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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第五十七話 アナタノオト

               第五十七話 アナタノオト
「シェリル!」
「ええ!」
 アルトは今度はシェリルに声をかけていた。
「歌ってくれ!」
「今まで以上になのね」
「そうだ、歌ってくれ!」
 こう言うのだった。
「あいつの為に!」
「ランカちゃんの為に」
「ランカは今助けを求めている」
 ランカの歌もだった。今戦場に聴こえていた。
「だからだ。お前の歌も必要なんだ!」
「わかったわ」
 シェリルもアルトのその言葉に頷く。
「それなら!」
「よし!俺達もだ!」
「ええ!」
「やるぞ!」   
 ファイアーボンバーもだった。戦場で演奏をしていた。
「シェリルとデュエットだ!やるぜ!」
「そうね、最高のコンサートよ!」
 バサラとミレーヌは今バルキリーで背中合わせになった。そうしてギターとベースを演奏させてだった。
 音楽を奏でる。それはだ。
「うっ、これは!?」
 ブレラに異変が起こったのだった。
 そしてだ。彼の目の色が変わった。
「うう、まさか俺は」
 そのまま彼はバルキリーを何処かにやった。そして。
 虚空の中にいるランカのところに来てだった。
「ランカ」
「お兄ちゃん!?」
「ああ、今の歌でだ」
 こう妹に言うのだった。
「奴の束縛から解放された」
「それでなのね」
「そうだ、そしてランカ」
「ええ」
「歌うんだ」
 優しい声での言葉だった。
「御前の歌を」
「ええ、それじゃあ」
 そうしてだった。ランカも今呪縛から解放されたのだった。
 己の歌を歌う。それは。
 シェリルの歌とも合さりだ。全てを変えていった。
「何っ、バジュラが!」
「バジュラ達が戻っていく」
「まさか本当に」
「バジュラ達は敵じゃなくて」
「分かり合える存在だった・・・・・・」
「そうだったの」
 このことを誰もがその身で感じ取った。
「じゃあ俺達の本当の敵は」
「そうね」
「それは」
「そうだ、あの女だ!」
 ジェフリーが言う。
「バジュラの女王と融合しただ。グレイス=オコナーだ!」
「だよな、あいつだけだ!」
「あいつさえ倒せばそれで!」
「この戦いは終わる!」
「これで!」
 全軍でグレイスに向かおうとする。そしてだった。
 戦場にだ。何かが出て来た。それは。
 漆黒で複数の翼を持つ堕天使だった。それが出て来たのだった。
「あれか」
「あれがグレイス=オコナーの」
「あの女の力か」
「そうよ、神の力よ」
 その中にいるグレイスが絶対者の笑みを浮かべて言う。
「私の力なのよ」
「ふざけるな!」
「そうよ!」
 その堕天使にだ。ロンド=ベルの総攻撃が浴びせられた。
「何が神だ!」
「そんな言葉飽きる程聞いてるわよ!」
「そしてな!そういう奴はな!」
「いつもやっつけられているのよ!」
 こう叫んでの総攻撃だった。しかしだ。
 それを全て受けて倒れてもだ。すぐに復活してくるのだった。
「残念ね」
「くそっ、復活かよ!」
「死なないっていうのね!」
「そうよ」
 グレイスの絶対の自信は変わらなかった。
「見ての通りよ」
「やはり融合体と本体を同時に倒さないと」
「駄目なのか」
「さあ、ここで倒れなさい」
 その堕天使の翼が光った。そうしてロンド=ベルを撃つのだった。
 アルトはだ。今心の中で二人と話していた。
 まずは二人がだ。話していた。
「シェリルさん」
「ええ、ランカ」
「来てくれたんですね」
 ランカからだった。
「私の為に」
「そうよ。もう私は長くは生きられないけれど」
「いえ、大丈夫です」」
「気休めはいいわ」
「バジュラは人を殺したりはしません」
「それじゃあ私のこの病気は」
「消えます」
 そうなるというのだ。
「シェリルさんはバジュラをわかってくれましたね」
「ええ」
「そしてバジュラもシェリルさんをわかりました」
「それでなの」
「その病気はお互いを受け入れた時に消えるものなんです」
 それをだ。ランカが話す。
「私も最初はそうでしたから」
「そういえば貴女は先天性の」
「ですが私はあい君と出会えて」
「そうしてなのね」
「はい、それで」
 だからだというのである。
「ですからシェリルさんも」
「そうなのね」
「だから二人で」
 またシェリルを誘う。
「飛びましょう」
「二人で」
「そうだ」
 ここでアルトが出たのだった。
「御前達は俺の翼なんだ」
「翼」
「私達が」
「そうだ、だから二人共」
「一緒に」
「貴方と」
「そうだ、生きよう」
 これがアルトの二人への言葉だった。
「今から」
「ええ、わかったわ」
「私も」
 シェリルもランカも頷いた。
「私達、そうね」
「そうですよね」
 またお互いも見るのだった。
「私は今は貴女がいたからこそ飛べるわ」
「私は貴女がいたから飛べて」
「同じね」
「そうですね」
 お互いを認め合う言葉であった。
「だからここは」
「二人で」
「アルトの翼になりましょう」
「そして」
「ええ、飛ぶわ」
「三人で」
 こう話してだった。アルトに向き直る。そうして。
「アルト」
「アルト君」
「ああ、行く!」
 アルトも意を決した声で返す。そしてだ。
「飛ぶ!これからこの銀河を!」
「ええ、そして歌を!」
「歌を歌って!」
 三人は今その世界に戻った。そうして。 
 アルトは戦場を飛ぶ。その中でだ。
 彼の横にブレラの機体が来た。
「ブレラ・・・・・・」
「ランカの場所はわかっているな」
「ああ」
 彼のその言葉に頷いてだった。
「それはもうな」
「わかった。それならだ」
「あそこだ!」
 ギャラクシーの廃棄されたその残骸の一部だった。
「あそこにだ。ランカはいる!」
「よし、それならだ」
「御前も。ランカを愛しているんだな」
「ランカは俺の妹だ」
 こう答えるブレラだった。
「そして兄の俺から言う」
「何だ?」
「ランカを頼んだ」
 兄としての言葉だった。
「そういうことだ」
「わかった」
「だからだ。絶対に助け出せ」
 また彼に告げた。
「いいな」
「わかっている。ランカ!」
 その残骸に向かってであった。
 そしてそこにまずはビームを放った。それからだ。
 空いたその空間に飛び込む。そこにだった。
 束縛されているランカを見つけ出した。バルキリーのコクピットを飛び出てだ。彼女を救い出したのであった。
「来たぞ、ランカ!」
「アルト君・・・・・・」
「後はわかってるな」
「ええ」
 アルトのその言葉にこくりと頷く。
「それじゃあ」
「皆に聞かせるんだ」
 また言うアルトだった。
「それじゃあな」
「うん、それじゃあ」
「歌うんだ」
「ええ、私歌うわ!」
 ランカの手にはだ。既にマイクがあった。
「この私の歌で!」
「ランカ!」
「シェリルさん!」
 二人も息を合わせる。そして。
「銀河に響いて!」
「私達の歌!」
 今戦場を歌が満たす。それを聞いてだ。
 綾人が話すのであった。
「この歌は」
「どうしたの?」
「全てを変えます」
 こう遥に話すのだ。
「そう、歌は全てを変えます」
「それはこの世界でも同じなのね」
「あらゆる世界がそうです」
「音で、音楽で変わる」
「はい」
 遥の言葉に対してこくりと頷く。
「その通りです」
「そしてその変わった先には」
「僕達の、この世界の人達の世界があります」
「それなら」
「行きましょう、遥さん」
 ラーゼフォンの中から彼女に言う。
「この世界の為に」
「ええ、皆の為に」
 二人も前に出る。グレイスの周りには彼女が生み出した無数のモビルスーツやバルキリーが無人で展開している。他のマシンもだ。
「今そんなものが出てもだ」
「何ともないのね」
「そうだ」
 こう小鳥に答える。宗介だった。
「どうということはない」
「まさかここでドクーガの戦闘機なんてね」
「しかしどうということはない」
「ふむ。かつて使ってきたマシンと戦うとはだ」
「複雑な気持ちだな」
「確かにな」
 カットナル、ケルナグール、それにブンドルも話す。
「しかし戦い方はわかっている」
「それならばだ」
「造作もないこと」
「他にもいるわ」
「あれはキャンベル星の軍のマシンね」
 宗介と小鳥はそうした敵とも戦っていた。
「だが数があるだけだ」
「どうということはないわね」
「周りの敵はどうということもない」
 また言う彼だった。
「しかし」
「しかし?」
「問題は女王だ」
 彼もまたグレイスを見ていた。
「あいつをどうするかだ」
「アルト君、いいわね!」
 小鳥はそのアルトに対して通信を入れた。
「そこのむかつく女王様、やっつけちゃって!」
「ああ、わかってる!」
「そうすればこの戦い、終わるわ」
「そしてだ」
 今度はキリコであった。
「こちらももうすぐだ」
「あっ、キリコさん」
「あの女の本体の場所がわかった」
 そうだというのである。
「今そこに近付いている」
「えっ、そうなんですか」
「ギャラクシーのことなら隅から隅までわかる」
 キリコは冷静に述べる。
「何処までもな」
「凄いですね、それって」
「そしてだ」
 キリコは今ある扉の前にいた。そのうえでまた言う。
「早乙女アルト」
「ああ」
「女王を撃てるか」
「ああ、撃てる」
 アルトもこう答える。
「今すぐにもな」
「アルト君、お腹だよ」
「お腹?」
「そう、お腹よ」 
 ここでランカが言ってきたのだった。
「バジュラはお腹で歌うのよ」
「バジュラも歌うのか」
「そうなの。バジュラは歌でお互いを引き寄せ合って。それで」
「それでか」
「お互いに交わるのよ」
 そうだというのである。
「お互いに遠い星に離れたそれぞれのバジュラ達とね」
「へえ、そういう習性だったんだ」
「成程ね」
「それでなの」
 皆それを聞いて頷くのだった。
「バジュラも生物だったんだ」
「それを考えると」
「それでバジュラはね」
 ランカはそのバジュラの話も続ける。
「私達人間がどういう存在かわからないから」
「それで襲い掛かって来ていた」
「そうだったんだ」
「そう、本当は争いを好まない種族なのよ」
 そうだというのである。
「巣のテリトリーに来たら攻撃するミツバチと同じか」
「そうなるわね」
「それでバジュラのことばわかり私に来てもらって」
 ランカの話は続く。
「それで人間のことを知ったの」
「じゃあ今のバジュラは」
「だからそれで」
「そう、敵じゃないよ」
 現にだった。今彼等は人間とは戦っていない。そうしてであった。
 グレイスに向かっている。今ではだ。
「けれどバジュラのそうしたことを知ったあいつは」
「自分が利用する為に」
「それでバジュラを操って」
「俺達もか」
「そうだったのね」
「そうだ」
 ブレラが彼等のその問いに答える。
「だからあの女は今まで俺達に攻撃を仕掛けてきていた」
「それも含めて許せるか」
 アルトは今そのグレイスが操る堕天使を見据えながら話す。
「こいつだけは」
「戯言を」
 グレイスの怒りの言葉が来た。
「これこそが人類の理想の進化だというのに」
「違う!」
 アルトはグレイスの今の言葉をすぐに否定した。
「それは違う!」
「それが戯言だというのよ」
「御前は自分が銀河を、人間を支配する為にバジュラを利用しようとしているだけだ!」
「まだ言うというのね」
「何度でも言う!」
 そうだというのだ。
「御前はそれだけだ!人間のことは考えていない!」
 そしてさらに言う言葉は。
「自分のことだけだ!」
「くっ、まだ言うのね」
「何度でも言ってやるって言ったな。御前はそれだけだ」
「その言葉、許せないわ」
「それは俺もだ」
 言いながらだ。彼は射程を構えた。バトロイド形態になってだ。
「貴様のその目論見、今ここで潰してやる!」
「人間は一人だ」
 ブレラも言う。
「それは変わらない」
「しかしだ」
 ここでアルトもだった。
「一人だからこそだ」
「そうだ」
「一人だからこそ一人ではいられない」
「他の人間が必要なのだ」
「だからこそだ!」
 今グレイスに対して照準を定めた。
「今ここで貴様を撃つ!」
「くっ・・・・・・」
「覚悟しろ!」
「そこだな」
 キリコもここで扉を開いた。そこにだった。
 グレイスがもう一人いた。堕天使の中にいるもう一人の彼女と同じくである。無数の触手を出してその中で融合しているのであった。
「いたか、やはりな」
「くっ、キリコ=キューピー」
「終わりだ」
 キリコは冷たく彼女に言い放った。
「貴様もここでだ」
「異能力者でもわからなかったのね」
「わかっているからだ」
 これはアルトと同じであった。
「貴様を倒す」
「くっ、そうは・・・・・・」
 その触手をさらに出してキリコを襲おうとする。しかしであった。
 キリコは手に持っているビームガンでその触手を全て撃ち落してしまった。全てだ。
「撃ち落しただと!?」
「無駄だ」
 キリコは淡々とした調子で驚くグレイスに告げた。
「貴様では俺は倒せぬ」
「馬鹿な、私は」
「貴様は女王にはなれない」
 キリコの今度の言葉は冷たいものであった。
「絶対にだ」
「何故そう言えるというの。私は」
「貴様の器はわかっている」
「この私の器を」
「貴様が考えているのは己のことだけだ」
 そこまで見抜いていたのだ。
「そうした人物は人の上には立てはしない」
「くっ、キリコ=キューピー」
「死ぬのだ」
 照準をグレイスの左胸に合わせた。そうして。
「アルト」
「ああ」
 アルトに通信を入れる。彼もそれに返してきた。
「見つけたんだな」
「御前と同じだ」
 こうアルトに言うのであった。
「今から心臓を撃ち抜く」
「そして俺もまた」
「そうだ、行くぞ」
「俺もまた今」
「撃て」
 アルトに告げた。そのうえでトリガーを引いた。
 アルトもだ。今目の前にいるグレイスに対してビームを放ったのだった。
「行けーーーーーーーーーーーーっ!!」
「おのれ、私はまだ」
 しかしだった。グレイスはその最後の瞬間でも諦めてなかった。そのうえで何とか生き残ろうとする。
 だがそれは叶わずだ。本体もバジュラを操っている身体もだ。どちらも射抜かれてしまったのだった。
「終わりだ!」
「これで全てな」
 アルトとキリコが同時に告げた。
「貴様は所詮だ!」
「何もわかっていなかった」
「何故、この私が」
「御前はバジュラを利用しようとしていただけだ」
「己の為だけにな」
「私が。この私が導いてこそ」
 グレイスはその断末魔の中で話した。
「人類は正しい繁栄を迎えるというのに」
「生憎だが人は一人だ」
 その彼女にブレラが告げた。
「そして一人だからこそだ」
「どうだというの、その一人だからこそ」
「その別の人間を愛せるのだ」
「愛、戯言ね」
 グレイスにとってはだった。
「所詮そんなものを信じるから人は」
「御前はその愛に破れたんだ」
 アルトがまた告げた。
「俺達が誰かを想う気持ちにな」
「そんな筈がないわ。私はまだ」
「無駄だ、御前はもう終わりだ!」
 アルトの言葉は叫びになっていた。
「それで立てるとというのならもう一度俺が倒してやる!」
「なら。私は」
 もう一度戦おうとするがそれでもだった。
 動けない。そうして。
 崩れ落ちていく。その彼女にシェリルが告げた。
「グレイス、貴女は」
「シェリル、まさか病気は」
「そうよ、克服できたわ」
 その証拠に毅然として立っている彼女だった。
「私がバジュラを受け入れたことでね」
「そんなこと、有り得る筈が」
「あるわ。貴女は愛を否定したけれど」
「そうよ。そんなものは」
「あるわ。私も、そしてバジュラ達の間にも」
「バジュラにも・・・・・・」
「それがわかったから私は病を克服できた」
 そうだというのである。
「そういうことよ」
「くっ、神に見限られても生きているなんて」
「貴女は神じゃないわ」
 そのシェリルがまた告げた。
「只の人よ」
「この私を。そう言うとは」
「貴女に見出されたことは感謝するわ」
 それはだと返す。
「だから」
「だから・・・・・・」
「さようなら」
 こう告げてだ。シェリルの言葉は終わった。
 その言葉を受けたグレイスは炎の中に包まれた。その最後の言葉は。
「私は。私こそがこの宇宙を・・・・・・」
 その言葉と共に消えたのだった。後には何も残らなかった。
 バジュラは人類と和解し彼等の周りを舞う。その中でだ。
 フロンティアとギャラクシーの市民達はその惑星に入ってだ。入植することになった。そしてだ。
「レオン=三島は自害したか」
「ああ、さっきな」
「自分でケリをつけたらしい」 
 レオンの死のことがロンド=ベルにも伝わっていた。
「それじゃあ葬儀か」
「嫌な奴だけれど」
「死んだか」
「そうだよな」
 死んでしまえばだった。そこには名残惜しさもあったのだった。
 国家元首はギャラクシーの大統領が務めることになった。そうしてだ。
「えっ、キリコあんたも」
「俺達と一緒にか?」
「ロンド=ベルに来るの」
「そうなんだ」
「そうだ」
 その通りだと返すキリコだった。
「それは駄目か」
「駄目じゃないけれど」
「それでも」
「いいんですか?」
 皆そのキリコを見て驚いていた。
「ギャラクシーに留まらずに」
「この星に残られないんですか」
「どうして」
「この星の護りは既にある」 
 キリコは驚く彼等にこう返すのだった。
「フロンティアの戦力とバジュラがいる」
「いえ、そうじゃなくて」
「あの、ですから」
「俺達とって」
「この星に残らないで」
「構わない」
 その問いにも素っ気無く答えたのだった。
「また戻って来ることはできる」
「だからなんですか」
「それで」
「それよりもだ。ソール十一遊星主のことだ」
 彼が言うのはこのことだった。
「それを放っては置けない。俺も行かせてもらう」
「異能力者キリコ=キューピーも参戦か」
「ああ、そうだな」
「凄いことになったね」
 キリコのその申し出を受け入れての言葉だった。
「それじゃあ宜しく御願いします」
「俺達と一緒に」
「戦いましょう」
「ああ」
 こうしてキリコはロンド=ベルに加わった。そうしてであった。
 シェリルとランカもだ。こう言うのだった。
「あの、よかったらシティ7に」
「一緒に行っていいかしら」
「えっ、御二人もですか!?」
「いいんですか!?」
「この星に留まらなくて」
「ええ、いいのよ」
「私達も決めたんです」
 こうロンド=ベルの面々に返す二人だった。
 そしてだ。二人はさらに話すのだった。
「私達の歌で銀河を平和にしたいの」
「バサラさんみたいに」
「そうか、それならだ」
 バサラは二人の言葉を聞いて満面の笑顔になった。
「俺は賛成だぜ」
「そうだよな。そこまで言うんならな」
「二人も歓迎しようぜ」
「ええ、そうね」
「それだったらね」
 二人もロンド=ベルに受け入れられた。そしてだった。
 アルトはだ。こう言うのだった。
「そうか」
「そうかってよ」
「あの、それだけですか?」
 ミシェルとルカがそのアルトに突っ込みを入れた。
「二人共。わかるだろ」
「先輩を」
「わかってるさ。わかってるからなんだよ」
「わかってるから」
「それで」
「今は何も言わない、いや言えない」
 アルトは真剣そのものの顔で言った。
「しかしな。それでも二人が決めたことなら」
「受け入れる」
「そうなんですね」
「そうする。そして最後まで二人と一緒にいる」
 そうするというのである。
「選ぶのは。その時が来ればだ」
「そうか、わかった」
「先輩、それなら僕達は」
 ミシェルとルカはアルトのその言葉を受けて頷いた。
「御前のその考えを尊重するからな」
「それでいいですね」
「悪いな。ところでルカ」
「はい」
 話はルカにも及んだ。
「ナナセちゃんはどうなったんだ」
「目を覚ましました」
 ルカの顔が急に晴れやかになる。まるで雨が止んだかの様に。
「それで彼女もですね」
「あの娘も?」
「僕達に同行してくれるそうです」
「へえ、そうなのか」
「そりゃよかったな」
「はい、本当に」
 満面の笑顔でアルトとミシェルに話す。
「マクロスクウォーターのオペレーターの一人になりました」
「それはいいな」
「そうだな」
 アルトとミシェルはそのことはよしとした。しかしであった。
「声。混乱しそうだな」
「もっとな」
 このことを話すのだった。
「俺はいないけれどな」
「俺とティエリアよく間違える奴いるしな」
「そういえば僕も斗牙君と」
 この二人には実感としてわかることだった。
「ナナセちゃんの声も多いからな」
「同じ感じの声の人がな」
「例えば私とかですよね」
 ユリカが何処からか出て来た。
「他にもナタルさんにステラちゃんに」
「声の似ている人多過ぎるんだよな」
「ナナセさんとミスマル艦長の場合は」
「けれど嬉しいですね」
 ユリカはこのことを素直に喜んでいた。
「そうした人が来てくれるのは」
「いいよな、それは」
 アルトは何故か嫉妬めいたものすら感じていた。
「俺もそうした相手がいればな」
「まあ気を落とすな」
「悪いですけれどそれしか言えません」
 ミシェルとルカには余裕があった。
「そのうちな」
「先輩にも」
「いるか?いればいいんだがな」
 アルトは今度は苦い顔になっていた。
「本当にな」
「まあとにかくな」
「行きましょう」
 こう話してだった。彼等は旅を再会するのだった。その目指す先はだ。
「さて、次は」
「ああ、そうだな」
「いよいよ」
「三連惑星だ」
 そこであった。
「その途中にも色々あるだろうけれどな」
「それでもな」
「いよいよだよな」
「ああ」
「まずは何が出て来るかな」
「さてな」
 そう考えてもであった。
 具体的にはといっても。やはり多過ぎた。
「宇宙怪獣か?」
「それともプロトデビルンか」
「何だろうな」
「こういう連中はいつも出て来るからな」
「来るなって言われてもね」
 いささか自分達の都合で話していた。
「その連中がな」
「それにまだポセイダルだったか?」
「ああ、バルマーの」
「あの連中もいたよな」
「ああ」
 彼等のことも話される。
「敵は多いよな」
「相変わらずな」
「けれどどの敵が出て来てもな」
「戦いしかないしな」
「結局はね」
 これが結論であった。
「それじゃあまずは」
「三連惑星にまで」
「向かうか」
「よしっ」
「今からね」  
 こう話してだった。彼等は再び戦場に向かうのだった。そして次の戦場ではだ。再び激しい戦いが待っていたのだった。だがそれでも向かう彼等だった。
 

第五十七話   完


                        2010・9・14 
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