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八条学園騒動記

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第二百五十六話 猫と駱駝とジャッカルとその六


「絶対にうんこしてるわよ」
「そこが犬と違うのよね」
「猫ちゃんは砂にうんこするから」
「それが習性みたいなものだから」
「そうでしょ?じゃあこの砂場かなり危険なんじゃ」
 エイミーは足下を見る。その砂場は。
 白い。白い砂の世界だ。だがそこにあるかも知れないものは。
「今のところはないわね」
「けれど何時出て来るかわからない」
「しかも踏んだら終わり」
「そうなのね」
 姉達も警戒している。明らかにだ。
「一個でも踏んだら終わりだから」
「気をつけていきましょう」
「そうしないといけないわね」
「猫もねえ」
 エイミーはあらためて難しい顔で言う。
「悪戯好きだから」
「悪戯をするのが猫なのよ」
 ジョーは猫に対する己の考えを断言して述べた。
「そして寝るのがね」
「そうよね。猫って寝るか悪戯するか」
「それか食べるかでしょ」
「その三つしか行動のない生き物なのね」
「だからよ」
 今もだ。その足下にだというのだ。
「うんこがあってもね」
「普通よね」
「そういうことよ。あとは」
 ジョーはさらにだ。生き物も話に出した。
「スカラベね」
「スカラベ?」
「フンコロガシよ」
 それだというのだ。
「スカラベは復活する生き物って考えられてたから」
「けれど。うんこを」
「そう、うんこよ」
 またしてもだ。うんこなのだった。
「うんこがあるからね」
「エジプト人ってうんこが好きだったのかしら」
「好きではなかったけれど、取り立てて」
 少なくともだ。スカトロやそうした趣味はないというのだ。スカトロ趣味はこの時代にも存在している。かなり変わった性的嗜好として。
「たまたまだけれどね」
「フンコロガシも猫も」
「猫が砂場にうんこをするのは修正だし」
「フンコロガシはそうした動物だから」
「特にうんこと縁がある訳じゃないのよ」
 そのだ。古代エジプト文明がだというのだ。
「むしろエジプト人は砂と水のお陰でかなり清潔だったわ」
「気候も乾燥してたから」
「そうした面では快適だったのよ」
 ジョーはエイミーに話すのだった。そうしてだ。
 そうした話をしてだ。四人は足下を警戒し続けながら先に進む。しかしだ。
 その目の前にだ。今度はジャッカル達が群で出て来たのだった。
 今度はだ。ベスが言うのだった。
「ああ、そういえばジャッカルも」
「そうよ」
 メグがベスに対して答える。
「エジプトでは重要な生き物だったから」
「あれよね。アヌビス神」
 この神の名前が出て来た。エジプト神話において死を司る神だ。冥界の支配者であるオシリス神の忠実な側近でもある神である。
「あの神様よね」
「そう。だからジャッカルもね」
「ここにいるのね」
「そういうことよ」
「ううん、これは怖いわね」
 ベスは目の前にいるジャッカル達の群を見ながら言った。 
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