限りなく○○○に近いサイト
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
次々に起こる許されざる出来事
その『お知らせに』には、おれがアドレスの流出事故を公にしたせいで、被害が拡大する恐れがあるため、アカウントを一時停止した、と書いてあった。
シンが、これまで何度もバッドノベルス運営に、アドレス流出事故の事実確認をして、誠実な対応をしてくれ、と頼んで来たことは、一言も書いていない。
何度もメールを送ったことも、そちらが対応してくれないのなら、おれが呼びかけるしか方法がない、と書いて送ったことにも触れていない。
何もかも、運営に都合の悪いことは伏せてある。
気分を害してしまうお知らせで……と、まるでおれが犯罪者のような扱われ方である。
――こういう人間なのだ、バッドノベルスの運営は。
おれは再び思い知らされ、その余りにも常識からかけ離れた対応に、不気味ささえ感じて、茫然とした。
だが、おれはそのサイトでの発言を封じられている。
相手が自分に都合のいいことだけ並べていても、何一つ言い返すことが出来ない身である。
これほど恐ろしいことがあるだろうか。
相手は、厚顔無恥にも、己の舞台で欠席裁判を演じているのだ。
相手が出廷できないのを承知で、おれを悪者にするために。
そして、その小説の名を借りたお知らせに、コメントが入った。
何も知らない人間がその文面を読めば、明らかにおれが悪者だ。
運営を応援するコメントだった。
だが、次に入ったコメントは違った。
「なぜそれが被害の拡大につながるのか」
「シンの意見も載せるべき」
明らかに、運営の対応に疑問を持つコメントだった。
やはり、アドレスの流出被害者に呼びかけて、そのせいでアカウント停止など、普通に考えればおかしいと判るだろう。
だが、そのコメントが入ってすぐに、コメント欄は運営の手で削除されてしまった……。
身震いが出るほどの、自分勝手な対応である。
しかも、その言い訳が、
「コメントを無効にするのを忘れておりました」
という、何とも白々しいものだったのだから……。
自分に好意的なコメント以外は、受けつけようとしないのだ。
そう考えれば、今まで何を問い合わせても、誰が問い合わせても、返信がほとんど返って来なかったことの説明もつく。
サイトを良い方向へ改善してもらおう、という意見さえ、クレームとして耳を塞ぎ、見て見ぬふりをして来たのではないだろうか。――そんな考えが、脳裏を過った。
だが、驚くことはそれだけではない。
バッドノベルス運営は、このお知らせの中で、
「アドレス流出被害者の中に、悪意を持つユーザーがいる」
と、公言したのだ。
自分のサイトを支えているユーザーを――しかも、自分が不注意からアドレスを流出させてしまったユーザーの中の一人を、あるいは複数を、悪意を持つユーザーである、と。
信じられないことである。
それだけではない。
恐ろしいことに、シンのことを名指しして、おれからのメールに「アカウントが戻らなければ法律に訴える」という内容が書いてあった、と全くの嘘を書き立てたのだ。
何度メールを読み返してみても、そんな言葉は何処にも一言も出て来ない。
おれ自身も書いた覚えはない。
何しろおれはずっと、話し合いによる解決を望んで来たのだから。
しかも、おれがメールの任意のユーザー名を、自分の好きにつけることが、さも悪いことであるかのように、書き立てている。
サイトの運営者として知り得たシンの情報を、シンの了承もなく、また裁判所の要請もなく、掲載しているのだ。
個人ではなく、サイトの運営者という立場にあるものが。
これは、許されることではない。
ページ上へ戻る