スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第三十八話 シャピロ急襲
第三十八話 シャピロ急襲
そのバジュラの巣のある惑星の前まで来たのだった。
すると早速バジュラの大軍が出て来た。
「ああ、来た来た」
「やっぱり」
「どれだけ出て来たのかしら」
「百万ですね」
テッサが述べた。
「おそらくあれが全てです」
「この星にいるのはか」
「はい」
こうアルトにも答える。
「その通りです」
「わかった」
それを聞いてすぐに、であった。アルトは頷いた。
「それならだ」
「戦われますね」
「そのつもりだ。俺は行く」
迷いを振り払おうとしているかの様な言葉だった。
「今からな」
「よし、それじゃあな」
「僕達もですね」
それにミシェルとルカも続く。
「いっちょ叩き潰すか」
「気合を入れて」
「そうだな。だが」
オズマが二人を見て言う。
「二人共随分変わったな」
「そういえばそうだな」
クランもそれは頷く。
「ミシェルもクールなだけではなくなった」
「ルカも熱くなったものだ」
「そうか?俺は変わらないけれどな」
「僕もですよ」
しかし二人に自覚はなかった。
「別にな」
「そうではないですよ」
「自覚していないのならそれでいいがな」
オズマは今はそれを置いておくことにした。そうしてだった。
「ではな。行くぞ」
「了解」
アルトが頷く。こうしてロンド=ベルはここでもバジュラとの戦いに入った。
その中でだ。ふとハッターが言った。
「おかしいな」
「どうしたの?ハッちゃん」
「ハッちゃんではない」
いつも通りフェイに返してからまた言う。
「バジュラが強くなってるな」
「バジュラが?」
「少しだが前より強くなってないか?」
「そういえばそうだな」
「確かに」
ギルとレドンは前から来るバジュラの大軍をそれぞれ撃墜しながら応える。
「前のバジュラよりもな」
「手強くなっている」
「その通りだな。しかもだ!」
ここで大声をあげるハッターだった。
「動きがいい。どうなっている?」
「気のせいじゃ。ないわね」
それは今戦ってフェイにもわかった。
「それはね」
「しかもこの動きはだ」
テムジンは敵の動きを見ながら述べた。
「俺達の動きを知っているかの様だな」
「そうだな。知っているな」
クリアリアもそれに気付いた。
「この動きは」
「けれどそれは有り得ないわ」
「そうね、それはね」
「絶対にね」
三姉妹はそれは否定した。
「ここのバジュラとは二度目の戦いだけれど」
「しかも殲滅させているのに、前に戦った時は」
「それで私達の動きを知っているのは有り得ないわ」
「その通り!」
ハッターもそこを指摘する。
「有り得ないことだ。絶対にだ」
「その通りよね、確かに」
それにフェイも頷く。
「それは絶対にね」
「しかしこの動きはだ」
だがテムジンは言う。
「明らかに俺達の動きを知っている」
「何でなんだ?」
ハッターは帽子を飛ばしてそれで敵を破壊しながら首を傾げさせる。
「だとすると」
「それはまだわからないことだ」
テムジンはこう彼に返す。
「だが」
「だが?」
「何かあるのは間違いない」
こう言うのであった。
「それはだ」
「けれどそれがわかるのはまだ先なのね」
「そうだ」
今度はフェイに返した言葉だった。
「その通りだ」
「まあ戦ってるうちにわかるかしら」
「いい加減だな、おい」
「ハッちゃんが言う台詞じゃないわよ、それは」
すぐにハッターに言い返すフェイだった。
「いつも出たとこ勝負なのに」
「くううーーーーーーーっ、またしても口の減らない女だ!」
「あんた達そのやり取り好きね」
アスカがそんな彼等に呆れながら突っ込みを入れた。
「毎回やってない?」
「それは気のせいだ」
ハッターはすぐに気を取り直してアスカに返す。
「俺は常に進歩する男だ」
「そう自分では思ってるのよ」
「だから黙っていろ!」
いい加減ハッターも切れた。
「俺は日々精進!そうしているのだ!」
「そうしているのなら戦え」
テムジンの言葉は簡潔だった。
「いいな」
「わかってるぜ、ブラザー」
「バジュラがまた来たぞ」
ここでバジュラの新手が来た。彼等はその敵とも戦うのだった。
その中でだ。フロンティアは後方にあった。
まさかそこにまで敵が来るとは思わず守りはほぼがら空きだった。しかし。
「!?レーダーに反応!」
「また敵が来ました!」
美穂とサリーが叫ぶ。
「後ろからです!」
「また来ました!」
「後方ですか」
エキセドルはそれを聞いて言葉を曇らせた。
「まずいですね、それは」
「このままではフロンティアが」
「どうしましょうか」
「すぐにフロンティアに向かいましょう」
エキセドルはすぐに二人に答えた。
「至急にです」
「わかりました、それなら」
「今から」
「はい、急遽戻ります」
また言うのだった。
「それでは今からフロンティアに」
「マクロス7は」
「はい、それで敵の数は」
エキセドルはそれを問うのも忘れなかった。
「どれだけですか」
「千です」
「その程度です」
「少ないですね」
少なくとも彼等が普段戦ってる数に比べてかなり少なかった。
「それだけですか」
「はい、それも小型のものばかりです」
「戦闘機や円盤の様な」
「ふむ」
それを聞いてだ。エキセドルはまた述べた。
「おそらくそれは」
「それは?」
「何でしょうか」
「急襲ですね」
それではないかというのである。
「これは」
「急襲!?」
「フロンティアをですか」
「フロンティアは今の我々の重要な拠点です」
このことは最早言うまでもなかった。
「そこを狙ってのことです」
「ではこの時を狙っていた」
「そうなるのですね」
「そうです。ただ」
ここでエキセドルはまた言った。
「問題はそれがどの勢力か、なのですね」
「これはムゲ帝国です」
「間違いありません」
美穂とサリーはレーダーの反応を見ながら述べた。
「それが一千です」
「後ろからです」
「ムゲ帝国ですか」
それを聞いてまた考える顔になるエキセドルだった。
「考えていたと言うべきでしょうか。いや」
「いや?」
「何か」
「むしろ待っていたと言うのでしょうか」
こう言葉を言い換えたのである。
「これは」
「待っていた、ですか」
「そうなんですか」
「はい、彼等は待っていました」
エキセドルはまた述べた。
「ここは」
「待っていてそれで」
「フロンティアを」
「そういうことです。では」
「はい」
「今から」
「フロンティアに戻ります」
こうしてマクロス7がフロンティアに戻った。そのうえで戦う。その指揮官は。
「シャピロ様、これでいいのですね」
「そうだ、これでいい」
シャピロが傍らにいるロッサに答えていた。彼であった。
「この千の戦力でだ」
「フロンティアを攻略するのですね」
「いや、隠密に中に入る」
「隠密に?」
「そうだ、中に入る」
こうロッサに言うのであった。
「そうするのだ」
「あの」
それを聞いてだ。ロッサは考える顔になって問い返した。
「フロンティアの中に何があるのでしょうか」
「一人の少女だ」
シャピロは今度はこう答えた。
「それがいるのだ」
「少女がですか」
「その通りだ。その少女を手に入れる」
シャピロはまた言った。
「私が神となる為にな」
「そう仰るのですね」
「全ては神になる為に」
シャピロの言葉はあくまで自分に向けたものだった。
「その為にだ」
「シャピロ様が神になられる為に」
「あの少女は必要だ」
真剣そのものの目だった。
「だからだ。わかったな」
「そしてその少女は一体」
「金色の髪を持っている少女だ」
こう言うだけだった。
「何、すぐにわかる」
「すぐになのですね」
「そうだ、すぐにわかる」
彼はまた言った。
「だからだ。中に入るぞ」
「それでは」
こう話してだった。彼等はそのままフロンティアに入ろうとする。
それはレオンも見ていた。その彼にだ。
「大変なことになろうとしています」
「はい」
エキセドルの通信に頷いていた。
「今ここで敵に襲われてはひとたまりもありません」
「いえ、御安心下さい」
しかしここで彼は言った。
「それにつきましては」
「安心していいとは」
「こうした時に備えて切り札を用意していました」
こう話すのである。
「ですから」
「大丈夫なのですね」
「はい、御安心下さい」
エキセドルに返す言葉はこうしたものだった。
「是非」
「左様ですか。それでは」
「では。将軍」
「はい」
ここで彼の言葉に頷いたのは美知島だった。
「あれをですね」
「そうです、あれをです」
彼に対してこう答えるレオンだった。
「その時だと思います」
「それでは」
こうしてだった。そしてだ。
「発進用意だ」
「はい」
美知島が命じてだった。遂に動いた。
あるマシンが出て来た。それは。
「!?あれは」
「あれは一体」
慎悟と神名はそのフロンティアから来たマシンはだ。それを見て言うのだった。
「スサノオに似てる!?」
「そうよね、あれは」
「けれど、まさか」
「有り得ないわ」
二人は驚いた顔でそのマシンを見ていた。
「スサノオは一機の筈だけれど」
「そう、十二機のマシンのうちの一機として」
「いえ」
しかしだった。ここで華都美が言うのだった。
「聞いたことがあるわ」
「聞いたことがある?」
「といいますと」
「スサノオの前に試作機が一機あったって」
それがあるというのだ。
「若しかしてそれじゃあ」
「試作機って」
「それがですか」
「ええ、けれど本当にあるとは思わなかったわ」
それは彼も同じだった。
「まさか。しかもここで」
「十式オニクスという」
ここで美知島が話した。
「それだ」
「十式オニクス!?」
「それがあのマシンですか」
「そうだ、それだ」
こう慎悟と神名に対しても話す。
「今諸君等の援軍としてだ投入するのだ」
「援軍ですか」
「私達の」
「そうだ、その通りだ」
また話す彼だった。
「それではオニクスよ」
「はい」
「わかりました」
謎の二人がそれに頷いてだった。そうしてだった。
オニクスが動いてだ。彼等は攻めるのだった。
「!?強い」
「あの強さは」
誰もがその強さに目を瞠った。ムゲ帝国軍のマシンを次々に倒していくのだ。
それはだ。マクロス7から見てもだった。
「あの動きは」
「しかも攻撃力もかなりです」
「かなりの高性能です」
エキセドルに美穂とサリーも話す。
「あの動きは一体」
「強さは」
「頼りにはなりますね」
エキセドルもそのことは認めた。
「ですが」
「ですがですか」
「何かありますか」
「あのマシン、今は全くわかりません」
こう言うのだった。
「一体何なのでしょうか」
「そうですね、あのマシンはスサノオに似ていますが」
「それでも。他のマシンよりも遥かに性能が高いです」
「あの性能は」
「ええ」
レイがザイオンの言葉に頷く。
「このジュピター2よりも高い」
「それも遥かに」
「有り得ない」
「そうね」
雲儀に走影が言う。
「我々のギガンティックの戦闘力は互いの力を使うことによるものだが」
「あのマシンはそれを一つも使っていない筈なのに」
「それであれだけの強さは」
「何だっていうの!?」
誰もが首を傾げさせる。そうしてだった。
戦闘はだ。瞬く間に終わってしまったのだった。
ムゲ帝国軍はあえなく退けられた。そして。
バジュラ達もだ。とりあえずは掃討したのだった。
「生命反応は消えました」
「そうか」
大文字はサコンの報告に頷いていた。
「バジュラ達はか」
「そしてムゲ帝国軍もです」
彼等も消えたというのである。見ればだ。
シャピロとロッサだけがだ。撤退して言っていた。
「まさかな」
「はい」
「あの様なマシンがあるとは思わなかった」
恨みに満ちた言葉だった。
「ロンド=ベル。何処までも愚弄してくれる」
「ですがシャピロ様、今は」
「わかっている」
それはだというのだった。
「よくな」
「ではここは」
「撤退だ」
二人だけになっての話だった。
「仕方ない」
「はい、それでは」
こうして彼等は撤退した。オニクスによってあえなく撃退された形だった。
そしてだ。バジュラ達もだった。
「どうします?博士」
「これからか」
「はい、宇宙にいるバジュラは全て倒しました」
このことを言うのだった。
「惑星にいるバジュラは」
「そうだな、生命反応を確かめよう」
「はい」
「卵の一つもあればそれは倒すしかない」
その場合はというのだ。
「しかしだ」
「なければですね」
「このままこの宙域を撤収する」
これが彼の考えだった。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「今から調べよう」
こうして調査するとだった。反応は全くなかった。
それを確かめてだ。大文字は全員に命じた。
「それではだ」
「はい」
「この宙域から撤収ですね」
「そうするとしよう」
こう言うのだった。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「別の場所に」
「この宙域は安全になった」
それでいいというのだった。
「だからだ。いいな」
「そして、ですね」
ここでサコンがまた言った。
「彼等を」
「うむ、そうだな」
オニクスを見ての話になっていた。
「それも見よう」
「そうですね。ゆっくりと聞きたいですね」
こうしてだった。全員オニクスの周りに集まった。そうしてだった。
そのパイロット達を見てだ。神名が驚きの言葉をあげた。
「そんな・・・・・・」
「神名さん、どうしたんですか?」
「真名、それに」
見ればだ。何処か神名に似た少女がいた。
そしてだ。もう一人いた。
「真人君、貴方まで」
「一体誰なのですか?」
慎悟にはわからなかった。彼女が何を言っているのか。
それで問うた。しかしであった。
「いえ、何でもないわ」
「何でもって」
「妹です」
しかしだ。ここでその真名が言ってきたのだった。
「神名お姉ちゃんの」
「えっ、妹!?」
「神名ちゃんの!?」
皆それを聞いてまずは唖然となった。
「それってまさか」
「妹さんがいたなんて」
「ねえ」
「聞いてないし」
「そうよね」
「こんなことは」
誰もが驚いてだった。そうしてだ。
美知島がここでまた言うのだった。
「あえてこうした時の為に温存していたのだ」
「温存していた」
「そうだったんですか」
「そして秘密にしていた」
こうも話す美知島だった。
「あえてな」
「隠していたのは済まない」
レオンも話す。
「とりわけギガンティックの諸君には謝罪したい」
「それはいいけれど」
「そうね。隠している理由はわかるから」
リリィとラヴィはそれはいいとした。
「けれど。あのオニクスというのは」
「あの戦闘力は」
「試作品で前以て全てのマシンの性能を集めて開発したものだ」
そうだったというのである。
「実はそういうマシンなのだ」
「試作品」
「全てのマシンの性能を集めた」
シンシアとダニエルがそれを聞いて言った。
「そしてその性能は」
「かなりだと」
「エネルギーやパワーの性能は後のギガンティックの比ではない」
美知島の説明は続く。
「それだけに制御が難しいのだ」
「それじゃあその二人は」
「それを操ることのできる」
「そうだ、彼等もまた切り札だ」
そうだというのである。
「これでわかってくれたか」
「成程、そうだったのですか」
「彼等が」
「そういうことだ」
「ううん、それでこうした時の為に」
「秘密にしておいたんですね」
「わかりました」
皆これで納得したのだった。
「そういうことでよく」
「それなら」
「そしてだ」
また話すのはレオンだった。
「彼等とオニクスは基本的に我々の指揮下にある」
「フロンティア軍のですか」
「そちらも」
「ギガンティックは全てロンド=ベルに編入させてもらっているがだ」
それでもだというのだ。
「彼等については我々の手元に置かせてもらいたいのだが」
「はい、それは構いません」
答えたのはブライトだった。
「貴方達には貴方達の都合がありまして」
「それでいいですね」
「はい、どうぞ」
こう話すのだった。
「是非」
「わかりました。それでは」
こうしてオニクスの存在が明らかになった。しかしであった。
神名は暗い顔でだ。こう話すのだった。
「まさか。そんな」
「そんな?」
「真名がどうして」
俯いてだった。慎悟に言うのである。
「生きていて。また戦うなんて」
「そのことですか」
「そんな筈がないのよ」
暗い顔でまた彼に話した。
「そんな筈が」
「ですが」
「ええ、けれどね」
また言うことになった。
「戦っている」
「何があるのかしら」
また話す彼等だった。そうしてだ。
「一体これから」
「不安になります?」
「ええ」
慎悟にその表情も見せる。
「とても」
「けれどそれでも」
「それでも?」
「戦うのね」
神名への言葉だった。
「あの娘、そして彼も」
「彼もですか」
「もう。戦うことはない筈なのに」
言いながら悲しい顔にもなっていた。
「それが今こうして」
「ああ、ここにいたか」
「いいかしら」
しかしここで皆が来た。
「二人共とりあえず飲もうぜ」
「そして楽しみましょう」
こう話すのだった。
「酒はあるしな」
「御馳走もな」
「スパムバーガー、あるけれど」
セシリーがそれを言ってきた。
「どうかしら」
「スパムバーガーですか」
「それが」
「ええ、二人共食べる?」
それをまた言うのだった。
「他のハンバーガーもあるけれど」
「じゃあそのハンバーガーを今は」
「食べます?」
「何か悩んでたみたいだけれど」
シーブックは二人の顔を見ながら話す。
「それでも、ここはさ」
「食べて飲んで、ですか」
「そうしてなんですね」
「またあらためて考えばいいのよ」
セシリーは微笑んで話した。
「だからね」
「そうだよな。空腹の中で悩んでもな」
「仕方ないしな」
今話したのはシーブックとバーニィだった。
「だからここはな」
「何か食べようぜ」
「勿論ハンバーガー以外にもあるわよ」
今言ったのはセシリーだった。
「だからね」
「ここでいつもならアヤさんがいるんだけれどな」
「それでも今はな」
シーブックとバーニィはこのことにはかなり落胆していた。
「いないからな」
「残念だよな」
「ひょっとしてそれって」
慎悟もわかることだった。
「声の関係ですか?」
「声は重要よ」
「そうですよ」
ここで出て来たのはレフィーナとサリーあった。
「似ているとそれだけでね」
「違うからね」
「御二人一緒ですか?」
「まさか」
慎悟と神名だけではなかった。
「前から思っていたけれど中が同じとか」
「そういうのじゃないですよね」
「一応違うことになっているというか」
「違うから」
二人はそれは否定した。
「私達は別人よ」
「一応ね」
「いえ、ですから同じものがあるんじゃ」
「本当に」
二人はそれを話してだった。そうしてであった。
「僕達残念ですけれど」
「そういうのはありませんから」
「私なんてですね」
ユンまで出て来た。
「違う世界のことでどれだけ」
「よくわかります」
「何故か」
二人にもわかることだった。
「包丁持ったり白馬に乗っていたりとか」
「どちらもシリーズが進むごとに扱いが酷くなりますよね」
「そうなのよね。どうしたものかしら」
困った顔で話すユンだった。
「白馬に乗ってると影が薄くなるし」
「っていうかある意味愛されてるんじゃ?」
「あの扱いは」
「そうかしら」
これは本人には自覚のできないことだった。
「だといいけれど」
「俺なんかどうなる」
今度出て来たのはアレンだった。
「俺は変態ではないぞ」
「あれはどっからどう見ても変態でしょ」
アスカが横から出て来て言う。
「ピンクのビキニの筋肉ムキムキの辮髪だなんて」
「あれは流石にな」
「ないよな」
「きついっていうか」
「失明するっていうか」
「俺は平気だったがな」
何故か凱が出て来た。
「俺はあの世界でも王だったな」
「ああ、医者王」
「それでしたね」
「変態爺さんもいたわよね」
アスカの顔が引きつっていた。
「あのもう一匹の妖怪、あれよね」
「っていうかあれどう見ても」
「あの人だよな」
「そうよね」
「あれだけはないし」
「絶対に」
「師匠がいないのが救いか」
ドモンが言った。
「ここに」
「お父様は死んだから」
何故かラクスも言う。
「あの妖怪さんを見なくてよかったかしら」
「そうだな、あの二人は絶対に妖怪だ」
フェイは断言していた。
「というかあんたあんなの左右に置いて平気だったのか?」
「何がだ?」
凱だけが平然としている。
「何かおかしかったか?」
「ええと、何ていうか」
「この人だけは別格?」
「みたいな」
皆凱のこの言葉には唖然となった。
「凄い大物」
「流石医者王」
「おい、だからこの世界じゃ勇者王だろ」
「あっ、そうか」
「俺もだしな」
シローも難しい顔をしていた。
「何故かあの二人は平気だった」
「ははは、両手に華でしたね」
アズラエルに至ってはにこにことしている。
「あの時は」
「ええと、アズラエルさん」
「今の言葉は正気かどうか疑いますけれど」
「冗談ですか?」
「はい、冗談です」
この辺りは人柄の悪い彼らしかった。
「ですが楽しい世界でしたね」
「世界観滅茶苦茶にしてたけれど」
「それでもよかったんですか」
「俺にとってはトラウマなんだがな」
アレンは憮然としていた。
「あれは」
「気持ちはわかる」
今言ったのは忍だった。
「俺もああした世界に縁があるからな」
「はい、それにしても私は」
ユンがまた暗い顔で話す。
「どんどんイメージがおかしくなってきています」
「っていうか弟さん好きですしね」
「ユンさんって」
慎悟と神名がまた話す。
「それも変態的に」
「ですから」
「私も医者王さんみたいになれれば」
「しかし何なんだ?」
「最近どんどん世界が訳がわからなくなってるな」
皆ここで首を捻る。
「まあ皆それぞれだけれどな」
「そうそう」
「例えば私にしても」
クリスが出て来て言う。
「レイちゃんもわかることよね」
「わかります」
「そうよね、バーニィと一緒にかなり長い戦いをしていた記憶があるし」
「目が三つあったから」
「そうそう、他にも炎を使う騎士の隊長になったり」
「水被って女になったりね」
サイシーが言ってきた。
「それもあったよね」
「ええ、とてもね」
「俺もな。何か信号みたいな警官になったりな」
ヂボデーはぼやきだった。
「あれ、何だったんだ?」
「あれは酷かったわね」
何故かプリシラが出て来て言う。
「私はプテラノドンだったけれど」
「それはいいことじゃ」
兵左衛門も出て来た。
「わしも猫じゃった」
「ううん、何か皆さん」
「色々あるんですね」
「ない人の方が少ないから」
今言ったのはシンシアだった。
「それはそれで面白いと思うわ」
「そうだな」
その言葉に頷いたのはスレイだった。
「私もそう思う」
「それじゃあ今は楽しくやりましょう」
マヤが明るく言う。
「戦いに勝ったことですし」
「はい、それじゃあ」
「乾杯ですね」
慎悟と神名が頷いてである。そのうえで気を取り直したのだった。彼等の悩みは今は楽しみの中に忘れられるのだった。これからの戦いの為に。
第三十八話 完
2010・6・17
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