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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第八十四話 勇者王、最期の刻!

               第八十四話 勇者王、最期の刻!
 宇宙に出るとだ。彼等がもういた。
「来たな、ガオファイガー」
「待っていたぞ」
「御前達か」
 凱はその彼等に対して告げた。
「御前達がシール十一遊星主か!」
「如何にも」
 あの男がだ。凱に対して述べてきた。
「よく来た、獅子王凱」
「俺の名前も」
「あらためて挨拶しよう」
 こう言ってきたのだった。
「我が名はパルパレーパ」
「我が名はピサ=ソール」
 そして他の者達もだった。
「ペルクリオ」
「プラヌス」
「ポルタン」
「ペチュルオン」
「ピーヴァータ」
 それぞれ名乗っていく。
「そして僕」
「御前もか」
「そう、アベル」
 アベルもいた。そしてだった。
「僕もいる」
「赤い星の指導者も」
「そう。僕もここにいる」
「答えろ」
 凱はだ。その彼等に対して問うた。
「御前達の真の目的を!」
「目的か」
 パルパレーパが彼に応える。
「それか」
「一体何だ、それは」
「僕達の真の目的は」
 アベルが話してきた。
「三重連太陽系の復活」
「まさかそれが」
「そう、それだけです」
 こう凱に話すのだった。
「それ以外には特に」
「ではだ!」
 凱の言葉は荒いものになっていた。
「パスキューマシンで地球を複製した目的は何だ」
「単なる事故です」
「事故だと!?」
「はい、偶然です」
 それだというのである。
「ただそれだけなのです」
「ではだ」
 凱の問いはさらに続く。
「宇宙収縮現象との関係は何だ」
「それは」
 またアベルが答える。
「パスキューマシンは貴方達の太陽系に溢れる暗黒物質のみを回収し」
「暗黒物質を!?」
「はい、そして再生活動を行っているだけです」
 こう凱に話すのだった。
「それだけです」
「そういうことか」
「はい」
「暗黒物質は宇宙全体を支える」
 凱もだ。わかってきたのだった。
「言わば風船の中の空気か」
「簡単に例えればそうなります」
「失われれば当然」
「宇宙は収縮します」
 そしてだとだ。アベルはさらに話してきた。
「僕達の宇宙を再生する為には仕方のないことでしょう」
「俺達を犠牲にしてか」
「僕達にも生きる権利があります」
 これが彼等の主張だった。
「ですから」
「共存することは出来る筈だ!」
 凱の主張はこれだった。
「それは受け入れないのか!」
「機界昇華にも衰えずです」
 話はそこからはじまっていた。
「活動を続けてきたのです」
「だからだというのか」
「そうです」
 アベルは引く様子すら見せない。
「もう後へは退けません」
「それは何故だ」
「Zマスターの抗体」
 話はまた戻っていた。
「ラティオも同じことを言っていました」
「護もか」
「はい、そうです」
「それではだ!」
 凱は無二の戦友のことも問うた。
「護は何処だ!」
「ラティオですか」
「そうだ、一体何処にいる!」
「さてな」
 パルパレーパが答えてきた。
「それは言うつもりはない」
「貴様!」
「さて」
 アベルがまた話してきた。
「ここまで来てくれたのです」
「戦うか」
「そうです。貴方のお相手もしなければ」
 マシンが出て来た。それは。
 モビルスーツもあれば機械獣もいた。オーラバトラーもヘビーメタルもだ。あらゆるマシンが出て来たのだった。
 凱はそのマシン達を見てだ。こう言った。
「レプリジンか!」
「貴方の相手にしては多過ぎるかも知れませんが」
「俺は」
 凱はだ。その敵を前にして言った。
「何が正義なのか俺にはわからない」
「正義はですか」
「しかしだ」
 だがそれでもだというのだ。
「守るべきものの為に」
「その為に」
「そして信じてきたものの為に」
 こう言っていくのだった。
「そして」
「そして?」
「勇気ある誓いの為に!」
 これは忘れなかった。やはり彼は獅子王凱だった。
「俺は御前達と戦う!」
「よく言った、青の星の勇者よ」
 パルパレーパが彼の言葉をうけた。
「貴様の戦いぶりを見せてもらうぞ」
「行くぞ!」
 一機だがそれでも敵の大軍に向かう。そうしてだった。
「うおおおおおおおおおおおおおっ!」
 拳を振るい放ち。膝を使いだった。そのレプリカンを全て倒すのだった。
 それを見てだ。アベルが言ってきた。
「中々やりますね」
「まだだ!」
 傷つきながらもだ。凱は負けてはいなかった。
「来い!」
「その心は見事です」
 アベルはそれは認めた。
「ですが」
「ですがか」
「はい、独りでは」
 どうかというのだった。
「そろそろ限界では?」
「くそっ・・・・・・」
「人はあまりにも弱過ぎる」
 またパルパレーパが言ってきた。
「独りでは何もできない」
「言うのか」
「力を合わせる協調性もない」
 その言葉が続く。
「悲しき生命体、御前達には生き残る資格さえない」
「俺達はだ」
 彼だけではないというのだ。
「地球を出てここまで来た」
「それがどうしたのだ」
「俺達は勇者だ!」
 まさにそれだというのである。
「戦うことを止めたらこれまでのことが無駄になる!」
「だからどうだというのだ」
「俺は戦う!」
 言葉が一人称になっていた。
「例えどうなってもだ!」
「それは違うわ」
 しかしだった。ここでだった。
 レイが来た。彼女のエヴァと共にだ。
「それは」
「レイ!」
「俺もだ!」
「来たぞ!」
 シンとカガリもだった。そして。
 ダンクーガに鋼鉄ジーグもいる。他には。
 ガンダムファイター達にバーチャロンもだ。彼等が来たのだ。
「俺達はな!」
「戦える!」
「来てくれたのか」
「はい、僕達は何とか」
 クサナギも来ている。だが乗っているのはアズラエルだけであった。
「来れましたがね」
「うおおお!やるぜ!」
「どんな敵も必殺!」
「死ね」
 この三人もであった。
「何かよくわからねえけれどな1」
「皆戦う気なくなったよ」
「おかしなことだ」
「むっ?」
 アベルがその彼等を見てパルパレーパに問う。
「あの連中にはパレッス粒子は効いていないのですか」
「どうやらな」
 パルパレーパも彼に答える。
「その様だ」
「そうですか。しかし今はですね」
「そうだ、相手は今は一人だけだ」
「ガオファイガー」
「奴だけを倒す」
「ではお任せします」
 アベルからパルパレーパに告げる。
「ここは」
「わかっている。それではだ」
「はい」
「ケミカルフュージョン!」
 こう叫んでだ。彼もまた姿を変えた。
 その彼の戦う姿になってからだ。こう凱に言ってきた。
「ではだ」
「御前もフュージョンができるのか」
「そうだ。では来い、青い星の勇者よ」
 こう凱に対して告げる。
「御前の無力さを教えてやろう」
「凱、負けるんじゃねえぞ!」
 宙がその凱に叫ぶ。
「ここはな!」
「ああ、わかっている」
 無論凱もそのつもりはなかった。だからこその言葉だった。
「それはな」
「頼んだぜ。他の奴は俺達がな」
「引き受けるからな」
 シンも言う。
「あんたはその歯医者にだけ専念してくれ」
「済まない」
「礼はいい!」
 それはカガリがいいとした。
「まずは勝ってからだ!」
「勝ってからか」
「その通りです」
 アズラエルは冷静に凱に話す。
「いいですか、ライオンロボ君」
「あ、ああ」
「僕達がここで勝たないと」
 どうなるかというのである。
「全ては終わりですね」
「ああ、確かに」
「ではです」
 ここまで言ってだった。アズラエルはクサナギを動かしてであった。
「行きましょう」
「ああ、それじゃあな」
 こうしてだった。残されたメンバーだけで向かうのだった。
 戦いがはじまった。その中でだ。
 凱とパルパレーパが対峙する。そして。
「青き星の勇者よ」
「来い!」
「貴様の命運もここまでだ!」
「黙れ!」
 凱は負けてはいなかった。傷ついていてもだ。
「御前を倒してだ」
「どうするというのだ」
「皆を、そして命を救ってみせる!」
 全身に覇気を込めての言葉だった。
「そうしてだ!」
「それならばだ」
 パルパレーパもそれを受けて言う。
「貴様に物質世界の掟を教えてやる」
「掟だと」
「そうだ、このゴッドアンドデビルで」
 構えに入った。まるでヘルアンドヘブンであった。
「この技でだ」
「ならばこっちも!」
 凱もであった。ヘルアンドヘブンの構えに入ったのだった。
 そのうえでだ。パルパレーパに対して言う。
「ガオファイガー最大の技で受けて立つ!」
「行くぞゴッドアンドデビル!」
「ヘルアンドヘブン!」
 両者がぶつかり合う。戦場に凄まじい衝撃が走った。
 そしてだ。双方爆発しながら大きく後退した。その衝撃により。
「ぬおおおおおおおおおっ!」
「ぐうううっ!」
「力は互角」
 アベルが両者のその激突を見て言う。
「まさに」
「負けるな凱!」
 宙が凱荷対して叫ぶ。
「後一歩で御前の勝ちだ!」
「ああ、わかった!」
 凱もだ。宙のその言葉を受けた。
 それでだ。再び突き進もうとする。しかしそこで、であった。
 両者の間にだ。緑の光球が現れた。オルガがそれを見て言う。
「おい、あれは」
「護かな?」
「似ている」
 クロトとシャニも言う。彼等はシンやカガリと共に先陣を切って暴れている。
「だとしたら凱の助っ人か?」
「レプリカの可能性もあるけれど」
「何だ、一体」
「いえ、あれは」
 しかしだ。レインがその光球をよく見て言った。
「もっと大人よ」
「あれは」
 そしてだ。凱もその光球を見て言う。
「護じゃない!」
「・・・・・・・・・」
「カイン!」
「今だ!」
 驚いたその時に隙ができた。そしてだ。
 パルパレーパはその隙を見逃さなかった。それでだ。
 一気にだ。ゴッドアンドデビルを繰り出し。それでだった。
「ぐわっ!」
「お互いを否定しなければだ」
 ガオファイガーを吹き飛ばしたうえでの言葉だった。
「存在し得ない」
「そうだというのか」
「勝者は神となり敗者は悪となる」
 意識を失おうとする凱への言葉だった。
「それが物質世界の掟だ」
「くっ・・・・・・」
 ガオファイガーはそのまま崩れ落ちた。それこそがだ。
「お、おい!」
「ガオファイガーが負けたって!?」
 ヂボデーとサイシーも思わず絶叫した。
「こんなことってよ」
「まさか・・・・・・そんな・・・・・・」
 他の面々も唖然となる。しあkしだ。
 アベルは冷静なままだ。パルパレーパに対して告げるのだった。
「これで目的は達しました」
「ガオファイガーは倒した」
「はい、では引き上げましょう」
「わかった。それではな」
 彼等は帰る。しかしだ。
 残された面々はだ。慌ててそのガオファイガーに集まる。
「だ、大丈夫か!?」
「生きているか!?」
「どうなの!?」
 とにかく凱の生死が気懸かりだった。そしてだ。
 その彼等のところに今度はだ。通信が入ってきたのであった。
「聞こえますか」
「あんたは」
「パピヨンさんか」
「はい」
 彼女だった。彼女が残された彼等に通信を入れてきたのである。
「ガオファイガー、凱さんは」
「負けた」
「生きているかどうかさえ」
「それも」
「そうですか。けれど今は」
 パピヨンは辛い顔になった。しかしそれでも彼等に告げるのだった。
「今はそれよりもです」
「ああ、一体」
「どうするんだ?」
「それで」
「まずはガオファイガーと凱さんを御願いします」
 回収するということだ。それは忘れていなかった。
「そして皆さんを治療しましょう」
「これどうなってんだ?」
 バサラがパピヨンに問うた。彼も戦場にいたのだ。
「皆急にやる気をなくしたんだけれどな」
「残ったのはサイボーグの俺やバーチャロン達に」
「そうだな、俺とレイちゃんもだな」
 宙とハッターも話す。
「無闇に血の気の多い面々ばかりだ」
「あと変態のアズラエルさんだけだな」
「変態だけ余計です」
 アズラエルはすぐにハッターに抗議した。
「とにかく僕も無事ですがね」
「動ける方はすぐにポイント一一一五ね」
 パピヨンは彼等にまた告げた。
「来て下さい」
「わかった。それじゃあな」
「今から」
「急いで下さい」
 パピヨンの言葉は切実だった。
「凱さんが倒れた今」
「そうだよな」
「もうな」
「こうなったら」
「残された時間はあと僅かしかありません」
 こうしてだった。彼等は宇宙センターに戻った。そうしてなのだった。
 中に入ると大河達はだ。さらにだらけていた。
「よう、宙君」
「まあ御前もゆっくり休めや」
「あの火麻参謀までがかよ」
 宙はだらけきった顔の彼等に唖然となってしまった。
「どうなってんだよ、本当に」
「まあまあ、ここは休んで」
 雷牙も同じであった。
「ゆっくりとね」
「博士までとは」
 アズラエルも眉を顰めさせている。
「どうなってるんでしょうか」
「これはパレッス粒子の影響です」
 パピヨンがここで話した。
「それによってです」
「パレッス粒子!?」
「っていうと?」
「それは一体」
「何なのよ」
「神経細胞を極度にリラックスさせるケミカル物質です」
 それだというのである。
「この星全体にそれが充満しています」
「それでか」
「皆こうして」
「腑抜けになって」
「それで」
 残された面々はだ。これでわかったのだった。
「それでこんなことにか」
「何てこった、これじゃあ」
「戦えないじゃないか」
「ソール十一遊星主、おそらくは」
 パピヨンは話を続ける。
「彼等の中にケミカル攻撃を得意とする者がいたのでしょう」
「あいつか」
 ドモンの目がここで光った。
「あの凱を倒した」
「そうですね。間違いありませんね」
「奴だ」
 ジョルジュとアルゴも言った。
「パルパレーパといいましたね」
「あの男の仕業だな」
「私は学生の頃幻覚性物質の実験によりです」
 パピヨンは今度は自分のことを話した。
「センシングマインドを身につけました:
「じゃあそれによって」
「あんたは無事か」
「そうなんだ」
「はい、その為特殊化した神経ネットワークはパレッス粒子の影響を受けずに済んだようです」
 こう話すのだった。
「しかし」
「他の奴等はか」
「それを受けて」
「それで」
「はい。そしてです」
 パピヨンはさらに話していく。
「粒子の影響を受けない勇者ロボ達は隊員達によってその機能を封印されました」
「残ったのは俺達だけか」
「どうするんだよ、これじゃあ」
「俺達だけで何とかするか」
「こうなったら」
「救いはです」
 パピヨンはここでシンたガンダムファイター達を見て言った。
「極端に好戦的な人や特異体質の人は無事でした」
「それが僕という訳ですね」
 ここでまた出て来るアズラエルだった。
「成程、そういうことですか」
「っていうかあんたどういう体質なんだ?」
 宙は真顔でそのアズラエルに問うた。
「そもそも」
「さて、自分でもわかりませんが」
「特異体質かよ」
「そうですねえ。前から生命力には自信がありましたが」
「それでよくコーディネイターのこととやかく言えたな」
 シンも唖然となっている。
「あんたも大概じゃないか」
「自覚はありませんでしたが」
「BF団にも入団できただろう」
 カガリはここまで言う。
「そこまでの体質だと」
「かくいう貴女もそこまで闘争心が高いということなのですが」
 キラは闘志をなくしているがカガリは健在だった。それを見ればだ。
「どうなのでしょうか、それは」
「そ、それはそうだが」
 否定できなかった。本人もだ。
「後いたのは」
「私だ」
 サンドマンであった。レイヴンも一緒だ。
「私は大丈夫だ」
「だからグラヴィゴラスは動ける」
「エイジもか」
「ああ、何とかな」
 激しい気性の彼も大丈夫だった。
「それと斗牙も何とかだったけれどな」
「僕の場合は性格的にかな。そういうのが効果がなかったみたいなんだ」
「それでか」
 シンは二人の言葉を聞いてそれで納得した。そしてだ。
 あらためてサンドマンとレイヴンを見てこんなことを言った。
「あとこの人達は」
「私に下手な粒子は効果がない」
「私もだ」
「つまりあれか」
 ここからがシンの真骨頂だった。
「アズラエルさんと同じ変態なんだな」
「待て、何故そうなる」
 レイヴンはすぐに突っ込みを入れる。
「私達が変態だというのか」
「その仮面を見たらな」 
 そうだというのがエイジの主張だった。
「ちょっとそうとしかな」
「だからこれはだ」
「まあ無事で何よりだよ」
 シンはこのことは素直に喜んでいた。
「今は本当に一人でもそうした人が欲しいからな」
「そういうことだな」
 ロジャーもいた。勿論ドロシーもだ。
「私も性格的に粒子は大丈夫だった」
「元々の性格がとても冷静だと」
 ドロシーの言葉だ。
「効果がないみたい」
「だからレイもか」
 カガリもここでどうしてレイが大丈夫なのかわかった。
「こうして無事なのか」
「私。動じることないから」
 実際にこう話すレイだった。
「それは多分」
「私もです」
 ルリも出て来た。ナデシコも何とか動いていたのだ。
「極端に冷静か極端に好戦的ですと」
「あれって効果がない」
「つまりは」
「そうだと思います」
 これはルリの予想だった。
「ですから。ここにいる方々は」
「俺にしてもそうだな」
「私もだな」
 シンもカガリも自覚はあった。
「ドモンさん達にしても」
「闘争心の塊だからな」
「後は俺達だな」
 テムジンが言う。バーチャロン達は全員無事である。
「機械にはか」
「私も」
 そしてドロシーだった。
「機械にはあの粒子は効果がない」
「それで俺もか」
 宙は普段と全く変わらない。
「因果か。これは」
「俺は何でなんだ?」
 バサラはここでルリに問うた。
「戦いは好きじゃないんだがな」
「バサラさんはその熱さのせいではないかと」
「熱さか」
「はい。バサラさんは特別な方です」
 まさにそうだというのである。
「そう。エリカさんを想う一矢さんのその熱さに匹敵するまでの」
「それでか」
「一矢さんは眠っておられますが」
 彼と万丈はだ。そうなってしまっているのだ。
「ですが貴方は大丈夫だったのですね」
「まあな。それじゃあどうするかだな」
「はい。それでバサラさん」
 ルリはここでバサラに対してこう言った。
「私が見たところですが」
「ああ。何だ?」
「その熱さに答えがあると思います」
 ルリはバサラを見ながら話す。
「ですからここはです」
「何だ?歌えってのか?」
「はい」 
 まさにだ。その通りだというのである。
「貴方が影響を受けない。その理由がその熱さにあるとすれば」
「俺が歌ってそうして」
「全てがわかる筈です」
「わかった。それじゃあな」
 バサラは断ることはしなかった。快諾であった。
 それでだ。そのギターを手に取ってそのうえで。
 歌いはじめる。それを聴いてだ。パピヨンが冷静な面持ちで話すのだった。
「皆さん」
「ああ、この歌をどうするんだ?」
 宙がパピヨンに対して問う。
「sろえで」
「私はここで彼の歌を分析します」
 具体的にはそうするというのである。
「そう簡単にはあの粒子を分解するのは不可能でしょう」
「そうでしょうね」
 それはルリも見ていることだった。
「あのパルパレーパという男、尋常ではないでしょう」
「ですがバサラさんの発する何かをです」
 それをだというのだ。
「分析すればそこからです」
「御願いします。では私達は」
「この施設の防衛を御願いします」
 こうルリ達に言うのであった。
「敵が来た場合は」
「任せてもらおう」 
 サンドマンが応えた。
「それは引き受ける」
「そしてだが」
 レイヴンはここでだ。彼女のことを思い出した。
「ルネがどうなったのだ」
「そういえばそうだな」
 ここで宙も気付いた。
「俺や凱が動けるってことはあいつも大丈夫の筈だ」
「そうね。私もだから」
 ドロシーもここで言う。
「それで彼女は」
「ルネもまた戦闘中です」
 パピヨンが答える。
「ソール十一遊星主を追っています」
「そうか。あいつもか」
「はい。彼女もまた」
 そうだとだ。宙に話すのだった。
「そうしています」
「わかった。じゃあ俺達もな」
「そしてです」
 パピヨンは宙達にさらに話した。
「Gストーンの導きに従い戦っている人は」
「まだいるのか?」
「はい、もう一人」
「一体それは誰でしょうか」
 アズラエルが少し考える顔になって問うた。
「僕達の他にといいますと」
「勇者王は敗れ」
「残念なことです」
 アズラエルは今それを心から無念に思っていた。
「彼の敗北は何よりもです」
「そして戒道幾己君も行方が知れません」
 彼もであった。
「ですが希望はまだあります」
「希望!?」
「それは一体」
「はい、それは」
 言おうとした。しかしここでだった。突如として警報が鳴った。
「何だ!?」
「この警報は」
「敵!?」
「衛星軌道上に敵艦多数です」 
 パピヨンがレーダーを見てすぐに言う。
「所属は不明です」
「不明!?」
「バッフ=クランじゃなくて!?」
「複数の勢力と思われます」
「いや、待て」
 ふとだ。レイヴンがあることに気付いて言った。
「この宙域は時空が歪み容易には近付けなかった筈だ」
「はい、それはその通りです」
「では何故だ」
 レイヴンはこのことを問うた。
「ここまで容易に複数の勢力が来たのだ」
「おい、パピヨンさん」
 宙も彼女に問うた。
「あんたのセンシング=マインドとやらでわからないのかよ」
「詳しいことは何も」
 パピヨンは申し訳なさそうに答える。
「ですが」
「ですが?」
「この戦い」
 そのものについての言葉だった。
「何者かの意志」
「意志!?」
「意志っていうと」
「それもとてつもなく巨大な意志が働いているように思えるのです」
「まさかそれが」
「アポカリュプシス?」
「その」
 彼等は戦う前に考えるのだった。そうせざるを得なかった。
 そしてだ。命はだ。一人残ってだった。
「凱、貴方はもう」
 彼のことを考えていた。
「私はかつての戦いで機界新種によって無敵の生命体と化した」
 このことを悲しい顔で語るのだった。
「その時の浄解によって私もセミ=レヴォリュダーとして生まれ変わっていたの」
 今その事実を呟く。
「そのお陰で一度はパレッス粒子に侵食されたけれど」
 しかしなのだった。
「自己修復することはできたわ」
 そして。
「私は最後の希望を追いかけてみる。貴方の意志を受け継ぎたいから」
 そうして歩みはじめる。そこにだった。
 緑の光が来た。それは。
「!?まさか」
「やっぱり」
「護君・・・・・・」
 彼だった。光になり来たのだ。
「本物の護君ね」
「命姉ちゃん・・・・・・」
 護もまた彼女に応える。
「今まで何処にいたの!?皆心配したのよ」
「御免なさい・・・・・・」
 命の咎める声には項垂れるしかなかった。
「凱が、今は・・・・・・」
「凱兄ちゃんだけじゃない」
 護は項垂れたまま言う。
「戒道も」
「戒道君まで・・・・・・」
「命姉ちゃん、急ごう」
 それでもだ。彼は言った。
「もう僕達に残された時間は僅かしかないんだ」
「僅かって・・・・・・」
 今また戦いがはじまろうとしていた。決して終わりではなかった。最後の希望への戦いだった。


第八十四話   完


                                      2010・12・22   
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