八条学園騒動記
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第百二十五話 鏡の間その二
「それなのよ。白ドードーの分身がね」
「鏡から出て来た」
ギルバートはまた言う。
「それだな」
「また随分とおかしな鏡があるのね」
アンジェレッタもここでミラーハウスの入り口を見るのだった。
「この学園は変なものばかりだけれど」
「この学園が変なのはわかってるわ」
アンはそれは完全に納得していた。
「さて、それでね」
「ええ」
「それから?」
「その鏡が何処にあるかよ」
話はそこに移った。
「次の問題はね」
「鏡って」
「ここで!?」
皆アンの言葉に顔を顰めさせる。
「ここミラーハウスだぜ」
「それこそ鏡だらけよ」
こうアンに対して言うのだった。
「それでその中の一つを探せって」
「かなり難しいわよ」
「それについてももう考えてるわ」
ところがアンは安心したような顔でその皆に言葉を返すのだった。
「それもね」
「考えてるって?」
「セーラ」
アンは今度はセーラに声をかけてきた。
「御願いがあるんだけれど」
「はい」
「その鏡、どれかわかる?」
セーラに顔を向けて問う。
「どの鏡か。わかるかしら」
「はい、少し待って下さい」
セーラはすぐにアンに応えた。
「今調べますので」
「わかるの」
「はい」
セーラはアンジェレッタの問いにも応えた。
「この水晶玉で」
「水晶玉って」
セーラはその懐から水晶玉を出してきた。いつも何かあればそこから見る。ロマニや占い師が占いで使うような水晶玉だが何故か彼女のものは普通のものとは違って見えた。
「それで見るの」
「はい、そうです」
またアンジェレッタに言葉を返す。
「すぐにわかります」
「何かオカルト関係だとセーラになるわね」
ルビーはこれまた懐から出した豪奢な仕立てのマウリア風絨毯の上に座りそこで水晶玉の中を見るセーラを見つつ言うのだった。
「だからアンもセーラ呼んだのね」
「そうよ、皆もね」
皆もだと言うのだった。
「この事件に関係している皆もね」
「そうだったの」
「そうよ。もっとも確かにキーはセーラだけれど」
やはりこれは変わらないのだった。
「やっぱりね。こういった話はね」
「そうだったの」
「成程ね」
アンもアンジェレッタもここまで聞いて納得した顔で頷いた。そしてアンはさらに話を進めるのだった。
「そういうこと。じゃあセーラ」
「はい」
「見えた?」
セーラに対して問う。
「その鏡が」
「はい、見えました」
即答であった。
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