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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第一章 無印編
  第十三話      『介入者』

 
前書き
前々から何度も言われてきましたのでアンチだと思われる部分を大幅修正しました。
これで大丈夫かと思われますがまだありましたら言ってください。


今回はタイトル通りある人達が介入してきます。

では、どうぞー。 

 



Side シホ・E・シュバインオーグ


あれから翌日。
魔力はイリヤの魔術回路のサポートのおかげでほぼ回復した。
どうやら体を調べた結果、イリヤの魔術回路は私が投影を酷使してもそれをサポートしてくれる役割を担っているらしい。
だから後遺症で以前みたいに褐色の肌に白髪の髪になるという心配はない。
しかし、だがやはり体力の消耗まではどうにもならないらしく少し倦怠感がある。
おまけに久しぶりとも言えるけど現在私は微熱を出して今日の学校はお休みになった。
なのはが何回か心配してくれたけど、何度か説得して学校に行かせた。

それからユーノとフィアと部屋で会話をしていた。

「…どうして話してくれなかったんですか?」
「兄さん…前にもいったけど二人には心配かけさせたくなかったのよ。お姉様は…」
「それはわかっているよ。でもだったらどうしてフィアだけに…」
「夢を、見させちゃったからかしら…?」
「夢…?」
「ええ。今私とフィアはリンカーコアにパスを通してある意味従者の関係になっているの。
それでフィアは精神リンクでパスを通して私の過去の夢を少し覗いてしまった。だから教えたの…」
「そうだったんですか…」
「ええ。でも昨日フィアが話しちゃったからなのはが帰ってきたら少しだけ過去を伝えるわ。
正直言えば平和な世で暮らしていたなのはには聞かせたくないけど、あの娘は強情でしょ? 絶対引かないと思うのよ」
「確かに…」
「そうですね」

二人が納得してくれたところで部屋をノックする音が聞こえたので二人は会話を中断させてそれぞれの籠の中に戻った。
それで私も「どうぞ」と言って声の人物を部屋に招いた。
入ってきた人物はおかゆを持ってきてくれた桃子さんだった。
考えなくても必然的には今日は平日。
なのははもちろん恭也さん、美由希さんも学校に行っている。
士郎さんも翠屋で現在営業中である。
だから桃子さんが来ることはだいたい予想はついていた。

「シホちゃん、具合はどう…?」
「はい。大分良くなりました。今はもう熱も引いて体力の回復を待つばかりです」
「そう、よかったわ。…それでどうして、とか聞いちゃいけないかな?」
「…すみません。いつか時がきたらなのはと一緒になにをしているか教えます」
「分かったわ…」

そこで一度会話は途絶えたけど突然私は桃子さんに抱きしめられた。

「うん。今は理由は聞きません。でもシホちゃんはもう一人じゃない…私達の大切な家族なのよ。だからいつかちゃんと話してね?」
「はい…ありがとうございます」

私はまた涙ぐんでしまい桃子さんに気づいたら逆にしがみついてしまっていた。
フィア達が見ているから恥ずかしいけど、今の気持ちを偽りたくない。
それで桃子さんも笑顔を浮かべてくれた。
…その後はちょっと恥ずかしさが残る「あーん」をしてもらった。

しばらくして桃子さんが部屋を出て行くと私は咳払いをして二人を見るとなにやらとてもいい表情をした二匹のフェレットがいた。

「…なにかしら?」
「な、なんでもないよ?」
「はいです。お姉様がとても可愛かったなんてとても…「フィア!」…あ」

それで二人には少し怖い目にあってもらったと記載する。
そして場が落ち着いた頃を見計らったのか、

「ねぇシホ。昨日のあの矢…いや、剣はなんなの? それにあのジュエルシードの暴走した衝撃に耐え切った盾は一体…?」
「確か以前お姉様が使ったものを入れるといつもお姉様が使用している双剣、干将・莫耶。
空を飛行できるタラリアという靴。
それと月村邸でロボット退治に使用した物干し竿。
そしてあの二人を拘束した天の鎖、黒鍵にロー・アイアス。極めつけは昨日使用したカラド・ボルクという強力な魔力を秘めた矢。
どれにもすごい魔力がこめられていました。
あれらは一体なんなのでしょうか…?」
「前にも言ったけど転送系の魔術で“ある場所”から呼び出して使えるものよ。
フィアが今使用している棒もそこから引っ張り出して使っているものだわ。
…まぁ分かりやすく言えば私ことシホ・E・シュバインオーグの『武器庫』といったものね」
「武器庫って…まだあんな強力なものが他にもたくさんあるの!?」
「まぁ、ね…でも武器庫の場所は教えないわよ? あれは私の家系の魔術の集大成とも言える場所だから」

二人はそれでとても感心していた。
我ながらよくこんな意地の悪い嘘を言えたものだ。
その武器庫は私の心象世界にあるから一生見つけ出すことは不可能に近いって言うのに…。
固有結界を発動さえしなければバレルものでもないし。
いや、でも別に嘘でもないかな? 剣の丘から呼ぶという時点で転送といっても間違いではない。

三時過ぎになってユーノがレイジングハートが回復したのでなのはに届けてくると言って出て行った。
私も桃子さんにもう大丈夫と伝えて出かける了承をしてもらいフィアとともに町を探索していた。
そしてまたフェイトと出合ったあの公園にいけば会えるかなと希望的思考で向かった。
すると久しぶりに来たというのに私の匂いなのかな?
それを嗅ぎつけてやってきた野性の動物達が私が座ったベンチに集まってきた。
だからまた歌わせてもらう事にした。


◆◇―――――――――◇◆


シホが公園に入る少し、いやかなり前にこの次元世界「地球」の近くの座標に、ある一つの次元航行艦が待機していた。
航行艦の名を巡航八番艦『アースラ』。
アースラは先日第97管理外世界…通称「地球」から小規模次元震が観測されたとの報告を受け到着していたのだ。
そのアースラのブリッジである場所の艦長席に座しているミント色の髪をした『リンディ・ハラオウン』が、

「ここが次元震の反応が観測された地球という星ね」
「はい、リンディ艦長。この世界には魔法技術は存在していないようです。
ですがスクライア一族の話でこの世界にジュエルシードというロストロギアが海鳴市という町を中心にして散らばったそうです。
それともう一つ、そのジュエルシードを発掘したという双子の兄妹が行方不明になっているそうです。
おそらく捜索にあたっているものではないかと…」

若い茶色の髪をしたオペレータの女性、『エイミィ・リミエッタ』がリンディにそう伝えた。
リンディはただ「そう…」とだけ答えて、映し出された二人の写真を見ていた。
そこにはユーノとフィアットの顔写真が載っていた。

「捜索者は二組いるそうね。どちらかに協力している可能性があるわ。
小規模とはいえ次元震が発生したのは事実…放っておくことはできないわ。
だからそういう事だけど頼めるわね、クロノ?」
「もちろんです艦長。僕はその為にいるんですから…」

リンディにクロノと言われた全身黒ずくめのバリアジャケットを着ているまだ幼さが残る少年はそう答えた。
そしてクロノは転移装置で海鳴市に降り立った。

「ここが地球か…」

クロノはバリアジャケットを解いて私服の姿になり(これも全身黒)しばらく人気がない場所を歩いていた。

「(小規模次元震が起きたのはここの近くだというのにあまり騒ぎは起きていないようだ。もしかしたら結界内で起きたことなのかもしれないな)…ん?」

そこでクロノは近くから微かだが魔力反応をキャッチした。
焦らずに向かってみるといつの間にか公園に着いていた。
そしてクロノはそこで幻想的な光景を目の当たりにする。
一人の煌めく緋色の髪をした少女が何の歌かは分からないが目を閉じ両手を合わせて歌っている。
それだけならまだ別にたいしたことではないがその少女を中心に数十匹の様々な動物達が集まって聞き入っている。

「(不思議な光景だ…でもあの少女と肩に乗っているフェレットから魔力反応を感じる。
どちらも普通の人と比べると大量の魔力を持っている。特に緋色の髪の子はもしかしたらランクは僕以上かもしれない…)」

クロノはさっそく重要人物かもしれない者を発見したのでブリッジに連絡を取った。
そしてブリッジではクロノの報告を受けてその少女の映像を映し出される。
するとクロノと同じでやはり幻想的に見えたのだろう、その少女に見入っていた。
だがリンディはいち早く復帰し、

『わかりました。クロノ、頃合いを見て接触を試みてちょうだい』
「わかりました。ですが白の場合は…いや、それはないでしょうね。二人ともおそらく関係者でしょう」
『おそらく、ね…だから接触したら相手を刺激しないように慎重にね。相手はまだ幼いとはいえ女性なんですから』
「了解しました」

クロノは通信を終えると少女が歌い終わったのを見計らって、

「隣、いいかな…?」


◆◇―――――――――◇◆


Side シホ・E・シュバインオーグ


私が今良い気分でローレライを歌っているのにその気分を害するものがいる。
私は歌いながらもフィアに思念通話で語りかけた。

《…フィア》
《はぁー…え? なんですか、お姉様?》

どうやらフィアも他の動物同様聴き入っていたようだ。
だけど今はお預けにしてもらおう。

《私達…今見られているわ》
《え!?》
《誰かはわからないけど現れるにしてはでき過ぎているわ。先日あんなことがあったんだから》
《それじゃ時空管理局がとうとうやってきたってことですか?》
《おそらく、ね…だからフィアも余計な情報は与えないように注意しておいてね?》
《はいです。でも、お姉様の歌を邪魔するなんて許せない…!》
《それは同感よ。せっかくいい気分で歌っていたのに…》

でも歌は最後まで歌いきる。
歌いきっていつ来るかと思ったらフェイトと出会ったときと同じように、

「隣、いいかな…?」

なんていう見た目同年代の黒髪の少年が尋ねてきたので私は、

「どうぞ。今ちょうど歌いきりましたので……なにかご用ですか? かなり前から見ていましたよね?」

そう言って聞いてみる。
すると少年は軽く驚いた表情をしながら、

「気付いていたのか……。それはすまなかった。それでちょっと聞きたい事があってね。
それと肩の上にいる小動物…君はスクライア一族の双子の片割れかな?」

それでフィアがビクッと体を震わせてしまった。
はぁ…これでやり過ごしは無理ね。
私は観念してこの少年の言葉を聞いてあげることにした。

「…嗅ぎ付けるのが早いんですね?」
「そんなこともないさ。話はスクライア一族から聞いていたからね。
それにこの町だって気づいたのは昨日の小規模次元震の影響からだからね」
「次元震…?」
「なんだ? そっちから聞いていないのか? あー、それと話しても大丈夫だ。もうここら一体には結界を張らしてもらったから」
「手際がいいことで…」
「なに、用心に越したことはないからね」

それでフィアも観念したようで喋りだした。

「それで、あなたは誰ですか? 名前を聞かない限りは信用できません」
「僕か? 僕の名はクロノ。時空管理局の執務官。クロノ・ハラオウンだ」
「ハラオウン…聞いた事があります。わかりました。私はスクライア一族のフィアット・スクライアです」
「やっぱり…ということはこの少女が君の協力者なのか?」
「そうです」
「名を聞かせてもらっても構わないか…?」
「…シホ。シホ・E・シュバインオーグよ」
「それじゃ呼び捨てでシホでいいかな?」
「むっ……、ええ、構わないわ。でもいきなり呼び捨てなんて失礼ね」
「そこらへんは許してくれ。こちらとしては話を進めたいんだ」

子供の癖に意外に冷静なのね。
今は様子見をしておきましょうか。藪から蛇が出たらたまらない。

「それじゃ何から聞きますか?」
「まずこの世界にどういう風に関わったかを聞きたいね」
「私ともう一人いるけど、フィア達の呼びかけに応じてジュエルシード集めに協力しているわ」
「そのもう一人の方にはユーノ・スクライアがついているわけだね」
「なんでもお見通しなのね。ええ、そうよ」
「分かった。次にだけど君はこの管理外世界での戦闘は違法だと知っていたのか?」
「そんな事は知らないわ。そもそもそちらの組織に関しては少しかじった程度しかわからないし」
「そうか。ならまだ知らなかったって事で罪には問われないだろう」
「時空管理局では無断で戦うと罪になるんですか……?」
「場合による、という感じだ。そんなに心配しなくてもいいよ」
「ならよかったわ」

なら、なのはは罪に問われることはないわね。
それで詳しく話し合いをしようとしたところで、異様な魔力反応が感じられた。
それはフィアもクロノも気づいたようでフィアは人間形態に戻って、クロノは黒の私服にさらに黒いバリアジャケットをまとった。

「クロノ、あなた…いい趣味しているわね。全身黒ずくめよ?」
「うるさい。これが正装なんだ」
「まぁ、いいわ。それよりフィア、ジュエルシードが発動した場所は分かる?」
「はい!」

フィアが私にその事を伝えてくれた後、少しジャンプして電灯の上に乗り、目を強化し見てみるとすでになのはとフェイトがジュエルシードの封印作業を執り行っていた。
でも相手はバリアを展開できるようで苦戦しているようだ。
それで仕方ないと思い、

投影開始(トレース・オン)

私はケルト神話の登場人物でフィアナ騎士団の一員でもあったディルムッド・オディナの二槍の片割れで概念としては触れた対象の魔力的効果を打ち消す能力を持つ『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』を投影した。
その光景を見ていたクロノは突然現れた槍に驚きを隠せないでいるようだが私は見向きもしないでタラリアも投影して空を翔けていった。

「待て! その質量兵器はなんだ!?」
「私の武装の一つよ。今は見逃してくださいね」
「わかった。今はそれで納得しておく……」

そんなやりとりをしながらなのは達の戦っている場所にたどり着いた。

「なのは、苦戦しているようね」
「シホちゃん!? もう大丈夫なの!」
「私は平気よ。それよりアレは私がなんとかするわ。フェイトも手を出さないように」
「…うん。シホ、無事でよかった」

それで笑顔を向けた後、私はゲイ・ジャルグを構えて疾駆した。
当然木の化け物は木の根を使って攻撃してくるがこの槍の前では紙くずも同然。
何度も薙ぎ払いながら進んでいき一気に解析してジュエルシードにある部分にゲイ・ジャルグを突き刺した。
それで木の化け物はまるで崩れるように瓦解した。
そしてジュエルシードが空に浮かび上がる。

『なっ!?』

周りからどよめきの声が上がる。
それは当然だろう。
さっきまで苦戦していたのにこうもあっさりと退治してしまったのだから。

と、そこでやっと追いついてきたクロノが、空中で浮いているジュエルシードの前に立った。

「僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。
その権限で、これ以上の戦闘行動の停止を命じる。
両名とも速やかにデバイスを収めるように。そして詳しい事情を聞かせてもらおうか」
「わかったわ」
「はいです」

そうクロノに言われたので私とフィアはおとなしくしておいた。
だがそこに乗じてフェイトが封印しようと駆けるがクロノはすかさず魔力弾を放つ。
威嚇もなしか……でもジュエルシードを守る行動と考えれば納得かもしれない。
でも、それとは関係なく私は魔力弾を払い落とした。

「なにをっ!?」
「威嚇もなしに直接彼女を狙うのはよくないわ」
「だが、その少女はジュエルシードを封印して持ち去ろうとした。君も知っているだろう? ジュエルシードの危険性を……」
「まぁ、ね。でも」

それから私は穏便に話をつけようとした。だが、その時アルフが空から魔力弾を放ってきた。
それをクロノはシールドで防御した。
どうやら私には狙いは定めていなかったようだ。

「フェイト! 離脱するよ!」
「で、でも…!」
「でも、じゃない! 今逃げなきゃ奴等に捕まっちゃう!」
「っ…!」

フェイトは苦虫を噛み潰したような表情をして魔法を展開して逃げようとしたがすかさずクロノはまた杖を構えた。
だけどその斜線上になのはが立ちふさがり「フェイトちゃんを攻撃しちゃダメッ!」と言った。
その結果、フェイト達はここからの離脱を成功させていった。

「くっ…君たちは!」
「…ごめんなさいね。でも少し今回はなのはの味方をしておくわ」
「まったく……逃したのは痛いぞ?」
「わかってるわ」

それでクロノとまた詳しく話をしようとしたが、そこに突如魔法陣が浮かび上がりそこには一人の女性の姿が映し出された。

『クロノ……一度落ち着いて話し合いましょう』
「艦長……? わかりました」
『それとあなたもその武器を下げてもらって構わないかしら…?』
「わかりました」

そうして私はゲイ・ジャルグを幻想に破棄した。
クロノと、それにスクリーンの女性も驚いているようだけど気にしない。
みんなにも転送系の魔術だと信じ込ませているんだからどうにか誤魔化そう。

『それでクロノ。詳しい事情を聞きたいからその子達をアースラに案内してもらって構わないかしら?』
「了解です。…で、君はどうするんだ?」
「もちろん着いていくわ。どうせ着いていかなかったら監視でもつける算段はついていそうだしね。今回は大人しく引いてあげるわ」
「そうか…それで安心した。
(…しかし、この娘は一体何者だ? 僕達の知らない系統の魔法を使うし、それにあの質量兵器の槍…あれ一つでかなりの魔力を秘めていた。
ロストロギア…にしても見たことも聞いたこともない。絶対聞き出してみせる…!)」

…こうして私達はアースラと呼ばれる場所に転移することになった。


 
 

 
後書き
次回、アースラに入ります。
それと士郎の褐色の肌に白髪はやっぱり投影の酷使だと思うんですけどどうなのでしょうか? 謎です。 
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