八条学園騒動記
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第九十九話 先生の顔その三
「それについてはね」
「問題ないの?」
「限られているから」
こうジュデイに答えてみせてきた。
「だからね。それは」
「限られてるって人が?」
「確かにこの学校には人が多いわ」
これについては否定できなかった。ただでさえ何兆もの人口を抱える連合であるがこの学園はその連合の中でも屈指のマンモス学園なのだ。学校だけで街が一つ出来ていると言っても過言ではない。それが八条学園というわけなのである。これは紛れもない事実だ。
「それでも人は限られるわ」
「限られる」
「まず白いドードーを飼っていること」
これが最初の前提であった。
「これでかなり限られてくるわね」
「まあそれはね」
すぐにプリシラの言葉に対して頷いてみせた。
「目印としてはかなりのものなのは確かね」
「まずはこれよ」
プリシラはまた言った。
「白いドードーを飼っている人はこの学園でも限られている」
「まあ犬や猫よりは目立つよ」
ローリーが考えながら述べた。
「それもかなりね。変わった鳥だし」
「しかも色が白」
さらに絞られる要因であった。
「まあそうはいないわよね。この学校でもね」
「これで十万から一気に絞られるわ」
既に頭の中で検索をはじめているプリシラであった。
「少なくとも数百以下にまでね」
「そこまで」
「いくわ」
ジュデイに対して断言してみせるプリシラである。
「だってペットの数は多いし種類もかなりだから」
「その中でドードーね」
「そうよ」
静かに答えてみせる。
「しかも白よ」
「ううん、そんなにいないわね」
「っていうかだよ」
またローリーが言う。
「白いドードーを飼う人を少し調べていけばわかるんじゃないかな」
「そう、それだ」
今のローリーの言葉にタムタムが突っ込みを入れた。
「そこだ。これは非常に大きいぞ」
「十万の中で限られた要素」
プリシラはあえて述べてみせた。
「さて、その中の誰かね」
「あと要因は?」
ジュデイはさらに考えを巡らせた。
「年齢かしらね」
「年齢ねえ」
ローリーもまたそこに考えを及ばせるのであった。
「それはかなり変えられるじゃないの?変装で」
「それもそうね。性別だって」
これについても同じであった。
「女装とか男装でね。変えられるわよね」
「だからここは」
またプリシラが言ってきた。
「一つ考えがあるわ」
「考え!?」
「何、それ」
「科学よ」
人類が産業革命というものを経験してから宗教と並ぶ、人によってはそれ以上の絶対の存在のものの名前が出て来た。それを聞いて三人も目を動かすのだった。
「それを使うのよ」
「科学を使うのね」
「推理は科学よ」
オーソドックスな推理の世界になってきたようだった。
「だからここであえてそれにするわ」
「そうなの」
「それでどうするんだ?」
タムタムはその科学についてプリシラに尋ねた。
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