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八条学園騒動記

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第二百七十三話 真面目なギルバートその十二


「やっぱり僕は無計画でいきたいな」
「そうだね。牛乳にこだわらない」
「そうなのね」
「うん、こだわるとかえってよくないだろうから」
 そのことは強く考えていた。それでだ。
 その中でだった。また話す彼だった。
「君達の提案通り自由なデートを楽しむよ」
「こだわらず覚えるべきことは覚えて」
「そうしてよね」
「そうしようか」
 三人で楽しく話す。そしてそこにだ。
 アン、その当人がひょっこりと出て来て言ってきた。
「あれっ、何の話してるの?」
「いや、ちょっとね」
「デートのことでお話してたのよ」
 スターリングと蝉玉がそのアンに話す。
「僕達のデートのことでね」
「それとアンとギルバートのことも」
「私達もなの?」
 それを聞いてだ。アンはまずは首を捻った。そのうえでだ。
 ギルバートに顔を向けてだ。こう尋ねたのである。
「デートのことって。私達の」
「うん、僕達のだよ」
「ええと。私達のデートっていつもかなり計画的だけれど」
 それはアンもよくわかっていた。それで今言ったのである。
「それがどうかしたの?」
「いや、僕達のその計画的なデートを変えてみようと思う」
 ギルバートは真面目にだ。アンに話した。
「無計画でいかないか。自由に」
「あれっ、ギルバートがそう言うの」
「二人の話を聞いて考えた・それもいいかと思ってな」
「それでなのね」
「そう、二人でね」
 こう話すのだった。アンにだ。
 そしてそれを聞いてだ。アンも考える顔でこう言った。
「そうね。それもね」
「悪くないと思うが」
「いいと思うわ」
 考える顔から微笑む顔になっての言葉だった。
「それもね」
「そうだな。それじゃあな」
「ううんと。それにだけれど」
 ここでだ。アンは自分の考えをギルバートに述べた。
「いつも二人だけのデートだけれど」
「デートはそういうものじゃないのかい?」
「ダブルデートなんてどうかしら」
 これがアンの提案だった。
「丁度スターリングと蝉玉もいるし」
「この二人と」
「そう。どうかしら」
 あらためてだ。アンはギルバートに話した。
「二組でね」
「そうしたデートか」
「面白いみたいよ。ダブルデート」
 にこりと笑って言うアンだった。
「そういうのもね」
「それもイレギュラーか」
「面白いイレギュラーがありそうじゃない、それもかなりね」
「一組でのデート以上に」
「そう。だからどうかしら」
「そうだな。それではな」
 ギルバートもだ。アンの言葉に頷いて。
「四人でデートか」
「二組でね」
 二人で決めてしまった。それで残る二人はというと。
 今回もお互いに顔を見合わせてだ。こう話をするのだった。
「どうする?」
「どうするって言われても」
 スターリングだけでなく蝉玉もだ。困惑した顔を見せている。普段の切れはない。
 それでだ。こうスターリングに言ったのである。
「何かもう決まってるし」
「二人の間でね」
「じゃあもう言っても仕方ないんじゃないかな」
「そうよね」
 蝉玉は困った顔のままだった。
「これじゃあもう」
「それにさ。二人の言うことも一理あるし」
 スターリングは恋人と同じ顔でこう述べた。
「一組のデートもいいけれど」
「二組のもね」
「いいと思うからね」
 アンとギルバートの考えに乗ったのである。
「それじゃあもうそれでね」
「いいかしらね」
「もう決まってる感じだけれど」
「それじゃあ」
 こう話をしてだった。二人もだ。アンとギルバートに対して答えた。
「ううんと。それじゃあね」
「お願いできるかしら」
「とりあえず。決まった感じだけれど」
「それでね」
「これで決まりね」
 既に決めていたがそれでもこう言うアンだった。
「じゃあダブルデートね」
「牛乳を飲んで楽しくやろう」
 ギルバートが微笑んでこう言うとだった。アンもだ。
 笑顔でだ。こんなことを言った。
「ただ。牛乳なら牛肉は勘弁してね」
「うん、それはわかってるから」
「もうね」
 スターリングと蝉玉も応えてだった。そのうえでだ。
 ダブルデートとなった。それが決まったのだった。


真面目なギルバート   完


                          2011・11・9 
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