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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百五十七話 信じる心が開く明日

             第百五十七話 信じる心が開く明日
デボネアの存在を掴んだロンド=ベルは空を覆う闇へと向かう。そこに彼女がいるとわかったからだ。
セフィーロを飛び立つ魔神達。セフィーロの者達は彼等を見送っていた。
「魔法騎士達、ロンド=ベルの戦士達よ」
その中には当然クレフ達もいる。
「必ず戻ってくれ」
彼等の安全を祈る、その中で光達は言う。
「アルシオーネが言ってた『セフィーロの裏』って何かしら」
「きっとあの闇を抜けた向こう側ですわ」
風が海に答える。
「きっと」
「あの闇の向こうにですね」
それを聞いてシーラが言う。
「いよいよ。このセフィーロを脅かす影と」
「そうですね」
それにエレが頷く。
「デボネア、一体どのような者なのか」
「行こう、海ちゃん、風ちゃん」
光が海と風に声をかけてきた。
「闇を払って」
「ええ、私達の力で」
「セフィーロの方々の為に」
三人は魔法を放つ為に力を溜める。そして。
「光の矢ぁ──っ!」
「水の竜ぅ──っ!」
「碧の疾風──っ!」
三体の魔神の放った炎、水流、疾風が絡み合って光球と化し闇を撃つ。すると闇の中に大きな穴が空いた。
「今だ!」
「ええ!」
「行きましょう!」
三人が先頭になり闇の中に入る。
闇を抜けるとそこには黒光りする城があった。
「あそこにデボネアが!?」
光はそれを見て言う。
「遂に」
「その通りだ」
「デボネア!?」
「よくここまで来た、地上の者達よ」
デボネアの声が響く。その中でレガリアが姿を現わしてきた。
「あれはノヴァの!?」
「どうしてここに」
「知れたことよ」
驚く三人に再びデボネアの声が響く。
「これは本来私の力だからだ」
「御前のまさか!?」
「そう、そのまさかだ」
光に応えて言ってきた。
「ノヴァには授けていただけ。そして」
レガリアの身体が禍々しく変わっていく。下半身は蛇のようになりその胸に他ならぬデボネアの凄みのある顔が浮かんできたのだ。
「愚かな者達よ」
デボネアは三人に対して言う。
「悪あがきなどせず大人しく消滅のときを待っておれば良いものを」
「へん、何言ってやがる!」
その言葉に甲児が言い返す。
「誰が御前みたいなのを放っておくかってんだ!」
「何だと!?」
「そうよそうよ!」
アスカもまた彼女に言い返す。
「誰があんたなんかを!いいから覚悟しなさい!」
「楽には死にたくはないようだな」
「そりゃこっちの台詞だ!」
甲児はまた言ってきた。
「もっとも俺達は手前みてえに残忍でも何でもねえからな!あっさり成敗してやるぜ!」
「覚悟なさい!」
「戯言を」
それを聞いてデボネアの目が赤く禍々しく輝いた。
すぐに魔法が放たれる。それは光達を襲ってきた。
「こんなのでね!」
「今更どうにもなりません!」
海と風が反撃に転じた。
「氷の──刃っ!」
「碧の旋風──っ!」
二人は渾身の力で魔法を放つ。しかしデボネアはそれを何でもないように二人に弾き返した。
「嘘っ、私達の魔法を」
「こうも簡単に」
二人もこれには呆然とする。それは二人とてかわしきれるものではなかった。
二人は今しがた自分の放った魔法に撃たれる。それで大きくのけぞった。
「ああっ!」
「くうっ!」
「海ちゃん!風ちゃん!」
それを見て光が側に駆け寄る。三人は何とか無事であった。
「大丈夫よ、光」
「この位ではまだ」
「そうだけれどこのままじゃ」
光は二人を気遣いながら言う。
「勝てない。どうすれば」
「一つ方法がある」
そこへランティスが来て三人に声をかけてきた。
「ランティス」
「その方法を今から教えよう」
彼はこう言ってきた。
「それでいいな」
「ああ」
光がそれに頷く。
「頼む、それは一体どうやるんだ」
「一つになるのだ」
ランティスはそう三人に告げてきた。
「一つに!?」
「そうだ、御前達三人がな」
「一つになる」
「心を合わせるのだ」
また三人に言ってきた。
「御前達の心を。そして」
「一つに」
「やりましょう、光、風」
海が光に声をかけてきた。
「いいわね」
「はい」
それに風が頷く。
「それでしたら」
「わかった、海ちゃん風ちゃん」
続いて光も頷いてきた。
「私達の力と心を一つにして」
「その力でデボネアを倒して」
「セフィーロに平和を」
「やろう!」
今三人の心が一つになった。三つの光が合わさっていく。
そうして三体の魔神が一つになる。合体したレイアースの力であった。
「デボネア!この力なら!」
「負けないわよ!」
「行きますわ!」
合体したレイアースの中で三人の言葉が響く。そうして今彼等は戦いに向かうのであった。
そこにビームが来た。それがデボネアを撃つ。
「ビーム!?一体」
見ればロンド=ベルはデボネアの放った悪霊達と戦っている。とてもその余裕はない。
だがそこには一隻の戦艦があった。NSXだ」
「イーグル!?まさか」
「はい」
艦橋にはイーグルとジェオ、ザズがいた。そこから光達に対して微笑んでいた。
「祖国を助けてもらう御礼です。僕達も貴女達と共に」
「FTOもGTOも破損しちまったがな」
「NSXは健在だ!頼りにしてくれよ!」
「おのれ、他国の者達がわらわに刃を向けるというのか」
「そうです」
イーグルがデボネアに答える。
「それがセフィーロの方々の為ですから」
「有り難う、イーグルさん」
シンジが彼に礼を述べる。
「いえ、貴方ともよくお話してみたいですしね」
「じゃあ戦いが終わってから」
「はい」
「おのれ、よくも」
デボネアはNSXを見て歯噛みする。そこにまた声がした。
「それはオートザムだけではないぞ!」
「何!」
またボームがデボネアに炸裂する。そこには童夢がいた。
「アスカさん!」
「風、助太刀に参ったぞ!」
童夢の艦橋でアスカが誇らしげに笑っていた。彼女もまた三人の助太刀に現われたのである。
「わらわは決めた!御前達と共に戦うぞ!」
「えっ!?」
「どういう気紛れだチビの姫さんよ!」
「少なくとも御主の減らず口は後で唇に辛子を塗って懲らしめてやる」
シンの口を聞き逃さずに言い渡してから述べる。
「そなた等とのこれからの友情の為じゃ!よいな!」
「よっし!姫さんあんたいい奴じゃねえか!」
甲児がそれを聞いて喜びの声をあげる。
「頼りにしてるぜ!」
「お任せ下さい」
「これからも宜しく御願いします」
チャンアンとサンユンも挨拶をする。彼等もまた戦いに加わった。
そしてもう一隻。ブラヴァータであった。
「タータ、タトラ!」
「これも何かの縁や!」
「私達も貴女方と共に」
タータとタトラが海に対して言う。
「一緒にやるで!」
「そうこなくっちゃね」
ミサトはタータの声を聞いて満足そうに微笑む。
「これで皆揃ったかしら。セーラー服は」
「貴女何かとごっちゃになってるでしょ」
ミサトに対して横からリツコが言う。
「貴女が今セーラー服着たら完全に風俗だけれどいいの?」
「うう、それはやばいわね」
「そうよ。そうですよね、アムロ中佐」
「ま、まあな」
アムロは歯切れ悪くそれに返す。
「あまりよくないかもな」
「ほら、御覧なさい」
「まあそれは着ないわよ、安心して」
「月に替わって御仕置きしてなさい」
少し妙な話をしながらも三国はロンド=ベルに合流した。いよいよ総力戦であった。
「五月蝿い蝿共が!」
デボネアは三隻の戦艦を狙う。三隻の戦艦が大きく揺れた。
「何ちゅう威力や!」
タータが思わず驚きの声をあげる。
「気合入れていかんかい!ええな!」
「わかっておるわ!」
「当然です!」
アスカとイーグルがそれに応える。
「このままやられるつもりはわらわにはない!」
「だからこそ!」
三隻の戦艦は主砲を一斉に放った。それでデボネアの動きを止める。
「海ちゃん風ちゃん今だ!」
それを見た光が二人に声をかける。
「動きを合わせよう!」
「ええ!」
「わかりましたわ光さん!」
三人は再び心を合わせる。そうして胸から三色の光を放った。
「閃光の──螺旋──ーーーっ!!」
三色の光が白色の螺旋と化しデボネアに炸裂する。流石にこれにはレガリアも大きく怯んだ。
「おのれ、おのれぇーーーーーーーーっ!」
「絶対に負けるものか!」
「私達の渾身の力!」
「今ここで!」
三人はさらにデボネアに攻撃を浴びせる。決戦はさらに続いた。
ランティスはセフィーロ城に戻っていた。何かを探しているようだった。
「光・・・・・」
咄嗟に彼女の危機を察した。そうして今剣を構えて魔力を込めたのだった。
すると光の胸のペンダントが輝く。かつてランティスから貰ったものである。4
「ランティス・・・・・・」
その光が今迫るデボネアの魔法を弾き返した。デボネアはそれを見て目を顰めさせる。
「何だとっ!?」
「また私を助けてくれたのか」
「どういうことだ、それは」
デボネアは今己の魔法を弾き返した光を見て目を顰めさせる。
「我が光を跳ね返すとは」
「私を守る光・・・・・・」
「戯言を」
デボネアはその光を拒もうとする。
「そのような光、認められることか」
「認めても認めなくても」
光は言う。
「私はここで、皆を!」
剣から炎を放つ。それはデボネアの黒い魔法を打ち消した。
「おのれ!」
「光!」
「海!!」
「風!」
イーグルとタータ、アスカが声をかける。だが三人は負けてはいなかった。
「大丈夫よ」
海はにこりと笑って三人に返す。
「この程度で。負けないわ」
「そうです」
風も言う。
「私達はこの程度では」
「頑張るな、ホンマに」
タータもこれには唸るしかなかった。
「ここまでやるとは」
「だからタータ、私達も」
「わかってるで、姉様」
タータは姉のその言葉に頷く。そうして三人の援護を続ける。
しかしデボネアはそれでも倒れない。三人と三隻の戦艦の攻撃を受けてもだ。
「強い・・・・・・」
光はそのあまりの強さに思わず唸った。
「どうしてここまで」
「強いのですの?」
海と風も唸るしかなかった。その強さの前には。
「それは当然のこと」
デボネアは邪悪な笑みと共に三人に言ってきた。
「私はセフィーロの者達が生み出したものだからだ」
「えっ!?」
「それはどういうこと!?」
「まさか貴女は」
「そうだ、柱を信じ柱に全てを預けてきたセフィーロの者達」
デボネアは三人に応えて言う。
「その柱を失った巨大な恐怖の心、そして破滅が私を生んだのだ」
「えっ、じゃあそれって」
「ああ、間違いないな」
ザズの驚きの言葉にジェオが頷く。
「あの女はマイナスの感情そのものだ」
「だからですか」
イーグルはジェオのその言葉に顔を青くさせる。
「この底知れない邪悪さは」
「そうじゃ、これじゃ」
アスカも強張った顔で言ってきた。
「この邪悪な力はセフィーロの力と均衡している」
「確かに」
チャンアンがそれに頷く。
「それは感じますな」
「だとしたら僕達が戦っているのは一国の人間全て!?」
「そんな甘いもんちゃうで」
タータがサンユンに言う。
「これはもっと凄いわ」
「それが増幅されて」
タトラも顔を強張らせている。何時になく真剣な顔だ。
「より邪悪なものに」
「何てことだよ」
ザズはそこまで聞いて言葉を失う。流石の彼等もこれだけの邪悪な力を見ては打つ手がなくなってしまった。そう思えたのだった。
その頃セフィーロ城には避難民達が怯えたコアでいた。そこにはモコナもいた。
「ぷう、ぷう」
ミラに声をかける。励ますように。
「そうだね」
ミラはそのモコナに元気付けられた。そうして表情を明るくさせる。
「恐いって思ったら・・・・・・駄目よね」
「そうや!」
その言葉にカルディナが頷く。
「諦めたらあかんで、皆!」
「そうだ!!」
フェリオがそれに頷く。
「セフィーロの魔物は全て心が生み出したものだ!」
「えっ!?」
「俺達の心が」
「そうなんや」
カルディナはまた彼等に言う。
「恐いって考えたら余計に敵を強くさせるんや」
「デボネアは私達の心なのね」
「そうだ」
フェリオがプレセアの言葉に頷く。
「だからここは」
「僕達が恐いって思えば」
アスコットも言う。
「その分だけ魔法騎士達を苦しめてしまうんだ」
「恐れるな!」
ラファーガは言う。
「恐れる己の心と戦うのだ!」
「そうよ!」
そこへプリメーラがやって来て叫ぶ。彼女もランティスと一緒に戻って来ていたのだ。
このセフィーロは誰の国なの!?」
「それは決まってるよ!」
アスコットはその言葉に叫ぶ。
「セフィーロは僕達の国だ!」
「私達が守るべき私達の国だ」
「そや、大好きな人がおる大切な場所や」
カルディナはラファーガのその言葉に頷いた。
「それじゃあ私達は」
「自分を信じろ!」
フェリオは皆に叫ぶ。
「他の誰でもない、自分自身を!」
「ああ、その通りだ!」
甲児がその言葉を聞いて叫ぶ。
「皆信じろ!俺達も信じる!」
「そうだ!皆やろうぜ!」
ジュドーも叫ぶ。
「俺達も信じるぜ!いいな!」
「よし!じゃあ俺もだ!」
「俺も!」
ショウとダバがそれに続く。
「皆どいつもこいつも信じろ!さあ、クライマックスだぜ!」
バサラがギターを鳴らしてきた。
「俺も歌を聴かせてやるぜ!いいな!」
「そうね、最高のステージよ!」
ミレーヌがそれに応える。
「それなら。派手にやるわよ!」
「俺の歌を聴けーーーーーーーっ!」
皆の心が一つになった。そうして今皆の心に勇気が一つになり大きくなっていくのだった。
その心の光がレイアースを包み込む。そして。
「レイアースに力が」
「皆の心が流れ込んでくる」
「セフィーロの皆さんの心ですわ」
三人にも力が宿る。これまでにない力が。
城にある柱の証、エメロード姫の王冠が突然消えた。そうしてレイアースの前に現われる。
「王冠がレイアースの元へ」
クレフはそれを聞いて言う。
「何故だ、これは」
「柱が」
光はその王冠を見て声をあげる。
「今ここに」
「見て、光」
海が光に声をかける。
「王冠が」
「光の剣に」
風も。今王冠は光の剣となり三人の前に姿を現わしたのであった。
「光、これで」
海がここで光に言う。
「デボネアを倒しましょう」
「そうですわ」
風もその言葉に頷く。
「今こそ」
「わかった!」
光は今それに頷いた。
「今だ!だから!」
「おのれ!」
レイアースが光の剣を手に取るとデボネアはそこに躍起になって魔法を放つ。
「やらせはせぬぞ!」
「無駄だ!」
それでも三人は怯まない。そのまま突き進みデボネアの顔をその光の剣で刺し貫いたのであった。それは深くレガリアを貫いていた。
「がはっ・・・・・・」
デボネアは貫かれ呻き声をあげた。
「これが己を信じる心だというのか・・・・・・」
「そうだ!」
光はそのデボネアに対して叫ぶ。
「これが皆の力、私達に与えてくれた力だ!」
「おのれ、おのれ」
デボネアは断末魔の中で叫ぶ。
「セフィーロの者達、魔法騎士よ!」
デボネアの身体から無数の光が放たれる。そうしてその中に消えたのであった。
「これで終わりよね」
海が光の中に消えたデボネアを見て言う。
「セフィーロでの戦いは」
「はい」
風がその言葉に頷く。
「これで完全に」
「やっとね」
「うん」
光は今ほっと胸を撫で下ろしていた。
「これで」
そこにクレフとランティスの声が届く。三人に対して。
「やはり柱は光だったか」
「クレフ」
「柱よ」
ランティスは光に告げてきた。
「光」
「ランティス」
「今こそその柱の証を」
そう光に言う。今セフィーロが救われようとしていたのだ。
「クレフと約束したんだ」
光はそれに応えて言う。
「若し私の柱の資格があるなら私の望んでいるセフィーロにしたいと願っていいって!)
「そうだ」
クレフは光のその言葉に頷く。
「そのセフィーロを、今見せてくれ」
「わかった、それじゃあ」
光は柱の証のその剣を高々と掲げる。そうして。
「私は決めたんだ」
光は言う。
「このセフィーロから柱を無くすって」
「柱をか」
「そうだ」
クレフにも答える。
「もうエメロード姫やザガートみたいな人はいちゃいけないんだ。だから」
それが彼女の考えだった。もう悲劇は見たくはなかったのだ。
「そしてこれからのセフィーロはこの国を愛する皆で作っていって欲しい!」
そう願った。すると無限の光がセフィーロとロンド=ベルを包み込むのであった。
剣が黄金色の光に変わり空に放たれ上空の闇を切り裂く。闇はその中に消えていく。
闇の中から次々に日の光が降り注ぎ暗く閉ざされていたセフィーロの地に明るさが戻ってきた。それはまるで幻想の絵のようであった。
その中frロンド=ベルの者達はセフィーロに帰ってきた。そこには当然ながら三人もいる。4
「光よ」
レイアースがその中で光に対して言う。
「願いは叶えられた。もう一度セフィーロを訪れ自分自身の心のために戦いたいという御前達の願いがな」
「じゃあ私達をセフィーロに召喚したのは!?」
「御前達自身だ」
レイアースはそう彼女に告げる。
「そうだったのか」
「だが」
「だが!?」
「ロンド=ベルの者達は違っていた。しかし」
「運命だったのですね」
シーラがそれに応える。
「私達がここに来たのは」
「そうだ。セフィーロの戦士達もまた大きな戦いに加わる為に」
「大きな戦いか」
「導師クレフよ」
セレスがクレフに声をかける。
「地上に向かうのだ。そこで大いなる戦いに向かえ」
「大いなる戦いか」
「セフィーロは一旦は救われた。だが」
「その戦いに勝たなければ崩壊はまたやって来る。だからこそ」
「わかった」
クレフはその言葉に頷いた。
「それでは私も行こう。地上へ」
「俺も行く」
「フェリオ」
風はフェリオの言葉を受けて驚きの声をあげる。
「貴方もですか!?」
「そうだ。セフイーロを救う為に行く」
「うちも行くで」
「私もだ」
カルディナとラファーガも名乗り出てきた。
「セフィーロと地上の為にもな」
「宜しいのですか、地上に」
「そうだ」
二人は風に応えて言う。
「地上とセフィーロの為に」
「うちもや」
「僕も」
「私も」
アスコットは毅然として立ち上がった。アルシオーネは俯いていたが立ち上がった。
「皆の為にも」
「私は・・・・・・ザガート様の想いを実らせる為にも」
二人もまたそれぞれの想いのままに地上に向かうのだった。
「地上へ」
「貴方達もなのね」
「海、それでもいいよね」
アスコットは海にそれを問う。
「一緒に戦いたい、いいよね」
「うん、一緒にな」
「アルシオーネも」
「私も・・・・・・いいのね」
アルシオーネは俯いたまま海に問う。
「貴女達を殺そうとした私でも」
「いいのよ、それは」
「そうですわ」
海も風もにこりと笑ってそれに応える。
「ですから今度は一緒に」
「戦いましょうよ」
「有り難う」
微かに笑って二人の言葉に頷いてきた。
「それではクレフ、私も」
「うむ、また師弟で戦おうぞ」
「はい」
「当然プレセアもよね」
ミサトは自分からプレセアに声をかけてきた。
「来るんでしょ?地上に」
「ええ、いいかしら」
「勿論。ロンド=ベルは誰でもウェルカムよ」
にこりと笑って彼女に言う。
「だから気兼ねしないでね」
「わかったわ。それじゃあ」
「何かまた色々な人が入ったね」
トールはそれを見て呟く。
「賑やかになるよ」
「皆あれかな」
サイはその中でふと言う。
「ミサトさん達と一緒に司令部で、かな」
「いえ、それは違います」
ここでタトラが話に加わってきた。
「どういうことですか、タトラさん」
「我がチゼータも地上での戦いに同行させて頂きますので」
「えっ!?」
ミリアリアに答えるタトラの言葉に皆思わず声をあげた。
「チゼータもですか」
「そうです。この世界に破滅が近付いているのならばそれはチゼータも同じこと」
彼女は言う。
「ならば私達も共に戦わせて頂きます」
「そういうことや」
タータも言ってきた。
「宜しゅう頼むで。ええな」
「じゃあクレフさん達はそっちに入るのか」
カズイはそれを聞いてふと言う。
「これで戦艦はもう一隻か。凄いことになってきたな」
「いやいや、もう一隻おりますぞ」
チャンアンが言ってきた。
「チャンアンさん、まさかそれって」
「そうですじゃ。我がファーレンもまた」
「喜ぶがいい」
チャンアンだけでなくアスカもキラの言葉に応える。
「わらわも共に戦わせてもらう、よいな」
「宜しく御願いします」
サンユンが挨拶をする。そうしてもう一隻参加してきた。
「僕達もですよ」
「イーグルさんまで」
「何か凄いことになってきたわね」
ルナマリアとメイリンの二人がイーグルの声を聞いて言う。
「オートザムまで」
「理由はファーレン、チゼータと同じだ」
「宜しくな」
ジェオとザズが挨拶をする。
「僕達もまた地上で一緒に。いいですよね」
「願ったり適ったりよね」
「ねえ」
ルナマリアとメイリンの言葉はそのままロンド=ベルの意志であった。彼等もまたロンド=ベルに加わったのだった。三国の戦艦の加入は極めて大きかった。
「では我々はその三隻の戦艦に別れて乗ることになるのか」
「そうなりますね」
イーグルがクレフに答える。
「ではそれで」
「ずっと貴女達と一緒なのも悪くないわね」
海はにこりと笑ってタータに言う。
「タータとは不思議と前から一緒にいた気がするし」
「実はうちもや」
タータもそれに応える。確かに二人は妙に気が合っている感じだった。
「ファーレンの服着てな」
「そうよね」
「だからこれからも宜しくね」
「ええ」
「それではわらわもな」
アスカは風ににこりと笑って声をかける。
「そなたと一緒に戦えるな、これからも」
「そうですね。アスカさんと私は地上でも」
「何か楽しみになってきたぞ」
アスカは上機嫌で言う。
「戦は大好きじゃしな。腕が鳴るわ」
「そういうことだから。宜しくね、ザズ君」
ミサトはザズに声をかけてきた。
「長い戦いになるでしょうけれどね」
「ああ、宜しくな」
「マシンのチューンナップは御願いね」
「わかってるさ。俺は乗るのも得意だけれどな」
「そっちも期待してるわ」
ミサトはにこりと笑ってザズに応える。
「いいわね、ケーラ」
「楽しみにしてるよ」
「ただな、俺にこいつの不幸の皺寄せ来そうで怖いな」
何故かマサキはそれを恐れていた。
「何でだ?」
「勝てるわよ、新条君」
「レインさん、何か言ったか!?」
マサキはその言葉にやけに怯えた顔を見せてきた。
「今の言葉はちょっと止めてくれ。怖くて仕方ないからよ」
「私何も言ってないけれど」
「えっ!?」
レインにそう返されて目をしばたかせる。
「じゃあ一体誰が」
「私・・・・・・」
アルシオーネがぽつりと呟いてきた。
「何か無意識のうちに喋ってしまって。御免なさい」
「ああ、アルシオーネさんか。何か声が似てるからよ」
マサキはその声を聞いてまた頷く。
「済まねえ、にしても人がまた増えたのは有り難いな」
「そうね。何はともあれそれは助かるわ」
ミサトは穏やかな笑みでそれに応える。
「これでやっと五人揃ったし」
「ミサトさん、九人全員だと思うけれど」
しかしここでシンジが突っ込みを入れる。
「あっ、そうだったわね」
「わらわも何か関係ありそうじゃな」
ククルはそのやり取りの中で呟く。
「前からミサトとは奇妙な縁を感じておるが」
「そうね。何はともあれ皆揃ったって感じね」
「月に向かってね」
レイがぽつりと呟く。その中でランティスは一人離れた場所にいた。
「ねえランティス」
プリメーラが声をあげる。
「私達もいいわよね」
「そのつもりだ」
ランティスは応える。そして皆のところに来た。
「俺も共に戦いたい」
「ランティス・・・・・・」
「それでいいか」
「いいのか!?本当に」
光は彼を見上げて問う。
「私達と一緒に」
「俺の方こそ頼みたい」
光の顔を見てまた言う。
「御前と共に戦いたい。いいか」
「うん!」
光は明るい顔でそれに応える。
「頼む、一緒に」
「わかった。それではな」
「ああ。私達はずっと一緒だ」
光は明るい顔でランティスに応える。
「戦おう、そして」
「うむ」
二人の絆が今出来上がった。その中で彼等は見詰め合う。プリメーラは何時の間にか二人から離れて一人になっていた。そこにモコナが来た。
「ぷう、ぷう」
「わかってるわよ」
モコナに対して笑みで応える。
「あんたとも一緒にいたいわ。いいわよね」
「ぷう」
モコナはそれに応える。彼女達も参戦することになった。
魔法騎士とセフィーロの者達、三隻の戦艦を加えたロンド=ベルは地球圏に戻ることになった。戦いはそちらに戻ろうとしていたのだった。
「それではまずは何処だ?」
「木星へ」
グローバルがクレフに告げる。
「そこで戦いを。お願いします」
「わかった。それでは」
ロンド=ベルは本来の目的地点である木星へ向かう。そこで遂に原種との最後の戦いがはじまるのだった。

第百五十七話完

2007・4・17
 
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