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八条学園騒動記

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第百八話 騒動が終わってその五


「人の一生は神にとってまばたきの際に瞼を動かすその瞬間程の時間もありません」
「神様って」
「もう何が何だか」
 話はさらに途方もないものになっていく。
「四千年なぞ。ほんの一時です」
「一時ねえ」
「そうなのかなあ」
 皆そうとは考えていない。ここにセーラと皆の認識の違いが出ていた。
「神の一日がこの宇宙の時間です」
「っていうと!?」
 ここで皆は考える。
「宇宙って普通に何百億年よね」
「そうだったね、確か」
「その何百億年が神様の一日って」
「もう何が何だか」
「ですから人の一生、そして人類の時間なぞささやかなものなのです」
 あまりにもスケールが大きくついてきているメンバーは少なかった。
「四千年といっても」
「そうなるのね」
「それだけの時間も」
「人の数にしろ同じです」
 連合とマウリアではやはり数の概念が全く違っていた。
「八百人は大した数ではありません」
「そうなるの」
「我が家は二万人の使用人が宮殿にいつもいます」
「二万ねえ」
「そんな王室連合にあったかしら」
「ないわね、絶対」
 そこまでの数がいる宮殿は流石に連合には存在しない。なお日本の皇室はその質素さで連合に知られておりその数も実に少ない。
「ううむ、もう何が何だか」
「途方もないものになり過ぎて」
 皆わからなくなっていた。しかしそれでもセーラの話は続く。
「わからないわよね」
「もうね」
「そういえばセーラのお家って」
 あのタージマハールに酷似した宮殿を思い出しつつ皆はさらに話す。
「動物園なかったかしら」
「水族館もあったわよ」
「そういえばそうよね」
「凄いのがいたし」
 これは動物園にも水族館にも言えることだった。
「ブラキオサウルスがいたのは何処だったかしら」
「水族館よ」
「そうだったっけ」
 恐竜の中でもかなり大きな種類である。あまりにも体重が重いので大抵は水の中にいる。こうした恐竜もかなり多いのだ。ブラキオサウルスよりも大きな種類としてウルトラザウルスというものもいる。これに至っては最早怪物と言ってもいい大きさを誇っている。
「あと蝮もいたわね」
「それは動物園よ」
「あの十八メートルあったやつね」
 かつては地球にもそうした大蛇がいた。化石として残っているのだ。
「他にも三十メートルのアナコンダとかね」
「あれも凄いわね」
「十五メートルの鰐もね」
 この鰐も化石で地球にある。
「オオナマケモノとか巨大カンガルーとかもいるし」
「サーベルタイガーもね」
「サーベルタイガーは珍しくないでしょ」
 アンがナンに突っ込みを入れる。
「それよりもあんたの国にいるペガサスやユニコーンの方が珍しいでしょ」
「あれが?」
「そうよ。あんたの国の限られた星にしかいないじゃない」
 どうしてもそうした存在は連合においても希少である。他にはドラゴンやキマイラ、グリフォンといった動物もだ。かつての生物学では有り得ないとされた動物達である。
「ああしたのよりは普通にいるじゃない」
「そういえばそうかしら」
「側にいるとわからないものなのよ」
 アンはこう主張する。 
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