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とある完全模写の物語

作者:廃音
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隠された真実

 
前書き
こんな小説をお気に入りしてくれている人が…!有難う御座います!

これは早めに修正を入れたほうがいいかもしれませんね。誤字脱字など報告してくれると助かります。小説についての感想もお待ちしております。 

 
「何でテメェらが此処にいやがる!まだ時間は残ってるだろう!?」

 とある古ぼけたアパートの一室から男の叫び声が聞こえる。それは最近聞いた声でもあり、今回の話では重要な立ち位置にいる少年の声だ。

 その少年はつい先日、神堂の攻撃により相当な深手を追っており、最後に気を失った後にこのアパートへとインデックスによって運ばれた。このアパートは少年が住んでいるアパートではなく、少年が通う高校の教師のアパートなのだが、その教師の話は割愛しておく。

「別に何をしに来たわけじゃない。只お前が何をするのか…気になってな」

 肝心の少年と対峙している男は当然神堂。そしてその後ろに控えるようにして立っている女性は火織。

「それで手立てはあるのか?」

「…ない訳じゃない」

 今だに神堂の事を警戒している少年だが、神堂の問いには素直に答える。

 少年自身、つい先日の戦闘で力の関係がはっきりしている事が分かっているので、下手に逆らわないようにしているのだ。それに此処で神堂を戦闘を始めてしまえば、少年の教師にも迷惑がかかり、何よりこの部屋で寝ているインデックスにも迷惑が掛かる。

 これは一時の休戦。少年は自分のなかでそう割り切り、神堂達と話を進める。

「ほう?」

 神堂は神堂で手立てがある、と言う言葉に期待を膨らませる。まさかこうも早く少年が何かしろの手立てを見つけるとは思っていなかったのだ。

 期待と現実は別。どれだけ神堂が信頼しようが、願おうが、現実とはそう甘くない。そう思っていたのだが、今回ばかしは運が向いてきているのかもしれない。

「聞かせてくれないか?」

「…ああ。つってもそんなに難しい話じゃない。どうもお前たちから聞いた話が引っ掛かるんだ。10万3000冊の魔道書がインデックスの脳の85%を占めてるって所が…。お前たちはこう言ったよな?インデックスの記憶は一年置きに消さないと死んでしまうって。だけど考えて欲しい。残りの15%の容量にはたったの一年分しか記憶出来ないものなのか?だったら普通の人間でも5,6歳で死んでしまうことになると俺は思うんだ。素人の考えだからあってるかどうかも分からないが、どうにも納得がいかねぇ…」

 脳医学に全く知識がない神堂と火織は少年の言葉を聞いてイマイチ理解が及ばなかったが、それでも少年が何を言いたいかぐらいは理解出来た。

 それと同時に神堂と火織の中に嫌な予感、と言うものが芽生え始める。

(こいつの言ってる事が正しければ…だが…いや、あいつなら有り得ない話じゃない…!!クソッ!!)

「おい!その手の話に詳しいやつはいないのか!?いるならば直ぐにでもそいつと連絡を取れ!!」

 突然様子が豹変した神堂の様子に少年は少しばかりたじろぐが、神堂の様子が可笑しい事に気付き、大人しく携帯電話を手に取り、何処かに電話をかけ始めた。

 電話は直ぐに通じたようで、少年は誰かと話しているようだ。

 少年が誰かと先程の話に付いて話している最中に神堂は火織の方に体を向ける。

「火織。ステイルを今すぐ呼んできて欲しい」

「…分かりました」

 火織は火織の方で何かを察しているようで、神堂の言葉に素直に従い、その場を後にした。

 一方、誰かと話している最中の少年だが、段々とその様子が可笑しくなってくる。

 神堂はその様子を落ち着かない心境で眺めながらも、通話が終わるのを大人しく待ち、通話が終わった所で少年に話しかけた。

「…どうなんだ?」

 神堂はそう問いかけるが、少年はすぐに答えようとしない。下をうつむき、何やら震えているのだ。

 どうしたんだ?と神堂は疑問に思い、少年に近寄り、肩を叩こうとしたが、その瞬間、少年は突然体を逸らし、笑い声を上げた。

「ハハハハハハ!やっぱりそうだ!やっぱりそうなんだ!…そりゃそうだよな。使い方次第で世界を捻じ曲げるなんて危険な10万3000冊が野放しにされる筈がないよなぁ…。おい、お前!ちょっと確認したい事があるからこっちに来てくれ!」

 あまりに突然の展開に神堂はなにがなんだが分からないが、今は少年の指示に従う事にする。

 通話が終わった携帯電話を自分のポケットに入れた少年はインデックスが寝ている布団のそばに腰を下ろし、インデックスの口を無造作に開いた。

 それを見た神堂は当然少年の行動を止めさせようと手を動かすが、その手を逆に少年に掴まれてしまった。

「あったぞ」

 何が?
 
 思わずそう返しそうになる神堂だが、どうにか思いとどまり、少年の視線の先にあるものに神堂も視線をゆっくりとずらしてゆく。

 そして、神堂の表情が大きく歪む。それは驚き、怒り、悲しみ、色んな感情が織り交ざったような複雑な表情だった。

(ローラ・スチュアート…!貴様は…!!)

 神堂の視界に映ったのはたった一文字のルーン。

 只それだけがインデックスの口内に刻まれていた。

 しかし、それは同時にインデックスの脳に何らかの細工がされていた事につながる。先程少年が言っていた一年分の記憶容量。そして神堂が今見ている魔術文字のルーン。これから考えられる事は一つ。

 ネセサリウス側がインデックスに細工を施していたのだ。反逆を起こさないように、何時でも監視出来るように、インデックスの首に首輪を付けていたのだ。そして神堂達はそれに利用された。騙され続けていたのだ。

 それを理解してしまった神堂は怒りに震える。

 だが、今は怒りに我を忘れてしまっていい時ではない。目の前にいるインデックスを救えるかもしれない場面なのだ。後はこのルーンさえどうにかしてしまえばインデックスの記憶を消さずに済むかもしれない。

 だが、その前に…。

「ありがとう」

 そう神堂は小さな声で少年に告げた。

 それを聞いた少年は目を丸く開き、驚くが、その後小さく笑いこう告げた。

「その言葉はまだ早いだろ。こっからが本番だ!」

 少年の言葉を聞き、神堂も小さく笑みを浮かべる。

 そして思う。この少年に掛けて良かったと。

 だが問題は少年の言うとおりここから。このルーンはインデックスの脳に直接作用しているのだから、下手に解除出来ない。残念ながら、魔術に関しては知識に疎い神堂なので、火織達が帰ってくるのを待たなければならない。

 だから神堂と少年は火織達を待った。

 自分の中で膨らむ期待と不安を感じながら。 
 

 
後書き
ちょっと強引だったかな…? 
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