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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第三十九話 運命の炎の中で

              第三十九話 運命の炎の中で
 バジュラ達との戦いを終えたロンド=ベル。そして今は。
「バッフ=クランだけれど」
「ああ、あの連中ね」
 カーシャがちずるの言葉に応えていた。
「どうかしたの?」
「イデオンにかなりしつこく向って来るわね」
「そうね、特にあのギジェって奴」
 ここでカーシャの顔が歪んだ。
「あいつが特に」
「特に侵略の意図はないみたいだけれど」
「ああ、そうだな」
 今のちずるの言葉に頷いたのはマリンだった。
「その意思は見られないな」
「会話ができる人達なのかしら」
 ちずるはここでこう言った。
「それなら」
「いえ、それは甘いわ」
「甘い!?」
「ええ、甘いわよ」
 カーシャは厳しい顔で言う。
「会話できるとかどうかなんて」
「けれどや。ものわかりのいい奴かておるやろ」
「そうですたい」
 十三と大作もここで言う。
「そやからそんな一方的に打ち切るのはや」
「よくないですたい」
「そうですね。見たところ」
 小介は冷静に分析していた。
「バッフクランの人達は冷静で理知的ですよ」
「何処がなのよ」
 あくまでその意見を聞かないカーシャだった。
「あの連中の何処が理知的なのよ」
「あの、カーシャ」
 流石にちずるも怪訝な顔になって言う。
「そう決め付けるのも」
「あの連中は違うわよ」
 言葉は強引なものになっていた。
「だからよ。そんなことはね」
「ないっていうの?」
「ええ、ないわよ」
 そうだというのだった。
「あいつ等を全員やっつけるまで私達の戦いは終わらないのよ」
「ああ、そうだ」
 ここでコスモも出て来た。
「あいつ等は白旗を見てそのうえで攻撃してきたんだ。そんな連中と話し合いなんてできるものか」
「白旗を見て」
「そのうえで」
「風習、じゃないよな」
 豹馬もふと考えた。
「それじゃないよな」
「絶対に違うわ」
 また言い返すカーシャだった。
「つまりバッフクランとは風習が違うってことよね」
「ああ、そうだ」
 豹馬もその通りだと言う。
「白旗だけでも色々な意味があったりするんじゃないのか?」
「残念だがそれはない」
 また言うコスモだった。
「それはな」
「そうかしら、本当に」
「違うかもな」
 ちずるも豹馬も彼等の言葉に頷けないところもあった。そうしたものも見ながらそのうえでそのバッフクラン軍について考えていたのだった。
 そしてだった。その彼等がだ。
「まずいな」
「来たか」
「ああ、来た」
 ハタリがベスに告げていた。
「奴等だ」
「相変わらず何処にでも出て来る奴等だな」
「全くですね」
 アズラエルが少し嫌そうな顔をして述べた。
「何かっていうと出て来ますしね」
「DSドライブも使っているんだがな」
 ベスは苦い声で言った。
「それでもこうして来るとは」
「若しかして」
 ここでジョリバも言ってきた。
「奴等の包囲網は何万光年もの範囲があるのか?」
「銀河に出た以上は」
 カララも暗い顔で話す。
「戦いは避けることはできないようです」
「勝手なことを!」
 コスモはそれを聞いて述べた。
「一方的に攻撃してくるのはバッフクランじゃないか!」
「そうよ!」
 カーシャもそれに続く。
「私達は被害者よ!」
「いや、待て」
 モエラがここでその彼等を嗜める。
「そんな話をしている場合じゃない」
「そうだな、今はそれどころじゃない」
 凱も言う。
「こんなところで立ち止まっている状況じゃないんだ」
「わかってるさ!そんなことは!」
 コスモは凱に対してもくってかかる。
「言われなくても!」
「ここはとりあえずだ」
 アムロが指示を出す。
「全機出撃し敵部隊を撃破しよう」
「そうですね」
「戦いは避けられませんから」
「そうだ、戦おう」
 アムロの指示と共に出撃する。するとだった。
 バッフクランの大軍が来た。その指揮官は。
「またあいつか」
「ええ、あいつね」
 コスモとカーシャはもう見ただけでわかるようになっていた。
「ギジェか」
「どうするの?コスモ」
「戦うしかない」
 コスモが出した答えはこれだった。
「あいつなら特にだ」
「そうね、やっちゃいましょう」
「来たか、巨神め」
 ギジェはそのイデオンを憎々しげに見ながら呟いていた。
「このガルボ=ジックを今までの重機動メカと同じだと思ってくれたら困る」
「!?あいつ」
「こっちに来たわ!」
「うろたえることはないさ」
 だがここでモエラが言った。
「これ位のことじゃね。そうだろ」
「あ、ああ」
「そうね」
 二人もモエラの言葉に頷きはした。
「それならここは」
「油断せずに」
「いつも通り戦おう」
 こう二人に言うモエラだった。
「それでいいよな」
「わかってる!」
 またすぐに切れるコスモだった。
「もう言われなくてもな!」
「そうよ!」
 そしてそれはカーシャも同じだった。
「一回言えばわかるわよ!」
「ああ、それなら」
 モエラもこれ以上言わなかった。そうしてだった。
 そのガルボ=ジックを迎え撃つ。すると。
「思考回路破壊ビームだ」
 ギジェはコクピットの中で話す。
「ゲル結界を張れ!」
 こう言って攻撃を出した。すると。
 何かビームのようなものが出てだった。イデオンを直撃した。
 するとそれだけでコスモの様子がおかしくなった。
「ぐっ!」
「何なの!?これ」
 そしてそれはカーシャもだった。
「急に頭痛が」
「お、俺もだ」
 そしてそれはモエラもだった。
「これは一体」
「!?あの攻撃は」
「一体」
 ロンド=ベルの他の者達は戦いながら不穏なものに気付いた。
「イデオンのパイロットの脳波が乱れてるわ」
「えっ、シェリルさん」
「それって一体」
 皆それに聞くとだった。シェリルは言った。
「バッフクランはイデの力が人に意志に反応することに気付いたのかも」
「何っ!?」
 ベスもそれを聞いて驚きの声をあげた。
「するとあれは」
「そう、間違いないわ」
 シェリルはベスに対しても話した。
「あの輝きはイデオンの為の兵器なのよ」
「そうか、それならあれは」
 ベスはここまで聞いて言った。
「イデの秘密がわかったからこそできた兵器なのか」
「そんな、それだったら」
 カーシャがそこまで聞いて言った。
「何処に逃げても追ってきて次々に新兵器を繰り出してきて」
「それなら?」
「勝てっこないじゃない!」
 たまりかねた口調だった。
「そんなの!」
「このゲル結界でパイロットの脳を直撃できればだ」
 焦る彼等とは正反対にギジェは成功を確信していた。
「巨神は無傷で手に入る」
「はい、そうです」
「いよいよです」
 部下達も彼に応える。
「そしてこれで」
「閣下」
「もうすぐだ」
 ギジェは満足した声を出した。
「正規軍を離れオーメ財団に身を寄せた私の苦労ももうすぐ報われる。
「くっ、ううっ・・・・・・」
「しっかりしろ、コスモ!」
 竜馬がコスモに対して言う。
「ここは踏ん張れ!」
「そうだ、敵の狙いはイデオンだ!」
 ブライトも言う。
「各機フォローに回れ」
「くっそおおおおっ!!」
 コスモが叫んだその時だった。
 不意にだ。イデのゲージが点灯したのだった。
「ゲージが点灯したわ!」
「いけるぞコスモ!」
 カーシャに続いてモエラも言う。
「パワーはあがっている!」
「頭痛メカめ!」
 コスモもここで言った。
「これ以上やらせるかよ!」
「何だとっ!?」
 ギジェはそれを見て驚きを隠せなかった。
「巨神め、まだ動けるのかっ!」
「やられてたまるかよ・・・・・・」
 そしてコスモは言った。
「やられて!」
「くっ!」
 ギジェはまたあの攻撃を放った。しかしだった。
 コスモはそれをかわしてみせた。イデオンを左にやって。
「かわした!?」
「二度も同じ手にやられるかよ!」
 彼は言った。
「正面にさえ入らなければな!」
「ええい、パイロットが死ぬまで時間がかかるのが欠点か!」
「今度はこっちの番だ!」
 そのまま攻撃を浴びせる。そうしてだった。 
 ミサイルでギジェノ機体を撃墜してみせたのだった。そのミサイルの連射でだ。
「見たか!」
「くっ、だが!」
 しかしギジェはまだ諦めていなかった。
「このままでは私を拾ってくれたダラム=ズバに面目が立たん!」
 だがこれで敵はとりあえず全滅させた。それでだ。
「とりあえずはだ」
「はい」
「一刻も早くここを離脱して、ですね」
「そうだ、他の場所に向かおう」
 ここに留まってもということだった。
「それでいいな」
「わかりました、それじゃあ」
「今から」
「DSドライブに入る」
 ベスが言った。
「全艦フィールドの中へ」
「全機回収したな」
「はい」
「大丈夫です」
「よし、行くぞ」
 こうして彼等は姿を消した。しかしだった。
 ギジェはそれを見ても諦めない。そうしてすぐに部下達に告げた。
「亜空間に逃げられたが」
「はい」
「しかしですね」
「追うぞ」
 こう部下達に告げた。
「すぐにダラム様に連絡を入れろ」
「はい」
「何と」
「決まっている。ロゴ=ダウの異星人を追撃する」
 まさにこれだった。
「何処へ逃げようと追い続けてやるぞ」
「では我々も」
「このまま」
「うむ、進むぞ」
 彼等も諦めていなかった。そうしてロンド=ベルの面々は。
 ある惑星に辿り着いた。そこは。
「あれっ、この惑星って」
「人がいるよな」
「ああ、間違いない」
「ここは一体」
「ベス君、いいか」
 ブライトもベスに対して問うた。
「ここが何処かわかるか」
「ここは惑星キャロルです」
「キャロルっていったら」
「そうだ、ソロ星よりも早く入植がはじまった星だ」
 こう慎悟にも答える。
「そこなのだが」
「しかしあの街は」
 神名は目の前にあるその街を見て言う。煙を吹き炎が見える。
「攻撃を受けた形跡が」
「とにかく降りてみよう」 
 大河がそれを言った。
「戦闘で傷ついた各艦の修理もある」
「そうですね、それじゃあ」
「今は」
 こう話してだった。彼等はそのキャロルに入った。
 そしてだ。ギジェはダラムと話をしていた。
「そうか、あの巨神は」
「残念ですが」
「ゲル結界をも跳ね除けたか」
「その通りです」
「こちらの注文通りの性能なのは有り難い」
 ダラムはそれはよしとした。
「だが。どう捕まえるかだな」
「しかし思うのですが」
 ここでギジェは言ってきた。
「宜しいでしょうか」
「何だ?」
「何故奴等は何故わざわざこの銀河へ出て来たのでしょう」
「あれだけの戦闘力と巨神が揃ったのだ」
 ダラムは力から考えた。
「まずはこの銀河の制圧だろう」
「この銀河のですか」
「そしてやがては我々の銀河にもだ」
「攻め入ってきますか」
「その可能性は高い」
 彼は言い切った。
「それもかなりな」
「ならば何があっても我々はあの巨神を」
「そうだ、手に入れないとならない」
「はい、まさに」
「しかしギジェ」
 ここでダラムの顔がいぶかしむものになった。
「伝説ではイデは善き心で輝くと言われているな」
「はい、そうでした」
「しかし我々はだ」
 今度は曇った顔になっていた。
「我々の戦いが善き力かというと」
「いえ、ダラム殿」
 ここでギジェは言った。強い声で。
「ズオウ=ハヒテル=ガンテの独裁を倒す為にはイデの力を」
「そうだな」
「はい、そうです」
「ドバ=アジバも同じだ」
 だアムはギジェの言葉をよしとしたようだった。
「我々はオーメ財団から巨神を手に入れよと言われて来ている」
「そうです」
「信じて戦うしかないな」
「そうかと」
「巨神を捕らえればだ」
 ダラムの言葉は続く。
「ハルルの鼻も明かせよう、追うか」
「是非共」
 こう話すのだった。そうして。
 キャラルではだ。クスハが命に問うていた。
「あの」
「どうしたの?クスハ」
「そういえばなのですけれど」
「ええ、何?」
「宇宙収縮現象ですけれど」
 彼女が今言うのはこのことだった。
「その中心地点は判明していますよね」
「そういえば」
 ブリットもその言葉に思い出した。
「それについてはどうなっていたんですか?」
「大体はね」
 命はこう二人の問いに答えた。
「雷牙博士達の計算のおかげでね」
「それだったらどうして」
 ブリットはいぶかしむ顔で述べた。
「そこへ直接ドライブは」
「それはあまりにも危険なんだよ」
 その雷牙博士が出て来て言ってきた。
「今の宇宙の状態ではね」
「ということは」
「不安定なんですか」
 クスハは言った。
「今の宇宙が」
「そういうことなんだ。こうして全員でやるのは短距離が精々なんだ」
 また言う博士だった。
「長距離はとてもね」
「危険な賭けなんだな」
 火麻も問うてきた。
「つまりは」
「マクロス7の船団もソロ星も」
「それに私達もだな」
 レオンも出て来た。
「妙に思っていたが」
「そう、全て宇宙収縮現象が原因みたいだね」
 雷牙博士は話す。
「その中心地店の中意気はさらに不安定なんだよ」
「じゃあそこにDSドライブで入ったら」
「下手をしたら」
「下手をしたら二度と通常空間に戻れないかも知れないんだ」
 こうクスハとブリットに話すのだった。
「とてもね」
「まずいな、それは」
 凱がここまで聞いて述べた。
「俺達がこうしている間にもソール11遊星主が宇宙を脅かしているのに」
「しかし他にもやらないといけないことが多過ぎる」
「そうだよな」
 タケルに豹馬が頷く。
「ズールにしろそうだった」
「他にもキャンベル星人とかボアザン星人とかいるぜ」
「宇宙怪獣やバジュラもね」
 ノリコも暗い顔で言う。
「敵も多過ぎるわ」
「焦っても仕方ないけれどね」
 ユングもこのことはわかっていた。
「けれど。どうしてもね」
「そうだな。しかしこの星は」
 隼人は降下して実際に街を見てみて言った。
「こっぴどくやられてるな」
「ああ、それも」
 弁慶も難しい顔になっている。
「ごく最近に攻撃を受けたな」
「誰なんだ、一体」
 武蔵はこのことを考えた。
「考えられる奴が多過ぎるぜ」
「地球を旅立って住める星を見つけて」
 コスモが怒っていた。
「やっと街を造ったっていうのに!」
「コスモ、落ち着け」
 竜馬が彼に声をかけてきた。
「ここは」
「御前等にわかるか!」
 だがコスモはここで激昂した。
「やっと完成した街が誰かに焼かれる悔しさと怒りが1」
 言うのはこのことだった。
「俺達もこんな風にバッフクランに追われたんだ!」
「それは」
「わかってたまるか!」
 コスモはさらに言う。
「この怒りが!悔しさが!」
「コスモ、止めるんだ」
 見かねたモエラが止めに入る。しかし。
「地球圏の人間に俺達の気持ちはわからんさ」
「あのな」
 神宮寺が少しうんざりした口調で言ってきた。
「いい加減その被害者面も飽き飽きしてきたんだがな」
「何っ!?」
「確かに私達は地球育ちです」
 麗も言う。
「ですが今こうして銀河に出ています」
「そうよね。つまりは」
 マリもそれに続く。
「皆同じよね」
「同じ!?俺達が」
「そうだよな、考えてみればな」
「そ、その通り」
 ゴルとガルも言う。
「一緒に行動するのもな」
「な、何かの縁」
「だからそんなにつっかかって何になるんだ?」
「あたし達は敵同士かい?」
 ジンとミンも言う。
「違うだろ?それは」
「そうだね。仲間じゃない」
「仲間・・・・・・」
「そうだな」
 コスモもモエラもここで矛を収めた。
「その通りだな」
「俺の言い方も悪かった」
「仲間内で争うよりもだ」
「ここは先にすべきことがあります」
 アルゴとジョルジュはそちらを見ていた。
「まずは生存者を見つけないとな」
「そこからですね」
 ここでだ。洸が戻って来て言う。
「駄目だ」
「こっちもだぜ」
「一人もだよ」
 ヂボデーとサイシーも戻って来た。
「生存者はいない」
「ああ、こっちもだ」
「全然だったよ」
「雷牙博士の分析だと」
 万丈も戻って来た。
「この攻撃はバッフクランだね」
「やっぱりこの星の人」
 トッポがここまで聞いて暗い顔で呟く。
「全滅しちゃったのかな」
「そんなことあるもんか!」
 すぐにデクが反論する。
「きっと何処かで生きてるさ!」
「おいらだってそう思いたいさ」
 トッポもこう返しはした。
「でも・・・・・・」
「いや、それでも」
「行くぞ、デク」
 言葉を弱くしたデクにコスモが言ってきた。
「誰かいるっていうんならな」
「うん」
「探すんだ」
 こう言うのだった。
「それでいいな」
「わかったよ」
 デクはまた頷いてみせた。
「それじゃあ」
「ああ、行くぞ」
 二人にモエラや洸達も同行した。そのうえで調査をはじめる。
 暫くするとだ。いきなりだった。
「!!」
「危ない!」
 光線銃の発射音だった。全員咄嗟に身構える。
「物陰に隠れろ!」
「負傷者はいるか!」
「くっ・・・・・・」
 コスモの声だった。
「しまった・・・・・・」
「コスモ、撃たれたのかい!?」
「あ、ああ」
 まずはこう応える。見れば左肩を右手で押さえている。
「かすっただけだがな」
「そう、かすったんだ」
「ちょっと血が出てるだけだ」
 手の指の間から実際に出てしまっていた。
「けれど命に別状はない」
「そうなんだ、不幸中の幸いだったんだ」
「何とかな。それで」
「うん、それで?」
「誰だ?撃ってきたのは」
 コスモが言うのはこのことだった。
「一体」
「あれか」
 モエラが銃撃が来た方を見る。
「あそこからだ」
「!?あれは」
「誰かいたぞ!」
 光と竜馬が言った。
「誰だ、あれは!」
「待て!」
「くっ!」
 するとだった。一人の女が出て来た。
 そしてまた銃撃してきた。だが今度は命中しなかった。
「くっ、こいつ!」
「バッフクランか!?」
「待ってくれ!」
 だがここでコスモが言った。
「この兵器はバッフクランのものじゃないぞ」
「あっ、そういえば」
 言われてデクも気付いた。
「これってそうだよね。むしろ地球のものだよ」
「そういえば」
「そうだな」
 洸と竜馬もそれに気付いた。
「この光線銃の光線は間違いない」
「地球の、人類のものだ」
「出て行け!」
 その女が言ってきた。
「御前達がキャロルを!」
「間違いないな」
「そうだな」
 凱がシローの言葉に頷いた。
「この人は間違いなく」
「地球人だ」
「銃を下ろしてくれないかな」
 コウが彼女に言う。
「俺達は地球人だ」
「えっ・・・・・・」
「そうだ、俺達は地球人だ」
 コスモも左肩を押さえたまま彼女に言った。
「あんたと同じで銀河に出て来た地球人さ」
「そうだったの・・・・・・」
 これが出会いとなった。彼等はその女と共に一旦皆のところに帰った。コスモはすぐにラポーから手当てを受けたのであった。
「さあ、これで大丈夫よ」
「有り難う、ラポー」
「流石ね」
 ミチリがそのラポーに対して言う。
「包帯を巻くの上手よね」
「私だって看護兵として訓練を受けてきたから」
 だからだというラポーだった。
「これ位は簡単よ」
「そうなの」
「そうよ、こうしたことは任せて」
 そしてコスモに対してこう告げた。
「かすっただけだから傷の心配はいらないわ」
「そうか、やっぱりな」
「ええ、そうよ」
「わかった。それじゃあだけれどな」
 コスモは自分のことから話題を変えた。
「あのキッチンって娘は何処に行ったんだ?」
「数少ない生き残りだからな」
 モエラはまずはこう話した。
「ベス達に状況を説明しているよ」
「そうか。じゃあ」
「待って、コスモ」
 カーシャは彼が椅子から立ち上がったのを見て問うた。
「何処に行くのよ」
「折角だからな」
 まずはこう言うのだった。
「俺を撃った娘と話をしてくる」
「話をって」
「いい機会だよ」
 微笑んでの言葉だった。
「だからさ。今からさ」
 こうしてだった。そのキッチンのところに向かう。皆その彼を見送ってからやれやれといった調子で苦笑いを浮かべて言うのだった。
「タフな奴だな」
「全くよ」
 カーシャはモエラの言葉に頷いた。
「昔からだけれどね」
「しかしああいう逞しさがないとな」
 だがここでモエラは言った。
「この先生きていけないからな」
「それはその通りね」
 そしてだった。また医務室に誰か来た。それは。
「あら、ファード」
「どうしたんだ?」
「う、うう・・・・・・」
 泣いていた。見れば膝をすりむいていた。皆それに気付いた。そしてラポーが彼に声をかけた。
「転んじゃったのね」
「うん・・・・・・」
「こっちにおいで」
 そのファードに優しい声をかけるのだった。
「手当てしてあげるから」
「おい、そんなことじゃ駄目だぜ」
 勝平がファードに対して言った。
「男がそんなことで泣いてたらよ」
「だって痛いんだもん」
「痛いのが何だってんだ」
 勝平はその彼にまた言った。
「俺なんかな、バイクで転んでもな」
「中一でバイクを乗り回すことの方がまずいだろ」
「そうよ」
 その彼に宇宙太と恵子が突っ込みを入れた。
「そっちの方がずっとな」
「問題ありじゃない」
「何だよ。無免許運転が悪いのかよ」
「こいつ、自覚してやってたのか」
「何て奴だ」
 皆これには呆れてしまった。そして未沙も言った。
「厳しく教育する必要がありそうね」
「げっ、藪蛇」
「藪蛇じゃないだろ」
「全くだ」
 皆その勝平にまた言う。
「何処に中学校一年でバイク乗ってる奴がいるんだ」
「そんなの何処にもいないぞ」
「ちぇっ、いいじゃねえかよ」
 勝平に反省の色はない。
「そんなのはよ」
「まあこいつはこうだからな」
「そうね」
 宇宙太と恵子はもうそのことには言おうとしなかった。
 そうしてだった。あらためてファードに顔を向けて話した。
「ファードはすぐ泣くからな」
「それは仕方ないわよ」
「うう・・・・・・」
「しかしだ」
 だがモエラはその彼に厳しいことを言った。
「これからもっと一人で生きていく力をつけていかないといけないんだぞ」
「うん・・・・・・」
「そんなことでどうする!」
 こうファードに対して言うのだった。
「ファード、それでも男か!」
「でも・・・・・・」
「怪我をすれば確かに痛いさ」
 また勝平が言ってきた。152
「けれどな、それでもな」
「それでも?」
「それをぐっと我慢するのが男なんだよ」
 こう言うのだった。
「それがなんだよ」
「それじゃあだけれど」
「そうだ」
 ここでプルとプルツーが言うのだった。
「私達はいいの?」
「アーシェラはどうなる?」
「泣いていいの?」
 そのアーシェラも言ってきた。
「それじゃあ」
「い、いや」
「それはよ」
 そう言われるとだった。モエラも勝平も弱ってしまった。
「そうしたことはだ」
「言ってないけれどよ」
「男か女かなんて」
「そうだ、間違っているぞ」
 プルとプルツーの顔はむっとしていた。
「そんなの関係ないじゃない」
「女でも痛い。そして我慢してはいけないのか?」
「そういう訳じゃないんだが」
「あのさ、それは」
「何かおかしいこと言ってるわよね」
「全くだ」
 モエラと勝平は完全に劣勢だった。しかしだった。
 ミチルが優しい微笑みでだ。ファードに言っていた。
「いい、ファード」
「うん」
「女の子は男の子に比べて泣き虫なのよ」
「そうなんだ」
「そうよ。だからね」
 目線も彼に合わせての言葉だった。
「男の子まで泣いたら女の子は困るのよ」
「困るんだ」
「慰める役がいなくなるでしょ」
 だからだと話すミチルだった。
「だから男の子は強くなくちゃね」
「でも僕・・・・・・」
「何時までもベソベソしてるな!」
 またモエラが言ってしまった。
「しっかりしろ、ファード!」
「うう・・・・・・」
「だからモエラさんと勝平は今は」
「静かにしていて」
 宇宙太と恵子がいい加減止めてきた。
「今はな」
「御願いだから」
「しかし」
「急には無理よ」
 ラポーも言う。
「それはね」
「しかしこんな弱虫じゃ」
「一人で立って」
 ラポーも優しくファードに対して言った。
「いいわね」
「うん・・・・・・」
「甘やかし過ぎじゃないのか?」
 モエラはそのラポーにも言う。
「それは」
「時と場合によるわ」
 しかしラポーはこうモエラに返すのだった。
「頭ごなしはよくないわ」
「そうかな」
「っていうか今のモエラさんって」
「そうだな」
 プルとプルツーも言う。
「ムキになってるし」
「少し言い過ぎだ」
「しかし俺は」
「それもわかってるわ」
 ラポーはそれについても頷いた。そして。 
 あらためてファードを見てだ。また告げた。
「でもね、ファード」
「うん」
「モエラお兄ちゃんや勝平お兄ちゃんの言う通りなのよ」
「強くなるの?」
「そうよ、強くならないとね」
「うん・・・・・・」
 力ない頷きだった。ファードはまだ弱かった。
 そしてコスモは。その少女キッチンと話していた。
「キッチ=キッチンだったよな」
「ああ」
 キッチンはコスモのその声に応えていた。
「あんたかい」
「俺はユウキ=コスモ」
 まずは自分の名を名乗った。
「ソロ星の移民団の生き残りさ」
「ソロ星の?」
「そして今はイデオンのパイロットをやっている」
 こう話すのだった。
「ロンド=ベルでな」
「そうか、ロンド=ベルだったのか」
「今は宇宙に出ているんだ」
 このこともキッチンに話した。
「それでここに来たんだ」
「さっきは御免よ」
 キッチンは先程の発砲のことを謝罪した。
「つい」
「いいさ」
 コスモは微笑んでそれはいいとした。
「あんなのは掠り傷さ」
「けれどさ」
 ここでキッチンは言ってきた。
「あんた達のせいで」
「俺達の?」
「そうさ。それであのバッフクランって異星人が攻めてきたんじゃない?」
「えっ・・・・・・」
「大体の話は聞いたよ」
 キッチンはこうも言ってきた。
「あんた達の艦の艦長からさ」
「ベスから」
「ブライト艦長からもね」
 ロンド=ベルではアムロと並ぶ有名人である。
「バッフクランがあんた達を追ってることも」
「聞いたのか」
「きっとキャラルは同じ地球人ってことで」
 キッチンは暗い顔で述べた。
「それで攻撃を受けたんだよ」
「いや、それは」
 コスモは必死にそれを否定した。
「そんなことはないよ」
「ならいいけれどさ」
 キッチンはコスモの話を一応受け入れた。
「ただ」
「ただ?」
「軍人だったあたしの父も死んだわ」
「そうか・・・・・・」
「他にも沢山の人が」
「そうか・・・・・・」
「だからさ。悪いけれどさ」
 キッチンの目に明らかな嫌悪が宿っていた。
「出てって欲しいんだ、すぐさ」
「すぐか」
「ああ、悪いけれどね」
「わかったさ」
 コスモは苦い顔で答えた。
「艦の修理が終わったらすぐに」
「もう遅いけれどね」
「・・・・・・仕方ないか」
 コスモは歯噛みして言った。
「これも」
「色々あったみたいだね」
「俺達だって好きで戦ってる訳じゃない」
 それを言うのだった。
「やられるか、やるしかない。それだけなんだ」
「あんた達の戦い、終わりは来るの?」
「わからない」
 キッチンのその問いにも首を横に振るばかりだった。
「それは」
「そうなのね」
「バッフクランは必死にイデオンを欲しがっている」
「それならさ」
 それを聞いてだった。キッチンは言った。
「そのイデオンってのを渡したらいいんじゃないの?」
「それも考えたさ」
 コスモは暗い顔で答えた。
「だけれどな」
「駄目なんだね」
「もう俺達はイデに取り込まれたみたいなんだ」
「イデに?」
「そのイデオンさ」
 それだと説明した。
「今更イデオンを渡すこともできない」
「それでも渡せば?」
「渡したって皆殺しに遭うだけだ」
 それだけだというのだった。
「そうしてもな」
「あのさ」
 ここまで聞いてだった。キッチンはコスモに対して言った。
「よかったらだけれど」
「ああ。何だ?」
「その話聞かせてくれないかい?」
 こうコスモに対して告げた。
「もう少しさ」
「えっ、嘘だろ」
「本当だよ、ちょっとね」
「キッチン・・・・・・」
 二人の間にだ。何かが加わった。そしてソロシップの格納庫では。
 カーシャがだ。周囲を見回しながらデクに問うていた。
「ねえデク」
「何、カーシャ」
「コスモは何処に行ったのよ」
 問うのはこのことだった。
「イデオンの整備も手伝わないで。何処に行ったのよ」
「それは」
「ロンド=ベルはもうすぐこの星を発つのよ」
「ラー=カイラムか何処かじゃないの?」
 テクノが答えた。
「他の船なんじゃないのかい?」
「それならすぐに呼ばないと」
「あっ、そういえば」
 ここでデクが言った。
「キッチンと街で話してたよ」
「また!?」
 それを聞いてだった。カーシャは呆れた声を出した。
「この星に来てからずっとじゃない」
「ずっとって?」
「ずっとあの娘にべったりじゃない!」
 こう言って怒るのだった。
「イデオンの整備もしないで!」
「そりゃさ」
 ここでモンドが言った。
「コスモだってさ」
「そうよね。カーシャのヒステリー聞くよりもね」
 エルも言う。
「キッチンといる方がいいわよね」
「そうだよな」
「確かにな」
 ビーチャとイーノは二人のそのことばに頷いた。
「只でさえカーシャってカリカリしてるのにな」
「特に最近は」
「何だっていうのよ」
「こういう状況での出会いだしね」
 ルーも楽しげに話す。
「お互いロマンスを感じてるとかね」
「ふむ、それはまた」
「面白いね」
 マシュマーとキャラもその話に微笑む。
「それも有り得ることだ」
「ロンド=ベルにはそうしてできたカップルも多いしね」
「特に俺とか言うんだよな」
「っていうかシンは特別凄かったよ」
 キラがそのシンに言う。
「あの時はさ」
「御前だって協力してくれただろうがよ」
 シンはこうそのキラに言い返す。
「ベルリンでな」
「だって。本当に一途だったし」
 だからだというキラだった。
「本当にさ」
「しかし状況が状況よ」
 今言ったのはカララだった。
「彼女が私達と一緒に来る気がなかったなら」
「その時は」
「やっぱり」
「ええ、別れるしかないわ」
 カララはこう一同に話した。
「それが彼等の前にある運命なのでしょうね」
「カララさん、悲しいこと言わないでよ」
 ジュドーがそのカララに話した。
「戦いさえ終わればコスモさんだってこの星に戻って来られるんだろ?」
「ええ、そうだけれど」
「ジュドーの言う通りだぜ」
 ケーンもジュドーについた。
「生きていればきっとさ」
「そうだよな。生きていれば絶対にな」
「また会うことはできる」
 タップとライトも言う。
「だから今はさ」
「明るく考えないとな」
「そうね。こんな状況だから余計に、よね」
 カララは彼等の言葉を受けて考えをあらためた。
「貴方達の様に前向きでないとね」
「テクノ、こっちに来てくれ」
 ジョリバはテクノを呼んでいた。
「いい機会だから例のやつをいじってみる」
「ああ、わかった」
「例のやつって?」 
 デクは彼等の話を聞いて問うた。
「それって何?」
「ソロシップの奥の方にあった大砲だよ」
 テクノが答えた。
「それだよ」
「そんなものがあったのね」
 リンダもこれには少し驚いた。
「ソロシップには」
「本体が床に半分埋まっててな」
 ジョリバが話す。
「エンジンの部品だと思ってたんだ、最近まで」
「そうだったんですか」
「何か凄い話ですね」 
 シーブックとトビアが頷くとだった。警報が鳴った。
「!?まさか」
「バッフクランですか!?」
 そのシーブックとトビアが叫んだ。こうしてまた戦いとなるのだった。


第三十九話   完


                                       2010・6・21  
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