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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百四十五話 スターダスト=メモリー

                   第百四十五話 スターダスト=メモリー
ロンド=ベルはマスドライバーを狙うデラーズの艦隊を阻止する為に月に向かっていた。その既に彼等の所在も航路も完全に捉えてその前面に回り込んでいた。
「まずはこれでよしか」
大文字は先にモニターに映るデラーズフリートと自分達の予想航路を見ながら述べた。
「マスドライバーは守れる」
「はい、ですが」
ピートが彼に対して言う。
「彼等は航路を変えません。おそらくは」
「戦闘か」
大文字は言った。
「やはり避けられんか」
「ですね」
それにサコンが頷く。
「このまま」
「では総員戦闘配置」
指示が下る。
「いいな」
「了解」
それを受けて皆戦闘配置につく。サンシロー達もその中にいる。
「今度で終わりにしたいもんだな」
サンシローはガイキングに乗り込む時にこう述べた。
「デラーズフリートともな」
「そうだな」
それにリーが頷く。
「そろそろネオ=ジオンと決着をつける時だ」
「ですね」
ブンタがそれに同意する。
「その時です」
「今度はネオ=ジオンってわけか」
「そうだ」
ヤマガタケにピートが応える。彼等は通信で話をしていた。
「いよいよその時が来ている」
「ネオ=ジオンともか」
大介はそれを聞いて述べた。
「なら」
「兄さんも気合入ってるみたいね」
マリアはそんな彼を見て言う。
「兄さんもそろそろネオ=ジオンとの戦いが終わるって思ってるの?」
「ああ」
彼は妹の言葉に対して頷いてきた。それはピートと同じであった。
「もうすぐ終わることになると思う。火星にも行くって話もあるしね」
「火星に?」
「そうさ。火星の後継者達を倒しにね」
「何か話が凄い進んできたわね」
マリアはそれを聞いて言う。
「次から次に」
「そして勝たなければならない」
大介の言葉が鋭いものになった。
「この戦いに」
デラーズフリートを前にして戦闘配置についた。デラーズフリートの方でもそれは確認されていた。
「ロンド=ベルです」
デラーズに報告が入る。
「既にマシンを出して前面に展開しています」
「そうか」
デラーズはそれを聞いて静かに頷いた。グワジンの艦橋からそのロンド=ベルを見据えている。
「ならば」
「戦闘ですか」
「そうだ。こちらもモビルスーツを出す」
彼は迷うことなくそう述べた。
「そしてマスドライバーを奪取する。いいな」
「はっ」
デラーズの言葉に従いモビルスーツが出される。その中にはケリィやカリウス、シーマ、そしてガトーもいた。ガトーはノイエ=ジールに乗っていた。
「この戦いこそが」
ガトーはノイエ=ジールのコクピットの中で言う。
「ジオンの大義を実現させる戦いになる」
「はい」
カリウスがそれに頷く。
「その通りです。ですから」
「負けるわけにはいかん!」
ノイエ=ジールが前に出る。
「何があろうと!」
「ガトー」
そんな彼にケリィが声をかけてきた。彼はヴァルヴァロに乗っている。
「この戦いに勝てばな」
「貴殿はどうするのだ?」
「いや、月に住みたいと思ってな」
「月にか」
「ああ、そこでゆっくりと過ごしたい」
彼はそう語る。
「これまでの戦いを忘れてな」
「そうか」
ガトーは彼の言葉を聞いて肯定も否定もせず応えるだけであった。あえて何も言わなかった。
「それも人の道か」
「貴官は違うか」
「私には一つしかない」
彼は言う。
「この道しかな」
「そうだな、貴官は」
「うむ、ではな」
目の前に迫って来たロンド=ベルに向かう。戦いがはじまった。
ガトーのところにはコウのデンドロビウムが迫る。巨体からは想像も出来ない機動力で。
「ガトー、まだ御前は!」
「言った筈だコウ=ウラキ!」
ガトーは彼に返す。
「私は義によって生きている!義の為ならば!」
「まだジオンの大義を!」
「他に何があるというのだ!」
ミサイルを放ちながら言葉を返す。
「ジオンの大義こそが全てだ!」
「それにより多くの人間が死んでもか!」
「それでもだ!」
ガトーにはやはり迷いがなかった。
「私は突き進む!止めたければ!」
「なら俺は!」
そのガトーに叫ぶ。
「御前を止めて、そして多くの人を守ってやる!」
「それが答えだというのだな!」
「その通りだ!」
コウももう迷いはなかった。
「だからこそ!行くぞ!」
「来い!」
ノイエ=ジールもまたその巨体から想像できない機動力を発揮する。今二人はその巨大な兵器を操り死闘を展開していたのであった。
チャックはカリウスと戦っている。そしてバニングはシーマと戦っていた。
「いいか!」
バニングは戦いながら自身の正体に指示を出す。
「ヴァルヴァロは素早い!逃がさないように取り囲め!」
「了解!」
「わかってますってな!」
ベイトとモンシアが彼に応える。アデルは二人のフォローに回っている。
「三機なら!」
そう言いながらビームを放つ。他の二人もそれに続く。
「三機がかりか。これは辛いか」
「さかしいねえ」
シーマはバニングと戦いながら述べる。
「これだけの動きを見せるなんて」
「シーマ、御前もいるのか」
「当然だろ?あたしもね、戦うことでしか生きられないんだよ」
それがシーマ=ガラハウという女だった。それは変わりはしない。
「けれどね。何処までも生きてやるさ」
「何処までもか」
「そうさ、何があってもね」
剣呑な声で述べる。
「だからここでも」
バニングに攻撃を浴びせる。彼はGP-01を的確に操りそれをかわす。
「チッ、お互いオールドタイプだってのにやるね」
「ニュータイプもオールドタイプも関係ない」
バニングもビームを放ちながら返す。
「俺も御前も戦場にいる!なら技量が全てだ!」
「そうだね。その言葉気に入ったよ」
シーマはその言葉に笑みを浮かべてきた。凄みのある笑みだった。
「じゃあやってやるさね。気の済むまでね」
攻撃を激しく繰り返す。ガーベラテトラの機動力を完全に引き出してきた。
戦いの続く中でデラーズは兵をさらに進めさせていた。グワダンを前に出す。
「ドロスを前に出せ!」
それと共に言う。
「全てのドロスをだ!中のモビルスーツもな!」
「閣下、決戦ですか」
「そうだ」
部下達に対して答える。
「ここで敗れればジオンの大義もない!ならば!」
彼は言う。
「ここでロンド=ベルを完全に倒す!」
「はっ!」
部下達はそれに頷く。皆一年戦争からの同志達だ。今彼はその同志達と共に自ら前線に出た。
「ドロスが三隻・・・・・・」
ミサトはそれを見てその整った顔を歪めさせた。
「相手も本気だってことね。けれど」
それで諦めるわけにはいかなかった。
「はいそうですかって引き下がるわけにはいかないのよ。こっちもね」
「おいミサトさんよお!」
マサキが彼女に声をかけてきた。
「ドロスからどんどんモビルスーツが出て来るぜ!」
「ええ、わかってるわ」
ミサトはそれに応える。
「ここが耐え時よ、いいわね」
「わかったぜ。じゃあよ」
マサキはその言葉に対して言う。
「そっちも頼むぜ」
「ええ。オーラバトラーはどうなの?」
「まだ大丈夫だ」
ショウの声が返ってきた。
「そう。ならいいわ」
「一隻は任せてくれ」
ショウはさらに言ってきた。
「俺がやる」
「もう一隻は俺がやらせてもらうぜ」
今度はマサキが名乗りをあげる。
「それでいいな」
「頼むわ」
ミサトはその二人に言葉を返す。
「ちょっちどころじゃなく洒落にならない状況だからね」
「それで最後の一隻は?」
「俺が行きます」
リツコが言うとダバが出て来た。
「任せて下さい」
「わかったわ。じゃあお願いね」
「はい」
ダバは今度はミサトの言葉に頷く。三機は一旦変形してからそれぞれ向かった。
「といってもモビルスーツは全部出されちゃったみたいね」
夥しい数の機体がモニターに映し出されている。どれもガザやズサ、ドライセンといったネオ=ジオンのモビルスーツばかりである。
「洒落にならない位本気ね」
「それは当然でしょう」
エレがミサトに応えてきた。
「彼等の強烈なまでのオーラを感じます」
「オーラを」
「はい、それは月に向けられています」
エレは言う。
「月を渡せば。それだけで多くの人の命が」
「わかってます。だから」
「オーラノヴァ砲発射用意!」
エイブが叫ぶ。
「少しでも数を減らす!撃てーーーーーっ!」
巨大な白い光が放たれる。戦いはまだ続く。
グランガランも弾幕を張っている。周囲には無数のモビルスーツが展開している。
「慌ててはなりません」
シーラはその中でも周りの者に落ち着くように言う。
「焦ればそれでオーラ力が乱れます」
「その通りです」
ラクスが彼女の言葉に頷く。
「彼等は今誤った大義に心を支配されています。それに負けてはなりません」
「そうです。ラクス=クライン」
シーラは彼女に言う。
「ですから今は」
「はい」
応えるその目には光はない。既に覚醒していた。
「退いてはなりません。敵を抑えるのです」
彼女も言う。
「今ここで」
「とにかく堪えるんだ」
バルトフェルドも指示を出す。
「マスドライバーなんてのを渡したら大変なことになるのが決まっているからな」
「その通りですね。では」
ダコスタが言う。
「アンディ、主砲いいわ」
「よし、撃てーーーーーーーっ!」
アイシャの言葉に応える。エターナルも戦いの中にいた。
死闘は苛烈なものになっていた。その中でダバはバスターランチャーを構える。そこにギャブレーのアシュラテンプルも来た。
「ギャブレー!」
「一機ではエルガイムマークⅡでも難しい」
彼はそう述べる。
「だが二人ではどうかな」
「やってくれるか!」
「うむ、合わせるぞ!」
ギャブレーはダバの横に来て同じくバスターランチャーを構えてきた。
「これで!」
「決める!」
二人は同時にバスターランチャーを放った。二条の光が巨大な甲板を撃ち抜く。ドロスは忽ちのうちに炎に包まれ銀河の星屑となったのであった。
その同じ時ショウはドロスに突き進む。後ろからズワースが来た。
「バーンか!」
「ショウ=ザマ、私は左だ」
「何っ!?」
「御前は右に行くのだ。いいな」
「わかった」
ショウはそれに頷く。そして嵐の様な機銃の弾幕をかいくぐり今オーラソードを出した。
「はああああああああああああっ!」
「これならばっ!」
二人は同時にハイパーオーラ斬りを放った。それはドロスの巨体を引き裂いた。三つに分かれたドロスはそのまま炎を噴き出しその中に消え去ったのであった。
これで二機のドロスがなくなった。戦局はロンド=ベルに大きく傾こうとしていた。
しかしネオ=ジオンはまだ前線にいる。グワダンも健在だった。
「まだだ!まだいける!」
デラーズは言う。
「グワダンをさらに出せ!その火力で押し切れ!」
「他の艦は?」
「全艦だ!」
彼はこうも言う。
「いいな!その火力で!」
押し切ろうとする。しかしそこにアルビオンの攻撃が迫る。
「外すなよ」
シナプスは艦橋から言う。
「撃て!」
それはグワダンに向けられていた。まともに直撃し衝撃が走る。
「うわあっ!」
艦内を激しいダメージが襲う。そしてデラーズの全身を撃つ。彼は血を吐いて艦橋に倒れた。
「閣下!」
部下達が彼に駆け寄る。しかし既に手遅れであった。
「うう・・・・・・」
「気を確かに!」
「救護班を!」
「よい」
しかし彼はここで言う。
「最早私は駄目だ。これも運命なのだ」
「そんな・・・・・・」
「閣下・・・・・・」
「後は頼む」
倒れながらも部下達を見て述べる。
「ジークジオン」
これが最後の言葉だった。エギーユ=デラーズは死んだ。彼の乗るグワダンも今の攻撃で沈み総員退避し終えると炎の中に消えていった。
デラーズの死を受けてネオ=ジオンは作戦を中止した。すぐに撤退にかかる。
既にケリィのヴァルヴァロは撃墜されていた。その生死は不明である。
シーマは既にいない。もう逃げていた。
「こんなところで死ぬつもりはないんだよ」
自分の艦の艦橋において言う。
「いいかい、すぐにアクシズまで下がるよ!」
そう部下達に命じる。
「それでグレミーと合流だ。いいね」
「はっ」
シーマとその部下達はアクシズへ下がる。途中でハマーンから彼女の下へ来るようにとの通達があったがそれをかなりの数が無視してアクシズに向かっていた。
「少佐、これは一体」
「グレミー=トトか」
ガトーはそれを見てカリウスに応えた。
「あの男いよいよ」
「グレミー=トトが!?まさか」
「そのまさかだ。ジオンの大義を見誤った男だ」
ガトーはグレミーをそう評した。実は彼にとってはハマーンもグレミーも大した存在ではなかった。ミネバを擁していることからもわかるようにドズル派であるハマーンとギレンの信奉者であるデラーズの同志であるガトーとは同じネオ=ジオンにあっても本質が違うのである。若いグレミーとは尚更であった。
「愚かな」
「ですが少佐」
カリウスはここでさらに言う。
「ロンド=ベルが迫っています」
「わかっている。どちらにしろジオンの者達をこれ以上失うわけにはいかない」
「ではここは」
「行くぞカリウス!」
カリウスに声をかける。
「ここは我等が盾となる。よいな!」
「はっ!」
ロンド=ベルは撤退するネオ=ジオンに追撃を仕掛けようとする。だがそこにガトーのノイエ=ジールが立ちはだかるのであった。
「嘘っ、ソロモンの悪夢!?」
「行かせないつもり!?」
マユラとジュリは目の前の巨大なモビルアーマーを見て言う。
「けれどそれなら!」
アサギはそれでも攻撃を仕掛けようとする。だがそれはカガリに止められた。
「止めろ!」
「カガリ様」
「その男は危険だ!御前等でも無理だ!」
「けれど」
「それにだ」
カガリは言う。
「あいつの相手は他にいる」
「他に、ですか」
「そうだ。任せるんだ、いいな」
「わかりました」
「それじゃあ」
「うん」
カガリは三人の言葉に頷いてみせる。
「下手に命を粗末にするなよ」
「カガリが言うなって言葉だね、何か」
それを聞いたユウナがクサナギの艦橋から声をかけてきた。
「御前、他に言い方ないか?」
「いやあ、僕は嬉しいんだよ」
しかしユウナはそれを喜んでいるようであった。実際に顔が綻んでいる。
「カガリもやっと無鉄砲なだけじゃなくなったんだってね」
「御前がまた臆病なだけだ」
カガリはそうユウナに返す。
「全く。そんなのだからな」
「そんなのだから?」
「シン達にもなめられるんだ」
「おい、それは御前だろ」
すかさずシンがカガリに突っ込んできた。
「ユウナさんを散々こき使ってるのだ」
「ユウナは司令官代理でもあるんだぞ」
「そんな役職でしたっけ?」
「さあ」
首を傾げてアズラエルに返すユウナであった。
「何かどんどん肩書きが増えているんで最近自分でもわからないのですが」
「この前は参謀総長兼補佐官兼首相だったような」
要するにオーブの実権を殆ど任されているということである。
「最近ですね」
「はい」
「何時の間にか内務大臣と外務大臣、秘書官までやっていまして」
「また凄いですね」
「気付けば気付く程役職が増えています」
実際はカガリのフォロワーだ。ナンバーツーということである。
「困ったものです」
「ほら見ろ」
シンがそれを聞いてここぞとばかりにカガリに言う。
「御前の我儘でユウナさんが」
「御前も我儘だろうが」
カガリも負けずにシンに言い返す。
「しょっちゅう誰かに迷惑をかけてるだろうが」
「御前が言うな!」
シンはまた言い返す。
「御前には負ける!」
「それはこっちの台詞だ!」
まらしても不毛な戦いがはじまった。
「そもそも御前はこの前だって!」
「あれは御前が悪いんだろうが!」
喧嘩に入る。
「何で私が御前と同じベッドにいたんだ!」
「知るか!」
「しかも下着姿で!何だあの黄色いトランクスは!」
「御前こそ清純ぶってライトブルーの下着は!」
「似合わないっていうのか!」
「そうだ!」
シンは女性の扱いは全く駄目だ。そんな男ではない。
「御前もトランクスにしろ!上はさらしだ!」
「ふざけるな!誰がそんな格好!」
「五月蝿い!御前にはそれがお似合いだ!」
「そもそもですね」
二人の言い争いを聞きながらアズラエルがユウナに述べる。
「国家元首がこうも簡単に男と同じベッドに入るのはどうかと思いますが」
「カガリは飲むとすぐ脱ぎまして」
ユウナは溜息混じりに言う。
「それでシン君と喧嘩してよくそうなります」
「ですがキスもまだなのですよね」
「はい、それは間違いないです」
ユウナは語る。
「いつも同じベッドに二人だけでなく大勢入り乱れていますから」
「ゴンズイみたいにですか」
「はい、まさしく」
とんでもない魚に例えられる。鋭い毒針が口元にあり触ると大変なことになる魚である。群れで暮らすことで知られており形は鯰に似ている、なお鯰は食べると案外あっさりとしていて美味い。
「そんな感じなので」
「安心と」
二人の喧嘩は何時の間にか終わっている。何故なら今はそれどころではなかったからだ。
「くっ!」
「ちっ!」
シンとカガリは敵の攻撃をかわす。言うまでもなくガトーのノイエ=ジールの攻撃であった。
「ここは通さん!」
「こうなったら俺が!」
シンが前に出ようとする。しかしそこにコウのデンドロビウムが来た。
「ガトー!」
「ウラキ!」
彼等は互いの名を呼び合う。
「ここで決着をつけてやる!」
「望むところだ!」
二人はそう言い合う。そして戦いに入った。
双方まずミサイルを乱射し合う。無数のミサイルが互いを撃ち落としていく。
次にメガ粒子砲を放つ。巨大な怪物同士の戦いとなっていた。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
コウは普段のコウではなくなっていた。一人の戦士となりガトーに向かう。
ガトーもまた。純粋な戦士となっていた。その軍人としての心を解き放ちコウに向かっていた。
カリウスはチャックと戦っている。都合二組の戦いとなっていた。
「ガトー、退くつもりはないのか!」
「ない!」
ガトーは言い放つ。
「まだ後ろに同志達がいる限り!私は!」
「なら俺も!」
コウはその声を聞いて言う。
「御前がいる限り!戦う!」
「望むところだ!」
宇宙を駆け巡り二つの流星となる。巨体からは想像もできない機動力で互いに駆け巡り死闘を展開する。その中でガトーはクローアームを放つ。
「くっ!」
コウはそれを受けて動きを止める。しかしそれで終わるつもりはなかった。
「なら俺は!」
傷ついたデンドロビムを特攻させる。そこにも攻撃を受けるが構いはしない。
「むっ!」
「これで決めてやる!」
ビームサーベルを出し突撃する。そのまま体当たりを仕掛けビームサーベルを一閃させた。
接近戦の弱いノイエ=ジールにはこの攻撃はかわせなかった。ガトーはその攻撃をまともに受けてしまったのだ。
「くっ、見事だ」
ガトーはコクピットの中でコウに言ってきた。
「今の攻撃をするとは」
「ガトー、これで終わりだな」
「そうだな」
ガトーもその言葉に頷く。
「コウ=ウラキ、御前の勝ちだ」
はじめてコウの勝利を認める。
「この戦いはな」
「ガトー・・・・・・」
「デラーズ閣下も散華された。そして私もまた」
「いえ、少佐」
ここでカリウスが声をかけてきた。彼のドライ船もチャックの攻撃で大破してしまっていた。
「私も一緒です」
「済まぬな、最後まで」
「いえ」
カリウスは微笑んで彼に応える。
「御気になさらずに」
「そうか。では行こう」
爆発があちこちで起き炎に包まれていくノイエ=ジールの中で言う。
「共にな」
「はい」
二人のマシンはそれぞれ爆発し炎に包まれた。その後ろでネオ=ジオンは何とか撤退を成功させていた。ガトーはそれを見届けながら散ったのであった。
「ガトー・・・・・・」
「コウ」
ニナがデンドロビウムのモニターに通信を入れてきた。
「終わったのね」
「ああ、見事だった」
「ええ、見ていたわ」
ニナは彼に答える。
「全ては終わったわね」
「そうだね」
「それでね、コウ」
ニナはここで言う。
「続いてもいるのよ」
「えっ!?」
「帰ってきて」
彼女はそうコウに語り掛ける。
「デンドロビウムと一緒に」
「ああ、わかったよ」
ニナのその言葉に微笑んでみせた。
「今からね」
「ええ」
彼は帰還することになった。コウもまた自分の因縁を終わらせた。アナベル=ガトー、最後まで武人として生き武人として死んだのであった。
マスドライバーを守ったロンド=ベルは次の戦いに向かうことになった。いよいよアクシズに向かうということになろうとしていた。
しかし。ここでルリが言ってきた。
「先に戦うべき人達がいます」
「先に!?」
「はい」
周りにいるロンド=ベルの面々に対して答える。
「火星の後継者です」
「火星か」
「アクシズと本格的な決戦に入る前にあの人達との決着をつけるべきかと」
「そうね」
それにユリカが頷いてきた。
「じゃあ火星に行きましょう、すぐに」
「すぐにって」
ミレーヌがその言葉に呆れた顔を見せてきた。
「火星なんてそうすぐには」
「御安心下さい」
しかしルリはそうミレーヌに返す。
「あれがありますから」
「あれって!?」
「ボゾンジャンプです」
ルリは語る。
「それで一気に火星まで」
「全軍でだな」
ブライトがルリに問う。
「それで火星の後継者達と」
「そうです。どうでしょうか」
「皆行けるか?」
アムロが問う。
「アラスカの時よりもメンバーが増えているというのに」
「御安心下さい」
その不安にはユリカがあっけらかんとして答えてきた。
「私達がいますから。ねっ、アキト」
「う、うん」
アキトは戸惑いながらもそれに答えてきた。
「あの時は咄嗟で不安でしたけれど今度はそうではないですし」
「確かに距離はあります。ですが」
またルリが言う。
「お任せ下さい」
「よし、わかった」
グローバルがそれに頷いた。
「ではそれで行こう。帰りも頼むぞ」
「はい。では明日」
ルリは言う。
「火星に向けてボゾンジャンプを行います」
「期待していて下さい」
こうして火星にボゾンジャンプを行うことになった。次の相手は火星の後継者となったのであった。
「よし、火星だ!」
ダイゴウジはナデシコの中で怪気炎をあげていた。
「今度も燃えるぞ!」
「旦那はいつもだよな」
いつも通りリョーコがそれに突っ込みを入れる。
「戦いの前は毎度毎度」
「悪いのか?」
「いや」
しかしリョーコはここで不敵に笑ってみせてきた。
「あたしも同じだからさ。燃えるのはね」
「そうだ。ではいいな」
「ああ」
ダイゴウジに応える。
「火星の後継者殲滅だ!」
「やるぜ!」
「何かいいテンションですよね」
ヒカルはそれを見てにこにこと笑っている。
「戦う前に」
「馬鹿っぽいけれどね」
サブロウタは軽く茶々を入れてきた。しかし彼も中にいる。
「まあそれがいいんだけれどな」
「そうだな。そういえばだ」
「どうしたんですか?」
ナガレにジュンが問う。
「ティターンズも木星の全ての戦力をゼダンの門に移動させてきているらしい」
「やる気ってことですね」
「そうだ、いよいよな」
「その前に終わらせます」
ここでルリが言った。
「ネオ=ジオンとの戦いは。ですから」
「ですから?」
「火星からすぐにアクシズに向かうつもりです」
「ちょっと、それマジ!?」
エルはそれを聞いて驚きを隠せない。
「火星からすぐにアクシズって」
「火星で補給を受けてからです」
「それはわかるけれどさ」
イーノはそれを聞いてもまだ驚いたままだ。
「えらく強行軍だよね」
「時間がないってことだよね」
モンドが言う。
「それってやっぱり」
「そうです。ティターンズの勢力はかなりのものです」
ルリは彼等に答える。
「ですから」
「先にネオ=ジオンを叩いて敵を減らすってわけだな」
ビーチャはそれを聞いて述べる。
「そうだろ?」
「その通りです。ティターンズは今は大人しいですが」
「何時までも大人しくしてる奴等じゃないしな」
「その通りだ」
ジュドーにカミーユが答える。
「あいつ等は許しておいてはいけない。絶対に倒さないと」
「駄目だよな。まあネオ=ジオンもそうだけれどな」
ジュドーはまた述べる。
「やばいっていうのなら」
「ハマーンがね」
プルが言う。
「危ないんだ」
続いてプルツーも。
「ハマーン=カーン」
クワトロは彼等の話を聞いて一人呟く。
「業からは逃れられはできない運命なのか」
「あいつもいちゃいけないんだ」
カミーユはハマーンについて言う。
「何があっても」
「そうよね」
ルーがカミーユのその言葉に頷く。
「あの人がいる限りネオ=ジオンはね」
「それはどうかしら」
しかしマーベットがそれに異を唱える。
「彼女だけじゃないと思うわ」
「馬鹿な」
しかしカミーユはそれを否定しようとする。
「あの女がいるから戦いは」
「だからそれはどうかって言ってるのよ」
マーベットはまた言う。
「ハマーン=カーンだって一人の人間よ」
「そうね」
その言葉にジュンコが頷く。
「同じ人間なのよね。ハマーンにしろ」
「ええ」
「彼女だけのせいじゃないかもね。ネオ=ジオンは」
「そんなことは」
カミーユはマーベットとジュンコの言葉を否定しようとする。しかし横からフォウが言ってきた。
「カミーユ」
「フォウ」
「少し落ち着いて考えてみるといいわ」
「どういうことなんだ?」
「ネオ=ジオンには何があるか。そしてあのハマーンが何に縛られているか」
「ハマーンが」
「ええ。私がサイコガンダムに縛られていたみたいにね」
彼女は言う。
「彼女も。何かに縛られているのかも」
「じゃあ一体何に」
「業だ」
クワトロがまた言ってきた。
「ザビ家の業だ。ハマーンはその中にいる」
「クワトロ大尉」
「かつてシャア=アズナブルという男がいた」
彼は語る。
「己の業により復讐を果たそうとしていた。だがそれを新たな思想により逃れ」
それがニュータイプの思想であった。
「さらに多くを知りその業を取り払った。彼がそうできたのだから」
「ハマーンもまた」
「できるのではないかな」
彼はカミーユに言う。
「若しかしたらな」
「そういえば」
ジュドーがここで気付いた。
「あの人からは何か複雑なものを感じるんだ」
「複雑なものですか!?」
それにウッソが問う。
「それは一体」
彼はハマーンと直接対峙したわけではない。だから感じてはいなかった。
「何て言うかな。確かに悪いんだ」
ジュドーはそれに応えて言う。
「ドス黒い。けれど」
「けれど!?」
「悲しいんだ」
彼はそう述べる。
「必死に耐えているみたいな感じでな。無理をして」
「無理、か」
シーブックがその言葉に呟く。
「それも因果のせいなのか」
「そうね」
セシリーがシーブックの言葉に頷く。
「私はロナ家から解放されたけれどあの人はずっと」
「ずっとなのか」
「ええ。だから」
「若しかしたらよ」
ジュドーはここで述べる。
「ハマーンって悪い奴じゃねえのかもな」
「・・・・・・・・・」
クワトロはその言葉にあえて何も言わない。黙っている。
「どうかな」
「その通りだと思います」
リリーナがその言葉に答える。
「あの人は捻れているだけなのです」
「捻れているだけか」
「はい。ですからその捻れから解き放たれれば」
「変われるのかもな」
「ええ」
リリーナは答える。
「あの人もそれに気付いているのかも知れません」
「何かややこしいみたいだな」
ジュドーはまた言う。
「あの人も」
「その業を断ち切るのは」
クワトロはまた述べる。
「自分なのかそれとも」
「他の誰かってか」
「さてな。それは」
クワトロはあえてぼかす。
「まだわかりはしない」
「どちらにしろな」
ジュドーはまた言う。
「あの人ともそろそろ決着だよな」
「それは間違いないな」
アムロがそれに頷く。
「それだけはな」
「では皆さん」
ルリがここで述べる。
「明日、また一つの戦いが終わります」
「また一つか」
「はい。そうして一つずつ」
彼女はまた言う。
「戦いを終えていきましょう」
「よし」
「じゃあ気合入れて寝るか」
「ちょっと待てジュドー」
アポリーがそれに突っ込みを入れる。
「気合入れて寝るのか」
「ええ、まあ」
「それは違うんじゃないのか?」
ロベルトも言う。
「穏やかに寝るのならな」
「そうか?やっぱり気合入れて寝るよな」
それを聞いたジュドーは皆に問う。
「やっぱりよお」
「違いますね」
そこにルリの容赦のない突込みが入る。
「やっぱり穏やかに寝るべきです」
「何だ、じゃあ酒飲んで寝るのは何なんだ?」
「お兄ちゃん」
リィナがここで言う。
「未成年だからお酒は」
「そういやそうか」
今更といった感じの言葉であった。
「御前は駄目だぞ」
「私は飲んでないわよ」
そう兄に返す。
「お兄ちゃんじゃあるまいし」
「おっと、こりゃ一本取られたな」
ジュドーはおどけて妹に述べる。
「まあいいさ。じゃあ今日は早く寝て」
「火星でパーティーだ。やるぜ」
フォッカーが言う。
「殴り込みパーティーだ」
その言葉がトリとなった。彼等はボゾンジャンプ、それからの激しい戦いに備えて今は休む。火星の後継者達との戦いもいよいよ最後になろうとしていた。

第百四十五話完

2007・2・23  
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