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八条学園騒動記

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第百二十六話 捕獲作戦その四


「それは。何処かしら」
「何処か、か」
「ええ。それは何処?」
 ギルバートだけでなく一同にその枝を隠す場所を尋ねるのだった。
「それは何処かしら」
「森ね」
 ルビーは少し考えてから答えた。
「ブラウン神父はそう言ってたわ」
「そうね。他にも死体を隠すのなら戦場とも言っていたけれど」
 このブラウン神父の話も連合では今も広く読まれている。もっともこれはイギリス人が書いたものであるが彼等は勝手に連合のものにしてしまっている。他のエウロパ系の古典も同じだ。この辺りは実に図々しいがそんなことをいちいち気にしないところもあるのが連合だ。
「とにかく枝を隠すのは森ね」
「ええ」
「じゃあドードーの餌を隠すのは?」
「ドードーの餌の中か」
 ギルバートも言った。
「そこだな」
「そういうこと。しかもよ」
 アンはさらに言う。
「うちの学園の動物園にはドードーもいるわね」
「ああ」 
 タムタムが答える。
「といっても白いのはいないがな」
「それでもドードーはいるわ」
 アンはあくまでそこに重点を置いて話す。
「だから。そのドードーの餌のところに撒いておくのよ」
「成程、そういうことなんだ」
 セドリックはアンの話をここまで聞いたうえで納得した顔で頷いた。
「それだとね。まず疑われないわよね」
「それでアンジェレッタ」
 アンは今度はアンジェレッタに顔を向けた。その薬の持ち主だ。
「眠り薬は」
「わかってるわ。無味無臭ね」
 にこりと笑ってアンを見上げつつ述べる。
「勿論。犬でも狼王でもわからないようなのね」
「御願いね。さて、後は」
 アンはここまで話したうえでまた述べた。
「餌を置いておくだけね」
「そうね」
 ルビーがアンの言葉に応える。
「流石にここまでやったら大丈夫よね」
「魔界に関係していてもか?」
 タムタムはそこが気になった。
「それでも大丈夫なのか」
「それは御安心下さい」
 そうしたことの専門家であるセーラが告げてきた。
「確かにあの白ドードーは魔界への扉であるあの鏡から出て来ました」
「ああ」
「しかしです」
 そのうえでさらに話を続けてきた。
「あくまでドードーです。ドードーにしては尋常ではない行動を取ることができますが」
「それでもか」
「はい。それでもドードーです」
 ドードーであることを前置きして話すのであった。
「ドードーはドードーの行動を取ります」
「人間が人間の行動を取るのと同じだな」
「その通りです」
 セーラはタムタムの言葉に対して頷いた。
「ですからここはそれでいいです」
「そう。だったらそこに置いておけばいいわね」
 アンはセーラの今の言葉を受けてそれでいくことを完全に決めた。
「それじゃあそうして」
「さて。これで捕まえたら」
 ルビーはもう捕まえてからのことを考えていた。
「どうしようかしら」
「ペットにする?」
 セドリックがこんなことを言い出した。
「その白ドードー」
「そういえばドードーって飼いやすいの?」
「さあ」
 皆セドリックの今の言葉を聞いてこうした話もした。 
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