八条学園騒動記
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第九十八話 ドードーの親子丼その八
「やっぱり醤油だよな」
「そうね。それで」
ジュデイは言う。
「デザートはゼリーね」
「和食の後は洋風」
プリシラは静かに述べる。
「最後は違うと思うかしら」
「そうじゃないの?」
「ねえ」
ジュデイとローリーは今のプリシラの言葉に顔を見合わせる。
「ゼリーっていえばねえ」
「しかも使ってるのはゼラチンでしょ?」
和風なら寒天である。これは一つの定義であった。
「それだったらやっぱり」
「洋風じゃないの?」
「そう思うのは甘いわね」
しかしプリシラは言うのだった。
「和食は奥が深いのよ」
「じゃあ何かあるのね」
「その通り」
こうジュデイに述べたのだった。
「まずはこれを食べてからね」
「あっ、これね」
「そう、まずはメインよ」
親子丼とお味噌汁、それに内臓である。皆かなり食べているとはいえまだ残っているのである。それを食べ終えてからデザートということである。
「それが終わってからね」
「そうね、確かに」
「メインを食べ終えてこそのデザートだしね」
「そういうことよ。じゃあ」
ジュデイとローリーに対して述べる。
「食べましょう」
「ああ」
タムタムが頷いた。こうしてまずはドードーを食べていくのであった。それを全て食べ終わり。遂にそのデザートということになったのだった。
「美味しかったね」
「ああ」
タムタムはローリーの言葉に頷いている。頷きながらそれぞれの食器を食器洗い機に入れていく。もう四人分が入ってしまっている。
「ドードーは和食にも合うんだな」
「そうだね。意外とね」
「だから言っているじゃない」
ここでまたプリシラが言ってきた。
「ドードーは品種改良でそうなったのよ」
「そうね」
ジュデイはまずプリシラのその言葉を受けた。
「だからなのね」
「美味しくないものでも品種改良したり工夫すれば美味しくなるわ」
その通りである。これにより美味くなるのが食材であり料理である。素材が大事だがその素材のレベルをあげることもまた重要なのである。
「何でもね」
「デザートもそうなのね」
「そうよ」
またジュデイに対して答える。
「それじゃあ。いいわね」
「ええ、そのデザートを」
「食べようよ」
「ゼリーをな」
三人はプリシラの言葉に続く。こうしていよいよデザートとなったのだった。プリシラが冷蔵庫から出してきたそのゼリーとは。
「あれっ、これって」
「ゼラチン使ってるのよね」
ローリーとジュデイは目の前に置かれたそのゼリーを見てまずはこう言った。見ればそのゼリーは柑橘類を半分に切ったその中に置かれているのだった。完全に和風の外見だった。
「それでこんなふうになるの」
「これは意外だったな」
「はっさくのゼリーよ」
プリシラは三人に対して述べる。テーブルの上に座る四人の前にそれぞれ置かれているのである。そのゼリーが。
「これはね」
「はっさくのゼリー!?」
「どっちかっていうとオレンジなんだけれど」
ローリーとジュデイはそのゼリーを見てまた言う。どうしても信じられない感じだというのがその言葉からもわかる。目はそれ以上に言っていた。
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