魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記
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第八話 発見――ジュエルシード
「さすが……ロストロギアってところか?」
湖らしき場所から出ている光を見ると、俺の口からはそんな感想が自然と出ていた。
「来たのかい。大地」
「それでも随分不完全で、不安定な状態だけどね」
そんな二人の話を聞きながら、俺もテスタロッサの横に立つ。
ものすごい力を秘めているのは知っていたが、やはり実際に見てみると予想よりもすごいものだった。
前回は力を発動した後と、封印された後しか見ていないもんなぁ……。
「あんたのおか……。あの人は何でこんな物を欲しがるんだろうね?」
わざわざ言葉を言い直すアルフ。
それは、俺が本来なら知らないはずのテスタロッサがジュエルシードを集める”本当の”理由。
母親である、プレシア・テスタロッサに言われたからということ。
「さぁ? でも関係ないよ。私は私にできることをするだけだから……」
その質問に対し、少し悲しそうな顔で答えるテスタロッサ。
「バルディッシュ。起きて」
『yes, sir.』
その言葉と共にバルディッシュが光り出し、空に飛び出る。
『Sealing form.Set up.』
そうして発せられた英語とともに、バルディッシュの形態が斧へと変わる。
やっぱり英語のほうが、何か……本格的という感じがするな……。
『悪かったですね。日本語しか喋れない、和風デバイスで……』
「……俺、何か言ってたか?」
『顔を見れば大体わかりますよ……』
そんな事を言って勢い良く落ち込んでいくセレネ。
「いや、俺が悪かったからとりあえず機嫌直せよ。な? とりあえず、セットアップ頼むぞ」
『……了解しました。マスター』
少し引っかかったようだが、最終的には何時もの調子に戻るセレネ。
何時ものようなバリアジャケットを纏う俺だが、1カ所だけ何時もと違うのは顔を隠せるような”仮面”を付けているということだ。
「封印するよ。大地、アルフ。サポートして」
「へい、へい」
「了解」
それぞれが返事をしてテスタロッサのサポートに徹する。
そして青白い光が発されるとともに、テスタロッサの手にジュエルシードが収まる。
「これで……二つ目……」
そう、テスタロッサが言うとほぼ同時に何時もと同じようなバリアジャケットの高町と、青いチュニックに赤いマントというこの前と同じ格好をした佐倉、そしてついでに動物状態のユーノがやって来る。
まぁ、そう都合よく気づかないなんて事はないよな……。
「あーら、あらあらあら」
二人を(より正確には高町を)見つけると同時にアルフがそんな小馬鹿にしたような声を出す。
それに対し高町はなにか心当たりがあるような、驚いたような声を出す。
「子供はいい子でって……言わなかったけか?」
「ジュエルシードをどうするつもりだ! ……それは危険なものなんだ」
アルフはやっぱり高町に会っていたらしい。
ユーノのその責任感はすごいと思うが……。
「わりぃけど、答える必要はないな。言えんのは、俺達にはこいつが必要ってことだけだ」
「そうそう、答える必要はないね。それに、アタシ親切に言ったよねぇ。いい子でないとガブッと行くよって」
そう言うと共に、アルフの姿が大型犬よりも一回り大きいぐらいの四本足の動物に変化する。
「……あれは人間じゃないのか?」
「やっぱり。……あいつはあの子の使い魔だ!」
「使い魔?」
高町達はアルフが純粋な人ではないことに驚いている。
確かに使い魔ってことを知っていた俺でも、最初はビックリしたもんなぁ……。
「そうさ、アタシはこの子に作ってもらった魔法生命。製作者の魔力で生きる代わりに、命と力のすべてを掛けて守ってあげるんだ」
「……そうか」
その言葉とともに佐倉が斬りかかってくる。その動きは速く、目で追うのもやっとのような動きではあるが……。
「別に、ついていけない訳じゃない」
「……!!」
前回にはなかったような明らかな驚き。自分の力に絶対的な自信があり、この距離なら防ぐことは出来ないと考えていたのだろう。
「おいおい。同じような事を何回も言わせんなよ。人の話はよく聞けなんざ、学校の最初に教えられることだろ?」
そう言いながら俺は佐倉との距離を一旦取る。
さて、格好つけて啖呵を切ったのはいいが、ここからどうするか……。
「アルフ。とりあえずあっちの二人を頼んだ」
「りょーかい。フェイトは先に戻ってて。すぐ追いつくから」
「分かった。でも二人とも、無理はしないでね」
テスタロッサの言葉に対し頷く俺たち。
アルフが高町たちの方へと跳びかかるとほぼ同時に、俺も佐倉の方へと走りだす。
さて、手伝っている身として最低限の仕事は完了させてもらいますか……。
ここでの戦闘で俺が勝つか負けるかの結果は実質関係ない。
もちろんすぐに負けてしまったら大いに関係はあるが、俺の仕事はあいつに勝つことじゃなく、あいつの攻撃を俺に集中させることだ。
「さぁーて、頑張ってみますか」
わざと口にだすようにして、その言葉を自分に言い聞かせる。
あいつがこっちに向かって攻撃してくるのにあわせて、俺も攻撃を始めるのだった……。
後書き
第八話投稿完了です。
最近ここで話すような話題がないなー、などと考えながら自分の会話パターンの少なさを嘆いています。(まぁ、話すことがないなら無理にあとがきを書かないって選択肢もあるんですけどねww)
次回から始まる戦闘。大地の実力はいかに……。
誤字脱字指摘、感想、等お待ちしています。
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