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ヘタリア大帝国

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TURN55 ドロシー失踪その二

「そうなのね」
「そういうことよ。まあある戦力で戦いましょう」
「そうするしかないわね」
 こうしてガメリカ、カナダ連合軍は太平洋軍との対峙に入る。東郷が率いる太平洋軍はその連合軍を見て秋山に言う。
「普通に攻めるのならカナダ軍からだな」
「数も装備も劣っているからですね」
「ああ、そこから攻めるべきだが」
「そうはされないというのですか」
「ガメリカ軍の機動部隊を先に叩こう」
 これがここでの東郷の作戦だった。
「ここではな」
「ガメリカ軍の主力をですね」
「幸い向こうの機動部隊の速度も索敵能力も我が軍に劣る」
 そうだというのだ。
「駆逐艦、水雷用だがな」
「その速度と索敵能力が違いますから」
「駆逐艦は水雷用に限るな」
 東郷はこうも言う。
「コストは高いがな」
「ですが水雷用の駆逐艦と大型空母を優先的に開発、製造しているので」
 戦艦よりも先にしている。それでなのだ。
「機動部隊の質はかなりのものになっています」
「機動部隊の質ではガメリカ軍を上回っている」
「それではですね」
「よし、まずは機動部隊だ」
 まずはガメリカ軍の機動部隊を叩くことになった。太平洋軍はここでもまずは機動部隊を攻撃することにした。
 大型空母と水雷用駆逐艦で構成される機動部隊がガメリカ軍の機動部隊に向かう。クリスはそれを見て言う。
「こちらも駆逐艦を置いているけれど」
「それでもですか」
「この状況は」
「厄介ね」
 こう参謀達にも言う。
「艦隊速度は向こうの方が速いわ」
「数は少ないですが」
「それでもですね」
「ええ、駆逐艦の質が違うわね」
 平賀がその才を結集させて建造した水雷駆逐艦の質はこれまでの各国の駆逐艦のそれとは全く違っていた。それでだった。
「速いしそれに」
「索敵もですね」
「ドクツ軍の様ね」
 こうも漏らすクリスだった。
「これはね」
「その速度がですか」
「あの狐と言われたロンメル元帥の戦術だけれど」
 この名はガメリカにも知れ渡っている。ドクツはガメリカにとって日本を叩き太平洋経済圏を築いてからの脅威の一つとみなされているのだ。
「それみたいね」
「似ているというのですか」
「ええ。参考にしたのかしら」
「それはわからないですが」
 参謀の一人がその機動部隊の動きを見ながらクリスに話す。
「あの速さは確かに」
「かなりのものね」
「はい、では我々も」
「艦載機の一斉発進よ」
「はい」
 両軍共に艦載機を出そうとする。まずは艦載機同士の戦いからだった。だがこの時クリスは苦戦はしても負けないと考えていた。
 だが彼女は一つ見落としていることがあった。それは。
 機動部隊にはクリオネもいる。彼女は次々に着艦していく日本製の艦載機を見ながらこう言うのだった。
「零戦は零戦だけれど」
「はい、改良を進めまして」
 古賀がモニターに出て来てそのクリオネに答える。
「初期のものよりも遥かに高性能になっています」
「そうね。ガメリカ軍はグラマンだけれど」
「タイプ4ですね」
「まだ6にはなっていないわね」
「4どころか6にもです」
「勝てる位の性能なのね」
「それを持って来ています」 
 日本は艦載機も優先的に開発を進めていたのだ。東郷は戦艦や巡洋艦より機動部隊を優先させたのだ。
 そしてその結果だというのだ。
「ですから艦載機同士の戦いでも」
「勝てるのね」
「勝てる様にします」
 古賀は穏やかだが確かな声で言った。
 
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