スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七十二話 潰える野心
第七十二話 潰える野心
「何っ、ネイ達はか」
「申し訳ありません」
「残念ですが」
「くっ、何ということだ」
歯噛みして呟くギワザだった。
「そしてロンド=ベルがか」
「あの三人と合流してそのうえで、です」
「この基地に迫ってきています」
「今もです」
そうだというのである。
「それでなのですが」
「ここは一体」
「どうされますか?」
「言うまでもない」
ここでは冷静に答える彼だたt。
「ここは全軍を挙げてだ」
「迎撃ですね」
「そうされますね」
「そうだ、そうする」
こう十三人衆の面々に答えるのだった。
「わかったな。それではだ」
「はい、それでは今より」
「出撃ですね」
「ロンド=ベルを倒せばだ」
また言うギワザだった。
「後はポセイダルもだ」
「そうですね。ロンド=ベルのマシンを手に入れればです」
「その戦力でどんなこともできます」
兵士達が言う。
「ではギワザ様、今より」
「総員でロンド=ベルを倒しましょう」
「無論私も出る」
他ならぬギワザ自身もだというのだ。
「サージェ=オーパスの用意をしておけ」
「それでは」
「今より」
こうしてだった。ギワザの軍は全軍でロンド=ベルの迎撃に向かう。しかしそれがテッサの読み通りとはわかっていなかったのだった。
そしてだ。ロンド=ベルはだ。ギワザの軍のいる基地に向かっていたのだった。
その中でだ。テッサが言う。
「おそらく敵はです」
「そうですね」
シーラが彼女の言葉に応える。
「全軍で基地を出てそうして」
「私達に向かっています」
「ではここは」
「精鋭部隊は分けましょう」
テッサは言った。
「そして彼等が来て戦闘をはじめ」
「それからですね」
「彼等が私達に肉薄し総力戦を挑んだ時です」
まさにその時だというのだ。
「その時にです」
「わかりました。それでは」
「今はこのまま向かいましょう」
こうしてだった。彼等はそのまま戦いに向かう。そこでだった。
彼等の仲間となったネイがだ。愛機のオージェを見て言うのだった。
「このオージェもね」
「はい」
「かなり変わりましたね」
「一気に改造がいったね」
こうアントンとヘッケラーに話すのだった。
「最高段階までね」
「それは我々もです」
「同じです」
こう言う二人だった。
「バッシュもアシュラテンプルもです」
「かなりの改造ができました」
「武器まで一気に最高段階にです」
「いきました」
「資金はあるんだね」
こう話すネイだった。
「ロンド=ベルは」
「倒してる敵の数が違うからな」
マリンがこう彼等に話す。
「それでだ。資金はかなりある」
「それでなのかい」
「何しろ敵の数がな」
「普通に二十万や三十万だからな」
「それだけ得られる資金は多くなる」
闘志也にジュリイ、謙作も言う。
「敵の数は多いと大変だがな」
「それだけ得られるものも多い」
「それでだ」
「これだけの資金があるってんだね」
ネイは彼等の話を聞いて納得した。
「そういうことだね」
「それに我等も入りか」
「そうしてだな」
「あとここにいれば撃墜数も洒落にならない位に増えるぜ」
今言ったのはエイジだった。
「それも楽しみにしておけよ」
「まああたしはね」
ネイはその撃墜数の話には笑って返す。
「これまでの戦いでかなりあるぜ」
「こちらもだ」
「同じくだ」
アントンとヘッケラーもだというのだ。
「宇宙怪獣達とは常に戦ってきた」
「だからな」
「ああ、宇宙怪獣な」
勝平がそれを聞いて言うのだった。
「あんた達も奴等と戦ってるんだな」
「宇宙怪獣はどんな奴とも敵か」
「そういうことなのね」
宇宙太と恵子もいう。
「要するにだ」
「それで貴方達も」
「宇宙怪獣を放っておいたら洒落にならないからね」
これがネイの言葉だった。
「だからだよ」
「どの国でもそれはか」
「変わらないか」
「絶対にか」
「どうしようもないか」
「それなら」
こう話してだった。それでなのだった。
宇宙怪獣についても考えるのだった。
「連中は放置しておいたら滅ぼされる」
「それでか」
「どうしてもか」
「戦わないといけないのか」
「それにね」
ネイはさらに言うのだった。
「ガイゾックも来たことがあったしね」
「ガイゾック?」
「あれっ、ブッチャーってここにも来てたんだ」
「そうだったんだ」
「ブッチャー!?」
「誰だ、それは」
アントンとヘッケラーはそれを聞いて首を傾げるのだった。
「聞いたことのない名前だが」
「何者だ、それは」
「あれっ、ガイゾックだろ?」
「それでブッチャーを知らないのか」
「どうしてなの?それは」
「そのことですが」
ロゼが出て来て話す。
「実はガイゾックはそれぞれのバンドック単位で動いていまして」
「ああ、あの土偶の」
「あれ一隻ごとにか」
「動いてたんだ」
「じゃああの中の」
ガイゾックについてだ。さらに話される。
「マザードールか」
「あれ単位で動いてたんだな」
「そういうことなんだ」
「そういうことか」
「はい、我々も彼等と交戦したことがあります」
ロゼはこのことも話した。
「ガイゾックもまた放置してはおけませんし」
「連中ってそんなに多かったんだ」
「あれ単位で動いてたって」
「じゃああれ?宇宙怪獣とかと似たような存在?」
「そうよね」
「そうなるな」
そうだとだ。マーグも話すのだった。
「あの時は特に何も思わなかったが」
「ううん、そういえばあの時な」
「そうだな」
「そんなこと言ってたわね」
ザンボットチームの三人も考える顔で言う。
「あの連中ってそんな奴等だったんだな」
「最初は何かと思ったが」
「ああして。危険だとみなした文明を攻撃する為に宇宙を彷徨ってたのね」
「正直言ってね」
ここで話す万丈だった。
「あの連中は自分だけの正義で動いてるだけだけれどね」
「それで勝手にその文明を悪とみなして」
「そのうえで攻撃する」
「そういう奴等だったんだ」
「成程ねえ」
「だから僕はあの時ああ言ったんだ」
万丈はあの時のガイゾックとの最後の戦いのことを話した。
「間違っていなかったと思うけれどね」
「ああ、あの時はな」
「万丈さんの言う通りだったしな」
「あいつの言ったことはただの独善」
「そうでしかないよな」
「さて、それでだけれど」
また言う万丈だった。
「ガイゾックはまだいるのかな」
「いや、もういない筈だよ」
「あの連中はな」
ネイとマーグが話す。
「ガイゾックはもう全部やっつけちまったよ」
「バルマーにかなりの数が来てその時にな」
「ああ、やっぱり」
「バルマーも狙われてたんだ」
「成程なあ」
「そうだったのね」
「それは全て倒した」
また話すマーグだった。
「だから安心していい」
「もうガイゾックは出ないか」
「そうよね」
「じゃあ安心か」
「ガイゾックは」
こう話してだった。このことには安心した。そうしてだった。
そのままギワザの軍に向かう。やがて。
「レーダーに反応です」
「正面からです」
「来ています」
報告があがった。そしてだった。
その正面にだ。彼等が姿を現したのだった。
「規模にして二個艦隊か」
「それだけいるよな」
「そうだな、二個艦隊ってところか」
「つまりは」
「あれで全軍だよ」
ネイが言った。
「ギワザの軍のね」
「じゃあ伏兵はいないんだね」
万丈がネイに問う。
「つまりは」
「ああ、そうさ」
「それじゃあこのまま?」
「戦えばいいか」
「そうなるよな」
皆で話す。
「まずはあの連中を引き付けて」
「そうしてそれから」
「挟み撃ちね」
「そうなるな」
「それで御願いします」
作戦を考えたテッサからも言ってきた。
「多分それでいけますから」
「そうだな」
宗介がテッサのその言葉に頷く。そうしてだった。
彼等はそのままだ。陣を敷きギワザの軍を迎え撃つのだった。
そこにだ。ギワザ達が攻め寄せる。彼はだ。
「先陣はだ」
「はい」
「誰でしょうか」
「マフ=マクトミン」
彼の名を呼ぶ。
「行くがいい」
「畏まりました」
マクトミンはすぐにその言葉に頷いた。
そして実際に先陣となる。その後ろからだ。
主力部隊が来る。彼等はそのままロンド=ベルに向かう。
「来るか」
「いよいよだな」
アントンとヘッケラーが言う。
「ギワザとの最後の戦いだな」
「ここでか」
「あいつはあたしが倒すよ」
ネイは鋭い目で言った。
「いいね」
「はい、わかっております」
「それは」
二人はネイのその言葉に頷いた。そしてだ。
迫り来る彼等にだ。攻撃を仕掛ける。
「行けっ!」
「貴様等に怨みはないがな!」
こうそれぞれ言いパワーランチャーを放ちだった。
ヘビーメタル達を次々と倒す。戦いがはじまった。
ギワザは戦端が開いたのを見てだ。また命じた。
「波状攻撃を仕掛けるのだ」
「それでなのですね」
「ここは」
「正面から奴等を潰す」
モニターで戦局を見ながらの言葉だ。
「そうするぞ」
「はい、わかりました」
「では今は」
「十三人衆それぞれの軍を次々とですね」
「奴等に当てる」
まさにそうするというのである。
「いいな」
「了解!」
「それでは!」
「私も行く」
ギワザ自身もだというのだ。
「サージェ=オーパスを前に出せ」
「いいのですか?敵は」
「かなりの強さですが」
「承知のうえだ」
ギワザは落ち着いた声で言う。
「それにだ。この戦いはだ」
「決戦ですね」
「まさに」
「ロンド=ベルを倒さずしてポセイダルを倒せはしない」
こうも言うのである。
「だからだ。いいな」
「はっ、それでは」
「この艦もまた」
こうしてだった。ギワザ自ら前線に出る。彼等も必死だった。
ギワザの軍は一気に攻める。それを受けてだ。
テッサはすぐに指示を出した。
「それではです」
「一時退く」
「そうするのね」
「ここで」
「押されるようにです」
その退き方も話すのだった。
「敵の攻撃を受けてそれが押されて」
「それで倒す」
「そうするというのですね」
「ここは」
「そうだ、それで倒す」
こう話してだった。彼等は徐々に退くのだった。それはだ。
まさに押されているように見えた。実際にチャイがそれを見て言う。
「いけるな」
「敵は我等の攻撃に押されている」
「そうですね」
「ここは」
「そうだ、勝てる」
また言うチャイだった。
「今こそだ。総攻撃だ」
「ではギワザ様にすぐ」
「お伝えしましょう」
「それでいいな。それではだ」
こうしてだった。彼等はすぐにギワザに伝えた。するとだ。
ギワザはすぐに指示を出した。
「全軍ここが勝機だ」
「では、今こそですか」
「総攻撃ですね」
「そうされるのですね」
「そうだ、そうする」
こう言ってであった。彼も総攻撃を決定した。
全軍でロンド=ベルを押そうとする。勢いを得ていた。
その勢いでロンド=ベルを潰そうとするがだった。
彼等は受けていた。その勢いをだ。
「まだまだ!」
「負けるものか!」
ジョナサンとシラーが剣から光を放ちそれで敵を貫く。
そうしてだった。敵を防ぐのだった。
「よし、いい感じだな」
「そうだね。順調だね」
二人で言う。
「奴等、いい具合に攻めてくれる」
「このままいけば」
「そろそろだな」
「そうだね」
機が来ようとしているのを感じていた。そしてだった。
ギワザの軍の勢いを完全に止めてしまった。
「くっ、何故だ!」
「どうしてこれ以上攻められん!」
「何という奴等だ」
「しぶといな」
「しかしだ」
リョクレイがここで言う。
「このままいける。一点集中攻撃だ」
「そうしてですね」
「倒す」
「ロンド=ベルを」
「そうするのですね」
こう話してだった。そしてだ。
彼等はそのまま攻め続けるのだった。だがここでだ。
彼等の後ろにだ。来たのであった。
「後方です!」
「後方に敵!」
「来ました!」
「何っ!?」
それを聞いてだ。ギワザが驚きの声をあげた。
「馬鹿な、伏兵だというのか」
「どうやらその様です」
「まさかと思いましたが」
「間違いありません」
部下達がそれぞれ報告する。
「ギワザ様、どうされますか」
「ここは」
「後方の敵は」
「止むを得ん」
苦い顔での言葉だった。
「後方にも兵を向けよ」
「誰を向けますか、それで」
「ここは」
「一体誰を」
「ワザン=ルーンだ」
彼だというのである。
「いいな、すぐに向かわせろ」
「はい、それでは」
「今すぐにワザン様を」
「後方に」
「まずは前の敵を倒してだ」
ギワザは最低限の冷静さを保っていた。
「そして後方の敵だ」
「それをですね」
「一気に倒す」
「後で」
「そうする。いいな」
こう話してであった。
ワザンの軍を向けようとする。しかしだった。
「やらせるか!」
「そうよ、やっちゃえ!」
ショウのビルバインがオーラ斬りを放つ。それで敵を数機まとめて真っ二つにする。
そのうえでだ。さらに突き進むのだった。
「ここはだ!」
「そうね、どんどん倒してね」
「この戦いにも勝つ」
「そうしないとね」
こうチャムと話してだった。
ビルバインは突き進む。そしてだ。
アムロも来た。フィンファンネルが放たれる。
「行けっ!」
そのフィンファンネルでだ。ヘビーメタル達を撃墜していく。
そうしてだ。彼もまた前に出るのだった。
「後ろを取った時点で決まっていた」
「そういうことだな」
クワトロもいる。
「この戦い、我々の勝利だ」
「それならシャア」
アムロは彼に対して言う。
「ここはだ」
「一気にやらせてもらう」
彼のナイチンゲールもファンネルを放つ。それでだ。
敵を小隊単位で撃墜する。そしてだった。
そのうえでだ。彼は言うのだった。
「さて、それではだ」
「一気に進むか」
「君と同じだ」
シャアもアムロに対して言う。
「この戦い、勝たせてもらう」
「そうするか」
最早ロンド=ベルの勢いは止められなかった。そうしてだ。
ギワザの軍は前と後ろから次々と倒されていく。前方のロンド=ベルの部隊も反撃に出た。そうしてそのうえでだった。
ギワザの軍を倒す。一気にだった。
「ギワザ様、戦力がです」
「損害が五割を超えました」
「これ以上の損害はです」
「今後にも支障が」
「くっ、止むを得ん」
ギワザは苦い顔で言った。
「ここはだ」
「どうされますか、ここは」
「まだ戦われますか」
「それとも
「一時撤退だ」
そうするというのである。
「いいな、基地までだ」
「わかりました。それでは」
「ここはですね」
「撤退ですか」
「左翼が空いている」
見ればだった。そこがだった。
そこに入ってだ。撤退するというのである。
「いいな、そこから退くぞ」
「わかりました」
「では我々も」
「損害が七割に達しました」
遂にだった。この報告がギワザをさらに焦らせた。
そしてだった。遂にであった。
撤退に入った。ギワザが真っ先にであった。
「急げ、いいな」
「は、はい」
「それでは」
「逃げ遅れた者は置いていけ」
見捨てるというのである。
「いいな」
「は、はい」
「それでは」
「今すぐにですね」
「とにかく生き残る」
自分自身への言葉だった。
「いいな、そうしろ」
「わかりました」
「では全軍にはそう伝えます」
「後詰はだ」
それでもだった。それを命じるのは忘れなかった。
「誰がいる」
「それは私が務めましょう」
マクトミンだった。
「戦えるならです」
「頼めるか」
「はい」
微笑みと共の言葉だった。
「そうさせてもらいます」
「わかった。それではだ」
ギワザもその言葉を受けた。そうしてだった。
彼は真っ先に逃げようとする。しかしだ。
その前にだ。エルガイムマークツーが来たのだった。
「何っ!?」
「ダバ、今よ!」
「わかってるさ」
こうリリスに返すダバだった。
そしてだ。すぐにバスターランチャーを構える。
それを放つ。まさに一瞬だった。
一条の光がギワザのサージェ=オーパスを貫いた。それで終わりだった。
戦艦は炎に包まれだ。ギワザもだった。
「くっ、脱出を」
「む、無理です」
「最早それは」
「炎が各所に」
「馬鹿な、私が」
ギワザは呆然としながら言う。
「私がここで。死ぬというのか・・・・・・」
「沈みます!」
「もう駄目です!」
周りの断末魔の叫びが響く。そしてだ。
ギワザは己の乗艦と共に消えた。それで全ては終わりだった。
チャイ=チャーもだった。ネイのオージェのサイズを受けてだった。
「終わったね、チャイ=チャー!」
「お、おのれ・・・・・・」
チャイは口から血を漏らしながら呻く。
「私が、こんなところで・・・・・・」
だが彼もこれで終わりだった。炎に包まれ消え去った。
ポセイダル軍の指揮はワザンが受け継いだ。彼はすぐに言った。
「最早これ以上の戦闘は無意味だ」
「それではだ」
「どうするというのだ」
マクトミンとリョクレイが彼に問う。
「ここは」
「撤退もままならなくなったが」
「降伏する」
これが彼の決断だった。
「最早だ。それしかあるまい」
「兵達を助けるにはか」
「それしかないか」
「これ以上の戦闘は無駄な犠牲を出すだけだ」
「確かに。それは」
「その通りだ」
二人も頷く。そしてだ。
リィリィとテッドもだ。頷くのだった。
「それじゃあね。それでいいよ」
「・・・・・・・・・」
「わかった。それではだ」
こうしてだった。ワザンはロンド=ベルに降伏を打診した。するとだった。
大河がそれを受けて言うのだった。
「それではだ」
「降伏を受諾しますか」
「うむ、そうする」
こうスタリオンに答える。
「無駄な戦闘はしないに限る」
「そういうことですね。それでは」
「戦闘は終わりだ」
また言う大河だった。
「十三人衆の軍は武装解除し受け入れる」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。十三人衆の軍は降伏したのだった。そしてだ。
まずはだ。戦死者が確認されたのだった。
「ギワザにチャイか」
「あの連中は死んで」
「他の十三人衆は生き残ったか」
「そうなのね」
「それでだけれど」
さらに話されるのだった。
「生き残った面々は?」
「一体どうするの?」
「それで」
「兵士や下士官はそのまま郷里に帰ってもらうそうです」
ダバが言ってきた。
「武装を全て解除したうえで」
「レジスタンスからはそう言ってきたのよ」
「それでだ」
アムとレッシィも皆に話す。
「それでね。兵隊とかはね」
「帰ってもらうことになった」
「将校はどうなるんだ?」
今問うたのはマサキだった。
「あの連中は放置か?」
「将校は武装解除までは同じだがな」
ギャブレーが答える。
「だが。志願者は帰ってもらいだ」
「そうでない人間は」
「収容所?」
「そうなるの?」
「いや、そうした人間はいなかった」
そうだというのだ。
「どうやらポセイダルへの不信は軍にも拡がっているようだ」
「だからギワザについた」
「それでか」
「そういうことなのね」
「その通りだ。今はだ」
また言うギャブレーだった。
「最早ポセイダルの崩壊は近いな」
「成程ねえ」
「そうなるのか」
「もう」
「レジスタンスに加わりたいという者までいる」
そうした人間もいるというのだ。
「どちらにしろ処罰される者はいない」
「それは何より」
「後は十三人衆だけれど」
「そっちは?」
「どうなるの?」
「リィリィは故郷に帰るってさ」
アムが話す。
「軍を辞めてね」
「そうか、まずは一人か」
「退役ってことか」
「それは何よりだな」
「テッドもだ」
今度はレッシィが話す。
「ワザン=ルーンと共にな。故郷に戻るそうだ」
「十三人衆ももう戦うことはないか」
「そういうことか」
「つまりは」
「それに」
そしてだった。さらにであった。
リョクレイがだ。ここで出て来たのだった。彼は言う。
「クワサン=オリビーはいるか」
「クワサン?」
「ここに?」
「そうだ。いるか」
こう問うのである。
「ここに」
「いるが」
ダバがいささか警戒する顔で彼に答えた。
「それでどうしたいんだ?」
「会いたい」
こう答えるリョクレイだった。
「ここはな」
「会って何をするつもりなんだ?」
「そうだよな」
「一体何を?」
「何を考えてるんだ?」
「安心しろ。武装は解除されている」
ここでこう言うリョクレイだった。
「変な真似はしない」
「だといいけれどな」
「そのつもりだったら」
「別に」
「それは安心してくれ」
また言うリョクレイだった。
「わかってくれるか」
「わかった」
ダバが頷く。
「ただ。立会わせてくれるか」
「無論だ」
リョクレイはこうダバに答える。そうしてだった。
クワサンが連れて来られる。そして。
リョクレイは彼女の前に行きだ。頭を深々と下げた。それから言うのだった。
「申し訳ないことをした」
「えっ、謝ったの!?」
「まさか」
「まさかと思うけれど」
皆このことに呆然となった。
「謝るって」
「何でなの?」
「何かあったの?この二人に」
「だとしたら一体」
「命令とはいえだ」
リョクレイは顔をあげてからクワサンに話す。
「監視役になっていた。申し訳ないことをした」
「そうだったのか」
「そういえばそうよね」
「クワサンの監視役って」
「この人だったんだ」
「そうそう」
ここで皆このことを思い出した。そうしてである。
リョクレイは謝罪したのだった。そして謝罪を受けたクワサンはだ。こう言うのだった。
「いいわ」
「許してくれるのか」
「私は。今はお兄ちゃんといるから」
だからだというのだ。
「だからいいわ」
「そう言ってくれるのだな」
「過去はもう終わったこと」
いささか虚ろだがそれでも言った言葉だった。
「だから」
「かたじけない」
今度はこう言うリョクレイだった。
「それではだ」
「それでこれからどうするんだ?」
キャオがそのリョクレイに問うた。
「これからは」
「故郷に戻る」
これがリョクレイの返答だった。そしてだった。
彼もまた姿を消した。十三人衆は解体状態になった。
しかしだ。最後の一人が出て来て言うのであった。
「では私はだ」
「あれっ、確かこの人って」
「マフ=マクトミン?」
「その人よね」
「故郷には帰らないのかな」
「どうなのかな」
「帰るつもりはない」
実際にそうだと答えるマクトミンだった。
「これからはだ」
「どうするんですか?」
「それで」
「君達と戦わせてもらいたい」
こう申し出てきたのだ。
「是非な」
「えっ、一緒にって」
「つまりロンド=ベルに入るんですか」
「つまりは」
「そういうことですよね」
「その通りだ」
微笑んで言うマクトミンだった。
「それでいいか」
「どうする?」
「ううん、敵であってもどんどん入って来るのが私達だけれど」
「それじゃあそうしてもらう?」
「やっぱり」
「そうだな」
ここでは大文字が決断を下した。
「いいだろう。ダブルスパイというのも考えられないしな」
「ポセイダルを裏切ってギワザにですしね」
「それに裏切った理由は」
「何だったのかしら」
「知れたことだ。そちらの方が戦えるからだ」
それだからだと言うのだった。
「十三人衆は劣勢だからな」
「凄い理由だよな」
「全く」
「凄い話だな」
「そこまで戦いが好きなんだ」
「戦いは私の生きがいだ」
実際にそうだとだ。本人も言う。
「だからこそだ」
「生きがいねえ」
「そうだったんだ」
「それがこの人の」
「それだったんだ」
皆それを聞いて言うのだった。
「けれど何かね」
「また変わった人が来たっていうか」
「ううん、どんどん色々な人が集まるけれど」
「どうなるのかな、これから」
「わからなくなってきたけれど」
「まあ悪くなることはないな」
凱が言った。
「それはな」
「ないのですか」
「それは」
「そうだ、ない」
炎竜と氷竜にも断言する。
「個性的な顔触れが集まってもな」
「その通りですね」
アズラエルも出て来た。
「個性のある顔触れが揃うのは悪いことではありません」
「しかしアズラエルさんは」
「それでも」
風龍と雷龍は彼には少し厳しかった。
「あまりにも個性が」
「強過ぎますが」
「そうですかね」
しかも自分ではこう言う彼だった。
「僕は特に」
「いや、強いぞ」
「どう見てもな」
凱とシローが彼に突っ込みを入れる。
「似ているだけによく感じる」
「どうしてもな」
「そこまでなのですかね」
まだこんなことを言うアズラエルだった。
「僕の個性は」
「少なくともまともな人間か?あんた」
ゴルディマーグの指摘は身も蓋もない。
「超能力とかそんなのないよな」
「いえ、全く」
それはないというのだ。
「魔術も身に着けてませんしニュータイプでも何でもありませんよ」
「けれど身体頑丈よね」
「異様なまでに」
光竜と闇竜がアズラエルのその不死身さまで言う。
「何食べても死なないし」
「不死身なのでは?本当に」
「おやおや、それはいいことなのでは?」
余裕の声で二人にも返すアズラエルだった。
「何を食べても平気なのは」
「それでもマイクもびっくりしたもんね」
今度はマイクだった。驚いた目になっている。
「あんな辛いものをよく平気で」
「しかも甘いものは異常に甘いですし」
ボルフォッグは彼の食べるデザートを指摘した。
「それで平気なのですから」
「まさかと思うがな」
宙は真剣な顔になっている。
「あんたサイボーグとかじゃないよな」
「そう言われることもありますね」
「BF団とも縁があったよな」
「僕は攻撃される側でしたが」
「しかしあったな」
宙はそのこと自体を問題にしていた。
「じゃああんたやっぱり」
「身体的には普通ですよ」
一応こう言いはするアズラエルだった。
「胃は頑丈かも知れませんがね」
「それでもか」
「普通の人間だって言うんだな」
また凱とシローが言う。
「あんたにはどうも他人の感じはしないがな」
「それでも普通じゃないのはわかるが」
まだ言う二人だった。そうしてだった。
何はともあれだ。彼等はこのことは確かめていた。
「ギワザも死んで」
「敵がまた一つ増えたな」
「そうよね。それじゃあ」
「次は」
こう話すのだった。そしてだった。
ダバがまた皆に話す。
「それで次は」
「いよいよポセイダル?」
「倒しに行く?」
「これから」
「いや、まだだよ」
ポセイダルにはまだ行かないというのだ。
「まだ行かないといけないところがあるよ」
「行かないといけないところ?」
「っていうと?」
「何処?」
「何処に行くんだよ」
「サードスター」
そこだというのだ。
「今からそこに行こう」
「っていうとあのフル=フラット?」
「その人のところに?」
「今から」
「行くんだ」
「そう、そこにしよう」
また言うダバだった。
「ポセイダルのところに行く前にね」
「そういえばフル=フラットって」
キーンがそのダバに問う。
「どういった人なの?」
「かつてポセイダルの近衛隊の司令官だったらしい」
こうキーンに答えるダバだった。
「ただ。それ以外は」
「知らないの?」
「知られていないんだ」
そうだというのである。
「その他のことは殆ど」
「知らない?」
「そう、誰も彼女のことは知らないんだ」
また話すダバだった。
「誰もね」
「その通りだ」
「それはな」
ギャブレーとレッシィも言ってきた。
「十三人衆だった我々もだ」
「あの女のことは一切知らされなかった」
そうだというのである。
「だが。かなりの権力を持っている」
「それは確かだ」
「ポセイダルも特別扱いしている」
「あの星を自分のものにもしている」
「ということは」
ここまで聞いてだ。ヒメが言った。
「やっぱり私達の敵なのね」
「そうだな。それはな」
勇もヒメのその言葉に頷く。
「それは間違いないな」
「そうよね。やっぱり」
「ただ」
「ただ?」
「何もわかっていない敵というのは厄介だな」
勇はこのことに不安を感じていた。
「どういった戦いになるかな」
「けれど行くしかないわ」
カナンはこの現実を話した。
「それはね」
「そうよね。それはね」
「行くしかないな」
ヒメと勇も頷く。そしてだった。
ロンド=ベルはギワザの基地に入りそこで補給や整備を整えてからだ。反転してサードスターに向かうのだった。そこでまた一つの謎を知るのだった。
第七十二話 完
2010・11・6
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