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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第十三話『モンド・グロッソscene2』

 
前書き
今回は一気に年月を進めました、それと少し短めなのでご了承ください。 

 

第二回モンド・グロッソ会場にて。


「ふふっ……懐かしい雰囲気だ」


シュハイクは3年ぶりにやってきた会場の空気に胸を躍らせていた。辺りを見ると、以前に知り合った面々が居る。


「シュハイク責任官、少々浮かれすぎでは?」


横から鋭い指摘を入れるスウェン。

何故彼がここに居るのかというと、今回の第二回モンド・グロッソはドイツで開催される事になり、それにともない今回の会場警備はドイツ軍が行う事になった。

勿論“シュバルツェア・ハーゼ”も警備を担当しており、スウェンは公に出来ないものの“シュバルツェ・ハーゼ”の隊長だ。来ない訳にはいかないため、シュハイクの付き人として現場に来ている。


「久しぶりだなシュハイク」

「その声は……」


突然声を掛けられ、シュハイクは声がする方を向くと流れるような長髪に吊り目の女性が、隣には女性と同じ髪の色の少年が居る。


「やっぱりな、この狼娘」

「誰が狼だ。ん? そっちのは……」

「スウェン。自己紹介を」


スウェンは一歩前を出て


「初めまして、自分はスウェン・カル・バヤンと言います」

「スウェン? ああ、例の……」

「例の?」

「いや、こちらの話だ。私は織斑 千冬、よろしく頼む」

「織斑……千冬」


織斑千冬。3年前に行われた、第一回モンド・グロッソ優勝者であり、シュハイクを負かした女性。スウェンその事から千冬に興味を持っていた。


「貴女が“ブリュンヒルデ”と――」

「その呼び方は止めてくれ。あまり好きではない」

「……申し訳ありません」

「相変わらずだな、千冬。それで? そちらの少年はお前の弟か?」

「ああ。ほら、一夏」

「お、“織斑 一夏”です! よ、よろしくお願いします!」


少年、織斑 一夏は初対面からか、若干恥ずかしながら言う。


「お前と違って随分と……」

「何だ?」

「いや、何でもない。そう睨むなよ、ふふっ怖い怖い」

「シュハイク責任官、俺はこれで」

「ん? ああ、警備の方は頼んだぞ」

「了解」


そう言い、スウェンは千冬に軽く会釈をした後、警備の指導に向かった。


「“シュバルツェ・ハーゼ”の隊長であり、現在この世界における唯一存在……か」

「ああ、良き働き者だよ。どうだ? 結構良い男だろう?」

「……まあな」

「おお、織斑 千冬にしては随分と普通の反応だな」

「私を何だと思っているんだ……」

「気にするな、気にするな!……さて、今回は負けんぞ? 3年前の借りは返してやる」

「望むところだ」




/※/




「隊長、お戻りになられたのですね」


会場の警備本部の休憩室に、スウェンとラウラが居る。


「シュハイク責任官の方はもう大丈夫だろうと思ってな。……しかし予想以上だな、モンド・グロッソというのは」

「21の国が参加しているだけあって中々の規模が」


スウェンは椅子に座り、メーカーで淹れたコーヒーを口にする。コーヒーカップをテーブルの上に置き


「ラウラ、お前はこのモンド・グロッソ、どう考える?」

「唐突ですね……正直、あまり好ましいものではありませんね」

「ほう……何故だ?」

「ISは兵器です。兵器をこのようなスポーツの一環としてとらえる等、私は考えられません」

「成る程、それがお前の考えか」

「スウェン隊長は?」

「俺か?……ISはお前の言ったとおり兵器だ。ここ近年、ISを使っての武力行使等は耳にするか?」

「い、いえ……」

「だろうな。ISと言うのはその性質上、この世界のあらゆる兵器を凌駕した存在だ。その国が保有しているだけで、強力な抑止力となる。だが、人間は他者より優れているものを持ちたがる。よって、より強力な抑止力を持つために研究する。しかしその研究した成果をどうやって他国に見せる? ISで戦争染みた真似をしてみろ、被害は甚大だ」

「だからこうして競技で競い合い、どこの国がより強力な力を、技術を保有しているか決める。と言う訳ですか……」

「あくまでもこれは俺の見解だ。もしかしたら違う意図があって行われているかもしれない。このモンド・グロッソというものを考えた人間は相当のやり手だな……そろそろ始まるか」


耳に響く狼煙の音。第二回モンド・グロッソが開催された。スウェンは立ち上がり、インカムを起動し


「こちら本部、スウェン・カル・バヤン中尉だ。“シュバルツェ・ハーゼ”隊員に伝達、第二回モンド・グロッソが開催された。我々の任は警備だ。不審な者を見かけたら直ぐに通達、現場へ急げ。これは我々“シュバルツェ・ハーゼ”……いや、ドイツの面子がかかっている。この一週間、何としてもモンド・グロッソを何事もなく終わらせるぞ」

『はっ!』

「……良い返事だ、期待している」


そうして通信を切り、ラウラの方を向く。


「お前も持ち場へ向かえ。俺は本部(ここ)でモンド・グロッソの状況を把握する」

「はっ!」


ラウラは敬礼し方向を180度変え、本部を出て行く。スウェンは再び席に座る。


「何事もないのが一番だな……妙な胸騒ぎがするな」



 
 

 
後書き
しかし、モンド・グロッソって何の為に開催されたのでしょう……やはり技術を見せるためでしょうか? 
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