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魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
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第七話 そうだ温泉へ行こう

「温泉?」
「そうなの。今度のお休みの日にみんなで行くんだけれど、大地君も来ない?」

 そんな事を俺に聞いてくる高町。おそらく原作でも家族と友だちで温泉に行っていたアレだろう。
 そもそも殆ど会ったばっかの人間をそんなところに誘って大丈夫なのだろうか? 物凄く将来が心配だ。

「悪い高町。今度の休日はおそらく予定がある」

 テスタロッサのジュエルシード集めを手伝うと言った俺が高町達と一緒に居てはいけないだろうと思い、俺はその誘いを断った。




 

「ま、そんな事があったんだよ」
「……大地はあの子とクラスメイトなのに私の手伝いをするの?」

 現在、俺がいるのはマンションのテスタロッサ達の部屋。
 何か学校であったことを話して欲しいと言ったテスタロッサに、今日あったことを話していたのだが地雷を踏んでしまったらしい。
 微妙に不機嫌そうな、と言うより怪訝そうな顔をするテスタロッサ。
 特に何か裏があっての行動じゃないんだがな……。

「特に理由はない……と思うけど?」

 そのはずなのに確信のないような言い方になり、何か心当たりのあるかのようになってしまうのは俺の意思が弱いからだろうか?
 少しの間、疑うかのような表情を見せていたテスタロッサ。だがそれも少しの間だけで、すぐにいつものような表情に戻る。
 さっきまでの表情のほうが歳相応で可愛いと思うのは俺だけだろうか? いいや、そんな事はないはず!

「……ち。大地!」
「え!? あ、あぁ、悪いテスタロッサ。なんだった?」

 殆ど煩悩に分類されるであろう事を考えていたせいでテスタロッサの言葉が聞こえていなかったようだ。

「大地は今度の休みは予定があるんだよね? 予定がないのなら助けてもらおうと思ったんだけど……」
「ジュエルシードだろ? それのために断ったんだから絶対に手伝わせてくれよ?」

 最初の方は真面目に、それでも最後の方はおちゃらけたように返答をする。
 まぁ、カッコつけても原作を知っていたから対応が出来ただけで、知らなかったら絶対に高町達と温泉に行ってたんだろうなぁ……。

「ん? ってことはアンタも来るのかい?」
「まぁ……そうなるな」

 さっきまでそこに居なかったはずのアルフが、急に話しかけてくる。
 心臓に悪いためそういうことは、本当にやめてほしい。いや、結構マジな方で。

「じゃあ、今度の休みに。ね?」

 了解。と軽く返事をして俺は自分の部屋に戻っていったのだった。






「まぁ、ここに来てもジュエルシードが見つかるまでは暇なんだよなー」
『もう少しまじめに探せば暇じゃなくなると思われますよ?』

 温泉に着き、テスタロッサがジュエルシードを探している間に俺もジュエルシードを探しているのだが……。これが結構めんどくさい上に、暇なのだ。

(大地。何かあった?)
(ん? どうしてだ?)

 暇だ暇だと俺が嘆いていると、テスタロッサからの念話が入ってきた。
 特に何かあったというわけでもないし、何もないからこんなに暇を持て余しているんだが……。

(さっきまでちゃんと流れてたのに、急に魔力が変な風に流れだしてたから、何かあったのかなと思っただけ)

 こんな心配してくれてるのに、さっきまで暇だ―なんて嘆きながらサボってたなんて言えない……。
 
(大丈夫、問題ないから。テスタロッサも自分の探索に戻ってくれ)

 そう言って半ば強引に念話を終了する。
 テスタロッサにサボっていたことがバレないようにというのもあるが、一番の原因は目の前からこっちの方に高町達がやってきているからだ。
 さて、見つかるわけには行かないで……。

「とりあえず、逃げますか」

 独り言のように呟きながらとりあえず逃げることを選択する俺。
 誘いを断って来ている場所が同じなんて説明するのがめんどくさいだけだからな……。
 下手すると一緒に行動をするとか言い出してジュエルシードどころでは無くなってしまうだろう。
 そんな事を思いながら俺はその場から走りだしたのだった……。




 
 とりあえず一休みということで昼頃、俺たちは一旦部屋に戻ってきた。(テスタロッサはまだ探すと言っていたが、アルフに諭された上に、俺が看病をした時の話をしたらおとなしく食い下がってくれた)
 現在、テスタロッサはアルフに連れられて温泉に入っているため特にするとこがない。

「なんか俺、最近セレネと話す時”暇だ―”としか言ってないよな」
『そうですね。今もそうですし』

 こんな暇な時間には特訓とも熱血的行動を取ろうとしたが、

『いくら一般人に見られなくなるといって結界をむやみに使うと魔導師ということがバレますよ?』

 などとセレネに言われたため我慢をしている。

「大地ー。居る?」
「ほーい」

 部屋の中で暇だ、暇だと言っていると話しかけてきたのはアルフ。
 
「フェイトが見当たらないんだけど知らないかい?」
「テスタロッサが? というか、さっきまで一緒に温泉に行ってたんじゃないのか?」

 むしろアルフが知らないのなら、俺のほうがもっと知らない気がするのだが……。

「いやー、先に上がってるって言われたから何処にいるのかなーと思ってね」
「なら、ジュエルシードの探索に戻ったんじゃないか? と言うより念話で直接話しかけたほうが早くないか?」
「たしかにそれはそうだけどさ……。それで探索のジャマになっちゃったら悪いじゃない」

 何も考えていないようでアルフもちゃんと色々考えているようだ。

「ん? 何か失礼なこと考えてない?」
「な、何も考えてないぞ!」

 これが女の勘ってやつか……。アルフ……恐ろしい子!
 そんなやり取りを終えた後、アルフはテスタロッサの詮索(と言う名の入浴)俺はジュエルシード探索(と言う名の休憩)にそれぞれが動く。
 ……テスタロッサ以外真面目に探してない気がするのは気のせいだろう。うん、気のせいだ。





 ――そして時間は夜となる。
 アルフとあったあの後、テスタロッサから夜にはジュエルシードの場所を特定できそうと言われていたため、俺は念話を使いながらテスタロッサたちのところへ駆けつける。

(テスタロッサ。ジュエルシードは見つかったのか?)
(一応、ジュエルシードだと思うものは見つけたよ。今はアルフが探してくれてる所)

 そんな会話をしている直後。この前感じたものと同じような感覚に襲われる。
 この感覚がするってことは……。

(……ビンゴだったようだな)
(そうみたいだね)

 テスタロッサが見つけた反応はやはりビンゴだったらしく、ジュエルシードの反応が俺にも届く。

(とりあえず俺も向かうから無理はするなよ)
(大地も、気をつけてね)

 その言葉を最後に念話を終了する。
 そしてそのまま反応のあった方へと、闇を切り裂くように走り続ける。
 この夜の暗さが、今から俺の足を踏み入れる世界を表している色のようにも見えて少し気味が悪かった……。

 
 

 
後書き
皆さん、こんばんは(もしくはおはようございます。こんにちは)最近ネーミングセンスが欲しいと切に願っている秋陽です。
第七話。大地達の二回目の接触です。
と言うより本当にネーミングセンスがほしいです。この話どころか作品の題名すらやっつけですし……。
先生……ネーミングセンスがほしいです……。

それぞれの理由、願い。それが本物だからこそ、譲れない思いがある……。

誤字脱字指摘、感想、質問など、お待ちしています。 
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