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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第二十四話 姉と妹と

               第二十四話 姉と妹と
 降下準備に入る。その中には当然ロゼもいる。
 だが彼女はこの中でだ。今一つ浮かない顔をしていた。
「あれ、ロゼさん」
「どうしたんですか?」
「何かあったんですか?」
「いえ」
 その浮かない顔で返したのだった。
「ただ」
「ただ?」
「故郷に帰られるんですけれど」
「そこに何が」
「故郷には妹がいます」
 妹がいるというのである。
「今。どうしているか」
「妹さんおられたんですか」
「はい」
 いるというのである。
「ルイといいます」
「へえ、ロゼさんに妹さんが」
「そういえばね」
「お姉さんらしいしね」
 それも言うのだった。
「しっかりしてるしね」
「そうそう」
「そうですか?」
 だがロゼはそれを聞いてもこう言うだけだった。
「私は。別に」
「いや、本当に」
「そのうえ何か初々しいしね」
「何時まで経っても」
「ちなみに私も一応お姉さんだぞ」
 何故かナタルは自分から言ってきたのであった。
「兄がいるがな」
「弟さんおられたんですか」
「困ったお姉さんですね」
「待て」
 今のヒカルの言葉にはすぐに突っ込み返した。
「私は困った姉なのか」
「そうだよな。生真面目過ぎるしな」
「生真面目っていくぜ」
 リョーコだけでなくイズミも話した。
「駄洒落ではなく今度は物真似」
「イズミ、キバは先約がいるから駄目だぞ」
「そう」
「それってやっぱり俺だよな」 
 自覚しているブリットだった。
「この場合の先約ってな」
「そうだよな、それってな」
「やっぱりな」
 皆で言うのだった。言うまでもなくだった。
 そしてである。彼等はさらに話すのであった。
「それでナタルさんってなあ」
「融通利かないしな」
「すぐにてんぱるところあるし」
「ずっごい純情だし」
「皆好き放題言うな」
 ナタル本人も何も言えなくなっていた。
「私はそこまでおかしいのか」
「おかしくはないですけれど」
「それはないです」
 このことにはそう言われるのだった。
「ただ。お姉さんらしいなって」
「実はいい意味ですから」
「実はなのか」
 また首を傾げさせるナタルだった。
「だといいのだがな」
「けれどお兄さんいたんですか」
「そうだったんですね」
「そうだ。兄もいる」
 ナタルはこのことも真面目に話した。
「私の兄も弟も軍人なのだ。父もな」
「軍人の家なんですね」
「そうだったんですね」
「そうだ。他の仕事を知らないということもあるがな」
「それでお姉さんとしてなんですけれど」
「やっぱりらしいなって思うんですよ」
 さらに話す彼等だった。ナタルに対してだ。
「ナタルさんらしいって」
「お姉さんだって」
「ううむ、そういえばだ」
 ナタルはここでちらりとロゼを見た。そのうえでまた言うのだった。
「私とロゼはだ」
「似ていますね」
「そうだな」
 そしてお互いでも言う。
「姉か。一口に言うがな」
「そうですね。色々とありますね」
「妹さんにはもう長い間会っていないな」
 ロゼに対して問うたのだった。
「そうだな」
「はい、もうかなり」
 実際そうだというのであった。
「長い間本星にいて軍役についていましたので」
「そうだったな。そして今はここにいるしな」
「やはり心配です」
 困った顔での言葉だった。
「今どうしているのか」
「それに今戦いがはじまる」
 ナタルはこれからのことも見ていた。
「それもあるしな」
「はい、バルマー軍にいるのかそれとも」
「それとも?」
「市民としているのか。ですがこの場合は」
 今のロゼの言葉を聞いてだ。皆あることに気付いて述べた。
「ああ、そうか。バルマーって封建社会だから」
「ロゼさんって一個方面軍の副司令でしたし」
「それだと」
 さらに話される。
「貴族ですよね、それもかなり位の高い」
「やっぱりギシン家と近いんですか」
「はい、近いです」
 ロゼもそのことを否定しなかった。
「純粋なバルマー人でもあります」
「そうだよな。それだったらやっぱりな」
「家柄もあるんですね」
「ロゼさんって」
「ですから私は別に」
 また言うロゼだった。
「そういうのはないですから」
「家柄は何の関係もない」
 マーグも話してきた。
「それよりも本人の資質だ」
「それを考えてもね」
「だよなあ」
「ロゼさんだけじゃなくてマーグさんも」
「そうよね」
 あらためて言うのだった。
「司令官に相応しいよね」
「能力だって凄いしね」
「だよね」
「私を認めてくれるのは有り難い」
 マーグはその彼等に静かに述べた。
「それではだ。私も戦っていいな」
「はい、勿論ですよ」
「一緒に戦いましょう」
 全員での言葉だった。
「今から降下してね」
「降下ですね」
「そうだな。行かせてもらう」
 マーグは真面目な顔で述べた。
「今からだ」
「はい、それでは」
「今から」
「そしてだ」
 また言うマーグだった。
「この星を解放しよう」
「はい、是非」
「何があっても」
「では諸君」
 大文字が告げてきた。
「攻めるぞ。いいな」
「降下してから凄いことになるな」
「そうよね」
 また話すのだった。
「敵だって馬鹿じゃないし」
「備えは当然だよな」
「来るのはわかってるし」
「そうですね。しかし」
 ここで言ったのはルリだった。
「敵の戦術はあまりと言えばあまりですね」
「そうよね。この場合は惑星の軍も含めて撤退するわよね」
「はい、そうです」
 こう言ってユリカに対して頷いたのだった。
「ここで惑星戦をするというのはです」
「殆ど無駄に損害を出すだけだ」
 ダグラスはさらに言った。
「こちらにも損害を出させるということでもあるがな」
「つまりは消耗戦というわけだな」
 アルフレッドはこう表現した。
「向こうの戦力は惑星のは捨て駒だ」
「捨て駒か」
「そうなるんですね」
「普通はこうしたことはなしない
 ミナもそれははっきり言った。
「あそこまですることはだ」
「しかし。それでもするというのは」
「敵の司令官は犠牲を厭わないのでしょうか」
「若しくはそんなことはどうでもいいかだね」
 ユウナはあえて素っ気無く言ってみせたのである。
「それよりも自分が勝つかどうかっていう相手なのかもね」
「つまり自分の為には他人を捨石にできる」
「そうした相手なんですか」
「とんでもない奴じゃないのか?」
 ここまで聞いてマリンは述べた。
「それならな」
「そうよね。そういう考えなのだったら」
「今回の相手は確かに」
「ズールだったわよね」
 相手についても話される。
「どういう相手か知らないけれど」
「それでもそういう相手なら」
「これからもこうした戦いが続くのか」
「それだけではないのかも知れないわ」
 今言ったのは華都美だった。
「謀略を仕掛けてくる可能性もあるわ」
「謀略ですか」
「それもですか」
「ええ、暗殺なり何なりね」
 その危険を察していたのである。
「そうしたことにも警戒しないといけないのかも知れないわ」
「ああ、そういえばだけれど」
「バルマー軍は今までそうしたことしなかったよね」
「確かにね」
 ラオデキアやマーグを思い出しての言葉である。
「それはしなかったし」
「けれど司令官の嗜好にもよるから」
「それなら」
「そうよ、それよ」
 また話す華都美だった。
「気をつけてね。それも」
「わかりました、じゃあそれも」
「今度も」
「よし、それなら」
 そして降下した。すると予想通りだった。
「来たか」
「やっぱりね」
「もう来たのか」
 誰も目の前に展開している敵を見ても驚いていなかった。そうしてである。
 戦闘命令が下された。迅速そのものだった。
 先に動いたのはロンド=ベルだった。
 そのまま突き進む。そのままバルマー軍に総攻撃を浴びせる。
「いいか!」
「はい!」
「まずはミサイルですね!」
「そうだ」
 フォッカーはマックスと柿崎に対して返す。
「最初が肝心だ。派手に撃ち込むだ」
「そしてそれからですね」
「突っ込みますね」
「そうだ。おい輝」
 彼に対しても告げるのだった。
「わかっているな」
「はい、それは」
「ならそれでだ」
 また話す彼だった。
「一気に行くぞ。いいな」
「わかりました」
「まずはミサイルを撃ち込み敵陣を崩す」
 そうするというのだ。
「そしてそれからだ」
「ええ、格闘戦ですね」
「そのうえでさらに暴れるんですね」
「そうだ、そうする」
 実際にこうまたマックスと柿崎に述べた彼だった。
「それで食い破るぞ」
「了解」
「わかりました」
 こうして向かう。そこでだ。
 フォッカーは輝に対しても言うのだった。
「おい、輝」
「はい」
「まず御前が行け」
「先陣ですね」
「ああ、御前しかいない」
 こう告げたのである。
「いいな、まずは御前だ」
「それで敵に大ダメージをですか」
「ああ、頼んだぞ」
 また言うフォッカーだった。
「御前が一番槍だ」
「はい、それじゃあ」
 こうして輝が最初にミサイルを放つ。それで敵に大穴を空けるのだった。
 ミサイルが無数に放たれそれぞれが複雑な動きをしてだ。敵をまとめて撃墜する。輝の放ったミサイルはその正確さをさらに高めていた。
 そしてだ。それを放ってから今度はガウォークになった。
 そのガウォークの姿で敵の中に踊り込む。ガンポッドを乱射してそれでも倒していく。
「な、こいつ等」
「さらに強くなってないか!?」
「しかも素早いぞ!」
 その彼等を見ての言葉だった。
 守ろうとする。しかしその攻撃力と機動力に翻弄される。
 どうにもならない様な状況だった。損害ばかり増える。
 ワールもそれを見てだ。深刻な顔になっていた。
 しかしそれでも戦いを投げ出さない。こう指示を出すのだった。
「陣を幾重に敷け」
「陣をですか」
「幾重もですね」
「そうだ、そうする」
 こう言うのだった。
「いいな、それで守るぞ」
「そしてそのうえで、ですね」
「惑星の残っている戦力を全て」
「そうだ。ところでだ」
 ここでワールは周りに問うた。
「ラオデキア=ジュデッカ=ゴッツォ達はどうしているか」
「あの方々ですか」
「そうだ。あの者達はどうしているか」
 このことを問うのだった。
「今はだ。どうしている」
「こちらに来てはいるのですが」
「しかしです」
「間に合わないかと」
「そうか」
 それを聞いてまずは頷くワールだった。
「やはりな」
「反乱が別の星系で起こっています」
「ですから」
「何っ、反乱がか」
 ワールはそれを聞いてすぐに眉を顰めさせてきた。
「反乱がだというのか」
「はい、そうです」
「そこで」
「反乱が起こっているのか」
 また言う彼だった。
「最近我等の管轄区でも頻発しているな」
「やはり銀河辺境方面軍の壊滅が影響しています」
「そのせいかと」
「そうか、一個方面軍の崩壊がそこまで影響するか」
 それを聞いてまた言うワールだった。
「そしてそれによってか」
「はい、あの方々は動けません」
「しかも複数の星系においてです」
「くっ・・・・・・」
 それを聞いてワールは今度は歯噛みした。
「それでか。七個の艦隊が全て動けないというのか」
「そうです、直属の艦隊しかです」
「動けません」
「決断する時が来るか」 
 ワールはまた言った。
「それではか」
「はい、今はです」
「ここは防ぐしかありません」
「我等だけで」
「それでか。反乱を鎮圧するまでの間にロンド=ベルを引きつけるか」
 それだというのだ。
「それの意味もあってか」
「それがズール様の御考えなのですね」
「それでなのですか」
「ではここは」
「我々は」
「そうだ。出来るだけ戦う」
 ワールは意を決した。その間に陣を組んでいた。
「しかしだ。時が来ればだ」
「はい、その時は撤退ですね」
「この星から」
「責任は私が取る」
 こうまで言うのだった。
「いいな、それでだ」
「はい、それでは」
「そうさせてもらいます」
 部下達も頷いた。そうしてだった。
 彼等はそのまま戦う。惑星の他の軍も来た。そのうえで戦い続ける。
 広大な平原で両軍は戦い続ける。ロンド=ベルは攻めバルマー軍は防ぐ。その中の攻防は確かにロンドベル優勢のまま進んではいた。
 だがその中でだ。マーグは言うのだった。
「これは時間稼ぎだな」
「時間稼ぎ!?」
「それなのですか」
「そうだ、やはりそれで間違いない」
 こう言うのであった。
「それはだ。だが」
「だが?」
「といいますと」
「何故時間稼ぎをするかだな」
 マーグはそれも見ていたのだ。
「それが問題だな」
「この辺りのバルマー軍にも何かとあるのですか」
「そうなのですね」
「そうだ、それだ」
 また言うマーグだった。
「それも調べておくか」
「そうだな」
 大文字もマーグのその言葉に頷いた。
「今回の戦いは威力偵察の意味もあったがだ」
「はい」
「だからこそですね」
「敵を知り己を知れば百戦危うからずだ」
 孫子の言葉だった。
「だからこそだ」
「はい、調べておきましょう」
「是非」
「この宙域のバルマー軍の兵器はわかった」
 まずはそれを見る戦いであった。
「そして次はだ」
「はい、情報収集ですね」
「この星の戦いの後は」
「そうだ、戦いを止めてそれにかかる」
 そうするというのだ。
「それで宜しいかと」
「はい、それでは」
「そうしましょう」
 これからの方針も決めた。そうしてだった。 
 彼等は攻め続ける。バルマー軍は防戦一方だ。しかし粘り強く生き続けている。
 その中でワールはゴッチと共に指示を出し続けていた。
「もうすぐだ」
「粘れ!」
 ゴッチもまた前線で叫んでいた。
「もう少しだ、耐えろ!」
「は、はい!」
「わかっています!」
 彼等は何とか耐えていた。必死である。
 そしてだ。その幾重もの方陣を突破されながらもだ。何とか踏ん張っていた。
 損害は増える。ロンド=ベルも容赦しない。
「行くわよバーニィ!」
「ああ、クリス!」
 バーニィがクリスの言葉に応えていた。
「ここはね!」
「やってやるさ!」
 こう言ってビームライフルを放つ。それも一撃や二撃ではない。
 何度も放ってだ。敵を倒していく。
 クリスも同じだ。バズーカから何かを放った。
 しかし核ではない。それで撃ったのは。
 爆裂弾だ。バルマー軍に大穴を開けた。
 ロンド=ベルはそのまま潰していく。だがそれで終わりではなかった。
「敵の戦力は!?」
「はい、四割減っています」
「これまで出て来た戦力全てで」
 グローバルにクローディアとキムが答える。
「あともう少しです」
「敵の勢いはかなり減っています」
「防戦であってもだな」
 守りにも勢いが必要だということだった。
「減っているな」
「はい、それでは」
「どうされますか?」
「一気に攻める」
 そうするというのだ。
「いいな、全軍攻撃だ」
「はい、それでは」
「今からですね」
「全軍に告ぐ」
 グローバルは冷静に告げてきた。
「このまま正面から一気に攻める」
「決着をつけるんですね」
「それでしたら」
「そうだ」
 まさにその通りだという。
「いいな、総攻撃だ」
「よし、それならだ」
「今から攻めましょう」
「まずは攻撃陣形を組んでくれ」
 最初は攻めないというのだ。
「それからだ。整えてだ」
「そうして総攻撃ですね」
「そのうえで」
「そうだ、攻める」
 また言う彼だった。
「整えてからだ」
「では迅速に整えましょう」
 未沙の言葉だ。
「そしてそのうえで」
「そうだ。迅速に整える」
 また言う。これで決まりだった。
 全軍すぐに陣を整える。そうしてだった。
 ロンド=ベルは迅速に陣を整える。そして正面から攻撃を仕掛けた。
 それでバルマー軍をこれまで以上に突き崩す。勝敗は決したかに見えた。
 だがそれでもバルマー軍は粘る。彼等も一糸だった。
「まだだ!」
「まだ退くな!」
 ワールとゴッチが命じる。
「いいな、まだだ!」
「踏ん張れ!」
「司令。今第五艦隊から連絡が入りました!」
「第三艦隊もです!」
 このことが言われるのだった。
「反乱を鎮圧しました!」
「第一艦隊間も無くです!」
「第七艦隊もです!」
「そうか」
 ワールはそれを聞いてまずは頷いた。
「それではだな」
「はい、そろそろです」
「時が来ました」
「わかった。それではだ」
 ワールはまた言った。そうしてであった。
 全軍にだ。命じようとする。
「では全軍を集めよ」
「そしてですね」
「撤退ですね」
「撤退する前にまずは物資も回収する」
 それもだというのだ。
「いいな、一旦後方に下がる」
「はい、わかりました」
「それでは」
「そのうえで撤退する」
 整然と撤退するつもりであった。
「いいな、それでだ」
「はい、それでは」
「これより」
「殿軍は私が」
 ゴッチが名乗り出て来た。
「務めさせてもらいます」
「頼んだぞ」
 こう話して撤退にかかろうとする。しかしだった。
 それどころではなかった。何故ならだ。
「司令、大変です!」
「後方にです!」
 部下達が言ってきたのである。
「敵です!」
「敵が来ました!」
「何っ!?」
 それを聞いたワールも思わず声を返した。
「馬鹿な、ロンド=ベルは」
「いえ、違います」
「彼等とは違います」
 それは否定されるのだった。
「彼等ではありません」
「別の勢力です」
「レジスタンスか」
 ワールは顔を顰めさせて言った。
「奴等か」
「はい、おそらくは」
「あの連中です」
 部下達も忌々しげに言う。
「あの連中が後方の基地を攻撃しています」
「最早陥落寸前です」
「くっ、そうなのか」
 それを聞いて歯噛みするワールだった。
「それではだ。一刻の猶予もない」
「即座に撤退ですか」
「このまま」
「そうだ」
 まさにそうだというのである。
「わかったな、ここはだ」
「わかりました」
「それでは」
 皆それに頷いてだ。即座に惑星から姿を消した。ワープを使ったのだ。
 こうしてロゼの故郷は解放された。まずは勝利を収めたのだった。
 その彼等にだ。通信が入って来た。
「あの」
「はい」
 ヘンケンがそれに応える。
「何でしょうか」
「我々はこの星のレジスタンスの者ですが」
「レジスタンスのですか」
「そうです」
 こう言ってきたのである。
「この星の自由の為に戦っていたのですが」
「そうだったのですか」
「貴方達のおかげで解放されました」
 こうヘンケン達に言うのである。
「有り難うございます」
「いえ、それは」
「それでなのですが」
 レジスタンスの者達はあらためて言ってきた。
「あの、貴方達は一体」
「我々は、ですか」
「どういった方々なのでしょうか」
 それを問うてきたのである。
「何故我々の星を解放してくれたのですか?」
「我々はロンド=ベルといいます」
 また話す彼等だった。
「それが我々の部隊名です」
「ロンド=ベルというと」
 その名前を聞いであった。リーダーと思われる年長の者の言葉だった。
「まさかと思いますが」
「まさか?」
「あのバルマー軍外銀河方面軍を壊滅させたですか」
「はい、我々がそうです」
 まさにそうだと答えるのだった。
「我々がそうなのですが」
「そうですか。貴方達がですか」
 リーダーの男はそれを聞いてまた頷いた。
「まさか。この様な場所で」
「色々とありまして」
 ヘンケンはまずはこう述べたのだった。
「話せば長くなります」
「長くですか」
「お話しても宜しいでしょうか」
「はい、御願いします」
 こう答えるリーダーだった。
「そのお話。どうか聞かせて下さい」
「わかりました、それでは」
 こうして彼等にこれまでの話を聞いた。
 そうしてだった。レジスタンスの者達はこう言うのだった。
「そうだったのですか。それでなのですか」
「それでこの星まで」
「そうだったのですか」
「はい、そうです」
 今度はアキラが答えていた。
「それでなのです」
「しかし。驚いたのはです」
「ロゼもそちらにいたとは」
「それにギシン家の長だったマーグまで」
「私も今ではバルマー帝国と戦う身」
 マーグも言ってきたのだった。
「そうした意味では君達と同じだ」
「まさか」
「そうだったのか」
 皆それを聞いてあらためて頷くのだった。
「それでここまで」
「そうだったのですか」
「それに」
 ロンド=ベルの面々を聞いてだ。また話したのだった。
「あのロゼまでとは」
「ロゼもだったのですか」
「貴方達と共に」
「ロゼがどうかしたのですか?」
 タケルは彼等の言葉を聞いて怪訝な顔になってだ。そうして問うたのである。
「一体。何が」
「ロゼはこの星の生まれでした」
「しかしです。身よりもなくです」
「そして彼女のたった一人の妹を育てる為にです」
 こう話していくのだった。
「バルマー軍に入りました」
「そのロゼもですか」
「ここに」
「ええ、色々ありましたが」
 こう話すのだった。
「しかし今では我々と共にいます」
「ロンド=ベルにです」
「しかし。ロゼは純粋なバルマー人なんですよね」
 ここでアムロが彼等に問うのだった。
「それで妹さんを育てる為にだったのですか」
「丁度ロゼの家は没落していまして」
「それで」
 貴族といえど没落する。そういうことなのだ。
「ズールの家に資産を騙し取られて」
「それで両親も失いです」
「その為家は没落していました」
 そうであったというのである。
「そのせいでロゼは軍に入りました」
「そういうことだったのです」
「それで」
「そうだったのですか」
「ロゼも色々あったのですね」
「というよりは」
 皆ここでロゼを見る。そうしての言葉だった。
 そしてだ。また話すのだった。
「苦労人だったんだな」
「本当に」
「いえ、それは」
 自分ではそれを否定しようとするロゼだった。
「それは別に」
「いえ、それはないです」
「姉さん」
 しかしだった。ここでレジスタンスの方から美しい少女が出て来た。何処かロゼに似た少女である。その彼女が出て来てそれで言ってきたのである。
「隠しても無駄よ」
「ルイ・・・・・・」
「私もここにいるから」
「貴女も、どうして」
「私、決めたの」
 こう言うのである。
「姉さんのいた軍が壊滅したと聞いたその時にね」
「その時になの」
「そうなの、それは」
「私も戦おうって」
 そうだったというのだ。
「そう決めてレジスタンスに入ったの」
「そうだったの」
「それまで私は姉さんに護られていたけれど」 
 そう感じていたのだ。
「けれど。私はもう」
「戦うと決めたのね」
「そうなの。そして姉さんもだったのね」
「ええ」
 妹の言葉を受けてだ。こくりと頷いたのだった。
「そうよ、そして今はね」
「バルマー帝国と戦うのね」
「私はもう迷わないわ」
 目は妹を見ている。そのうえでの言葉だった。
「何があっても」
「そう。だったら」
「貴女と同じよ。私はこの星と、そして」
 言った。完全にだ。
「マーグ様の為に。戦うわ」
「そう、わかったわ」
 ルイもそれを聞いてだ。そして頷いた。
 そのうえでだ。また姉に告げるのだった。
「なら。私達は同じね」
「そうね。同じね」
「私達は今は一緒よ」
 二人で話すのだった。
「同じ目的の為に戦っているのね」
「じゃあ姉さん」
「ええ、ルイ」
「もうすぐ行くのよね」
 こう姉に問うた。
「もう、行くのね」
「ええ」
 ロゼはルイの今の言葉にこくりと頷いた。
「そうよ。また別の星に行くわ」
「そしてバルマー軍を倒すのね」
「まずはズールを」
 倒すというのだった。
「倒すわ。絶対にね」
「わかったわ。それじゃあね」
「また会いましょう」
 妹のその確かな目を見ての言葉だった。
「また。そして何時かね」
「もう一度一緒に暮らしましょう」
 妹の言葉だ。
「もう一度ね」
「ええ、待ってるわ」
 ロゼも微笑んでルイに返す。
「子供の頃の様に一緒にね」
「ええ、また」
 こう言葉を交える姉と妹だった。ロンド=ベルはすぐに次の戦場に向かった。そして再び宇宙の長い旅路に入った。だがここで、であった。
 ロゼはすぐにだ。周りを囲まれてこう言われたのだった。
「いやあ、ロゼさんもね」
「隅に置けないっていうか」
「そうよね」
「あんな大胆な告白するなんて」
「もうびっくり」
「えっ、告白ですか!?」
 だがそれを言われたロゼは唖然とするばかりである。
「私が告白ですか。何時」
「だから。妹さんとお話してたその時ですよ」
「ほら、マーグさんの為にって」
「言ってたじゃないですか」
 皆めざとくこのことを聞き逃さなかったのである。
「いや、あれはちょっと驚きましたよ」
「あそこで衝撃の告白だなんて」
「大胆過ぎますよ」
「私は別にそれは」
 今度は真っ赤な顔になるロゼだった。
「あの、そんなことは」
「いやあ、もうわかってましたから」
「そう、わかってましたよ」
「それはね」
「わかっていた」
 そう言われてさらに狼狽するのだった。
「あの、それは」
「だってねえ」
「もう態度に出ていたから」
「それでね」
 わかるというのだった。
「ですから安心して下さい」
「そうそう、それにね」
「それに?」
「誰もロゼさんのこと悪く思っていませんから」
 こうも言うのだった。
「それは安心して下さいよ」
「応援してるんですからね」
「皆でね。是非ですよ」
「是非、ですか」
「そうです、是非です」
 周りの言葉は続く。
「マーグ様を離さないで」
「ハッピーエンドまでいって下さいよ」
「期待してるんですから」
「はあ」
 そう言われても呆然となったままのロゼだった。
 しかしだ。一応はこう言った。
「有り難うございます」
「そうですね、ですから応援してますからね」
「このままずっとですよ」
「ずっとですか。それでは」
 ロゼも意を決した。顔を真っ赤にさせて必死の表情になってだ。
「私頑張ります」
「そうですよ。頑張って下さいね」
「絶対に」
 そんな話をしてだった。そのうえでまた別の戦場に向かうのだった。


第二十四話   完


                        2010・5・1 
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