仮面ライダー エターナルインフィニティ
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第三十八話 関係のないことだからその八
「家持って飯食うだけで精一杯だよ」
「そうなんですか」
「まあ。絵を売るまでは警備員やってたけれどな」
「それで確か万引きをした中学生と大騒ぎになったんですよね」
「あれは酷い悪ガキ共だったな」
海堂にとってはあまりよくない思い出である。彼はかつて百貨店の中で警備員をしていたがその時に中学生達にえらい目に遭わされているのだ。
それでだ。彼は言うのだった。
「で、絵が売れてきてな」
「警備員のお仕事は辞められたんですね」
「あれもあれで結構大変なんだよ」
「ですよね。私も今色々と働いてますけれど」
長田も長田で働いているのだ。
「高校も卒業しましたし」
「あれっ、辞めてなかったのかよ」
「ちゃんと通ってましたよ。定時制で」
「そうだったのかよ」
「何か複雑な事情の人達なのね」
このことはさやかにもわかった。それで海堂達を見て言うのだった。
「仮面ライダーも大変なのね」
「そうしたことを乗り越えてるのよ」
マミはさやかの横に来て述べた。
「あの人達はね」
「ただ。身体が強いだけじゃないんですね」
「そしてさやかちゃんもね」
「あたしもですか?」
「上條君と幸せにね」
微笑をさやかに向けて。マミは告げた。
「そうなってね」
「それが強いってことなんですか」
「最近わかったの。強いからこそね」
「幸せになれるんですか」
「心が強ければね」
そうなるというのだ。
「私もそうなりたいわ」
「ああ、それあたしもだよ」
杏子はさやかとマミの間に入って来て笑顔で言ってきた。
「もうな。幸せになりたいよ」
「ああ、あんたもなの」
「当たり前だろ。じゃあ帰って幸せになるか」
「帰ってって?」
「これからたらふく食ってな」
それで幸せになるというのだ。
「そうなろうな」
「あんた本当に食べるの好きね」
「最近特にな」
「全く。まああたしも好きだけれど」
「御前乾さんと一緒に行って相当だったらしいな」
「ああ、喜多村屋ね」
「御前あの店のうどんとか本当に好きだよな」
杏子はさやかに目を向けて言う。
「それもかなりな」
「うん、だってね」
「だって。何だよ」
「入るだけで落ち着くのよ」
だからだというのだ。
「味も合うしね」
「というか合い過ぎじゃねえのか?」
「お店の名前からもう親しみがあって」
「喜多村がか?」
「岡村でもいいけれどね」
さやかは何故かこの名前も出した。
「とにかく。まず名前で惹かれたのよ」
「何だよ、おかしな話だな」
「そうね。私だったら」
マミはここでとんでもないことを言った。それはというと。
「七十二はありそうだけれど」
「いや、それ多過ぎるだろ」
「っていうかマミさんってそんなに心当たりあるの?」
「色々とあってなのよ」
気恥ずかしそうに笑ってだ。マミは二人に話す。
「そうなったのよね」
「まあなあ。マミさんも色々あるからな」
「その辺りはあえて何も言わない方がいいわよね」
「ええ。そうしてくれると何よりだわ」
「まあとにかくな」
最後に杏子が言った。
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