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バカとリリカルと召喚獣

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宣戦布告と行くか(By雄二)

 バカテスト 英語

 問 以下の英文を訳しなさい。

[This is the bookshelf that my grandmother had used regularly]


 姫路瑞希、フェイト・T・ハラオウンの答え

[これは私の祖母が愛用していた本棚です。]

 教師のコメント

 正解です。きちんと勉強していますね。



 土屋康太の答え

[これは         ]

 教師のコメント

 訳せたのはThisだけですか。



 高町なのはの答え

[それは         ]

 教師のコメント

 Thisくらい訳せるようになりましょう。



 吉井明久の答え

[☆●◆▽∟♪※×      ]

 教師のコメント

 できれば地球上の言語で



      ☆



「あぁ、ちょうど良かったです。姫路さんも自己紹介をお願いします」

「は、はいっ、姫路瑞希と言います。よろしくお願いします……」

 小柄な身体を、更に縮こませるようにして声をあげる瑞希ちゃん。

「はい、質問です!」

 すると突然、一人の男子が声を上げます。まぁ、なんとなく何を言いたいかは分かるけど。

「何でここにいるんですか?」

 傍から見たら失礼なこの質問。でも、別に不思議ではありません。だって瑞希ちゃんは定期テストでは常にトップ5にランクインするほど成績がいいですから。誰だって瑞希ちゃんはAクラスに配属されると普通は思ってますから。実際、私だって事実を知らなければ驚いてるはずです。

「えっと実は……試験中に熱を出して途中退席しまして……」

 モジモジとそう答える瑞希ちゃん。すると……

『そういえば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに……』

『あぁ、化学だろ?あれは難しかったな』

『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて……』

『黙れ一人っ子』

『テストの前の晩、彼女が眠らせてくれなくて』

『今年一番の大嘘をありがとう』

 あちらこちらから出てくる言い訳の数々。これは予想以上にバカだらけなの。

「そ、それでは今年一年宜しくお願いします!」

 そんな中、逃げるように私とアキ君の間の席に着く瑞希ちゃん。こうして見ると、同じ女子としても可愛く見えます。

「き、緊張しました~~」

 そう言って卓袱台に突っ伏す瑞希ちゃん。声ぐらい掛けてあげようかな?

「「瑞k……」」「姫路」

 ちょ、誰なの?人が話しかけようとしたら横から割り込んでくるのはっ!

「は、はいっ。何ですか?えーっと……」

「坂本だ。坂本雄二。よろしく頼む」

「あ、姫路です。よろしくお願いします」

 そう言って深々と頭を下げる瑞希ちゃん。やっぱり育てがいいなぁ。

「ところで、姫路の体調はいまだに悪いのか?」

「あ、それは僕も気になった」

 と、アキ君がそれに便乗して聞いてきます。やっぱり心配なんだね。

「あ、明久君!?」

「姫路、明久が不細工ですまん」

 坂本君……フォローになってないよ、それ……。

「そ、そんな!目もパッチリしてるし、顔のラインも細くて綺麗だし、全然不細工なんかじゃないですよ!その、むしろ……」

「そう言われると、確かに見てくれは悪い顔をしてるかもしれないな。俺の知人にも、明久に興味を持ってる奴がいた気がするし」

 なんて事を言う坂本君。へぇ、アキ君に興味を持った人かぁ。誰だろ?

「確か、く「ねぇ、坂本君」な、なんだ高町?」

「その人って、まさか同性とかじゃないよね?もしそうだったら……」

 本日三度目のスターライトブレイカー。頑張らなきゃね。

「あ~~その、すまん姫路。俺の勘違いだったと思う。うん、俺の勘違いだ!」

「そうですか(……よかった)」

 ホッとする瑞希ちゃん。それにしてもあの坂本君の様子。絶対男の子の名前を言うつもりだったと思うな。

「あれ……な、なのはちゃん!?」

 あ、ここでようやく私に気がついてくれたみたい。

「やっほー瑞希ちゃん。ところで、話がそれちゃったから聞けなかったけど体調はどう?大丈夫?」

「あ、そうだった。どうなの、瑞希」

「あ、はいっ。もう大丈夫です。お騒がせしました」

「そっか、それなら良かった。いや~春休み中アキ君がずっっと心配しててさ~」

 春休み中、アキ君ずっと心配してたんだよね。

「そりゃそうだよ。むしろ心配しない方がおかしいって」

「えーそこの人達、少し静かにしてください」

 と、そこで福原先生が教卓をばんばんと叩いて警告をしてきた。

「あ、すいませ--」


 バキィッ バラバラバラ……


 突如、教卓がゴミ屑になってしまいました。まさか少し叩いただけでこうなるなんて……

「え~替えを持ってきますので、自習しててください」

 そう言って教室を出る福原先生。

「すごい設備……当然酷い方で」

「あはは……コホッコホッ!」

 すると、埃でも吸い込んだのか瑞希ちゃんが咳き込みます。

 これは……もはや学校設備とは呼べないと思うなぁ……。いくら最低設備だからってこれはやり過ぎな気がするよ。

『…………。雄二、ちょっといいかな?』

『なんだ、明久?』

『ここじゃ何だから』

『わかった……』

 と、なにやらアキ君が坂本君に話しかけています。何でしょう、一体?





      ☆






「それでは最後に坂本君、自己紹介をお願いします」

「りょーかい」

 そう言って坂本君は教壇に立ちます。そういえば……

「アキ君。さっき坂本君と何を話してたの?」

「ん? あぁ、すぐに分かるよ」

「???」

 アキ君の思わしげな言葉に私は首を傾げます。

「Fクラス代表の坂本雄ニだ。俺のことは代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。……さて、みんなに一つ聞きたい」

 そう言って坂本君は視線を教室の設備に移していきます。


 --かび臭い教室

 --古く汚れた座布団

 --薄汚れた卓袱台


「Aクラスは冷暖房完備の上に座席はリクライニングシートらしいが……」

 そこまで来て少し溜めて……

「……不満は無いか?」

『『『『『大有りじゃあっ!!』』』』』

 2年Fクラス魂の叫びなの。

「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題を抱いている」

『そうだそうだ!』

『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!』

『そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!』

 堰を切ったように次々と上る不満の声。

「みんなの意見はもっともだ。そこで、これは代表としての意見だが、俺達FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う!」

 そんな坂本君の言葉に、クラスは騒然となります。まぁ、当然だと思います。

『なにを馬鹿なことを言ってんだ』

『勝てるわけが無いだろう』

『これ以上設備が落とされるなんてイヤだ』

『姫路さんがいれば何もいらない』

『高町さんがいればそれでいい』

『木下がいればご飯七杯はいける』

 やっぱりアチコチから否定的な言葉が聞こえてきます。まぁ、最後の三つは明らかに違いますが……。

「安心しろ。勝てる根拠と可能性があるからこんなことを言うんだ」

『勝てる根拠……だと?』

『可能性だと……?』

「あぁ。それを今から説明してやる」

 そう言って、坂本君はにやりと笑ったのでした。

 ……まるで悪人風に。 
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