スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第百十五話 霊帝ルアフ
第百十五話 霊帝ルアフ
アルマナを襲ったもの。それは。
雷だった。それがアルマナが乗る戦艦を襲ったのだ。
「姫様!」
「アルマナ!」
「アルマナさん!」
「人間が神に意見をする」
ルアフは落雷を落としたうえで言うのだった。
「あってはならないことなのさ」
「だからか!」
「だから今そうして!」
「アルマナさんを!」
「そうだよ」
怒るロンド=ベルの面々にだ。平然として言うのだった。
「アルマナ、君は少し図に乗り過ぎたようだね」
「馬鹿な・・・・・・」
バランはその落雷とルアフを見て唖然となっていた。
「陛下が姫様を」
「どうしだんだい、バラン」
「陛下!」
バランはルアフに対して問うた。
「姫様はバルマーの希望ではなかったのですか!」
「アルマナを失おうとも」
傲然な。そうした口調だった。
「代わりは幾らでもいるよ」
「代わりと仰いますか」
「この銀河に唯一無二な者」
それは誰かというとだ。
「僕、ルアフだけだ」
「そんな・・・・・・」
「バラン、君も用済みだ」
バランに対してもだ。こう言うのだった。
「ここで消えなよ」
「何て奴だ」
「とんでもねえこと言いやがる」
これにはだ。ロンド=ベルの面々も唖然となった。
「あれだけ忠誠を尽くしたおっさんに」
「そんなことを言うなんて」
しかもだ。ルアフの言葉はそれに終わらなかった。
彼はだ。こうも言うのだった。
「シヴァーよってこの星から逃げ出した民も同様だ」
「自分の民までだっていうのかよ!」
「何十億の人達まで」
「そう言うなんて」
「アポカリュプシスに飲まれるがいい」
こう言うのだ。
「僕はこの星に残りし者を守り」
「そしてかよ!」
「どうするってんだ!」
「再びこのバルマーに銀河の覇道を歩ませよう」
「陛下!」
たまりかねた様にだ。バランはまたルアフに問うた。
「陛下にとって民とは」
「民かい?」
「バルマーとは何なのです!?」
「僕の使命はバルマーの民を絶やさぬことだけだ」
それだとだ。ルアフは答えるのだった。
「たった一人でも生き残らせれば僕の使命は果されたことになる」
「何十億が死のうともですか」
「一人一人の生死までは関知しないさ」
こうだ。傲慢そのものの態度で言い放つのだった。
「兵も将も必要なら」
それならばだというのだ。
「造ればいい」
「!?というと」
「やはりか」
「これまでのバルマーの将兵は」
「そうさ、そこにいる忠実な人形達の様にね」
こうロンド=ベルの面々にも言う。
「七人のジュデッカ=ゴッツォ達は」
「あの七人はまさか」
「ジュデッカ=ゴッツォの」
「クローンだっていうのか」
「そうさ。クローンだよ」
まさにだ。そうだというのだ。
「十二支族ジュデッカ=ゴッツォ家の主サルソ=ジュデッカ=ゴッツォね」
「そうか、オリジナルのラオデキア=ジュデッカ=ゴッツォは」
「そうした意味でのオリジナル」
「最初に造られたあいつだったってのか!」
「それでか!」
「そう、人形なのだよ」
こう言うルアフだった。
「僕のね」
「違う!」
それを否定したのはだ。万丈だった。
「彼等は母星であるバルマーの為に力の限り戦ってきている!」
「そうだ!どのジュデッカ=ゴッツォもだ!」
「誰もが勇敢で忠誠を持っていた!」
「それを否定できるものか!」
「その魂は!」
どういったものか。戦ってきた彼等が最もよくわかっていた。
「人間と変わりない!」
「いや、あいつ等も人間だ!」
「人形なんかじゃない!」
「違うね」
ルアフは彼等の今の言葉も否定した。
「所詮は造られた人形である以上」
「どうだっていうんだ!」
「それなら!」
「その生命になぞ意味はないよ」
これがルアフの彼等への目だった。
「ただ僕の望むままに戦えばいいんだ」
「さっきから聞いていれば!」
「勝手なことばかり言ってくれる!」
「何が神だ!」
「神様だっていうんならな!」
「せめて信じている人達位守ってみせろ!」
「それが神様でしょ!」
ロンド=ベルはルアフのその傲慢にだ。怒りを露わにさせた。
そしてだ。彼等はここでわかったのだった。
「あの女の言ったっていうことってこれだったんだな」
「マーグさんが聞いたっていう」
「その言葉の意味が」
「今よくわかったぜ」
それがだ。何かというとだ。
「人を人とも思わぬ傲慢さ」
「人の生命をものとしか見ない冷酷さ」
「人間の心を持たず全てを見下ろす」
「確かに神だ!」
そうした意味での神だとわかったのだ。
「まさにな!」
「しかしな!」
全員で言うのだった。
「俺達はそんな奴の!御前の!」
「その存在を認めない!」
「認めてたまるか!」
「御前は同じだ!」
竜馬が叫んだ。
「地球のガンエデンだとだ!」
「むっ?」
「使命の前に真に大切にすべきものを忘れたな!」
「そうだ、欠陥品だ」
「なお悪いな!」
隼人と弁慶も言う。
「御前はそれに過ぎない」
「あのガンエデンよりも遥かにタチが悪いだろうが!」
「そうだ、まだあのガンエデンは慈しみの心があった!」
武蔵はそのことを指摘した。
「しかし御前にはそれがない!」
「僕がナシムの神子と同じというのか」
「尚悪いんだよ!」
甲児も告げる。
「手前はな!」
「霊帝ルアフ!」
タケルも告げる。
「御前に神を名乗る刺客はない!」
「貴方の様な人がいるから!」
キラは彼を人と呼んだ。
「皆が不幸になるんだ!」
「ならば教えてあげるよ」
ルアフはその彼等に対してだ。
「真の力を発揮したガンエデンの力を」
「じゃあ見せてみろ!」
「その神の力をね!」
「僕とゲペル=ガンエデンの力を!」
こう言うとだ。何かが起こった。それは。
サイコドライバーの共鳴だった。リュウセイがそれを受けて叫ぶ。
「なっ!これが!」
「霊帝の力か!」
マイもリュウセイと同じく叫ぶ。
「まさかこれ程までとは」
「見ろ!」
神宮寺が前を見て叫ぶ。
「あれは!」
「くっ、やっぱりいたのかよ!」
「バルマーにも!」
「あれが!」
巨大な神が舞い降りた。それこそは。
「バラルの園で戦った」
「あのガンエデンがまた」
「バルマーのガンエデンか」
「あれが」
「そうさ」
また言うルアフだった。
「これがゲペル=ガンエデン」
「ゲペル=ガンエデン」
「それがそのガンエデンの名前」
「そうなんだな」
「創世神ズフィルードの真の姿だ」
「あの姿」
バランもそれを見て言う。
「わしもはじめて見させてもらう」
「へっ、名前が同じだけあってな!」
豹馬が言う。
「地球のガンエデンとよく似てるぜ!」
「その通りだよ」
神からだ。ルアフの声がした。
「地球のガンエデン」
「それとか」
「そのガンエデンが」
「ナシムとこのゲゲルは」
どうかというのだ。
「同じ文明から生まれたものだからね」
「そうでしょうね」
ミサトが鋭い目で応えた。
「察しはついていたわ」
「おや、もうだったのかい」
「地球とバルマー」
ミサトは両者を一つにして放す。
「銀河の辺境と中心にありながら」
「そうだね。離れているのにね」
「この二つの星には共通項が多いわ」
このことはだ。もうロンド=ベルの誰もがわかっていた。
「先史文明の遺産についても」
「あったよな、どれにも」
「地球とバルマーが同じ文明だって」
「それを裏付けるものが」
「かなり」
それがどういったものかもだ。具体的に述べられる。
「二つのガンエデン」
「二つのクロスゲート、即ち刻印」
「二つの死海文書」
「それにアポカリュプシスの伝承」
「ここまであるから」
「そこから導き出される結論は一つ」
ミサトの言葉が中心に入った。
「つまりそれは」
「その通りさ」
ルアフ自身も言うのだった。
「わかっているね。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「君達の結論には一つないものがあるよ」
こう言うのである。
「確かに地球人とバルマー人はその祖は同じさ」
「この銀河において」
「確かに」
「そう、それにだよ」
ルアフは言葉を続けていく。
「その口ぶりではね」
「口ぶり?」
「今度は何が言いたいんだ?」
「君達は本当に何も知らないんだね」
こうだ。上から見下ろして言うのである。
「ナシムから言われてなかったんだね」
「あのガンエデンから」
「何も」
「そう、何もね」
そうだというのである。
「知らされていなかったんだね」
「っていうとまだあるのか」
「今度は一体」
「何が」
「二体のガンエデンは地球で生まれたものなんだよ」
「まさか」
それを聞いてだ。声をあげたのはダイテツだった。
「バルマーのガンエデンもまた」
「遥か過去」
またルアフの言葉がはじまる。
「アポカリュプシスの前兆により」
「過去にもか」
「やはりあったのね」
「そう、それにより現存する人類の祖先は滅亡の危機に瀕した」
そうなったというのだ。
「つまりそれは」
「俺達の祖先」
「プロトカルチャーと言われる種族」
「あの人達が」
「もっともその祖先もね」
そのプロトカルチャー達もだというのだ。
「さrなる過去にね」
「えっ、もっと前にね」
「まだいたんだ」
「第一始祖民族と呼ばれる生命体により知性化されたそうだけれどね」
「プロトカルチャーの他にも」
「そのさらに過去にも」
「いたのかよ」
「死海文書も補完計画も」
ルアフはそのことも熟知しているのだたt。
「そういった手段は全て彼等が残したものなのさ」
「その死海文書がどうしてだ?」
「地球とバルマーに」
「二つの星に」
「第一始祖民族の文化を受け継いだ彼等は」
そのプロトカルチャーのことだ。
「この銀河のあらゆる場で繁栄を極め」
「それがか」
「あの遺跡か」
「そうなのね」
「そして徐々に自らの毒で滅びを招いていった」
つまりだ。自滅だというのだ。
「その毒とは」
「楽すの遺跡にあったプロトカルチャー同士の戦い」
「それにゼントラーディの誕生」
「あとプロトデビルン」
「そういったものが」
「そんな醜い様に」
ルアフはそれをそうだと断定して話していく。
「アカシックレコードはきっと絶望したんだろうね」
「その争う姿に」
「そして生物兵器を生み出す姿に」
「自分達が知恵を授けた生命体が互いに殺し合ってはね」
「そんなものを見たから」
「それで」
「!?待て」
ここで言ったのはベスだった。
「アカシックレコード、イデの意思とは」
「おや、気付いたね」
「第一始祖民族」
「つまり第六文明人」
「あの連中こそが」
「イデだったっていうのかよ!」
「そう、彼等の意思の集合体」
それこそがだと。ルアフは彼等に話す。
「それがイデなのさ」
「では生命体の知性化を行うゲッター線も」
「そして宇宙への旅立ちを促すビムラーも」
「他のあらゆる力は」
「それは」
「そしてアポカリュプシスの前兆が起こった」
話はそこに戻った。
「もっともこの時は」
「その時は」
「その前兆は」
「見せしめの意味合いだったんだろうね」
それに過ぎなかったというのだ。
「虚空からの破壊神」
「宇宙怪獣か」
「それもまた」
「アポカリュ于プシス」
「やはり」
「他の世界からの邪悪な意志」
「アル=イー=クイス等か」
ロジャーがそれではと察した。
「あの者達か」
「彼等については知らないがね」
ルアフはアル=イー=クイスについては知らないというのだった。
「他の世界とつなげるのもね」
「アポカリュプシスの一環」
「そうだったのか」
「しかし」
ここでだ。彼等は話す。ただしルアフはその話を全く聞いていない。
「他のあらゆる世界も滅亡に瀕していた」
「この世界だけじゃなくて」
「それはどうしてなんだ?」
「他の世界からの侵略はわかるにしても」
「どの世界も崩壊しそうなんて」
「そんなことが有り得るのか」
「何故全部の世界が」
このことに疑問を抱く。しかしルアフはそんなことは聞かずにだ。
あらためてだ。ロンド=ベルの面々に話すのだった。
「そして隕石雨」
「そういったものによってか」
「地球に住んでいた御先祖様は」
「滅亡しそうになった」
「そうなのね」
「それに対して」
ルアフはさらに話す。
「新たな種を育てそれを守るシステムを造り上げた」
「つまりそれこそが」
「ガンエデン」
「その二つのガンエデン」
「そうなるのか」
「もっともね」
ルアフの話はここでまた続けられる。
「それだけじゃなくて」
「ガンエデンが唯一の策ではなく」
「その他にも」
「色々と」
「そう、巨大な宇宙船による地球脱出や」
それもあったというのだ。
「第一始祖民族の遺した補完といった手段も講じていたようだね」
「じゃあこれまで見てきたものは」
「それが」
「あの海底の遺跡も」
「宇宙船だったのか」
「そうだったのね」
「その前兆で」
どうなったのか。ルアフはこのことも話すのだった。
「人類の祖先はその九十九パーセント以上が失われたのさ」
「ほぼ全滅かあ」
「けれど僅かに残って」
「そうして」
「じゃあ俺達は」
ここでまた気付いた彼等だった。
「その残り僅かの子孫か」
「そうなるのね」
「そしてそこから」
「ここまで増えた」
「そうだっていうのかよ」
「その直系もいるだろう?」
ルアフはこのことも指摘した。
「確か地球では残った者達が」
「俺達のその祖先が」
「っていうと一体」
「直系とは」
「ある大陸に太陽の名を冠した帝国を築いたそうちゃないか」
「それがライディーンの」
それを聞いてすぐに気付いた洸だった。
「そうだったのか」
「現存する多くの種族は」
ルアフがまた言う。
「彼等の残した新たな種から生まれ」
「そうしてか」
「さらに」
「そう、育てられたのさ」
「俺達はガンエデンが育てた種の末裔」
「そうだったのか」
このことまでだ。わかったのである。
「完成した二体のガンエデン」
「そのガンエデンが」
「一体どうなったんだ?」
またルアフの話を聞く彼等だった。
「地球で生まれ」
「そうして」
「ゲベルとナシムは荒廃した地球を後にして」
そうしたというのだ。
「新天地を目指し旅立った」
「じゃああのガンエデンは」
「一度地球を離れ」
「この星に来たんだ」
「バルマーに」
「そうさ。そしてね」
さらにだ、どうなったかも話すルアフだった。
「彼等はこの星でバルマーの民を生み育てたんだ」
「そしてそれがか」
「創世なのね」
「バルマーの」
「そうさ。だからガンエデンは」
どうなったのか。ルアフはさらに話す。
「創世神と呼ばれているのさ」
「そして今に至る」
「そうなんだ」
「数千年の時を経て」
時間はだ。かなり長いものになった。
「この星にも人間が溢れ」
「そうしてか」
「そのうえで」
「失われた繁栄の時は徐々に取り戻しつつあった」
そうなっていたというのだ。
「けれど」
「けれど!?」
「けれどっていうと」
「何かあったのかよ」
「そう、その頃に異変が起こったのさ」
そうなったと話すルアフだった。
「愚かなことにナシムは」
「地球に帰ると言い出した」
「そんなところか」
「そうさ。まさに異変だね」
ルアフは侮蔑した様に話す。
「我々の祖先の望郷の念がね」
「あのガンエデンにはあった」
「それでか」
「そうだそうね。けれどそうなっては仕方ないさ」
「あのガンエデンは地球に戻ってか」
「それでか」
そのこともわかったのだった。
「ああなった」
「そうだったの」
「ナシムが地球へ帰還すると言い出したのさ」
ルアフはその経緯についても話すのだった。
「ゲベルはナシムを見送った」
「それでか」
「あのガンエデンは地球に戻った」
「そうだったの」
「だが」
ここでだ。ルアフの言葉が変わった。
「何時か二つの星が再び出会う為に」
「刻印か!」
エイジがここで叫んだ。
「あれだというのか!」
「そう、ゲベルとナシムはお互いを結ぶ通路を作った」
まさにだった。それが。
「わかるね、それは」
「クロスゲート!」
「グラドスの刻印か!」
「元々は第一始祖民族の遺産だった」
今イデとなっている彼等のだという。
「人類の祖先はそれを利用していたようだね」
「それでか」
「そうしてなんだ」
「そのうえでか」
「ああして」
「そうだよ。それでね」
ルアフはまた言った。
「ナシムはそれを使わず」
「それで銀河を横断した?」
「バルマーから地球まで」
「そうしたっていうの」
「その道中に地球の思い出を」
その話にもなった。
「生き残った人類に伝えていったのさ」
「じゃあそれがか」
「伝承になって」
「それで地球は」
「色々な星に」
「そう、銀河に住む民にとって」
その彼等にだというのだ。
「ある種特別な意味を持つようになったのさ」
「ゼントラーディの伝承だな」
カムジンが言う。
「あのプロトカルチャーの星か」
「それなのね」
ここで言ったのはレトラーデもだった。
「ガンエデンの言う地球の思い出」
「そしてゲベルは眠りについたんだ」
ルアフの話がそこに戻った。ゲベルにだ。
「何時かナシムの子達がこの星に来ることを思いながら」
「この星、バルマーか」
「そういうことね」
「そう、自分と同じ力を持つ」
それこそはだった。
「ナシムと雌雄を決する為に」
「!?待て」
「おかしいわね」
ユングとカズミはルアフの今の言葉に眉を動かした。
「今の言葉は」
「一体どういう意味なのかしら」
「そうよ、ナシムのガンエデンは」
それをノリコも言う。
「ただ地球に帰っただけじゃないの?」
「それがどうして」
「何時か戦うということになるのかしら」
ユングとカズミはまた言った。
「話が合わないわ」
「それは」
「ガンエデンは惑星防衛システムだよ」
ルアフが言うのはこのことだった。
「それは単体のものではなく」
「機動兵器」
「それではなく」
「そう、それに付随する全ての要素のことなんだ」
それはだ。即ちだった。
「地球に帰ったナシムが己の戦力とした」
「あの三種類の僕か」
「鷲に鮫」
「それに豹」
「あの連中も」
「そう、それと移動要塞バラル」
それもだというのだ。
「そしてこの星にあるのは」
「ネビーイームか」
「十二に」
「即ち地球自体がガンエデンシステムであり」
そしてだった。さらにだ。
「このバルマー帝国自体もまたそうなのさ」
「ガンエデン」
「そうだっていうのか」
「その通り。これでわかったね」
「ナシムガンエデンが地球を守護する力として僕達の力を欲したように」
マサトがそのルアフを見据えて言う。
「貴方もこの銀河を手中に収め」
「そうさ。力にするつもりさ」
「それでだったのか」
「さて、昔話は終わりだよ」
ルアフはここで遂に話を終えたのだった。
「じゃあはじめようか」
「戦いを」
「それを」
「そう、運命によって定められた」
それこそはだった。
「二つの星、二つの民の戦いを」
「嫌だとは言えないっていうんだな」
「ナシムを倒した君達は僕と戦う運命にある」
こうリュウセイにも告げた。
「その証拠にね」
「この音か」
「これがガンエデンの」
「そう、ゲベルも言っているよ」
他ならぬだ。彼自身がだというのだ。
「だからだよ。はじめよう」
「どうやら御前もだな」
ハマーンがだ。そのルアフに対して言った。
「囚われているな」
「囚われている!?」
「そうだ、御前もだ」
こうだ。ルアフに言うのである。
「私達は確かにそのナシムガンエデンを滅ぼした」
「君達自身が最もよくわかっていることだね」
「その時に私達はイルイを救い出した」
ハマーンはこのことも告げた。
「ガンエデンに囚われていたな」
「ナシムに」
「御前もまた同じなのだ」
見抜いていた。ルアフをだ。
「所詮はな」
「どういう意味だい?それは」
「御前もだ」
ハマーンはルアフにさらに告げた。
「先史文明の遺したガンエデンシステムの妄執に取り憑かれているだけだ」
「何っ、僕が」
「その通りだ!」
今度はカミーユが言う。
「御前はそうして戦っているだけだ!」
「それで神様を気取ってるだけなんだよ!」
ジュドーも言った。
「御前も人形なんだな!」
「黙れ!」
ルアフは彼等の言葉に激昂した。それでだった。
雷をだ。ロンド=ベルに落とすのだった。
「くっ!」
「また雷か!」
「雷を落とすのは神だ!」
その雷から言うのだった。
「僕は神!」
「神か!」
「それだっていうんだな!」
「そう、ゲベルガンエデンの神子!」
それこそがだった。
「霊帝ルアフだ!」
「それなら聞いてやるぜ!」
忍がそのルアフに言う。
「手前は神だっていうんならな!」
「どうだというんだ!」
「手前の国の人間は救わねえのかよ!」
「聞いていなかったのかい?」
まただ。傲然とした態度に戻って言うルアフだった。
「このガンエデンがあれば」
「また新たな種族をか」
「創るっていうのかよ」
「それで」
「そう、だから民など必要ないのだよ」」
これがルアフの言葉だった。
「僕とガンエデンがあればな」
「なっ、これが」
ここまで聞いてだ。ルリアもバランもだ。
唖然となった。そうして言うのだった。
「今日まで私達が信じていた」
「創世神だというのか」
「何ということ・・・・・・」
「ゆ、許せん!」
バランのだ。義憤にだった。触れてしまっていた。
それでだ。彼はルアフに問うのだった。
「ルアフ、答えよ!」
「僕を呼び捨てかい?民が」
「その民の言葉だ!」
それだと言ってだ。バランはルアフに問うのだった。
「我等は御前にとって何なのだ!」
「言ったね。御前達の生死なぞ知ったことではないと」
これがルアフの返答だった。
「それとも塵芥には僕の言葉が理解できないのかな」
「貴様っ!」
「許せねえ!」
リュウセイもだ。激昂を見せる。
「こいつがバルマー戦役から続く戦いの元凶かよ!」
「それならだ!」
「倒す!」
「こいつだけは!」
「総員攻撃用意!」
全員がだ。すぐに攻撃態勢に入った。
「あの神を倒せ!」
「傲慢な神を!」
「貴方だけは許せません!」
「絶対にだ!」
クスハとブリットも言う。
「アルマナ姫を撃ち」
「そして御前とガンエデンの歪んだ使命の義正になった人達の為に!」
「ここは何としても!」
「御前を倒す!」
「滑稽だね」
まだこう言うルアフだった。
「人間が神に挑むのかい」
「その通りですよ」
何とだ。ここでだ。
シュウが出て来た。ネオ=グランゾンと共にだ。
「霊帝ルアフ、その通りです」
「ネオ=グランゾン。シュウ=シラカワだね」
「はい、貴方が神ですか」
冷笑を以ての言葉だった。
「そう仰るとは。これはまた」
「一つ言っておくよ」
だがルアフはだ。彼とネオ=グランゾンを前にしてもその態度を変えない。
「僕の力はナシムの比ではないよ」
「彼女とはなのですね」
「そう、力尽くで神子と融合していたナシムとは違うよ」
こう言うのである。
「僕とゲベルは完全に一つなのだから」
「それではです」
シュウはだ。さらに前に出てルアフに告げた。
「私もまたお見せしましょう」
「そのネオ=グランゾンの力をかい?」
「かつて神を倒したこの力」
ヴォルクルスのことに他ならない。
「お見せしましょう」
「おい、シュウ」
マサキがそのシュウに対して言った。
「ここで出て来たのかよ」
「予想していましたか?」
「いや、もっと後だと思ってた」
マサキは真顔でシュウに答えた。
「しかし手前が来たってことはあれか」
「はい、その時だと思いましたので」
それでだと答えを返すシュウだった。
「私が。皆さんと共に戦うべき時だと」
「それで来たってんだな」
「左様です。それでなのですが」
「俺達とか」
「はい、共に戦わせてもらって宜しいでしょうか」
「断る理由はないさ」
それはないと答えるマサキだった。
「今の手前はな」
「有り難うございます。それでは」
「しかし。知ってるんだな」
マサキはシュウの参戦を受け入れてからだ。彼にあらためて問うのだった。
「俺達の目の前にいるこいつのことを」
「ガンエデンのことですか」
「ああ、知ってるな」
「知らないと言えば嘘になります」
それを否定しないシュウだった。
「そういうことです」
「そうか。やっぱりな」
「その通りです。まずこの彼ですが」
霊帝ルアフを一瞥して。そのうえでの言葉だった。
「どうということはありません」
「大した奴じゃねえっていうのか」
「彼は己がわかっていません」
自分自身をだ。知らないというのだ。
「自惚れているだけの人間に過ぎません」
「僕は神だ」
ルアフが顔を歪めさせシュウに反論する。
「それ以外の何者でもない」
「そうしたことを言う方はこれまで何人もいました」
シュウは平然としてそのルアフに話す。
「ですがその誰もがです」
「誰もが。どうしたというのかな」
「御自身のことがわかっていませんでした」
そうだったというのだ。
「何一つとしてです」
「それは僕もだというんだね」
「その通りです。貴方が絶対の神というのならです」
シュウはルアフと対峙してだ。話していくのだった。
「私を倒せる筈です」
「君をかい?」
「そしてこのネオ=グランゾンをです」
他ならぬだ。彼の乗るマシンをというのだ。
「倒せる筈です」
「造作もないことだね」
これがルアフの返答だった。
「所詮君達にあるものは不完全なんだ」
「死海文書もだというのですね」
「そうさ。その証拠にナシムの子達は補完計画も冥王計画も失敗したじゃないか」
このことを言うとだ。
加持とマサトがだ。眉を顰めさせて言うのだった。
「ではこのバルマーの死海文書は」
「地球のものとは違う?」
「そうなるが」
「では向こうの死海文書は」
「さて、それにしても」
ここでルアフはだ。バンプレイオスを見た。シュウを睨み据えながら。
「あのプロトカルチャーの歌は」
「何だ?俺にか」
「そうだよ、君にだよ」
リュウセイに言うのであった。
「聴かせがいがあったようだね」
「どういうことだ」
「そこにジュデッカを操っていた裏切り者がいるね」
「私のことか」
「その通りだよ。君だよ」
マイに対しての言葉だった。
「あれは巨人用の兵器としては有効だからね」
「ゼントラーディやメルトランディにか」
「そう、彼等にね」
ルアフは今度はライに対して述べた。
「ユーゼフが彼女にプロトカルチャーの歌を聴かせてたんじゃないかな」
「やはり」
アヤがここまで聞いて言った。
「帝国軍はプロトカルチャーの歌を知っていたのか」
「もっともね」
ここでも傲慢を見せるルアフだった。
「ゲベル=ガンエデンがあれば歌等という不確かなものに頼る必要はないのだけれどね」
「さて、それはどうでしょうか」
SRXチームの面々がルアフの言葉に激昂しようとする前にだ。
シュウがだ。こう彼に言うのだった。
「それは」
「また君なのかい」
「それはこれかあはっきりとすることですが」
「聞くぞルアフ!」
バランがルアフに問う。
「御前がわし等を導いてきたのは何だったのだ!」
「言うね、君も」
ルアフは彼にも傲慢を見せる。
「神の意志を問うなんて偉くなったものだよ」
「答えよ。どういうことだ!」
「全ては大いなる意志」
ルアフはこうバランに対して言う。
「まつろわぬ神の望みさ」
「まつろわぬ神!?」
「何だ、そりゃ」
「一体」
「そう言いましたか」
一人だ。シュウだけが冷静だ。
「そこで」
「まさか君は」
「勿論」
シュウの返答はこれだけだった。
そしてだ。あらためてこう言うのであった。
「では。お話はこれまでということで」
「僕を倒すというのか」
「貴方を倒すことは実に容易です」
シュウはその余裕をルアフに見せる。そうしてだ。
「まずは四機の魔装機神」
「俺達か」
「そしてヴァルシオーネ」
次はリューネだった。
「そして私。六人で充分でしょう」
「六人で神である僕を倒すのかい?」
「そうです、六体の神がです」
ガンエデンを倒すというのである。
「そうなります」
「戯言を。例え誰であろうとも」
「いや、やれるな」
「そうね」
ここでだ。ヤンロンとリューネが言った。
「貴様を倒すことはだ」
「あたし達で充分だね」
「そうね。この程度の相手なら」
「どうということはないわ」
テュッティとミオも続く。
「やれるわ」
「おつりが来るかもね」
「指一本触れることすらできないさ」
ルアフだけはこう言う。
「君達にには」
「ああ、指一本触れなくてもな!」
そのマサキの言葉だ。
「手前の倒し方は幾らでもあるんだよ!」
「言ってくれる。神に対して」
「ルアフ、手前は神じゃねえ!」
マサキはルアフをこう一喝した。
「只の人間だ!」
「人間、この僕をそう呼ぶのか」
「ああ、手前のことが何もわかっちゃいねえ人間だ!」
それだというのだ。
「それを今教えてやるぜ!」
「許さないぞ、最早!」
ガンエデンの姿が変わった。あの竜の姿にだ。
そしてそのうえでだ。マサキ達に炎を吐く。しかしだ。
「甘いですね」
「この程度な!」
シュウもマサキも他の者達もだ。その炎はあっさりとかわした。そのうえで。
一斉にだ。攻撃を放つのだった。
「火気、金に克し地を覆え!臨兵闘者皆列前行!」
「喰らいなっ!メビウスシェイド!」
「ロキの子、地を乱す者よ今こそ足かせから解き放ち我が敵を貪れ!」
「抜けば珠散る氷の刃!」
四人がだ。一斉に攻撃を浴びせた。それでだ。
神の身体が揺れた。大きくだ。
「なっ、まさか!?」
「そのまさかだ!」
「そう、指一本触れられないのは」
マサキとシュウもだ。攻撃態勢に入りながら言う。
「手前だ!」
「それが今わかるのです」
「くっ、おのれ!」
「シュウ!」
「ええ、マサキ」
そしてだ。最後はだ。
二人が動きを合わせだ。そのうえでだ。
「いいですね、まずは私がです」
「縮退砲だな」
「それを浴びせます」
ネオ=グランゾンのだ。最大の攻撃をだというのだ。
「そしてそれを浴びせてからです」
「俺がコスモノヴァでか」
「それで終わりです」
ルアフがだ。倒れるというのだ。
「では。いいですね」
「ああ、わかったぜ!」
「それではです」
ネオ=グランゾンにあの力が集りだ。そして。
「縮退砲、発射!」
「いっけえええええええーーーーーーーーーーっ!!コスモノヴァ!」
黒い光と白い光が神を貫いた。それでだった。
ガンエデンはだ。動きを止めたのだった。
「なっ、馬鹿な!」
「どうだ!」
「これが結果です」
「ガンエデンの力がこの程度である筈がないんだ!」
こう叫ぶルアフだった。
「まさか、まさか!」
「ですからこれが結果です」
またルアフに告げるシュウだった。
「私達の力を甘く見ないことです」
「くっ、こんな!」
「この世のお別れの言葉として覚えておいて下さい」
シュウはそのルアフに告げた。
「神とはです」
「神とは?」
「人を見守り無限の慈愛を見せる存在です」
それが神だというのだ。
「貴方は只の傲慢な神に過ぎません」
「傲慢な神、僕が」
「打倒されるべき存在でしかありません」
「シャピロの野郎と同じだぜ」
今度は忍が言った。
「あいつとな!」
「あの小者と僕が同じだというのか」
「ポセイダルの方がいいのかい?」
今度はレッシィが告げた。鋭い目で。
「どっちがいいんだい?」
「おのれ、僕をそこまで」
「さて、止めといきましょうか」
シュウがだ。再び縮退砲を放ちにかかった。
「御覚悟を」
「こんな結果は認めない!」
しかしだ。ルアフは言うのだった。
「僕は、僕はまだだ!」
「!?まさか」
「まだ戦うってのか!?」
「またここで!」
「いいでしょう。それならです」
シュウはそのルアフに対して悠然と告げた。
「私は人を苦しませる趣味はありません」
「止めを刺すってんだな」
「最初からそのつもりでしたし」
マサキに対しても答える彼だった。
「では。これで」
「くっ!こんな場所で!」
ここでだ。ルアフはだ。
突如として姿を消したのだった。ガンエデン諸共だ。
それを見てだ。誰もが呆気に取られてしまった。
「なっ、逃げた!?」
「まさかと思うが」
「臣民を見捨てて」
「自分だけが」
「へっ、偉そうな口の割りにはな」
イサムがその彼の有様を見て言う。
「往生際の悪い野郎だぜ!」
「しかしだ」
ガルドがそのイサムに話す。
「このまま奴を逃がすとだ」
「左様、乱の火種が残る」
メキルがそれを言う。
「それが厄介だ」
「じゃあ探さないと」
アレンビーは早速周囲を見回しだした。
「何処にいるか」
「いや、感じる」
ここで言ったのはマイだ。
「奴の念をだ」
「ということは」
「この近くにか」
「まだいるってのか」
「この星に」
「もう逃げる気力もない」
宗介である。
「そういうことか」
「バラン殿、心当たりはないだろうか」
レーツェルはすぐにバランに問うた。
「奴の逃げた先に」
「おそらくはだが」
バランもレーツェルの言葉に応えて話す。
「ズフィルードの間だ」
「ズフィルードの間!?」
「っていうと一体」
「どうした場所なんだ?」
「はい、そこはです」
ルリアがいぶかしみだした面々に話した。
「霊帝が瞑想する為の地下聖堂です」
「この宮殿のか」
「地下の」
「そこに」
「おそらくはだがな」
バランがまた述べる。
「あ奴はそこに逃げた」
「それならだ」
「皆、行くか」
「その地下聖堂に」
「そして」
それでだというのだ。
「バルマー戦役からの決着を」
「ここで」
「それでいいのですね」
ヴィレッタは二人に尋ねた。
「バラン殿、ルリア殿」
「奴は神などではなかった」
バランが苦い声で答えた。
「それどころか全ての元凶だった」
「もう我々にすがるものはありません」
ルリアも言う。
「ならこの手で全ての決着を」
「わかったぜ、それじゃあな」
「今から一緒にな」
「行くか」
「はい」
ルリアはロンド=ベルの面々に対して答えた。
「御願いします」
「待ってろよ霊帝!」
「御前とガンエデンによって引き起こされたこの戦いの決着を!」
「今ここで!」
「この手で終わらせる!」
こうそれぞれ言ってであった。ロンド=ベルは宮殿に入った。そしてそこでだ。ルアフとの決着をつけるつもりだった。一連の戦いの。
第百十五話 完
2011・4・19
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