| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十七話 智には智でその六


「やっぱり。怪人がいないのだったら。三年生辺りが幹部で」
「果たしてそうかしら」
 しかしここでプリシラが疑問の言葉を出してきた。
「それはどうかしらね」
「違うの?」
「特撮ものの一つのパターンがあるわね」
 彼女が言うのは特撮ものの話であった。
「まず表に出て来る首領はただの首領じゃない」
「裏にもう一人ね」
「黒幕がいる」
「そういうケースも考えられるわ」
 タムタムに対して答えたのだった。
「ひょっとしてね」
「何かそれ言ったらさ」
 またジュディが言ってきたのだった。
「完全に陰謀論なんだけれど。ロシュフォール先生の上にもう一人誰かいるの?」
「だとすると誰かしらね」
「それがわかったらもうこの学校にはいられないわよ」 
 ジュディの言葉は少し冗談から離れてきていた。
「下手したら裏から手を回されて」
「抹殺とか!?」
「そうじゃないの?」
 ローリーに対して答える。
「このパターンだと」
「何か話が物騒になってきたんだけれど」
「確かにね」
 これは紛れもない事実だった。既に学校に関する話ではなくなっていた。
「それはね。その通りね」
「けれど。何かここまで来るととことんまで話をしないとね」
「ええ」 
 こうして話を進めていくのだった。
「収まらなくなってきているけれど」
「まずは話を仮定するわよ」
「うん」
 ジュディの言葉に頷くローリーだった。
「ロシュフォール先生は学校の先生」
「そうだな」
 タムタムがそこを押さえる。
「これはまず大前提だ」
「その学校の先生の上にいるとなると」
「それこそあれね」
 プリシラが言ってきた。
「校長先生とか教頭先生とか」
「理事長」
 遂に学校の最高権力者の名前まで出て来たのだった。かなりとんでもないことに。
「まさかそれって」
「ひょっとして」
「八条長官!?」
 言わずと知れた中央政府国防長官である。美貌の辣腕家として連合で知らぬ者はない。下手をすれば一国の首相よりも有名な人物だ。
「まさかとは思うけれど」
「あの人が」
「それはないわ」
 ここでまたしてもプリシラの一言での完全な否定であった。
「確実にね」
「ないの?」
「確実にないわ」
 それをまた言う。
「だから安心して」
「そう言える根拠はあるの?」
「勿論。いいかしら」
「ええ」
 ジュディがプリシラの話を聞いていた。
「話して。正直疑ってるし」
「わかったわ。その理由はね」
 こうしてプリシラはその理由を話しはじめてきた。それは。
「忙しいからよ」
「忙しい!?」
「そう、忙しいからよ」
 また言ってみせる。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧