スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第九十六話 見参!!バンプレイオス
第九十六話 見参!!バンプレイオス
ロンド=ベルとハザル直属部隊との戦闘がはじまっていた。
その中でだ。ハザルはエイスに問うていた。
「まだ予備兵力はあるか」
「充分に」
「そうか、ならいい」
それを聞いて満足した顔になってまた言うハザルだった。
「奴等は最早エネルギーも弾薬も残り僅かだ」
「さすれば」
「このまま押し潰す」
数でだというのだ。
「そうする。いいな」
「御意」
「ではだ。このまま攻めていく」
正面からの力押しだった。
「それではエイスよ」
「はっ」
「前線の指揮は御前が執れ」
他ならぬ彼がだというのだ。
「俺もまたゴラー=ゴレムと共に攻撃に入ろう」
「それでは」
こう話してだった。彼等はロンド=ベルに数を頼みに攻撃を仕掛けていた。その中でだ。
ロンド=ベルは次第に追い詰められていた。だがだった。
「ここで諦めてもな!」
「何にもならないんだよ!」
「それなら!」
「勝ってやるわよ!」
こう叫んでだ。意地を見せていた。
だがエネルギーと弾薬がだ。次第に不安になってきているのも確かだった。
「流石にこれだけ戦ったらなあ」
「そろそろまずいか?」
「ここはもう一か八か」
「あの銀髪の首を狙って?」
「突撃か?」
「そうだな」
刹那が最初に頷いた。
「ここはそれだ」
「僕もそう思うよ」
「俺もだ」
アレルヤとロックオンが彼の考えに続いた。
「じゃあ刹那」
「フォローは任せろ」
「済まない」
刹那は二人のバックアップを受けて前に出ようとする。そこにだ。
ティエリアも来てだ。彼に言ってきた。
「僕も行こう」
「御前もか」
「ああ。君だけでは駄目だとしても」
その場合でもだと。彼は言うのだった。
「僕達が全員なら」
「いけるよ」
「あいつの首を取る位ならな」
「そうだな。そしてあいつが逃げようとする時にだ」
実は彼もハザルはいざとなれば逃げると見ていた。その時にだというのだ。
「元の世界に共に行く」
「そうしよう、絶対にね」
「それならだ。まずはあの銀髪野郎のところにな」
「行かないといけないからね」
「では行く」
刹那の目に炎が宿った。静かな炎が。
「そして・・・・・・生きる!」
「ははははははは、無駄だ!」
その刹那にだ。ハザルが嘲笑を浴びせかけた。
「御前達は俺に近付くことすらできん!」
「あくまでそう言うのだな」
「何度でも言おう!そして近付けたとしてもだ!」
それでもだというのである。
「俺のヴァイクランは倒せん!絶対にだ!」
「そうだな、絶対だ」
刹那はハザルのその言葉は認めた。それはだ。
「だが、絶対なのはだ」
「何だというつもりだ」
「御前が倒されるということだ」
それがだというのである。
「それが絶対だ」
「言うか、雑魚共が」
「雑魚と思って侮らないことだ」
既にだ。四機のガンダムがヴァイクランに向かって突進していた。その中での言葉だった。
「俺は。できはしないことは言わない」
「ほざけ!俺のこの手で葬ってやろう!」
ハザルもだ。ヴァイクランを動かしてきた。そのうえでだった。
「そうしてやれば本望だろう!」
「御前を倒す」
また言う刹那だった。
「必ずだ」
両者が激突しようとしていた。しかしだ。
この時にだ。何かが起こった。
両軍の間にだ。亀裂が生じたのである。
「何っ、亀裂!?」
「時空から!?」
「まさか」
「いや、そのまさかだ!」
ロンド=ベルの面々がそれを見て驚きの声をあげた。
「空間が切り裂かれている!」
「何だ!?刃か!?」
「まさか!」
「ふはははははははははははははは!」
「間に合ったようだな!」
何とだ。そこからだ。二人の戦士達が出て来たのだ。
マスターアジアとシュバルツ=ブルーダーだ。彼等がそれぞれのガンダムに乗って現れたのである。
「ドモン、無事か!」
「師匠!」
「私達が来たぞ!」
「兄さん!」
ドモンがその彼等に応えた。
「まさか。この空間に」
「そうよ。誰が何処におるかなぞ」
「私達にとっては容易に察せられることだ」
彼等が何故異空間にいるのか、それで察したというのである。
「そしてこの程度の空間」
「行き来するのは造作もないこと」
「そうか、師匠達の力を以てすれば」
ドモンはそれで納得していた。
「できることか!」
「んな訳ないでしょうが!」
しかしだ。アスカは絶叫してそれを否定した。
「あたし達がここにいるだけじゃなくて空間を超えたって!?」
「そうよ!!」
「その通りだ!!」
胸を張って答える二人だった。
「わし等の力ならば!」
「どうということはない!」
「ええい、今度はどんな常識を無視したのよ!」
アスカが言うのはこのことだった。
「この変態コンビ!あんた達のその理屈を聞きたいわ!」
「そんなことはどうでもいい!」
これで終わらせるシュバルツだった。
「理屈では何も生まれはしない!」
「そうよ、理屈なぞ捻じ伏せるものよ!」
これが二人の主張だった。
「必要なものとはだ!」
「心だ!」
それだというのである。
「何かを為さんとする心!」
「それこそが最も必要とするものだ!」
「まあまさかって思ってたけれどね」
アスカの声が少し落ち着いたものになっていた。
「とにかくよ。あたし達を助けてくれるの」
「その通りよ」
何故か微妙に邪悪に見える笑みを浮かべるマスターアジアだった。
「御主等、ここで死んではならん」
「だからこそ私達は来たのだ」
シュバルツは覆面のままだ。
「それではだ!」
「共に戦おう!」
「御願いします!」
シンジが彼等に応える。
「そして僕達もこの力の限り!」
「うむ!少年よ」
「その心だ!」
二人はシンジのその意気を認めたのだった。
「ではそのままだ!」
「前に進むのだ!」
「はい!」
シンジも彼に応える。そうしてだった。
彼等もロンド=ベルと共に戦う。素晴しい援軍だった。
そしてだ。レイは。
マスターアジアを見て。何処かうっとりとしていた。
「何時見ても。素敵ね」
「だからあんたの趣味おかしいから」
そのレイにアスカが突っ込みを入れる。
「変態じゃない。何処がいいのよ」
「あの方は変態じゃないわ」
夢を見ている様な声だった。
「素敵な方だから」
「素敵ねえ」
「ええ、強くて立派で」
「強いのは確かね」
「己の道を歩まれていて」
「もう何でもぶっ壊して進んでるって感じだけれどね」
「ああいう方と」
そしてだ。レイは遂に言った。
「一緒になりたいわ」
「はいはい、おのろけはそこまで」
話を強引に打ち切ろうとするアスカだった。
「戦うわよ」
「未熟未熟!」
「甘いぞ!」
二人が率先して暴れ回っていた。
その超絶的な戦闘力でだ。バルマーのマシンを次々と撃破していく。
二人だけでだ。かなりの戦力だった。
「この程度ではだ!」
「私達の相手はできはしない!」
「くっ、何だあの連中は!」
ハザルは暴れ回る彼等を見て怒りの声をあげる。
「誰か止めろ!」
「し、しかし司令!」
「あの強さでは」
「最早どうしようも」
「黙れ!」
部下達の言葉はだ。完全に否定した。
「俺に口ごたえは許さん!すぐに止めろ!」
「は、はい!」
「それでは!」
「地球人なぞ何だというのだ!」
ここでも偏見を露わにさせた言葉を口にする。
「遅れを取るな!」
「ふん、ハザル=ゴッツォ!」
「そう簡単にはやれないって言ったろ!」
ロンド=ベルの面々がその彼に言う。
「俺達だってな!」
「意地があるってね!」
「また言ってあげましょうか!」
「俺を愚弄するつもりか」
ハザルのその顔が怒りに歪む。
「地球人風情が!この俺を!」
「だから手前みたいな奴には負けねえんだよ!」
「手前みたいな小者にはな!」
「絶対にね!」
「許さん!最早!」
完全に激昂した。そうしてだった。
ヴァイクランを前に出す。それでロンド=ベルを倒そうとする。しかしだった。
そこでだった。また時空に異変が起こったのだった。
「な、何だ!?」
「またか!?」
「また何かが来る!?」
「一体誰が!?」
まずロンド=ベルの面々が言う。
「これはまさか」
「援軍が」
「馬鹿な!」
そしてだ。ハザルも驚愕の顔で言う。
「これはクロスゲートと同じだ!」
何かが時空を切り裂く。そしてだった。
彼等を白い光が包み。それが消えた時には。
「ここは!?」
「星があるぞ!」
「真っ暗闇じゃない!」
「それに」
しかもだった。そこでは。
「全てのセンサーが正常に作動している」
「じゃあ俺達は」
「ああ」
「間違いない!」
彼等の中にだ。喜びが沸き起こった。
「戻ったんだ!」
「元の世界に戻ったぞ!」
「通常空間に!」
「ああ、戻ったんだ!」
そのことをだ。彼等はわかった。そしてだった。
「一体誰がこんなことを」
「まさかな」
「そうね」
ここで言ったのはマサキとセニアだった。
「シュウがか?」
「今は」
「有り得るけれど」
その二人にテリウスが話す。
「けれど今回は違うかも知れないね」
「それでも関わってるだろうな」
「そうよね、クリストフはね」
それは確信している二人だった。
「あいつはいつもこういう時に出て来るからな」
「そういう奴だからね」
「おやおや、御言葉ですね」
その声もしてきた。
「貴方達ならそう言うと思っていましたが」
「やっぱりかよ!」
マサキがその声に応えて言う。
「シュウ!何処だ!」
「何処にいるのよ!」
「こちらに」
言葉と共にだ。戦場にあの青い威圧的なマシンが姿を現した。
それはだ。誰もが知っているマシンだった。
「ネオ=グランゾン!」
「やはりな!」
「シュウ=シラカワか!」
「ここで出て来たか!」
「私だけではありませんよ」
そのシュウがだ。こう彼等に話すのだった。
「来たのは」
「!?どういうことだ?」
マサキがそれを聞いて怪訝な顔になった。
「御前だけじゃないってのか」
「はい、そうです」
その通りだと答えるシュウだった。そしてだ。
彼はだ。さらにこう話すのだった。
「こうして皆さんをこちらの世界に戻したのもです」
「そいつだってんだね」
「そのもう一つの存在がか」
リューネとヤンロンが言った。
「誰かわからないけれどね」
「相当な力の持ち主か」
「皆さんがよくご存知の方です」
こう話すシュウだった。
「それは」
「一体誰なのかしら」
ミオが首を傾げる。
「それじゃあ」
「待たせたな皆!」
「今来たぞ!」
今度はだ。懐かしい声だった。そしてだ。
巨大なマシンが姿を現した。青く巨大な目をしただ。そのマシンが今姿を現したのである。
「リュウ!」
「ライ!」
「それにレビか!」
「ああ、今来たぜ!」
リュウセイがだ。仲間達に言う。
「戦いにな!」
「あのシルエットは」
「そうだな」
コウが輝に応える。
「細かい形状が違っているが」
「間違いない」
「遂に完成したか」
ヴィレッタもだ。そのマシンを見て言う。
「SRX、再び」
「よし、行くぜ皆!」
「再会の挨拶は後だ!」
リュウセイとライが言う。
「まずはこの連中を!」
「倒す!」
「アヤの仇」
レビも言う。
「ゴラー=ゴレムを討つ!」
「SRXだと!」
これまで見ていたハザルがまた声をあげた。
「馬鹿な!」
「そう言うんだな!」
「以前の戦いでだ!」
その本人だからこそ言えることだった。
「完全に叩き潰した筈だ!この俺が!」
「ハザル=ゴッツォ!」
ライがハザルに言う。
「俺達はだ」
「何だというのだ!」
「御前を倒すと言う今日という日を待ちわびていた!」
「くっ!」
「多くの人達を殺し」
そしてだというのだ。
「アヤ大尉の命を奪った貴様をだ!」
「俺をだというのか!」
「俺達がこの手で倒す!」
「思い知るがいい!」
レビも彼に言う。
「御前達が利用した地球人の力を!」
「ふん、しかしだ!」
だが、だった。まだ言うハザルだった。
「鳴り物入りで登場したのはいいがだ!」
「何っ!?」
「どう言うつもりだ!」
「肝心なところが抜けていたようだな」
「くっ、俺のことか!」
「そうだ、リュウセイ=ダテよ!」
彼を指し示しての言葉だった。
「念動力はどうだ!」
「畜生!」
「ないな。それではだ」
再び勝ち誇った声で言うハザルだった。
「その機体の力を引き出すことはできない!」
「違うな」
だが、だった。そのハザルにライが告げた。
「ハザル=ゴッツォよ」
「何だ?負け犬」
「御前は間違っている」
こうハザルに告げるのだった。
「リュウは目覚めさせていないだけだ」
「何っ!?」
「その念動力をだ」
「ふん、負け惜しみか」
「負け惜しみかどうかはすぐにわかる」
確信を以て言うライだった。
「それはな」
「では見せてもらおう」
ハザルはこうライに返した。
「是非共な」
「やってやらあ!」
リュウセイも彼に応えて叫ぶ。
「そして手前を倒してやる!」
「リュウセイ、気持ちはわかる」
「けれど」
ブリットとクスハが彼を止めてきた。
「今はだ」
「怒りの炎は出しては駄目よ」
「その通りよ」
ヴィレッタも彼に告げた。
「今はその怒りの炎を」
「これを」
「身体の内に溜めておきなさい」
これがリュウセイへの言葉だった。
「いいわね」
「あ、ああ」
三人に言われてだ。リュウセイも落ち着きを取り戻した。
そうして落ち着くとだ。今度はエキセドルがハザルに問うた。
「御聞きしたいことがあります」
「何だ?」
「貴方達バルマー帝国はです」
その帝国自体への問いだった。
「私達を銀河制覇の駒とすることが目的だった筈です」
「その通りだな」
マーグもここで言う。
「私もそう命じられた」
「はい、そうです」
ロゼがそのマーグに述べた。
「私も。だからこそマーグ様に」
「しかしだ」
「そうですね」
エキセドルはマーグにも応えながら述べた。
「ですが貴方は今ここで私達を滅ぼそうとしています」
「どうしてなんだ?」
「急に方針を転換したのか?」
「まさか」
「そしてだったな」
ヘンケンだった。
「我々と戦って来た筈だ」
「その通りだ」
ハザルもそれは認めた。しかしだった。彼はここでこうも言うのだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「しかしというと」
「我々ゴラー=ゴレムはもう一つの任務を負っていたのだ」
「それはまさか」
「そうだ、察したな」
ヴィレッタに対して答えたのだった。
「サイコドライバー、イルイ=ガンエデンの捕獲だ」
「やはりそれか」
「イルイ=ガンエデン?」
それを聞いてだ。ルリアとアルマナがいぶかしむ顔になった。
「確かあの巫女は」
「はい、そうです」
そしてだ。二人で顔を顰めさせて話しをした。
「既に地球での戦いで」
「死んだ筈です」
「しかし生きている」
「話を聞いてもまさかと思いましたが」
二人はそこから疑念を覚えた。彼女達にとっては極めて重大な。
「まさか」
「ハザル、貴方は」
そしてだ。ハザルを見て言うのだった。
「陛下に偽りの報告を」
「帝国の臣民が!」
「五月蝿い姫様だ」
こう返すハザルだった。
「御前はやはりここで消えてもらおう」
「ハザル=ゴッツォ!」
「この逆臣!」
「イルイ=ガンエデンはルアフを倒す切り札となる」
遂にその望みを露わにさせるハザルだった。
「神体ズフィルードを制御できるのはだ」
「完成されたサイコドライバーだけ」
「だからこそ」
「そうだ。忌々しいことにだ」
ハザルのその言葉がさらに続く。
「今銀河にいる完成されたサイコドライバーは」
「陛下と」
「彼女だけだと」
「そうだ、霊帝ルアフとあの小娘だけだ」
こう言い切ったのだった。
「だからこそ必要なのだ!」
「謀叛、それを企むとは!」
「バルマーがはじまって以来なかったことを!」
ルリアとアルマナは驚きを隠せない。そしてだ。
ロンド=ベルの面々はここでだ。いぶかしみながら話すのだった。
「何でなんだ?」
「そうだよな」
「バルマーの連中がどうしてガンエデンのことを知ってるんだ?」
「どうしてだ、それは」
「あの口ぶりだと」
そしてだ。彼等も気付いたのだった。
「バルマーの本星にもガンエデンがあるような」
「そんな話だよな」
「そうとしか思えないよな」
「どう聞いても」
「その通りだ」
ハザルはいぶかしむ彼等に答えた。
「御前達がガンエデンと呼んでいるあのシステムはだ」
「まさか」
「それじゃあ本当に」
「我等の母星にもあれと同じものがあるのだ」
こう答えたのだった。
「そっくりそのままのものがな」
「やっぱりな」
「それでか」
「けれど。同じものがあるって」
「何だ、そりゃ」
「地球とバルマーは同じだったのか?」
「そうしたところが」
そしてだ。彼等はこうも話すのだった。
「何か余計に話がわからなくなってきたけれど」
「地球とバルマーが同じ?」
「まさか」
「!?だとすると」
「そうよね」
ブリットとクスハはこの中でだ。このことに気付いた。
「あの孫光龍がバルマーについたのは」
「もう一つのガンエデンにしたがって」
「それでか」
「それでああして」
「違うところはある」
また話すハザルだった。
「御前達のガンエデンは数万年眠っていたな」
「ああ、そうだ」
「それはね」
「その通りだ」
こう返すロンド=ベルの面々だった。
「けれどバルマーは」
「そうじゃない」
「そう言うのか」
「そうだ。我が帝国のシステムはだ」
どうかというのである。
「その代行者と共に稼動し続けているのだ」
「で、その代行者が」
「奴等の君主」
「帝国の統治者霊帝」
「その名もルアフか」
「そうだ。そしてだ」
ハザルはさらに話す。
「我々はそのシステムをズフィルードと呼んでいる」
「ズフィルード!?」
「俺達が戦ってきた艦隊司令の機体か」
「あのジュデッカ=ゴッツォ達の」
「あれは」
「真のズフィルードを模したものだ」
それだと話すハザルだった。
「御前達は中途半端な覚醒だったとはいえ」
「あの戦いか」
「イルイとの」
「あの時か」
「そうだ、ガンエデンを倒すだけの力を持っている」
こうロンド=ベルの面々に話すのだった。
「それでだ」
「何だよ、今度は」
「一体何を言うつもりだよ」
「それで」
「俺に降りだ」
他ならぬ彼にだというのだ。
「共に諸悪の根源である霊帝ルアフを討とうではないか」
「ハザル=ゴッツォ、貴方は!」
「自分の言っていることがわかっているのですか!」
その彼にだ。アルマナとルリアが言った。
「貴方は恐れ多くもです」
「陛下に叛旗を翻しているのですよ!」
「バルマー開闢以来の悪事!」
「それを!」
「黙れ!」
だが、だった。ハザルは二人に対して怒鳴った。
「俺は最初からその為に銀河の辺境まで来たのだ」
「地球に」
「あの星に」
「そうだ、我が父君」
自分からだ。彼の名前も出した。
「帝国宰相シヴァー=ゴッツォ閣下の御命令によりな!」
「黒幕は宰相だったのですか」
「シヴァー殿が」
「そこまで知った者を生かすにはそれなりの条件がある」
ハザルはまたロンド=ベルの面々を見た。
「わかるな。
「こいつ、何処まで俺達を利用する気か」
「何て野郎だ」
「こいつだけは」
そしてだ。まず宙が言った。
「ハザル=ゴッツォ!」
「返答だな」
「その霊帝ルアフってのがどういう野郎かは知らねえ!」
まずはこう言う彼だった。
「だがな!」
「だが、何だ」
「一つだけはっきりしていることがある!」
こうハザルに言う。
「それはだ!」
「それはか。聞いてやろう」
「手前がとんでもねえド悪党だってことだ!」
「いい加減にしなさいよこの卑怯者!」
「僕達の、他の人の」
「命を何だと思ってるのよ!」
「そんな申し出は絶対に受けない!」
アスカとキラも拒絶した。
「そんなことは絶対に!」
「何があろうとも!」
「御前のエゴでな!」
コスモもだった。
「俺達の命が振り回されてたまるかよ!」
「そのルアフってのが地球に仕掛けてくるんならな!」
今度はジュドーだった。
「俺達で相手をするだけだぜ!」
「ああ、そうだ!」
「自分の星の権力争いは勝手にしろ!」
「他の星を巻き込むな!」
「ふざけるな!」
そしてだ。鉄也はこう言った。
「御前達はだ」
「今度は何だ」
「自らの野望の為に何をしてきた」
「何をだと言うつもりだ?」
「多くの人達の命や幸せを奪った!」
「そんな貴方を!」
ノリコもだ。怒りを露わにさせている。
「私達は絶対に許しはしない!」
「黙って聞いていれば」
ハザルの本性が出ていた。ここでもだ。
「この俺に舐めた口を利いてくれる!」
「言ったな!」
「それが手前の本心だろうが!」
「俺達を駒にしか思ってない!」
「他人そのものをね!」
「寝起きのガラクタを倒した位でいい気になるな!地球人風情が!」
ハザルの本性が露わになり続ける。
「言うね」
「そうだな」
アムとレッシィがここで言った。
「結局私達ペンタゴナの人間もね」
「奴にとっては一緒だな」
「そうよね。同じ下等な存在」
「そうでしかないな」
このことがよくわかったのだった。誰にもだ。
そのハザルがだ。さらに言うのだった。
「俺の申し出を断った罰だ!」
「おいおい、自分勝手もここに極まれリだな!」
「申し出だ!?何処がだ!」
「御前のは間違ってもそうじゃない!」
「恫喝だ!」
まさにそれだと返す彼等だった。
「貴様はただ自分だけを高みに置いて!」
「そのうえで他人を虐げているだけだ!」
「そんな奴の言葉なんて!」
「誰が聞くものか!」
「御前達はここで消滅させてやる!」
まだ言うハザルだった。
「チリ一つ残さずにな!」
「どうやらな」
「そうだな」
ここまで聞いてだ。イサムとガルドが言う。
「野郎の本性がさらにな」
「出て来たな」
「結局こういう奴なんだな」
「それがよくわかったな」
「御前達を片付けたらだ!」
ハザルの傲慢な激昂が続く。
「次は地球だ!」
「ほら来た」
「そう言うか」
「俺達の星を滅ぼす」
「そんなところでしょうね」
「地球に住む全ての人間を滅ぼしてやる!」
やはりだった。ハザルはこう叫んだ。
「虫けらの様にな!」
「リュウ」
ライはハザルの言葉が終わったと見て彼に声をかけた。
「わかるな」
「ああ、あいつはとんでもない下衆だ」
リュウセイもまたハザルがどういった人間か理解したのだった。
「最低のな」
「そうだ、だからだ」
「こいつには負けねえ」
リュウセイは確信と共に言った。
「絶対にだ」
「そうだ。わかったな」
「こいつが殺してきた多くの人達」
リュウセイは彼等のことを考えて述べる。
「アヤにも活きる権利はあった」
「そうだ」
「それを奪う権利はこいつにはねえ」
「絶対にだ」
「そんなことがわからねえ奴に!」
リュウセイはわかった。完全にだ。
「俺が負ける訳がねえ!」
「リュウ!」
レビもだ。ここでリュウセイに声をかけた。
「行くぞ!」
「ああ、わかってる!」
「そしてこの男を!」
「ハザルの野郎を!」
二人で言っていく。
「倒す!」
「必ずな!」
こうしてだ。バンプレイオスが突き進んでだった。
拳でヴァイクランを殴った。するとだ。
「ぐっ!」
ヴァイクランの巨体が吹き飛んだ。ハザルは何とか踏み止まりながら怒気をあげた。
「この俺を!」
「だからどうした!」
こう返すリュウセイだった。
「御前がそんなに偉いっていうのか!」
「力を失った御前如きが俺に」
ハザルは憎しみを見せていた。
「父上から賜ったヴァイクランに傷をつけるとは!」
「笑止だな」
「そうだな」
それを聞いたライとレビの言葉だった。
「ヴァイクランがどうした」
「そのマシンが」
「貴様等も言うか!」
「ああ、何度でも言ってやる」
「貴様の気が済むまでな」
「許さんぞ虫けら共!」
「おい、言っておくがな!」
忍がハザルに叫んだ。
「それはこっちの台詞だぜ!」
「何だと!」
「御前という存在を許せばだ!」
カミーユもだった。
「俺達の今までの戦いが全て無意味になる!」
「人の命の価値がわからぬ御前はだ」
サンドマンは冷静な怒りを見せている。
「何があろうと許さん」
「いいだろう」
そう言われてもだ。まだわからないハザルだった。
そしてだ。こう返すのだった。
「宴の幕を開けてやる」
「その言葉もな!」
「何度も聞いたぜ!」
「飽きたっての!」
「そうだ」
光もだ。ハザルを許せなかった。
「御前は必ず倒す!」
「そうよ!皆生きてるのよ!」
「それがわからない人はです!」
海と風だった。
「間違ってる!」
「それは絶対に言えます!」
「ハザル!俺は、俺達は!」
リュウセイもだ。凄まじい気を放っている。
「御前には絶対に屈しない!」
「ふん」
しかしだった。ここでハザルは落ち着きを少し取り戻してだ。こうリュウセイに言うのだった。
「勘違いするなリュウセイ=ダテ」
「何!?」
「エツィーラの奴は御前達を力の天秤を揺らす存在だと言っていた」
彼女の名前を出したのだった。
「それはあの女の買い被りだったようだ」
「エツィーラ」
「っていうとあの」
「惑星ラクスの遺跡で会ったあの女」
「バルマーの女」
「あいつが?」
「そうだ」
その通りだというハザルだった。
「あの女がだ。エツィーラ=トーラーという」
「バルマーの神官長です」
ロゼが仲間達に説明した。
「十二支族の嫡流です」
「じゃあバルマーの高官の一人か」
「それもかなり高位の」
「そうだ。その権限は尋常なものではない」
マーグもこう話す。
「あの女だったか。あの時あそこに来ていたのは」
「信じられません」
ロゼも今は首を捻っている。
「あれ程の方が帝都を離れられるとは」
「何があったのだ」
「俺達のことを調べていたみたいだが」
シローが言う。
「一体何を知っていたんだ、あいつは」
「その答えはだ」
ハザルの言葉に傲慢が戻っていた。
「貴様らが知る必要はない」
「何っ!?」
「どういうことよ、それは」
「一体」
「何故ならだ」
傲慢な笑みと共にだ。彼は何かを出してきた。
「無限の力を発動させる鍵は俺も持っているのだからな」
「!?この力は」
「まさか」
「この男も」
「そうだっていうのか!?」
「ハハハハハハハ!その通りだ!」
ハザルは勝ち誇った笑いと共に答えてみせた。
「このヴァイクランは俺の念動力を増幅し」
「まさかと思ったが!」
「こいつもまたか!」
「そうだ、それを力と変える機体だ!」
そうだというのだった。そしてまたリュウセイに言ってきた。
「どうだリュウセイ=ダテ!」
「それを見せるってのか!」
「そうだ!貴様の失った力」
それだとだ。また告げるハザルだった。
「アカシックレコードにアクセスするサイコドライバーの力だ!」
「アカシックレコード!?」
「まさかニャ」
「それはニャ」
マサキにクロとシロが言った。
「サイバスターのアカシックバスターの」
「それニャ!?」
「いや、どうやら違うな」
マサキはだ。こうクロとシロに話した。
「それ以上みたいだな、ありゃ」
「じゃあ一体何ニャ!?」
「その力は」
「わからねえ。ただ」
それでもだというのだ。
「あの力はな」
「とんでもない力ニャ」
「それは間違いないニャ」
「そうだ。ありゃとんでもねえ力だ」
それはわかるのだった。そしてだ。
その力でだ。ハザルはリュウセイに向かって来た。
「御前は目障りだ!」
「そうだってのか!」
「そうだ!だからこそここで消えてもらうぞ!」
「そんな力!」
だが、だった。ここでリュウセイはこう叫んだ。
「欲しくねえ!」
「何っ!?」
「そんな人殺しの為の力なんてな!」
また言うのだった。
「俺は欲しくねえ!」
「何だと!?この力を否定するのか!」
「うおおおおおおっ!」
また拳を繰り出してだ。迫るヴァイクランを退けたのだった。
ヴァイクランは吹き飛ばされながらも態勢を立て直す。そのうえでまた言うハザルだった。
「出来損ないが!またしても!」
「俺はそんな力よりも!」
リュウセイはだ。さらにヴァイクランに向かいながら叫ぶ。
「仲間を皆を守る力だ!」
「仲間か!戯言を!」
「その力こそが!」
「くっ!」
ハザルは再び力を出してバンプレイオスに向かおうとする。しかしだった。
彼の横にエイスが来てだ。こう告げたのだった。
「司令」
「何だ、エイス」
「ここは一時後退を」
「力を使い過ぎているというのだな」
「はい」
まさにその通りだというエイスだった。
「ですからここは」
「だが、だ」
しかしだ。ハザルはまだ言う。
「ここで奴等を始末しなくてはだ」
「ですがこれ以上は」
「ふん、わかった」
多少不満を見せながらも頷くハザルだった。
そのうえでだ。あらためてリュウセイに告げた。
「リュウセイ=ダテよ。命拾いしたな」
「逃げるのかよ!」
「待ちやがれ!」
「次だ」
リュウセイは追おうとする。しかし間に合わない。そのリュウセイへの言葉だった。
「次の機会に決着をつけてやる」
「それで余裕を見せてるつもりかよ!」
そのハザルにトウマが叫ぶ。
「御前のことはもうわかった!」
「何だと?」
「御前はただの小者だ!次に来てもだ!」
トウマはだ。堂々と言い切った、
「俺達には勝てない!絶対にだ!」
「その言葉、覚えておくぞ」
「小者の言葉だな」
ミゲルはハザルの今の言葉をこう評した。
「取るに足らないものだな」
「確かにね」
セラーナも同意だった。
「所詮は。この程度なのね」
「ふん、それまで恐怖と絶望に怯えるがいい」
ハザルだけがわかっていない。
「ではだ」
「くっ!」
「ああ、熱くならなくてもいいぜ」
リュウセイをケーンが止めた。
「次に絶対に倒せるからな!」
「けれどよ、あいつは!」
「だから落ち着けって」
「皆そうしてるじゃないか」
タップとライトも彼に言う。
「だから次な」
「次にやればいいんだよ」
「くっ、そうだってのかよ」
「じゃあまずは各艦に戻りましょう」
カナードが音頭を取った。
「それからですね」
「そうだな。次に備えてだな」
劾が頷いてだった。そうしてだった。
彼等は一旦戻った。彼等が帰還した銀河は無限の瞬きを見せている。それこそがだ。彼等の帰還を祝福する花束に他ならなかった。
第九十六話 完
2011・2・7
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