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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第九十三話 真の龍神

            第九十三話 真の龍神
 アルマナはだ。この時ルリアと話していた。
「セレーナさんでしたね」
「あの赤い女ですか」
「はい」
 その通りだというのである。
「私に。あの時」
「無礼な言葉です」
 ルリアは嫌悪を露わにさせていた。
「姫様にあの様な」
「いえ、私は」
 しかしだった。ここでアルマナは深刻な顔でこう言うのだった。
「若しかしたらです」
「若しかしたら」
「自分では気付いていなかったかも知れません」
「何にでしょうか」
「己の。傲慢さに」
 それにだというのだ。
「気付いていなかったのかも知れません」
「姫様はその様なものは」
「それはハザルと比べてですね」
 アルマナは彼の名前も出した。
「あの男と」
「それは」
「確かにあの男の傲慢さはあまりにも目につきます」
 同じバルマー人から見てもそうなのである。
「しかし。私もまた、です」
「同じだと仰るのですか」
「結果としてそうだと思います」
 こうルリアに話すのだった。
「それで。あの時あの方にです」
「あれは優しさではないのですか、姫様の」
「いえ、哀れみでした」
 それだというのである。
「上から下への」
「そうだったというのですか」
「そうです。私はそれに気付いていませんでした」
 アルマナは自省しながら述べていく。
「これまでは」
「それはあの女の邪推では」
「違うと思います。やはりです」
「違うというのですか」
「そうです。私はこうしてバルマーの外に出て世界を見たいと思いました」
「はい」
「そして多くのものを知りました」
 少なくともかつての如き視野の狭さはないというのだ。
「このこともまたです」
「そのうちの一つですか」
「そう思います。私は気付かないうちに傲慢になっていました」
 こう言うのである。
「そのことに今気付きました」
「そうですか」
「セレーナ=レシタールさんですね」
 あらためて彼女の名前も話した。
「あの方と。またお話がしたいです」
「姫様・・・・・・」
 アルマナも多くのものを学んでいた。ロンド=ベルにおいてだ。
 そしてであった。戦いはだ。
 第四陣が来た。その指揮官は。
「あいつか」
「そうね、やっぱりね」
 ジェスとパットが忌々しげな顔で言っていた。
「クスハの予想通りだな」
「来たわね」
「孫光龍に真龍王機か」
「厄介な相手ですう」 
 アーウィンとグレースは冷静である。
「敵の数はこれまで通りだが」
「あのマシンは手強いですよお」
「やれやれだな」
「そうね」
 ヘクトールとミーナも話をしている。
「こうして連続で攻撃を仕掛けてな」
「こっちの戦力を消耗させる作戦ってことね」
「敵の戦術はわかっているんだがな」
「こちらの打つ手はない」
 イルムとリンは難しい顔になっている。
「最後のあのむかつく大将を引きずり出してやるしかないからな」
「そうしてここから脱出する方法を見出すしかな」
「そういえばだけれどな」
 ここで言ったのは盾人だった。
「ネオ=グランゾンだとこんな空間でもすぐに出られるんだったよな」
「ああ、その通りだ」
 マサキが答えた。
「あのマシンはまた特別だからな」
「そうだな。ネオ=グランゾンは俺達の世界もパラダイムシティも自由に行き来していた」
「それならだな」
 ジュリイと謙作もそれはわかった。
「こうした世界にもか」
「何の問題もなくだな」
「それどころか俺達全員もだな」
 闘志也も言う。
「元の世界に返せるな」
「そういうこと前やったしね」
「そうだったね」
 ティスとラリアーもそのことに頷く。
「それだったらこっちの世界からあたし達を」
「返せる」
「じゃああの人がいれば」
 デスピニスも話す。
「私達は」
「けれどな、シュウは何を考えてるかわからねえ奴だからな」
 やはりだった。マサキはこのことをよくわかっていた、
「俺達がこんな状況でもな」
「助けに来るとはニャ」
「想像できないニャ」
 クロとシロが主に続く。
「あいつは自分の考えでしか動かないニャ」
「だから今回も。助けに来るとは思えないニャ」
「それははっきりと言えるわね」
 今言ったのは小鳥だ。
「あの人そういう人ではないわね」
「そうですね。御自身のしっかりとした考えをお持ちですから」
 テッサもこう考えていた。
「ですから」
「少なくともだ」
 宗介はこう言った。
「期待はしないことだな」
「何か絶望的な言葉ね」
「しかし現実だ」
 彼は小鳥にもこう返した。
「それよりもだ。俺達はだ」
「今は戦って生き残るしかないのね」
「その通りだ。わかったな」
「そうだな」
 キリコが宗介のその言葉に頷いた。
「それではだ」
「戦うか、最後の最後まで」
「今は」
 こう話してだった。そのうえでだ。
 彼等はその敵の第四陣と対峙する。そこにいる孫がだ。
 クスハとブリットが乗るその真龍神機を見て言うのだった。
「いやいや、無事で何よりだよ」
「やはり出て来たんですね」
「孫光龍!今度こそ!」
「そうそう、僕もね」
 孫は余裕のある態度で二人に言葉を返した。
「そろそろ決着をって考えてるしね」
「それは俺達もだ!」
 ブリットが言った。
「ここでだ」
「おや、君達もかい」
「そうだ、絶対にだ」
 こう孫に返す。
「決着をつけてやる」
「いいねえ、その意気だよ」
 孫はブリットの言葉を受けて明るい笑顔をしてみせた。
「そうでないと僕もね。やりがいがないよ」
「やりがい!?」
「そうだよ。戦いも楽しまないとね」
 こうクスハにも返す。
「折角なんだし」
「そう言うのか」
「そうだよ、それじゃあ」
 孫の顔がだ。ここで一変した。
 あの凄みのある顔になってだ。二人に言うのだった。
「・・・・・・死ね」
「あの顔だよな」
 バサラはその顔を見逃さなかった。
「あの顔があいつの本性だな」
「さっきの顔がなの」
「ああ、あいつ飄々ってしてるけれどな」
 バサラは見抜いたのだった。一瞬でだ。
「実際は違うからな」
「実際の顔は?」
「だから今さっきのあれだよ」
 こうミレーヌに話すのだった。
「凄い顔してただろ」
「ええ、確かに」
「あれがあいつの本性なんだよ。あいつはとんでもない奴だな」
「これまでよくわからない相手だったけれど」
「そうして俺達に見せなかったんだよ」
 その本性をというのだ。
「けれどな。それはクスハとブリットにとっちゃな」
「危険ね」
「ああ、気をつけないとな」
 バサラの目も警戒するものになっていた。
「あの二人、危ないぜ」
「何か凌げればいいけれど」
 ミレーヌも不安を感じた。その中でだった。
「ここは」
「あの二人ならやるがな」
 やれる、でもなかった。バサラは断言したのだった。
「絶対にな」
「絶対になの」
「伊達にここまで生き残ったわけじゃないからな」
「それを言えば皆そうじゃないの?」
「ああ、皆そうだよ」
 バサラはミレーヌの言葉にそのまま返した。
「これまで。滅茶苦茶な戦いばかり繰り広げてきてな」
「生きてきたから」
「だからあの二人も大丈夫だ」
 こう言うのである。
「絶対にな」
「その言葉信じていいのよね」
「俺が嘘を言ったことがあるか?」
「いえ、ないわ」
 バサラに限ってそれはない。ミレーヌもそれはわかっていた。
「それはね」
「そういうことだよ。それじゃあな」
「今はあの二人は」
「俺の歌を聴かせてやる!」
 これがバサラの選択だった。また手にギターを持っている。
「それで心を奮い立たせるんだ!」
「そこはやっぱりあんたね」
「俺は戦いは嫌いだ!しかしな!」
 バサラはミレーヌだけでなく周囲に対して叫び続ける。
「仲間を応援するのはやるからな!」
「そうね。じゃああたしもね!」
「クスハ!ブリット!」
「この歌を聴いて!」
 二人の演奏がクスハ達にも届く。それを聴いてブリットがクスハに言う。
「クスハ」
「ええ、ブリット君」
「この歌が俺達への」
「そうね。何よりの励ましだわ」
 二人もそれがよくわかった。そしてだ。
 そのうえで孫の真龍王機に向かう。それを受けてだ。
 孫もだ。こう二人に言ってきた。
「さて、それじゃあだけれど」
「それじゃあ?」
「どうだっていうんだ?」
「君達にも教えてあげないとね」
 余裕の中にだ。殺意を込めた言葉だった。
「真の龍神の名に相応しいのがどちらかをね」
「孫光龍、貴方が」
「真だっていうのか!」
「君達の運命は次の二つのうちどれかだよ」
 孫は二人にこうも言ってみせた。
「僕に殺されるか」
「何っ!?」
「若しくは自決するかだよ」
 ブリットに応える形での言葉だ。
「そのどちらかだよ」
「くっ!」
「その言葉!」
 だが、だった。二人はこう返すのだった。
「そっくりそのまま返します!」
「大人しく降伏しろ!」
 こう返すのだった。
「さもないと私達にも!」
「考えがある!」
「言ってくれるねえ」
 孫の目にこれまで見せなかったものが宿った。
「寄せ集めのガラクタ超機人が」
「寄せ集めだと!」
「それは違います!」
「じゃあ何だっていうんだい?」
「四神の魂が一つになったのがこの」
「真龍虎王だ!」
「そう、それだよ」
 孫は二人のその言葉に言ってきた。
「真の名を冠する龍神は二つも必要ないんだよ」
「それで俺達を」
「ここでというのですか!」
「そうだよ。この閉じた世界で」
 孫は二人にさらに言う。
「君達と四神の魂は永遠に彷徨うがいい」
「それは!」
「絶対になるものか!」
「まあそう言うと思っていたよ」
 わかっていると返す孫だった。
「それならね」
「ええ、こちらも!」
「それなら!」
「行くよ!」
 こうしてだった。二人の戦いがはじまるのだった。
 孫はだ。早速鱗を飛ばしてきた。
「さあ、まずは挨拶からだよ!」
「こんなもの!」
「今更!」
 二人はそれをすぐに叩き落した。そうしてだった。
 あらためてだ。虎の姿になりだ。
「クスハ、ここは俺が」
「ええ、ブリット君」
 こう話してだ。そのうえで向かうのだった。
 そこに真龍王機の炎が来た。
「これでジ=エンドだ!」
「まだだ!」
 それをかわしてだ。そのうえで向かいだ。
「ブリット君、敵は」
「どうしたんだ、クスハ」
「龍だから」
 クスハはブリットにこのことを言うのだった。
「その弱点は決まっているわ」
「まさか」
「そう、そのまさかよ」
 こうブリットに言うのである。
「あの場所よ」
「わかった、それなら」
 それを受けてだ。ブリットは身構えた。そうしてだ。
 真龍王機の喉にだ。その剣を突きつけたのだった。
「うっ、これは!」
「よし、これなら!」
「どうです!?」
 二人はその喉を攻撃してから言った。
「龍の弱点は!」
「その逆鱗だ!」
 そこを攻撃されてだ。孫も真龍王機も動きを止めた。それを見てだ。
 クスハとブリットは勝利を確信した。
「やったな、クスハ」
「ええ、ブリット君」
 こう二人で言い合うのだった。
「これで、やっと」
「孫光龍との戦いも」
 しかしだった。それでもだ。
 真龍王機はそこにいた。そしてだ。孫がこう言ってきたのだった。
「ふふふ、やってくれたね」
「くっ、まだか!」
「戦うというのですか!」
「こうなったらね」
 孫の顔にあの笑みが宿った。そのうえでの言葉だった。
「僕もこの龍を制御できないよ」
「!?真龍王機の力が」
「あがっていく!?」
 二人もだ。そのことがわかった。
「これは一体」
「あれだけのダメージを与えたというのに!」
「さて、龍の怒りを静めたければ」
 孫はその笑みで言う。
「君達がその生命を差し出すことだよ」
「どういうことだ!?これは」
「何故これまで以上に力が」
「これまでは力をセーブしていたんだよ」
 そうだというのである。
「けれど本気で怒ってしまったからね」
「それでだっていうのか!?」
「これだけの力は」
「さて、じゃあ行こうか」
 炎が吐き出された。それは今まで以上のものだった。
「くっ、これは!」
「駄目、まだ!」
「さあ、この真龍王機に跪くんだ」
 孫は傷ついた二人にまた言ってきた。
「君達の生命を差し出せば」
「終わりだっていうのか!」
「それで!」
「ああ、そうだよ」
 その通りだというのであった。
「この宴の幕を閉じることができるんだよ」
「くっ、このままじゃ」
「私達は」
 二人も負けようとしていた。しかしだ。
 凱がだ。その二人に言ってきた。
「クスハ、ブリット!」
「凱さん!?」
「一体」
「そんな奴の言葉に耳を貸すな!」
「そうだ!」
 一矢もだった。
「孫光龍!」
「おや、ダイモスの」
「御前の口車には乗せられはしない!」
「二人共行くんだ」
 万丈は二人に声をかける。
「いつもの笑顔と勇気でね」
「おやおや」
 孫は彼等の言葉を聞いていつもの飄々としたものを見せる。
「御仲間かな」
「いいか、各機に告ぐ!」
 フォッカーも参戦してきた。
「ここはだ!」
「ええ、わかってます」
「あの龍を!」
 マックスとミリアがフォッカーに応える。
「叩き落しますよ」
「そしてクスハもブリットも」
「おい、そこのでかい龍!」
 霧生は今にも向かおうとしている。
「二人はやらせないからな!」
「そうだ、諦めるな!」
 豹馬もコンバトラーを動かす。
「そうしなかったらいいからな!」
「え、ええ」
「わかった。それなら」
「いいねえ。麗しい絆だよ」
 孫はそんな彼等の言葉を聞いて述べた。
「けれどそれもね」
「それも?」
「どうだというんだ!」
「圧倒的な力の前には何の意味もないけれどね」
 こうロンド=ベルの面々に告げるのだった。
「そんなものはね」
「ステラ、あの男」
「ああ、そうだな」
「前から思っていたけれど」
 ステラの言葉にだ。スティングとアウルが頷く。
「いけ好かないなんてものじゃないな」
「生理的にくるな」
「大嫌い」
 ステラも言った。
「クスハもブリットも護る」
「ああ、やらせるかよ!」
「ここは!」
「君達の相手は彼等だよ」
 だが、だった。孫はここで率いている軍をロンド=ベルに全て向けた。
「精々頑張るんだね」
「くそっ、このボルサリーノ!」
 ロウが彼等を叩き斬りながら忌々しげに叫ぶ。
「何処までもむかつく奴だ!」
「そうだな。こいつはな」
 イライジャはライフルで敵を撃ち落している。
「何かあるな」
「人間、ただのそれじゃないな」
「おそらくだが」
 イライジャの言葉が続く。
「ガンエデンとだ。俺達が思っているよりもだ」
「関係が深いってのか?」
「そうだ」
 こうエドにも答える。
「かなりな」
「ううん、そしてクスハちゃんに絡むのは」
「その辺りも考える必要があるな」
「そうかもな」
 こう話をしてだ。今は彼等の敵と戦うのであった。
 そしてだ。その中でだった。
 クスハ達はだ。孫に対してだった。
 また立ち上がる。そうして言うのであった。
「まだです」
「この程度で!」
「いいねえ。あがくんだね」
 孫は凄みのある笑みを露わにさせている。
「それならね」
「こいつ!まだか!」
「二人を!」
「簡単に殺すつもりはないよ」
 こうロンド=ベルの面々にも言う。
「それだけ僕達の怒りは大きいからね」
「まだだ!」
「まだ!」
 それでも二人は立ち上がりだ。そのうえで。 
 立ち向かう。そうして攻撃を仕掛ける。その攻撃は。
「ブリット君」
「ああ、クスハ」
 二人で呼吸を合わせる。そうしてだった。
「ここはあの技で!」
「あれしかない!」
 二人の気がこみ上げる。そうしてであった。
「勝負です!」
「行くぞ孫光龍!」
 真龍虎王もだった。その気を燃え上がらせてだ。
 その二つの甲を放った。
「行って!武鱗甲!」
「そして!」
 まずはそれを飛ばしてだ。その喉から。
「必殺!竜王逆鱗光!」
「これならだ!」
 その光が甲に反射され真龍王機をあらゆる方角から撃つ。それを放つとだった。
 さしもの孫も動きを止めた。そうして言うのだった。
「やるね。けれど」
「けれど?」
「まだやるのか?」
「そうさ。君達のその優しさ」
 それを言うのであった。
「それ故に君達は生きていけないんだよ」
「そんなことはない!」
「そうです!」
 ブリットもクスハもすぐに言い返す。
「俺達は!」
「超機人に選ばれた戦士です!」
 言うのはこのことだった。
「正義の為ならだ」
「この命を捨てる覚悟があります!」
「僕に倒されるっていうんだね」
「例えそうなっても」
「私達の魂は」
 負けていなかった。その心は。
「四神の心と共にだ!」
「次の戦士に引き継がれます!」
「いいねえ、そしてだね」
 孫はその二人の言葉を受けながら先に言ってみせた。
「悪を倒すっていうんだね」
「何時かは必ず!」
「そうしてみせます!」
「ならばだよ」
 そこまで聞いてだ。孫はまた言った。
「君達の望む通りにね」
「また来るぞ、クスハ」
「ええ、ブリット君」
「その肉体を消滅させてあげよう」
 また素顔を出し。そして龍の口に光をこもらせる。
 だがそれを見てだ。ゼンガーが言った。
「友よ!」
「うむ!」
 レーツェルが応える。
「今こそだ!」
「我々の動く時だな」
「そうだ。孫光龍よ!」
 ダイゼンガーがその巨大な剣を構えた。
「させん!この剣を受けよ!」
「友よ、乗れ!」
 アウゼンザイガーが馬の姿になっている。
「このトロンベに!」
「そしてあの男を!」
「断ち切るのだ!」
「いえ、待って下さい!」
「ここは!」
 しかしだった。その剣は他ならぬ二人が止めた。
「俺達が!」
「私達がやります!」
「やるというのか」
「君達で」
「はい、させて下さい!」
「ここは!」
 こうゼンガーとレーツェルに言うのである。
「何としても」
「私達だけで!」
「・・・・・・わかった」
 ゼンガーはだ。その彼等の心を受けた・ 
 そしてだ。静かにこう返すのだった。
「この戦い、御前達に任せた」
「私もだ」
 レーツェルもであった。
「その男をだ」
「倒すのだ」
「はい、すいません」
「それなら」
「その心があればだ」
「必ず果たせる」
 二人も任せた。するとだ。
 クスハとブリットをだ。これまでよりさらに気が覆う。
「四神招魂!」
「真龍虎王!」
「四神の魂と俺達二人の想い!」
「今ここに!」
 二人だけではなかった。四神もだった。
 その六つの心が合さり。今遂にであった。
「行くぞ、ここで!」
「この力、受けるのです!」
「おのれ!」
 棒を受けた。それで突進を防がれた孫だった。
「クスハ=ミズハ!ブルックリン=ラックフィールド!」
「俺達は最早!」
「負けません!」
「やってくれたね」
 孫が怒りをこれ以上はないまでに露わにさせていた。
「君達は!」
「孫光龍!」
「ここが!」
 二人は構えを取りながら言う。
「貴方と私達の!」
「決着の場だ!」
「しかしね」
 孫の言葉が変わった。
「君達だってわかっている筈だ」
「何をだ」
「何が言いたいというのだ」
 ゼンガーとレーツェルが孫に問い返す。
「ここまで来て命乞いではあるまい」
「それはないな」
「安心してくれていいよ、僕はそういうことはしないさ」
 それはないと。孫自身も言う。
「ただね。地球も銀河もね」
「それか」
「その話か」
「そうさ。滅びるのは時間の問題だよ」
 こう話すのだった。
「それわかっているだろう?」
「だとしてもだ」
「我々は逃げはしない」
 こう言う二人だった。
「貴様の様にだ」
「それはしない」
「逃げる?」
 孫はその逃げるという言葉に反応を見せた。
「この僕が?」
「そうだ、地球が滅びると勝手に決めつけだ」
「敵に寝返る」
 二人はこのことを指摘した。
「それの何処が逃げていない」
「何処がだ」
 そしてだ。レーツェルが彼に告げた。
「どうやら御前はだ」
「むっ?」
「少しも変わっていないようだな」
「おやおや、どうやら」
 レーツェルのその言葉を聞いてだ。孫はおどけたものを装って言ってきた。
「驚いたよ」
「何にだ」
「あれから随分と経ったのにね」
 こうレーツェルに話すのだった。
「君の家系には僕との戦いが残っていたんだね」
「どうやらな」
「凄いことだよ。だが」
「だが?」
「その系譜も今日で途絶えるよ」
 またレーツェルに告げた。
「君が僕を怒らせたからね」
「やはりな」
 レーツェルは孫のその言葉を冷静に受けて述べた。
「己の過ちを認めぬか」
「まあいいさ」
 しかしだった。ここでだ。
 孫は真龍虎王の前から退いた。そのうえでこう言うのだった。
「今日はこれでね」
「何っ、撤退か!?」
「ここで」
「そうさ。戦力も減ったしね」
 今回もだった。バルマーはその戦力を大幅に減らしていたのだった。
「ここが潮時だね、今回は」
「待て!」
「逃げるのですか孫光龍!」
「冗談はよして欲しいねえ」
「冗談?」
「何を言うんだ!ここまで来て!」
「僕は冗談も今は言わないよ」
 それも否定するのだった。
「ただね」
「ただ?」
「何だというんだ!」
「僕達の決着をつける場所はここではないんだよ」
 こう言うのである。
「ここではね」
「何っ!?」
「じゃあそこは」
「もっとも君達がそこまで来れるか」
 それはだというのだ。
「それは関知しないけれどね」
「何処だ、そこは」
「一体」
「僕が話すことはこれで終わりだよ」
 孫は話を切ってきた。
「それじゃあね」
「待て、孫光龍!」
「話はまだ!」
「悪いけれど僕が話すことはこれで終わりだよ」
 こう言って取り合わない彼だった。そのうえで撤退をはじめていた。
「それじゃあね」
「くっ、まさか!」
「まだ決着の時ではないっていうの?」
「そうだよ。僕と決着をつけたければ」
 その二人にまた言う孫だった。
「そこまで生き残るんだね」
「手前、また逃げるのかよ!」
「何て奴なの!」
 ロンド=ベルの言葉をよそにだった。彼は撤退した。
 こうして第四陣との戦いも終わった。しかしであった。
「あの野郎、また逃げやがって」
「逃げ足も速いわね」
「しかも相変わらず煙に巻く言葉ばかりで」
「読めない奴よね」
「全く」
「あえてそうしているのだ」
 レーツェルがここでその彼等に述べた。
「その素顔を見せないようにな」
「素顔?あれですよね」
「クスハ達その戦いで見せたあの」
「あの素顔が」
「あれなんですね」
「そうだ。あの男はそうして悦に入っているのだ」
 レーツェルは血脈の記憶から語っていた。
「己を隠し。それによってな」
「何かそれで自分を特別だって思っている?」
 フェイが言った。
「まさか」
「あっ、そういえば何か」
「そんな感じが」
 アレックスとジュゼも言う。
「そうして自分を高みにおいて」
「他を下に見る」
「そんな匂いが」
「ただよっている?」
 イワンとハンスもだった。
「あの男から感じるのは」
「そうしたものが」
「そうだ、その通りだ」
 レーツェルは彼等のその言葉を認めて頷いた。
「あの男はそうしているのだ」
「何か嫌な奴ですね」
「そうね」
 リオはリョウトのその言葉に頷いていた。
「そういうのは何か」
「好きになれません」
「そしてあらゆるものを隠しているな」
「それもあれなのね」
 ユウキとカーラは孫について考えて述べた。
「それも己を高みに置くものか」
「自分が満足して、なのね」
「何かを知っていてそれを隠す」
 ゼンガーも述べる。
「それは特別に思えるものだ」
「そして特別なものを持っていると思えばだ」
 また言うレーツェルだった。
「そこから己を高みに置いて考えられるのだ」
「ううん、自己満足なんですね」
「結局は」
 タスクとレオナはこう考えた。
「あの男はそんな感じなんですね」
「突き詰めて考えると」
「だからだ。あの男はだ」
「決して勝てないのだ」
 ゼンガーとレーツェルはここで言い切った。
「クスハとブリットにはだ」
「何があろうともだ」
「私達にですか」
「勝てないんですね」
「そうだ、勝てない」
「君達が負けることはない」
 ゼンガーとレーツェルはその二人にも答えた。
「次の戦いにもだ」
「その。あの男が言う決着の時にもだ」
「辿り着けてそして」
「私達は勝つんですね」
「その通りだ」
「君達は既に勝っている」
 二人にこうも告げたのだった。
「あの男は逃げているがだ」
「君達は前に向かっている」
 正反対であった。まさにだ。
「既にその違いが出ている」
「それでどうして敗れるというのだ」
「けれどあいつは」
「あの力は」
 それでもだった。ブリットもクスハも警戒の念を捨てていなかった。
「圧倒的です」
「そう簡単には」
「確かに勝つのは容易ではない」
 それはレーツェルもわかっていることだった。
「しかしだ。それでもだ」
「勝てるんですか」
「私達が」
「やがてわかることだ。心が向かっていればだ」
「逃げる者に敗れはしない」
 レーツェルとゼンガーは今度は言い切った。
「その四神の力でだ」
「御前達は勝つ」
「わかりました。それなら」
「俺達も」
 クスハとブリットはここでだった。確かな声になった。
 そしてその声でだ。こう答えたのである。
「あの男に勝ちます」
「絶対に」
「そうだ、その意気だ」
「心だ」
 二人はまた彼等に告げた。
「それさえあればだ」
「あの様な男に敗れることはない」
「さて、それでだけれど」
 話が変わった。今言ったのは小鳥である。
「とりあえず敵の第四陣は退けたわね」
「はい、残り二つです」
 テッサが彼女の言葉に答える。
「第五陣と第六陣ですね」
「いよいよって感じだけれど」
 小鳥の言葉に緊張が宿りだしていた。
「ただね」
「正念場はこれからだ」
 宗介がこう返す。
「後になれば後になるだけだ」
「敵は強いってことね」
「特に最後だ」
 宗介の言葉には楽観はない。シビアなものである。
「最後の戦いはだ」
「激しくなるのね」
「まだヘルモーズが一隻も出て来ていません」
 テッサはそのことを指摘した。
「おそらく。第六陣にです」
「あのデカブツがまとめて」
「出て来るか」
 メリッサとクルツが言った。
「戦力はその為に温存している」
「最後に止めを刺す為にかよ」
「じゃああれね」
 キャシーが彼等の話を聞いて言う。
「第五陣にもあの戦艦はまだ」
「そうね。出て来ないわね」
 エルフィが答える。
「まだね」
「じゃあ第五陣はまだいけるか?」
「何とかな」
 ドニーとジャンは次に来る彼等のことを考えていた。
「戦力的にはまだ」
「大丈夫か」
「いや、楽観はできないだろう」
 それはセルゲイが否定した。
「第五陣の将はおそらくだ」
「あいつか」
 今言ったのはトウマだった。
「バラン=ドバン。あいつか」
「トウマとの因縁の相手だな」
「そうだよな」
 グラハムとパトリックがそれに応えて言う。
「その男が出て来るか」
「今度は」
「だったらトウマにとっては」
「そうですね」
 アンドレイとソーマもここで話す。
「辛い戦いになるな」
「間違いなく」
「望むところだ!」
 しかしだった。トウマはその闘志を見せるのだった。
「あいつと戦えるのならな!」
「いいんだな、それで」
「ああ、それでいい」
 実際にそうだと一矢にも返す。
「それならな。やってやる!」
「いい覚悟だ。それでいい」
 京四郎は彼のその意気をよしとした。
「なら。やって来い」
「ああ、全力でな」
「トウマ、大雷鳳だけれど」
 ミナキが彼にマシンのことを話す。
「どうやら。まだ秘められた力があるわ」
「秘められた力?」
「そうなの。それを使えば」
「バラン=ドバンにも」
「勝てるわ」
 そうだというのである。
「やってみる?それは」
「ああ、勿論だ」
 選択肢はなかった。他にだ。
「俺はやる。やってやる」
「わかったわ。それじゃあ」
「ミナキ、マシンの調整は頼むな」
 二人は今や完全に一つになっていた。
「そしてそれで」
「ええ、勝ちましょう」
「絶対にな」
 それを言い合うのだった。二人で。
 そのうえでだ。ロンド=ベル全員がだった。
「また出るか」
「ああ、次の戦いにな」
「すぐに来るからな」
 敵がだ。そうだというのであった。
「それなら迎え撃って」
「倒してやる!」
「絶対に!」
「あと二つ!」
 こうした言葉も出た。
「二つ勝てば!」
「ここから出られるんだ!」
「絶対に!」
「諸君!」
 グローバルも言う。
「運命は自分達で切り開くものだ」
「ええ、ですから」
「今も」
「切り開くとしよう」
 実際にだ。そうするというのである。
「いいな、それではだ」
「はい、それじゃあ」
「そろそろ燃料とか弾薬もね」
「危なくなってきたかな」
「ちょっとな」
 こんな話も出た。
「けれど連中をぶっ潰せる程度にはあるし」
「それなら最後の最後まで」
「やってやるか!」
「意地でもね!」
「よし、やるぞ!」
 カガリも威勢のいい声で言う。
「絶対に生き残る!」
「心配しなくても御前は絶対に生き残るからな」
 シンが久し振りにカガリに言う。
「安心していいからな」
「むっ、それはどうしてだ?」
「馬鹿世にはびこるっていうだろうがよ」
 だからだというのだ。
「そりゃ絶対に死なねえよ」
「待てっ、それでは私が馬鹿になるぞ」
「だから馬鹿じゃねえかよ」
 シンはこう返す。
「御前が馬鹿じゃなくて誰が馬鹿なんだよ」
「何っ!久し振りに何を言うんだ!」
「おうよ、何度でも言ってやるよ、馬鹿ってな!」
「馬鹿と言う奴が馬鹿だ!」
「じゃあ馬と鹿だ!」
 こう言い換えたシンだった。
「それでいいな!」
「同じだ、それは!」
「じゃあ何がいいんだ!フールか!」
「英語にしただけだろ!」
「どっちにしろ同じだからいいだろ!」
「やっぱり御前死ね!」
「おう!やるのか!」
 こうして取っ組み合いの喧嘩になる二人だった。どんな状況でもとにかく仲の悪い二人である。
 そしてだ。ユウナが呆れて止めに入ろうとするが。両頬に二人の拳を受けた。
「邪魔だ!」
「すっこんでろ!」
「うっ、これはかなり」
 殴られたユウナはよろめいた。二人は今殴り合いしている。
「殴りまくって御前を馬鹿にしてやる!」
「元からの馬鹿を大馬鹿にしてやるよ!」
 こんな有様だ。二人の喧嘩は続く。
 そんな中でだ。トダカとキサカに両端から支えられたユウナはだ。殴られた両頬をそのままにして悠然としてこう言うのであった。
「まああれだね」
「あれとは」
「痛くはないのですか?」
「これで痛くなかったらかえって怖いよ」
 これがユウナの返答だった。
「むしろね」
「カガリ様にお力がない」
「そしてシン君にも」
「あの二人はロンド=ベルでも屈指の闘争心の持ち主だからね」
 このことは誰もが認めるところだった。
「ソール十一遊星主の粒子にも影響されなかった」
「確かに。まさに野獣の如く」
「見事に全く影響を受けていませんでした」
「そんな二人が喧嘩してるうちはね」
「まだ安心ですね」
「士気は」
「そうだよ。それじゃあ次もね」
 ユウナは微笑みながら言った。
「頑張ろうか」
「はい、それでは」
「最後の最後まで諦めずに」
「今まで絶望的な状況は数え切れない程経験してきたしね」
 そしてだ。ユウナはあの時のことも話した。
「いやあ、本当に白昼の残月にオーブを半壊させられた時はね。どうしようかって思ったし」
「僅か一人によって瞬く間にでしたから」
「あの時代は」
「全く。BF団は人間じゃないよ」
 ユウナは半分以上そう思っていた。
「一体何だったんだろうね。彼等は」
「そうですね。彼等は」
 タリアも来て言う。
「身体能力を極限まで引き出していたのでは」
「それでも宇宙空間で普通に行動できます?」
 ユウナはこのことを指摘した。
「確かプラントは直系の怒鬼に宇宙からでしたよね」
「はい、我が目を疑いました」
 タリアもその時のことはよく覚えていた。
「まさか、あの様なことが」
「使徒でもないですし」
 とはいっても若しかしてと思っているユウナだった。
「彼等は一体」
「わかりません。国際エキスパートと彼等の戦いも終わりましたが」
「ビッグファイアもですね」
「どうやら死んだようです」
 こうユウナに話す。
「最後のバベルの篭城戦で」
「そうですか。遂にですか」
「実在していましたし」
 実はビッグファイアは実在すら疑われていたのである。
「そしてその彼も倒れあの戦いも終わっていますので」
「本当に彼等は何者だったのかは」
「謎に包まれています」
 そんな話もした。そうしてであった。
 彼等は次の戦いに向かうのだった。そこでトウマは。戦士として人間として大きく成長することになる。だがそれはまだはじまっていなかった。


第九十三話   完


                                     2011・1・27
     
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