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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第四十五話 キャンベル解放

             第四十五話 キャンベル解放
 ロンド=ベルと解放軍がキャンベル星に降下した。そこは海の上だった。
「それじゃあここから」
「ジャネラの王宮に?」
「行くんですよね」
「はい」
 デウスが彼等の問いに答えた。
「これよりです。道案内はお任せ下さい」
「御願いします。それじゃあ」
「これから」
「そしてです」
 ここでだ。デウスはさらに言うのだった。
「キャンベル星にも我等の同志はいます」
「この星にもですか」
「おられるんですか」
「それは一体誰ですか?」
 問題はこれだった。
「一体誰が」
「どういった人が」
「はい、それは」
 そうしてだった。その彼がモニターに出て来た。
 その彼を見てだ。ロンド=ベルの面々の多くが驚いた。
「な、何っ!?」
「嘘でしょ!?」
「どうしてあんたが」
「どうしてここに」
「?どうしたのだ?」
 その彼はだ。驚く彼等にいぶかしむ顔で返した。
「私はこの方々とは初対面だが」
「初対面じゃねえだろ」
 豹馬がその驚いた顔で彼に告げた。
「ガルーダ、お前死んだんじゃなかったのか?」
「いや、アンドロイドだったんじゃ」
「それが何故?」
「コピーがまだあった?」
「それがここに」
「いや、私は生粋のキャンベル星人だ」
 その男ガルーダはこう語るのだった。
「そうなのだが」
「キャンベル星人」
「そういえば喋り方が少し違う?」
「そうよね」
 このことも話すのだった。
「だって。あのガルーダの一人称は余だったけれど」
「このガルーダは私だし」
「そこが違うよね」
「そうよね」
「一体何を言っているのだ」
 ガルーダは今度は狐につままれたような顔になっていた。
「この方々は」
「だからな。俺達は地球でだな」
「地球で?」
「アンドロイドのあんたと戦ったんだよ」
「ということは」
 ここでガルーダもわかった。
「あれか。オレアナの手によって私のアンドロイドが造られていたのか」
「そういうことね」
 ちずるもそれで頷いた。
「とどのつまりは」
「そうか。オレアナらしいな」
 それを聞いて納得したガルーダだった。
「私はあの女と過去何度も戦ってきたからな」
「そうだったんですか」
「そんな因縁があったんですか」
「それへの仕返しか」
 ガルーダはこう悟った。
「そういうことだな」
「何かオレアナらしいよな」
「そうよね」
「あいつらしいし」
「そういうことするって」
 オレアナの性格はである。誰もがよく覚えていた。それを考えると当然の結論だった。
「けれどそのオレアナも死んでるし」
「まさかオリジナルのガルーダがいるとは思わなかったけれど」
「しかも味方だなんて」
「少なくとも敵ではない」
 ガルーダもそれは保障する。
「諸君等と戦う理由はない」
「それじゃあ一緒にですね」
「戦いましょう」
「それじゃあ」
「うむ。それではだ」
 ここでだ。ガルーダの姿が変わった。
 そのうえでだ。あの鳥人の姿に変わった。
「その姿にはなれるんですね」
「オリジナルでも」
「それは変わりなしですか」
「そうだ、これは私の特殊な能力だ」
 それによってであるというのだ。
「それで変わったのだ」
「キャンベル星人の中ではかなり特殊な能力です」
 デウスがこう話す。
「このガルーダだけができるのです」
「本当にガルーダっていうか」
「そのまま」
「声だってね」
「確かに」
「あっ、そういえば」
 声でだ。皆気付いた。
「ガルーダとワルキメデスの声ってそっくり」
「それにリヒテルさんやハイネルさんとも」
「そうそう、そっくりだし」
「同一人物にも見えない?」
 皆で言う。そして洸も言った。
「シャーキンの声もだな」
「ああ、クロッペンの声だな」
 弾児も話す。
「この声も多いんだな」
「そうよね」
「何か知らないがだ」
 ガルーダは今度は首を傾げさせていた。
「私の声は似ている者が多いのだな」
「まあ声についてはですね」
「色々そういう人多いですから」
「心当たりある相手ってそいじょそこいらに幾らでも」
「そうだよな」
 皆で話すのだった。そうしてだった。
 そんな話をしながら向かう。そうするとだった。
「解放軍万歳!」
「我等に自由を!」
「そして平和を!」
 キャンベル星の市民達だった。彼等は歓呼の声でロンド=ベルの者達と解放軍を迎えるのである。それは大きな声だった。
「やっぱりね」
 万丈はその声を聞いて言った。
「こうだろうと思ったよ」
「ということは」
「ジャネラは支持されていない」
「むしろ憎まれている」
「そういうことか」
「その通りさ」
 万丈は仲間達にも答えた。
「ジャネラみたいな人間はね。民衆の支持はないものだよ」
「じゃあこの戦いは」
「勝てますね」
「ジャネラには」
「勝てるよ」
 それは確実だというのだった。
「間違いなくね」
「そうですか、勝てますね」
「もう戦力もないですし」
「それなら」
「勝てるよ。簡単にね」
 造作もないというのだ。
「手の平を返すようなものだよ」
「また随分と楽に言うな」
 宙がその彼に対して突っ込みを入れた。
「ジャネラも必死だぜ」
「何、僕達はこれだけの人間がいる」
 まずはロンド=ベルの面々だった。
「それに解放軍もいて」
「この人達も」
「キャンベルの市民達も」
「それに対してジャネラは一人」
 こう言い切った。
「一人、相手はそれだけだよ」
「そう考えたら楽だよな」
「本当に手の平を返す感じ」
「そうよね」
 皆このことがわかった。そうしてだった。
「よし、王宮にこのまま進撃して」
「ジャネラと最後の戦いだな」
「そうだな」
「よし、すぐに決めてやるぜ!」
 豹馬はその右手を拳にしていた。
「ジャネラ、一撃で仕留めてやる!」
「そうだな。キャンベル星の人達の為にも」
 健一も彼の言葉に頷く。
「ジャネラとの戦い、すぐに終わらせよう」
「よし、それなら」
「今から」 
 こう話してだった。彼等は王宮の前に来た。するとだった。
「来たな、ロンド=ベル」
「ジャネラか」
「出て来たか」
「手前がか」
「そうだ、わらわがだ」
 そのジャネラがだ。ロンド=ベルの前にいた。
「女帝ジャネラだ。宇宙の支配者だ」
「おいおい、こういう奴は絶対にこう言うな」
 勝平はジャネラの言葉を聞いて述べた。
「本当にな」
「そうだよな。お決まりだよな」
「全員考えることが同じなのね」
 宇宙太も恵子も彼の言葉にうなずく。
「器も知れてるしな」
「確かに」
「じゃあいつも通り倒してやるぜ!」 
 勝平はまた叫んだ。
「おい、手前の相手は俺だ!」
「いや、それは違う」
「残念だけれどね」
 宇宙太と恵子が勝平に突っ込みを入れる。
「今度のメインはだ」
「コンバトラーよ」
「ああ、そういえばそうか」
 言われて思い出した勝平だった。
「じゃあここは」
「俺達の相手は周りの連中だ」
「それでいいわよね」
「ああ、数は少ないがな」
 見ればだ。敵の数はいつもよりは少なかった。
「一万かそれ位か」
「この位なら」
「すぐだな」
 ロンド=べルの面々は言った。
「ジャネラを倒してそれで」
「終わりね」
「終わるのはだ」
 だがそのジャネラにしても敗れるつもりはなかった。こう言うのだった。
「御前達だ」
「だから台詞が古典的なのよ!」
 ミレーヌがその彼女に言い返した。
「もう言うことわかって面白くないわよ」
「何っ!?」
「あんたみたいなね」
「わらわみたいだと」
「そうよ、そういう奴はいつもそう言うのよ」
 何度も聞いてきたから言えることだった。
「それで自滅するのよ」
「自滅するだと。無礼な」
「ええ、するわ」
 また言うミレーヌだった。
「現に今もね」
「今どうだというのじゃ」
「実際にそうなっているじゃない」
 それは現在進行形だというのだ。
「見なさいよ、周り」
「むっ!?」
「あんたを守る人はそれだけ?」  
 数はだ。もう殆どなかった。
「そして敵は。見なさいよ」
「倒せ!暴君を倒せ!」
「女帝ジャネラ!もう消えろ!」
「死ね!いなくなれ!」
「キャンベル星からいなくなってしまえ!」
「これがよ」
 また告げるミレーヌだった。
「あんたの敵よ。キャンベル星の人達殆ど全てを」
「それがどうしたというのじゃ」
 しかしジャネラはそれを言われても平然としていた。
「それがじゃ。どうしたというのじゃ」
「どうしたっていうのかよ」
「そうじゃ。どうしたというのじゃ」
 今度はバサラに告げていた。
「民は支配するもの。力でな」
「へっ、こいつはやっぱり何もわかってねえな」
 バサラも言い切った。
「俺の歌でどうなるか見せてやるぜ!」
「歌で何ができる」 
 ジャネラは歌についても理解していなかった。
「それでじゃ。何ができる」
「それは今見せてやるぜ!」
 これがバサラの返答だった。そしてだ。
 既に戦闘ははじまっていた。一万の親衛隊はロンド=ベルによって既に半数まで減らされていた。その半数に対してだった。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーっ!!」
「!?この歌は」
「何だ?」
 親衛隊の者達はだ。その歌を聴いて動きを止めた。
「この歌はまさか」
「我々の歌」
「キャンベル星の歌か」
「ああ、それだ!」
 まさにその通りだと言うバサラだった。
「あんた達の歌だ。聴きな!」
「ちょっとバサラ」
 ミレーヌがその彼に問うた。
「何でこの歌なの?」
「何でかってか」
「そうよ。何でこの歌なのよ」
「キャンベル星の人達だからだ」
 だからだというのである。
「それでだ。それでこの歌だ」
「それでなの」
「この星の人達の昔の歌さ」
「何処で聴いた、その歌は」
 レイがそのバサラに問うた。
「一体何時だ」
「さっきな。解放軍の人達にな」
「あの人達から聴いたのか」
「いい歌だったからな。覚えたんだよ」
「何時の間になのよ」
 これにはミレーヌも呆気に取られた。
「あんたいつも突拍子もないけれど」
「俺に常識は通用しねえ!」
 これは誰もがその通りと頷くことだった。
「だからだ。俺の歌を聴けーーーーーーーーーっ!」
「もう滅茶苦茶ね」
 ミレーヌにしてみれば呆れるしかなかった。
「何が何だか」
「しかしだ」
 だがここでレイがミレーヌに言う。
「この歌でだ」
「この歌で?」
「明らかに何かが変わろうとしている」
 こう言うのだった。
「見ろ、親衛隊の兵士達がだ」
「えっ、嘘」
 これにはだ。ミレーヌは驚いた。
 親衛隊の将兵達は次々と武器を捨ててだ。解放軍に投降しだしたのだ。
「そうだ、俺達はな」
「キャンベル星人なんだ」
「それ以外の何でもない」
「そうなんだ」
 こう口々に言ってであった。
「だからもう」
「この戦いは止めよう」
「キャンベル星人同士で戦っても」
「もう何の意味もないんだ」
 バサラの歌でだ。そのことを思い出したのである。
 そしてだ。彼等は全員武器を捨てた。誰一人として残ってはいなかった。
「何っ、まさか」
「これが歌の力だ!」
 バサラはギターを手に唖然とするジャネラに告げた。
「わかったな。これがだ!」
「おのれ、何ということだ」
「これでわかったでしょ」
 ミレーヌもそのジャネラにまた告げた。
「こういうことなのよ」
「まだだ」
 しかしだ。ジャネラはまだ諦めていなかった。
 そしてだ。巨大な戦艦に乗ってだ。戦場に姿を現してきた。
「その戦艦は」
「何だ?」
「セントマグマ」
 ジャネラは自分からその戦艦の名前を話した。複数の紅い竜の頭を持つ戦艦だった。
「これがその戦艦の名よ」
「へえ、それがかよ」
 豹馬がそれを聞いて言った。
「今から俺達に倒される戦艦の名前だな」
「まだ戯言を言うか」
「戯言じゃねえよ」
 それは違うとだ。豹馬は告げた。
「事実だ。それなら今からそれを見せてやろうか」
「ふん、わらわ一人で貴様等を全て倒してやろう」
 そしてだ。こうも言うのだった。
「再び。この星を治めようぞ」
「愚かな」
 ガルーダはジャネラのその言葉を聞いて呟いた。
「まさに裸だな」
「確かに」
 デウスもガルーダのその言葉に頷いた。
「女帝ジャネラ。その最期が迫ろうとしている」
「見させてもらおう」
 ガルーダは冷静な口調で述べた。
「その最期をな」
「今から」
「悪いな」
 豹馬はその彼等に話した。
「こいつは俺達がやらせてもらうぜ」
「うむ、頼む」
 ガルーダもそれでいいとした。
「我々はだ。それでだ」
「いいんですね」
「諸君の力があってこそここまで来られた」
 ガルーダはちずるの言葉にも応えた。
「だからだ。ジャネラは任せた」
「わかりました。それなら」
「よし、行くぜ!」
 豹馬は仲間達にも告げた。
「この戦い、終わらせるぜ!」
「ほなやろか!」 
 十三が応えた。
「このアホなおばちゃん始末するで!」
「それならですばい」
 大作もいる。
「ここは一気に」
「そうですね。それでは豹馬さん」
 小介は豹馬に告げていた。
「ここはお任せします」
「ああ、じゃあやるぜ!」
 そしてであった。コンバトラーはそのセントマグマに向かった。
 ジャネラは一人だけ艦にいる。その中から自ら操縦する。
「喰らえ!」
 ビームを繰り出す。しかしそれは。
「こんな攻撃な!」
「当たる筈ないわよ!」
 コンバトラーはそのビームをあっさりとかわした。右に動いてだ。
 そのうえでだ。豹馬とちずるが言うのだった。
「さて、それならな」
「今度はこっちの番ね」
「一撃で決めてやるぜ」
 豹馬の言葉は冷静なものだった。
「このコンバトラーの渾身の技でな!」
「渾身の技だというのか」
「せめて苦しまないようにしてやる」
 これは豹馬のせめてもの情けだった。
「喰らえ、超電磁タ、ツ、マ、キーーーーーーーーーーーーッ!!」
「むっ!?」
 最初はだ。それだった。コンバトラーから出された凄まじい竜巻がセントマグマを捉えた。それは到底かわしきれるものではなかった。
 それを受けてだ。セントマグマは完全に動きを止めた。
「くっ、これは」
「止めだ!それでだ!」
 コンバトラーが動いた。変形してだ。
「超電磁スピーーーーーーーーーンッ!!」
 その渾身の一撃だった。それを放った。
 セントマグマはもう動けなかった。そしてそのセントマグマをコンバトラーが貫いた。豹馬の言葉通りまさに一撃だった。
「ぐっ・・・・・・」
「言ったな、これで終わりだ!」
 攻撃を終え変形を戻した豹馬の言葉だ。
「女帝ジャネラ、観念しやがれ!」
「おのれ、わらわはまだ」
 しかしだ。ジャネラはまだ諦めていなかった。
 そうしてセントマグマを動かそうとする。しかしだった。
「動かぬ!?何故じゃ」
「当たり前だろ」
 豹馬はそれを当然だというのだ。
「動かなくてな」
「何っ!?」
「コンバトラーの渾身の攻撃だったんだ」
 まず言うのはこのことだった。
「それを受けて無事でいられるか」
「だからだというのか」
「ああ、そうさ」
 まさにその通りというのである。
「それを受けて無事でいられる奴なんかいねえ。それにだ」
「それにだというのか」
「ジャネラ、手前は既に敗れていたんだ」
「既にだと」
「俺達には皆がいる」
 仲間達がだ。全てがだというのだ。
「しかし手前は一人だ」
「それがどうかしたのか」
「それがもう負けてるってことなんだよ」
「何が言いたいのじゃ」
「言ったままさ。手前は一人で宇宙の支配者になろうとした」
 このことを指摘するのだった。
「一人じゃ何もできないんだよ。絶対にな」
「宇宙の支配者は一人。それがどうかしたのか」
「それがわかってないことでもう負けてるんだよ」
 言う。だからジャネラはわかっていなかった。
 その証拠にだ。こう言うのだった。
「まだだ、まだわらわはじゃ」
「どうするってんだ?」
「貴様等を倒し。そして宇宙を」
「やれるものならやってみな」
 豹馬も遂に突き放した。
「動けるんならな」
「動いてみせよう」
 こう言いはした。しかしであった。
「むっ!?」
「動けないよな」
 豹馬はわかっているかのように言葉を返す。
「やっぱりな」
「何故じゃ、これは」
「超電磁スピンを受けたんだ。当たり前だろう」
「馬鹿な、あれしきの攻撃で」
「あれしきじゃねえ」
 またジャネラに告げた。
「俺達の、そしてキャンベル星の人達の願いが篭った攻撃だったんだ」
「何っ!?」
「それがそう簡単なものじゃねえんだよ」
 こう言うのである。
「手前なんかにはわからねえだろうがな」
「くっ、戯言を」
「俺の言葉が戯言だったら動ける筈だよな」
「そうね」
 ちずるも豹馬のその言葉に頷く。
「けれど今は」
「終わりだ、女帝ジャネラ」
 豹馬の今の言葉は引導だった。
「そのまま地獄に落ちろ」
「おのれ、そこまで言うか」
 艦橋も炎に包まれてきた。それでもジャネラは諦めない。
 まだ動かそうとする。尚もだった。
「ならばその無礼、命をもって」
 償わせようとする。しかし。
 炎に包まれたのだった。彼女自身もだ。
 そうして死んだ。女帝も遂にここで倒れた。
「終わりましたな」
「うむ」
 デウスがガルーダの言葉に頷いていた。
「これで完全にだ」
「キャンベル星は解放されました」
 ガルーダは感慨を込めて述べた。
「そして次はです」
「次はか」
「このもたらされたものを守りましょう」
 こう言うのであった。
「我々が」
「そうだな。そうしよう」
 デウスもがルーだのその言葉に頷く。
「我々の手で」
「何があろうとも」
「それじゃあ後は任せていいよな」
 豹馬がその彼等に問う。
「これからはな」
「そうさせてもらいたい」
 こう豹馬に返すガルーダだった。
「君達によってもたらされた平和だがな」
「いや、それは違うぜ」
「違う?」
「ああ、あんた達が立たないとな」
「そやな」
「その通りばい」
 ここで十三と大作も言う。
「わい等もここまで戦えへんかったわ」
「キャンベル星の人達もいたからですばい」
「その通りです」
 小介も話す。
「皆さんがいてこそです」
「そうなのですか」
 それを聞いてだ。デウスは不思議な顔になった。
「我々は殆ど何もしていないのですが」
「いや、この声ですが」
 しかしだった。大文字がここでデウスに話す。
「お聞き下さい」
「むっ!?」
「このキャンベル星の人達の声をです」
 聞けばだ。それはかなりのものだった。
「この声こそが証です」
「この声がですか」
「はい、自由と解放を求める声が勝利を掴んだのです」
「そうですよ。皆さんが動かれたからこそ」
 ちずるもここで話す。
「私達も戦えました」
「そういうことだよ。だからだよ」
 また言う豹馬だった。
「俺達はやれたんだよ」
「わかった。それではだ」
 ガルーダがここで頷いてみせた。
「この貰ったもの守らせてもらおう」
「ああ、そうしてくれ」
 こうしてだった。キャンベル星の戦いは終わった。ジャネラは倒れそのうえでだ。彼等は次にはボアザン星に向かうのであった。
 ボアザン星に向かう時にだ。豹馬が言う。
「ガルーダってな」
「ああ」
「あの人?」
「何かね」
「同じにしか見えないっていうか」
「確かに」 
 こう話すのである。
「アンドロイドとオリジナルは」
「全然区別がつかない」
「その通りよね」
「俺あれには驚いたぜ」
 豹馬はまた話す。
「生きていたのかって思ってな」
「生きていたんじゃなくて」
「この場合は修理された?」
「そうだよな」
 それではというのだ。
「だって。アンドロイドだったんだから」
「何人も出て来たし」
「だから」
 それでそうだというのだ。
「まあオリジナルがいたのはね」
「聞いてなかったし」
「びっくり」
「生身の人間って」
「いたのね」
「しかもいい奴だしな」
 豹馬はこのことも話した。
「アンドロイドのガルーダも敵ながら見事だったけれどな」
「そこもオリジナルに忠実に造ったのかな」
「そうかも」
「やっぱりね」
 皆そう考える。そうしてだった。
「そして今度はボアザン」
「そこね」
「ボアザン星での決戦かあ」
「どうなるやら」
「後、そういえば」
 ここでだ。ある人間の顔が浮かんだ。
「ハイネルさんどうしてるかな」
「最近出て来ないけれど」
「生きてるかしら」
「どうかな」
 生死すら不明になっていた。
「あの人だから死んでないと思うけれど」
「まさかとは思うし」
「リヒテルさんもね」
「大丈夫だ」
 だが健一がここで皆に話した。
「兄さんは必ず戻って来る」
「戻って来る」
「そう言えるのね」
「はっきりと」
「何となくだがな」 
 こう前置きはした。
「それでもわかる。兄さんもボアザンに来ている」
「リヒテルもだな」
 今度は一矢が言った。
「あいつもだ。ボアザンに来ている」
「御前もわかるんだな」
「ああ、俺も何となくだがな」
 京四郎に返した言葉である。
「あいつも来ている」
「それじゃあボアザンの戦いは本当に」
「決戦?」
「今度もまた」
「決戦になるのは最初からわかっている筈じゃないか?」
 健一はここでも皆に話した。
「向こうも後がないんだからな」
「ああ、そういえば」
「あの連中も次は自分だってわかってるし」
「それならね」
「やっぱりそうなるか」
「そうよね」
 こう話すのだった。皆でだ。
「じゃあボアザンの総戦力が相手」
「それなら本気でかかって」
「ボアザンもまた」
「解放か」
「そうか」
 また話す。
「しかし敵の指揮官ってどうなんだ?」
「そっちは」
「確か皇帝のズ=ザンバジルが敵だけれど」
「どんな奴?」
「それで」
「大した者ではない」
 マーグが一同に話す。
「女帝ジャネラは人望はないが狡猾で抜け目のない人物だった」
「けれどズ=ザンバジルは」
「そういうことですね」
「無視しているに等しかった」
 そこまでだというのである。
「取るに足らない。小者だ」
「そうですか、それだったら」
「烏合の衆」
「幾ら数が多くても」
「それだったら」
「よし、それならだ」
 また言う一矢だった。
「ボアザンの戦い、一気に終わらせるぞ」
「無論そのつもりだ」
 大河も言ってきた。
「我々の敵はボアザンだけではないのだからな」
「そうですね、それは」
 命が大河のその言葉に頷いた。
「宇宙怪獣やプロトデビルンもいますし」
「それにバジュラもだな」
 これはアルトの言葉だ。
「バルマーだって健在だしな」
「そして十三遊星主だ」
 凱は彼等も忘れていなかった。
「あの連中とも決着をつけないといけないからな」
「敵はまだまだ多いのは確かね」
 命はこのことを結論として述べた。
「だからこの戦いに時間をかける余裕はないわ」
「そういうことだな、よし」
 また言う凱だった。
「行くか、ボアザンに」
「何か嫌な予感してきたんだがな」
 今言ったのは宙である。
「オルバン大元帥みたいな奴じゃねえか、ズ=ザンバジルって」
「ああ、そんな気がするな」
「そうね」
「確かに」
 皆このことには何故か納得できた。
「あれは酷かったけれど」
「今度も何か」
「そんなの?」
「小者っていうし」
「実際に器の小さい男だ」
 またこのことを話すマーグだった。
「オルバンのことは私も覚えている」
「あれは酷い奴でしたね」
「全く」
「小者だったしずるいしせこいし」
「もう最低でした」
「同じだな」
 マーグの言葉である。
「あの者達はな」
「やっぱりですか」
「同じタイプなんですね、オルバン大元帥と」
「そういうことだ。資質もだ」
 マーグは彼の能力についても話す。
「どうということはない」
「やっぱり」
「そういうことなんですか」
「能力も小者なんですね」
「そう思ってくれていい」
 また話すマーグだった。
「敵としてはどうということはない」
「それではだ」
 ここまで聞いてだ。ブライトが話した。
「また市民が立つな」
「ボアザンの市民がですか」
「彼等が」
「立つ。間違いない」
 ブライトは断言さえした。
「そうした者が支配が崩れるとだ。必ず叛乱が起こる」
「革命」
「それですね」
「そういうことだ。革命にもなる」
 ブライトは革命についても述べた。
「キャンベル星と同じだ」
「そういえばボアザンって」
「貴族制だったよね」
「確かね」
「それもかなり厳しい」
 ボアザンの特徴である。それが彼等の統治の特徴にもなっているのだ。
「それでボアザン貴族っていったら」
「ジャンギャルとカザリーン以外はどうってことなかったし」
「ハイネルさんは例外として」
 ハイネルはだ。あくまで純粋にボアザン貴族主義の高潔さを信じていた。だが彼の様な人材は本当に僅かでしかないのである。
「そんな社会だったら」
「本当に楽にね」
「潰せるわね」
「進むだけだ」
 ブライトの言う言葉はそれだけだった。
「進めばそれでだ」
「ボアザンも崩れる」
「そうなりますね」
「そういうことだ。それではだ」
 ブライトの言葉がまた出される。
「ボアザンに向かおう」
「はい、それでは」
「このまま」
 こうしてだった。彼等はボアザンに向かう。またしても革命が起ころうとしていた。


第四十五話   完


                       2010・8・6
    
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