。
「いいだろうか、全員でだ」
「シンジ君を助け出そう」
「私達全員の願いならば」
「絶対に。できるから」
「ああ、わかった」
 最初に頷いたのはピエールだった。
「その話、乗ったぜ」
「そうだな。それがいい」
 次はグレンだった。
「三人で無理だとしてもだ」
「全員ならね」
 麗花も言う。
「絶対にできるわ」
「三人で駄目でも」
「皆がいれば」
 リーナとつぐみも話す。
「どんなことでもできるのは」
「これまでやってきたことだから」
「それなら」
「ここでも」
 ジュンとクルトも続く。
「三人でなく皆で」
「心を一つにして」
「そのうえでシンジ君を救い出す」
 最後はクロエだった。
「そうしましょう」
「話は決まった」
 シリウスがアポロに話す。
「そういうことだ」
「わかった。それならだ!」
「皆の心を一つにしてね!」
 アポロだけでなくシルヴィアも応えてだ。そのうえでだった。
 アクエリオンの両手が伸びる。そうして。
 ATフィールドを突き破りそれからエヴァの周りを何重にも囲みだ。それで縛ってだ。
 コクピットの中に入る。そのうえで。
「よし、これでいいな」
「後は!」
「シンジ!」
 アポロがシンジに対して言う。
「目を覚ませ!」
「!?」
「これで御前はまた俺達と一緒だ!」
 こうしてシンジを救い出そうとする。しかしだ。 
 この時だ。またしてもだ。何が起こった。それは。
 光が全てを包むその中で。
「な、何だ!?」
「今度は!」
「一体何だ!」
「これは!」
「ATフィールドが」
 マヤがその光の中で呟く。彼女達に起こっていたことは。
「皆のATフィールドが消えていくわ」
「そうね」
 リツコがマヤのその言葉に頷く。
「私もよ」
「これが答えなの?」
 マヤは光の中で自分自身に問うた。
「私が求めていた」
「はじまりと終わりは同じ世界にあるのだ」
 まただ。彼等が言うのだった。
「よい、全てはこれでよい」
「ミサトさん、これは」
 マリンがミサトに問う。
「何が起こっているのですか?」
「ATフィールドが消えていっているのよ」
 ミサトはマリンにこう答えた。
「皆のね」
「ATフィールドって確か」
「エヴァや使徒だけが持っているんじゃないの?」
「それがどうして」
「俺達まで」
「ATフィールドはね」
 ミサトはそのATフィールドについて話すのだった。
「誰もが持っている心の壁を」
「心の?」
「心の壁って」
「そうよ。言い換えればね」
 どういったものか。ミサトはそのことも話した。
「人を個としてのヒトたらしているものだ」
「それがか」
「ATフィールド」
「そうだったんだ」
「じゃあ」
「俺達も持っているんだ」
「ええ、そうよ」
 その通りだと話すミサトだった。
「それでそれがなくなれば」
「人がヒトの形を保っていられなく」
「そうして器をなくした心は」
「やがては」
「一つに」
「だからなの!?」
 アムがここで言った。
「あたし今プルちゃん達と同じみたいに感じてるけれど」
「そうよ」
 アムにも答えるミサトだった。
「そういうことなのよ」
「あたしがプルちゃんでプルツーちゃんで」
「あれっ、レトラーデさん?」
「美久、違う」
 そのプルとプルツーもそれぞれ言う。
「何、これって」
「どういうことなんだ」
「くっ、まずい!」
 サンドマンも事態を理解した。
「このままではだ」
「はい、誰もがです」
「一つになっていきます」
 メイド達も言う。
「このままですと」
「本当に全てが」
「まさか」
 レイヴンは下の十字架を見た。その十字架達を。
「あれは形を失いつつある人の魂」
「まるで墓場だな」
 エイジもだった。
「そう言う俺も何か」
「おい、ミサトさんよ!」
 忍がミサトに問う。
「どうにかならないのかよ!」
「時間がないわ」
 ミサトは一応は答えた。
「あと五分もあれば」
「五分」
「五分で」
「そうよ。人は完全に溶け合い」
 そしてだというのだ。
「一つになるわ」
「了解、五分か!」
「じゃあと五分でエヴァ初号機を止めれば」
「それで」
「ええ、あと五分よ」
 こう言うのだった。
「この世界は」
「助かる」
「そうなる」
「そうだな」
 ここで言ったのはコスモだった。
「それが助けっていうんならな」
「ちょっとコスモ!」
 すぐにだ。カーシャがその彼を問い詰める。
「人がヒトでなくなってもいいっていうの!?」
「そうすることでな」
 だが、だった。コスモは冷静に言うのだった。
「色々なことから逃げるやり方もあるだろ」
「逃げるって?」
「そうさ。第六文明人みたいにな」
「ってことは」
「コスモ、それって」
「ああ、そんなやり方は認めない」
 これがコスモの言いたいことだった。
「俺はそんなやり方はな」
「それじゃあコスモも」
「エヴァを」
「シンジは助け出してもまだあれは動いてるんだ」
 そうした意味でだ。完全に暴走だった。
「それならな!」
「そうね、あれを止めて」
「生き残るんだ!」
 カーシャだけでなくデクも言う。
「何があっても生きましょう!」
「絶対に!」
「残り五分か」
 ギジェもここで言った。
「短くはないな」
「ああ、俺達にとっちゃ充分過ぎる時間だ」
「その通りだ。それではだ」
 ギジェはコスモに対して告げる。
「イデオンも行くとしよう」
「言われなくてもな!」
 こうしてだった。イデオンもだった。
 エヴァに向かう。そうして戦うのだった。
「馬鹿シンジ!」
「おい、起きるんかい!」
 アスカとトウジが助け出されたシンジに対して叫ぶ。
「あんたも寝てないでね!」
「ちょっとは働かんかい!」
「しっかりしなさいよ!」
「あと五分で起きるんや!」
「シンジ君!」
 ミサトもだ。アクエリオンの腕の中の彼に叫ぶ。
「貴方が頑張らないと!」
「世界が終わるのよ!」
「だから起きるんや!」
「思い出すんだ!」
 万丈も言う。
「ジオフロントで戦うことを決意したあの時を!」
「そして御前は!」
 カミーユが続く。
「自分の足で歩く為に再びエヴァに乗ったんだろう!」
「あんたが何時までもうじうじしていたら!」
 やはりアスカだたt。
「皆一つになっちゃうのよ!」
「俺はアスカと一緒になんかなりたくないわ!」
「それはあたしの台詞よ!」
 そしてトウジと言い合いに入る。
「何であんたなんかとよ!」
「俺は宗介さんとかドモンさんとかイザーク限定や!」
「あたしはグリースさん限定よ!」
「似てる人としか一緒になりたくないわ!」
「そういうことよ!」
「僕は」
 彼等の言葉を聞いてだった。遂に。
 シンジはくゆっくりと。だが確かに目を開いた。
 そしてだ。まずはこう呟いたのだった。
「僕は」
「起きた!?」
「やっと!」
「シンジに自我が戻った!」
「遂に!」
「シンジ!」
 バサラがシンジに叫ぶ。
「歌え!」
「バサラさん!?」
「御前の歌を歌えーーーーーーーーーっ!」
「はい、じゃあ!」
 シンジもだ。バサラのその言葉に応えてだった。
 すぐにアクエリオンの腕の中からエヴァのコクピットに戻りそのうえで。
「僕の歌は、これです!」
「!?止まった!」
 洸が言った。
「ライディーンからの警告が」
「じゃあこれで」
「世界の危機は」
 去ったと思われた。だがこの時だ。
 シンジは闇の海の中にいた。その場にだ。彼は一糸まとわぬ姿でいた。
 その彼の前にだ。彼女がいた。やはり同じ姿だ。
「綾波・・・・・・?」
「・・・・・・・・・」
 レイは答えない。シンジはその彼女に問うた。
「ここは一体」
「ここはLCLの海」
「LCLの」
「そう、生命の源の海の中」
 そこだというのだ。
「ATフィールドを失った」
「僕達の心の壁を」
「自分の形を失った世界」
 まさにだ。その世界だというのだ。
「何処までが自分で何処から他人なのかわからない曖昧な世界」
「それがこの世界」
「そう、何処までも自分で」
 さらに話すレイだった。
「何処にも自分がいなくなっている」
「それがこの世界」
「脆弱な世界」
「それなら僕は」
 その世界の中にいると聞いてシンジはすぐにこう思った。
「死んだの?」
「そう思う?」
「うん、そうじゃないの?」
「それが違うわ」
「僕は死んでいないんだ」
「全てが一つになっているだけ」
 これがレイの説明だった。
「貴方の望んだ世界そのもの」
「そうなんだ。けれど」
「えkれど?」
「これは違う」 
 こう言うのだった。
「違うと思う」
「そう思うのね」
「僕の望んだ世界は。この世界じゃないと思う」
「それなら」
 シンジのその言葉を受けてだった。
 レイはだ。あらためて彼に告げた。
「貴方が他人の存在を今一度望めば」
「そうすれば?」
「また心の壁が全ての人々を引き離すわ」
 そうなるというのである。
「また他人による恐怖がはじまるのよ」
「他人による恐怖が」
「それがはじまる。それでも望むの?貴方は」
「うん」
 静かにだった。シンジは頷いた。
 そしてそのうえでだ。こうレイに話した。
「いいんだ」
「そうするのね」
「うん、あそこではいやなことしかなかった気がする」
 海の中で。華子を思い出しながら話した。
「だからきっと逃げ出してもよかったんだ」
「それでもなのね」
「逃げたところにもいいことはなかった」
 レイにだ。話していく。
「だって僕がいないのも」
「貴方がいないのも」
「誰もいないのと同じだから」
「それなら」
 今度はだ。彼だった。
「ATフィールドが再び」
「カヲル君・・・・・・」
「君や他人を傷つけてもいいのかい?」
「そう僕に問うんだね」
「その為にここに来たからね」
 カヲルは優しい微笑みでシンジに告げた。
「だからね」
「そうなんだね」
「そうだよ。それでなんだ」
「そうなんだね」
「それでシンジ君」
 優しい声でだ。シンジに問うのだった。
「君はそうしていいんだね」
「うん、考えたけれど」
「辛くて傷ついてもそれでもだね」
「そうしたいんだ。それにね」
「それに?」
「僕から問うよ」
 こうだ。カヲルとレイに問うのである。
「君達はどうして今僕の心の中にいるのかな」
「希望よ」
 レイが答える。
「それなのよ」
「希望」
「そう、ヒトは互いに分かり合えるかも知れない」
 レイはこうシンジに言う。
「ということのね」
「好きだという言葉と共にね」6
 カヲルも話してきた。
「その言葉と共にね」
「けれど」
 しかしだった。シンジはだ。
 諦める顔でだ。こう返した。
「それは見せかけなんだ」
「そう思っているんだね」
「自分勝手な思い込みなんだ」
 こう言うのである。
「祈りみたいなものなんだ」
「君は。本当にそう思っているのかい?」
「ずっと続く筈ないんだ」
 まだ言うシンジだった。
「何時かは裏切られるんだ。そして」
「そして?」
「僕を見捨てるんだ」
 しかしだった。シンジの言葉が変わった。
「けれど」
「そうだね」
「僕はもう一度会いたいと思った」
 こう言うのだった。
「その時の気持ちは本当だと思うから」
「それならだね」
「うん、僕は」
 そしてだった。彼は。
「行くよ」
「その皆の場所にだね」
「うん、行って来るから」
「行ってらっしゃい」
 レイがだ。微かに笑って告げてきた。
「そして、貴方の大切なものを」
「それをだね」
「その手にして」
 シンジに告げた言葉はこうしたものだった。そしてシンジは。再び彼の場所に戻るのだった。
 
第百十九話   完


                                  2011・5・6
    
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