| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百三十話 淡路の戦い

                第百三十話 淡路の戦い
「そうか、順調か」
「はい」
ハマーンはイリアから報告を受けていた。彼女達は今アクシズの中にいる。
「戦力の回復もまた」
「ギニアス少将の戦死はあったがな」
「はい、ですがまだ主力部隊は健在です」
イリアはそう述べる。
「ですからまだ」
「そうであればよいがな」
ハマーンはそれを聞いてまずは満足した声を述べた。
「しかしだ」
だがここで言う。
「どうも最近不穏な空気があるな」
「不穏な空気とは」
「反乱だ」
その険のある目にさらに鋭い光が宿った。
「反乱!?」
「そうだ。何者かがミネバ様への反乱を企てている」
ハマーンはそう述べた。
「何者かがな」
「といいますと」
イリアもそれを受けて考える顔を見せてきた。
「デラーズ提督・・・・・・ではないですね」
「提督ではない」
ハマーンはそれは否定した。
「提督はザビ家、ひいてはミネバ様への忠誠は絶対だ。ガトーもまた」
「ですね」
言っただけだ。だからイリアはそれをすぐに引っ込めた。
「それでは火星の後継者達でしょうか」
「あの者達はそもそも問題外だ」
ハマーンは彼等も退けた。
「問題外ですか」
「互いに利用し合う関係に過ぎない。違うか」
「いえ」
その通りであった。便宜上同盟関係にあるだけだ。いずれは食い合うものと見なしているのは双方共にである。
「あの者達でもない」
「では一体」
「グレミーかも知れぬ」
「グレミー=トトですか」
「そうだ。近頃あの男の下に様々な者が集まっている」
ハマーンは言う。
「何か危険なものを感じずにはいられぬ。よいか」
そしてイリアに対して言う。
「あの男がミネバ様に対して何かをせんとするならば」
「その時は」
「滅ぼせ」
一言であった。
「よいな」
「わかりました。では」
「うむ。それでは私は言って来る」
「どちらにですか?」
「そのミネバ様のところにだ」
「左様ですか」
「そうだ。その間のことは頼むぞ」
「はい」
ハマーンはイリアの見送りを受けて部屋を後にした。そして一人ミネバの部屋にやって来た。
「おお、ハマーン」
ミネバはハマーンの顔を見て頬を崩してきた。
「今日ははじめてだな」
「申し訳ありません」
ミネバの言葉に頭を垂れる。
「ついつい参上が遅れました」
「いや、それはよい」
ミネバはハマーンの謝罪を退けた。
「私の為にしてくれているのだからな。よいのだ」
「有り難きお言葉」
「それでハマーン」
「はい」
二人はあらためて話に入った。
「今は暇か」
「どうされたのですか」
「うむ、久し振りにな」
ミネバは顔を崩して言ってきた。
「ハマーンの料理が食べたいのじゃ」
「私のですか」
「私の我儘だが。駄目か」
「いえ」
しかしハマーンはその言葉に顔を崩してきた。普段からは想像もできない程穏やかな笑みになっていた。
「それでしたらすぐにも」
「オムレツがよいな」
ミネバの好みは案外質素であった。
「いつものな。ケチャップを利かした」
「わかりました」
「それとシチューがいい。できたら二人で食べよう」
「そうですね。それでは」
「ハマーン」
ミネバはまたハマーンに声をかけてきた。
「ずっと側にいてくれるな」
無邪気な、子供らしい笑みをハマーンに向けてきた。
「私の側に。ずっと」
「無論です」
ハマーンの返事にも迷いはなかった。
「私はミネバ様の為にいるのですから」
「嬉しく思うぞ」
ミネバはそんなハマーンに対して言う。
「そなたが側にいてくれることを。私は父上も母上ももうおられぬ」
「ミネバ様・・・・・・」
「だが寂しくはない」
少し俯いたがまた言ってきた。
「ハマーンがいるからな。だからじゃ」
「側にですか」
「私はそなたが側にいてくれるとそれだけで嬉しいのじゃ」
「勿体なき御言葉」
ハマーンは思わず頭を垂れた。
「よいか、何があっても死んではならぬ」
「何があってもですか」
「そうじゃ、いつも一緒に」
それがミネバの本当の願いであった。ジオンの女王もその素顔は普通の少女であった。そしてハマーンもまた。業は持ってはいるが。だがその素顔はミネバ以外の誰も知りはしなかった。
ロンド=ベルは四国方面にいた。丁度ナデシコでうどんを食べていた。
「今度はうどんかよ」
ケーンがそのうどんをすすりながら言う。
「何か最近色々なもん食ってるよな」
「そうだな」
タップもズルズルとやっている。
「しかも見事な味だ」
イギリス人ながら味に五月蝿いライトも太鼓判を押す。
「ホウメイさんはやはり天才だな」
「そうだな」
「ううん」
だがミサトはうどんを前にして少し難しい顔をしていた。
「どうしたのかしら、葛城三佐」
「いえ、ちょっとね」
尋ねてきたクローディアに返す。
「何か。ビールも欲しくなって」
「おっ、いいねえ」
それを聞いたフォッカーが顔を崩す。
「やっぱりビールが欲しいよな」
「ちょっとロイ」
だがここでクローディアが注意してきた。
「もうすぐ出撃よ。それでお酒なんて」
「固いこと言うなんて野暮だぜ」
「そういう問題じゃないでしょ」
「全く。いつもながら心配性だな」
「いつも危ないことばかりしているからでしょ」
「やれやれだぜ」
フォッカーはクローディアの言葉に肩をすかしてきた。
「俺がそう簡単にやられると思っているのかよ」
「そう言っていつも危ないじゃない」
「危険が戦争の楽しみってやつさ」
フォッカーは笑ってこう言う。
「特にスカル小隊はな」
「よくそれで今まで生きているわね」
「俺には死神がスポンサーについてるのさ。それに」
「それに?」
「勝利の女神もいるしな。黒い肌のな」
「じゃあその勝利の女神の言葉も聞くのね」
クローディアも負けてはいない。
「いいわね」
「へいへい。手厳しいね」
「それにミケーネもそろそろ総力戦だから」
クローディアは真剣な顔でそう述べた。
「真面目にやってきてるってことか」
「福岡でもそうだったでしょ」
ここで先の福岡での上陸作戦について述べてきた。
「ドラゴノザウルスやギルギルカンを出してきた」
「ああ」
答えるフォッカーの顔が引き締まる。
「そうだな、確かに」
「おまけに数もね。これまで以上よ」
「そうね」
それにミサトが頷く。
「あれだけの数を出してきているってことは。今回は本気よ」
「そういうことよ。だから」
「今度の淡路の戦いも激しいものになりますね」
クローディアに続いてマックスが述べた。
「作戦としてはね」
「はい」
クローディアは作戦について言及してきた。
「今回は緒戦で流れを完全に掴むわ」
「緒戦でですか」
「そうよ、まずはバルキリーでね」
そして言う。
「全機で反応弾とありったけのミサイルを撃ち込むわ」
「いきなりそれですか」
「そう、それで敵の数をできるだけ減らす」
「それから突撃だな」
フォッカーは言った。
「バルキリーの機動力を利用して」
「できるかしら、それで」
「楽勝だ」
フォッカーは躊躇わずにそう述べた。
「任せておけ。どれだけの敵がいてもな」
「じゃあ任せたわ」
「ああ。じゃあもうすぐだな」
「ええ」
戦いの時は近付いていた。
「淡路を抑えたら西日本での戦いは終わりよ」
「よし、じゃあ行くぜ」
フォッカーだけでなく全ての者が今立ち上がった。
「今回の作戦を命名します」
未沙が言った。
「今回の作戦名はミュラー」
「ミュラーか」
「はい」
ナポレオン配下の騎兵司令官である。美男子で軍人としては勇猛果敢な猛将であった。
「それではミュラー作戦発動用意」
ミサトも言う。
「作戦開始を三時間後とします」
「了解!」
皆それに頷く。こうして淡路での戦いが幕を開けようとしていた。
ロンド=ベルはそのまま淡路に来た。まだミケーネ軍は彼等に気付いてはいない。
「おかしいな」
それを見て輝が呟いた。
「どうしてまだ気付いていないんだ?」
「多分我々が大阪方面か瀬戸内方面から来ると思っているんでしょうね」
霧生がそれに答える。
「成程だからか」
「はい、どうやら」
「だったら好都合だな」
ダッカーはそれを聞いて笑った。
「一気に仕掛けられる」
「そうだな」
柿崎がそれに頷く。
「よし、まずは予定通りだ」
金竜が言う。
「反応弾とミサイルをありったけ敵の中に撃ち込む。それからは」
「機動戦ってわけですね」
「そうだ、いいな」
シルビーにこう返す。
「それで行くぞ」
「了解」
「もうスタンバイできてますよ」
ヒビキとネックスが答える。
「よし、じゃあ全員行くぞ」
フォッカーがバルキリー隊全機に声をかけた。
「派手に暴れるぜ!ゴーーーーーッ!」
まずはフォッカーのバルキリーが出た。それに皆続く。ミケーネ軍はまだ彼等に気付いてはいなかった。
「よし!」
ミスティが敵をロックオンした。
「今よ!」
そして反応弾を放つ。大型ミサイルがバルキリーの翼から放たれる。それは敵の真っ只中で派手に爆発しミケーネの戦闘獣達を粉砕していく。
「何っ!?」
「後ろからだと!?」
ミケーネ軍の指揮を執っているあしゅら男爵とブロッケン伯爵はその爆発を見て驚きの声をあげた。
「どういうことだ」
「一体何故」
「それっ!」
だがそう言っている間にもロンド=ベルの攻撃は続く。レトラーデは反応弾を放った後でミサイルを次々と放つ。無数のミサイルが煙を立てながら複雑なそれぞれの動きを見せてミケーネの戦闘獣を撃墜していく。
「お次は俺だぜ!」
「イサム、無茶はするなよ!」
「ヘン、ここが無茶のしどころだぜ!」
イサムはガルドと共に突進していた。突進しながらガウォークに変形させる。ガルドも同じであった。
「うおおおおおおおおっ!」
「フンッ!」
ピンポイントバリアパンチを前にいるミケーネ軍に叩き付ける。その顔を潰し忽ちのうちに粉砕してしまった。
「よし、次はこれだ!」
フォッカーはバトロイドに変形するとガンポッドを手にしてきていた。
「おらおら!まだまだ攻撃は続くぜ!」
周りにいる戦闘獣を手当たり次第に撃ち潰していく。まずは緒戦の殴り込みは大成功であった。
それで勢いを得たロンド=ベルは次々に攻撃にかかる。四国方面から雪崩の如き攻撃を仕掛けてきていた。
そこには当然マジンガーチームもいる。三機のマジンガーは一糸乱れぬ動きで敵の中に突入していた。
「おのれ兜甲児!」
「またしても貴様か!」
「やっぱりいやがったかおめえ等!」
甲児はあしゅら男爵とブロッケン伯爵に応えてきた。
「ここが会ったが百年目!引導を渡してやるぜ!」
「おのれ!」
「それはこちらの台詞だ!」
「何かさあ」
そんな彼等のやり取りを見てミリアリアが呟いた。
「あの人達前も同じこと言ってなかった?」
「そういえばそうよね」
メイリンがそれに頷く。
「気のせいかしら」
「気のせいじゃないわよ」
それにシモーヌが言ってきた。
「そうなんですか」
「やっぱり」
「会えばいつもあのやり取りだから」
「ワンパターンなんですね」
「それが醍醐味なのよ」
「はあ」
「彼等はあれでいいの。むしろ違うことを言う方が恐いわね」
「そうだね」
それにベッキーが頷く。
「甲児はワンパターンでないとね。面白くないね」
「言われてみれば」
「何かそっちの方がしっくりと」
「まあロンド=ベルにはそうした面々が多いけれどね」
「例えば」
ここでドクーガ艦を見る。
「ええい、叩き潰してしまえ!」
「頭に来るぞ!トランキライザーだ!」
「急襲を仕掛け勝利を掴むその戦術。まさに」
例の三人がいつもの調子で騒いでいた。
「美しい・・・・・・」
「ほらね、面白いだろ」
「そうですね」
「いつも通りなのに」
姉妹はベッキーの言葉に頷いていた。
「そういうものさ。マンネリだってね」
「そういえばあの二人も」
「あっ」
メイリンはルナマリアの言葉にはっとした。
「そうだった」
「まあいつも懲りずにやるわよ」
「全く」
シンとカガリのことである。二人の仲は相変わらずだ。
「喧嘩する程仲がいいのよ」
シモーヌは右でウィンクして二人に言う。
「そういうものよ」
「言われてみれば」
「あの二人頭の中身は同じレベルのような」
「あっ、いいところに気付いたね」
そこにユウナも入って来た。
「ユウナさん」
「僕もそう思っていたんだ。カガリとシン君はかなり似ているんだよね。何もかもが」
「そうですよね」
「あの短絡なところといい」
「うんうん」
「・・・・・・ユウナ、後で覚えてろよ」
その会話を聞いていたカガリがポツリと呟いた。
「殺してやる」
「カガリは可愛いんだよ」
ここでヒメも入って来た。
「素直じゃないから。そうやって」
「それってどういうこと?」
「よくわからないけれど」
ルナマリアとメイリンには彼女の言っていることがよく掴めなかった。
「そのままだよ」
だがヒメはまた言う。
「そのままって」
「ちょっと」
「だからカガリは可愛い女の子なんだよ」
またしても繰り返す。
「だからそうやって喧嘩するんだよ」
「そうなの」
「そうだよ、可愛い性格だから素直になれなくてシンとも喧嘩するんだよ」
「ううん」
「まあ素直じゃないのかよ」
「な、何を言っているんだあいつ」
カガリはそれを聞いてかなり動揺していた。
「私が可愛いだの素直じゃないだの」
「言われてみればそうだね」
「むっ」
ユウナが反応を示したのを見て動きを静かにさせた。
「カガリってのは素直だけれど妙に素直じゃない部分があるね」
「そういうことだよ」
それこそがヒメの言いたいことであった。笑顔になる。
「だからシンといつも喧嘩するんだ」
「そういえばシンとだけよね、喧嘩するの」
「そうね」
ミリアリアとメイリンはそれを聞いて頷く。
「しょっちゅうなのはね」
「やっぱりそれってさあ」
「おい、待て」
本人も遂に参戦してきた。4
「私はそもそもだな」
「あら、御本人が」
「これはまた」
「ねえカガリ」
ヒメはカガリに声をかけてきた。
「カガリはシンのこと好きだよね」
「なっ・・・・・・」
いきなり言われて何故か顔を赤くさせる。
「だからだよね、喧嘩するの」
「馬鹿言え、私は」
「そういえばカガリってキスもまだだったっけ」
「あれ、意外と純情なんだ」
その後ろにいる形でミリアリアとメイリンがヒソヒソと話をしていた。
「こらっ」
カガリはそんな二人を叱る。
「私は確かにそうした経験はないが」
「まああたしもだけれどね」
「あたしも」
実は二人もそうであった。
「ミリアリアはどうだかわからないけれど」
「ちょっと待ちなさいよ」
そのミリアリアも参戦してきた。
「私は胸までいったわよ」
「そうなの」
「そうよ、この前・・・・・・あっ」
ここでやっと今の状況に気付いた。
「い、いえそれはね」
「今戦闘中なのよね」
「つまり部隊中に」
「し、しまった・・・・・・」
ミリアリアは急にあたふたしだした。
「それはそれで・・・・・・ああしまった」
しまったしまったと連呼している。操縦席ではトールが困った顔をしている。
「まあ最後まではいってないっと」
「何か五十歩百歩って感じね」
「うう・・・・・・」
ミリアリアとメイリンの言葉にも反撃出来なくなっていた。
「それでカガリ」
ヒメはその間にもカガリに言う。
「シンのこと嫌い?」
「時々本気で海に放り込みたくなる」
これは本音である。
「むかつくなんてものじゃない。しかしな」
「しかし?」
「何か悪い気はしないな。喧嘩はするが」
「そうなの」
「ああ、今度やる時はギッタンギッタンにしてやる」
何処か強敵を見る目になっていた。
「足腰立たないまでにな」
「こっちもそのつもりだ」
シンの方も言い返してきた。
「覚悟してろよ」
「それはこっちの台詞だ」
両方共負けてはいない。
「見てろよ」
「次はないからな」
「やっぱり仲いいんだ」
「まあ喧嘩する程ってやつね」
「少なくとも男と女じゃないと」
ヒメに続いてミリアリアとメイリンが呟いた。
「まあシンとカガリじゃね」
「そうなるか」
「二人共子供だし」
「うんうん」
「全く好き勝手言ってくれるな」
「こんなのと一緒にされるなんてな」
カガリとシンはそれを聞いて顔を顰めていた。
「しかしまあ」
カガリはそのうえで言った。
「何かこれでも最悪の状況じゃない気はする」
「俺もだ」
ここでも二人は妙にシンクロしていた。
「何故だ?私は時々妙な記憶が出るんだ。ユウナがグフの下敷きになっていたり」
「アズラエルさんが訳のわからない黒幕になっていたり」
「随分無茶苦茶に扱われてるね、僕も」
「僕はまあそう思われても仕方ないですね」
ユウナは眉を顰めさせてアズラエルは何処か達観していた。
「まあ気のせいだな」
「そうだな。もっと嫌な記憶もある気がするが」
「シン君、それは考えない方がいいね」
「万丈さん」
「考えない方がいいことだってあるさ。そういうことだ」
「そうなのか」
「実は俺もそうだ」
トッドが名乗り出てきた。
「何か嫌な記憶があることはある」
「トッドさんも」
「俺もだぜ」
ギュネイもであった。
「道を誤ったら死んじまうようなのだ」
「そうだよな。どうしてだろうな」
「まあ考えないことだね」
ユウナがここで言った。
「あまり考えてもよさそうじゃないし」
「そういうことだよね」
何故かフィジカも出て来た。
「ほらさ、やっぱり」
「生きていることにこしたことはないってわけだ」
グン=ジェムも言う。
「あまり考えるな」
「ううん、しかしな」
「ああ」
シンとカガリの記憶はまた別であった。
「何か勝手に除け者になっていたような」
「そんな記憶なんだが」
「僕は関係ないよ」
どういうわけかキラが慌てて言ってきた。
「何かわからないけれど」
「何でそこで御前が言うんだ?」
「別に御前のことは言っていないぞ」
「あっ、そうだったの」
二人に言われてキラはすぐに引っ込んだ。
「そうだよね。けれどどうしてだろう」
「気にしたらいけないってことじゃないの?」
ミオが言ってきた。
「色々あるものだし、人間なんて」
「そういえば御前は」
「何かギュネイと」
「ギュネイちゃんはいい子だよ」
ミオはカガリとシンに返した。
「息が合うしね」
「そうだな」
ギュネイの方もそれは認めた。
「何でかわからないが」
「まあ実は私も」
タリアも言ってきた。
「どういうわけかアムロ中佐が気になるわね」
「ははは、どうしてかな」
アムロは別に困るわけでもなく気さくにそれに返した。
「俺もだ」
「そうなのよね。不思議ね」
「私も実はね」
「あたしもだよ」
レミーとカレンもそうであった。
「不思議不思議」
「そういえばこの三人声が」
「それは言うな」
シンにカガリが突っ込みを入れる。
「えらいことになるぞ」
「そうか」
「そうだ。何か私に声が似ている奴はここにはいないがな」
「あたしはクスハに声似てるわね」
「あっ、そうね」
メイリンが言ったところでクスハが反応してきた。
「何かメイリンちゃんって他人の気がしないのよね」
「そうそう」
二人は意外と気が合うようであった。
「何かとね」
「うんうん」
「ちぇっ、何か羨ましいぜ」
「全くだ」
シンとカガリはそんな二人を見て苦い顔をしていた。
「声ばかりはどうしようもないからな」
「全く。他にいたらいいんだがな」
「そんなこと言ってもはじまらないわよ」
そこにアスカが突っ込みを入れた。
「あたしだって一人なのよ。贅沢言わない」
「それもそうか」
「バカシンジやアホトウジだってシンクロしてる人がいるのに。全く」
「まあそう言わない」
窘めるミサトは何故か余裕を見せていた。
「さあ、それはともかく」
「戦闘ね」
「そういうこと。アスカはそのまま突撃」
「やってやるわよ!」
「カガリちゃんは中距離から射撃ね。シン君はアスカと同じ」
「私も突撃したいぞ!」
「ストライクルージュじゃ辛いわ。我慢して」
「ちぇっ、仕方ないか」
「カガリ様、そうでもないですよ」
「ほら、敵が」
「よりどりみどり」
「・・・・・・ううむ」
オーブ三人娘に言われて前を見てみるとその通りだった。敵が雲霞の如くであった。
「考えている時間はなさそうだな」
「そういうことです。それじゃあ」
「よし、撃って撃って撃ちまくってやる!」
カガリは乗ってきた。
「行くぞ!」
「了解!」
「わかりましたカガリ様!」
三人は流石にカガリの扱いは心得ていた。そのまま乗せて戦場に向かうのであった。
シンはもう突撃していた。ミケーネ軍の攻撃を巧みにかわす。
「遅いんだよ!」
デスティニーが複数に見える。ミラージュコロイドであった。
分身しているように見せて敵の目を紛らわせながら突き進む。その背に今翼が生えた。
「うおおおおおおおーーーーーーーーっ!」
手の平からのビームで戦闘獣達を次々と薙ぎ倒していく。やはり圧倒的なまでの戦闘力であった。
「邪魔だ!どいつもこいつも粉砕してやる!」
その目が真っ赤になっている。完全に覚醒していた。
「どけ!どけ!」
「やっぱり凄いわね」
タリアはそんな彼の戦いを見て言う。
「頼りになるわ」
「そうですね。最近あれで普段は丸くなってきましたし」
「環境が彼にとっていいのかしらね」
アーサーにそう返す。
「だとしたらロンド=ベルに入ったことは彼にとってよかったわね」
「そうですね。何かと」
「ええ」
彼らの他にも当然ながら皆果敢に戦っていた。その中でもやはり三機のマジンガーの力は圧倒的であった。
その拳と力でミケーネの戦闘獣をなぎ払っていく。それはシンすらも凌駕していた。
「おのれ、また貴様等か!」
「いつもいつも我等の邪魔をするのか!」
「だからワンパターンだって言ってるでしょ!」
それにさやかが言い返す。
「たまには違うこと言いなさいよ!」
「ええい、黙れ!」
「なあ、若しかしてよ」
あしゅら男爵の言葉を聞いてディアッカが言う。
「あしゅら男爵ってボキャブラリー少ないんじゃねえのか?」
「そういえばそうですね」
それにニコルが頷く。
「同じパターンで同じ発言ばかりのような気が」
「つまりあれか」
それを聞いてミゲルが言う。
「馬鹿なのか」
「いや、そこまではっきり言うのはよ」
「幾ら何でも」
「五月蝿いわ!」
あしゅら男爵は彼等に対しても怒鳴る。
「わしを愚弄するというのか!」
「いや、そもそもよ」
「そんな姿で言われると」
「何っ」
ディアッカとニコルの言葉に身構える。
「迫力あり過ぎてよ」
「よくこんな改造考えつきましたよね」
「ハハハハハハハハ!これこそ偉大なるドクターヘルの技術よ!」
あしゅら男爵は彼等の言葉に誇らしげに笑う。
「それが今こうして身を結んでいるのだ!どうだ!」
「ううん」
「確かに凄い発想ですよね」
「普通は思いつかねえよなあ」
ディアッカとにニコルはさらに言う。
「こんな改造って」
「ブロッケン伯爵だって」
「俺最初見た時我が目を疑ったんだけれどよ」
ディアッカはブロッケン伯爵に対しても述べる。
「首抱えてな」
「僕もですよ」
「俺もだ」
ミゲルも言う。
「あんな改造はな。とても」
「普通首くっつけますよね」
「あれはないだろう」
「フフフフフフ、小僧共見所があるな」
ブロッケン伯爵は彼等の話を聞いて得意になっている。
「わしの恐ろしさ、わかったか」
「まあ一回見たら絶対に忘れないよな」
「全くです」
「フフフ、聞いたか牧場ひかるよ」
「私!?」
「そうだ、特別に貴様に聞かせてやろう」
「けれど頭の中はあれだよな」
「そこを改造するべきだったんじゃないですかね」
「五月蝿い!黙っておれ!」
今度は叱ってきた。
「わしを馬鹿だと言うつもりか!」
「耳は改造されてるのかよ」
「厄介ですね、何か」
「全く、黙っていればつけあがりおって」
ブロッケン伯爵は彼等の言葉に怒り心頭であった。
「とにかくここは通さぬぞ!」
「ずっとそればっかり言ってるじゃない!」
マリアがそれに反論する。
「だからワンパターンって言われるのよ!」
「黙れ!ここで決着をつけてくれるわ!」
「この台詞も何回目だよ」
「ロンド=ベルに入ってまだ短いですけれど何回も聞いた気分ですね」
「全くだぜ」
ディアッカとニコルはまた囁き合う。
「このグールの前に散るがいい!」
「ブードの恐ろしさ、思い知れ!」
そう言って攻撃を仕掛けてきた。だが皆それを前にしても恐れてはいなかった。
「甲児君」
さやかは甲児に声をかけてきた。
「今度は任せて」
「さやかさん、やれるのか」
「ええ。マリア」
「わかってるわ」
空にはマリアのドリルスペイザーがいた。彼女と動きを合わせる。
「あしゅら男爵、覚悟しなさい!」
「これで決着をつけてあげるわよ!」
そしてグールには。ジュンとひかるが向かっていた。
「ジュン、いい?」
「ええ、ひかるさん」
ジュンはひかるの言葉に頷く。
「いいわ、何時でも」
「そう。じゃあ仕掛けるわ」
「ええ」
二人も動きを合わせる。ひかるは上から、ジュンは下から仕掛ける。
「行くわよ!」
「これで!」
さやかとマリアもまた。彼女達は今動きを一つにさせていた。
さやかはダイアナンミサイルを、マリアはスペイザーのドリルで攻撃を仕掛ける。
ジュンは光子力ビーム、そしてひかるはミサイルだった。彼女達もそれで攻撃する。
一撃一撃は大したことはない。しかし今彼女達の息は完全に合っていた。
「これで!」
「終わりよ!」
攻撃を浴びせた。それはブード、グールそれぞれの急所を完璧に貫いていた。
「ぬうう!」
「おのれ!」
「勝負あったわね!」
さやかが彼等に言った。
「これでもう終わりでしょう!」
「あたし達の勝利よ!」
「う、うぬう・・・・・・」
マリアの言葉の通りであった。最早彼等のマシンは動かない。あちこちから火の手があがる。
「よくも我々を」
「だが覚えておれ」
彼等は燃え盛る司令室の中で言っていた。
「我等の仇はドクターヘルが取って下さる」
「地獄でそれを見届けるとしよう」
「ドクターヘルが」
「そうだ!」
彼等は口を揃えた。
「だからこそ我等は安心して地獄へ行ける」
「ドクターヘル、お許し下さい。ですが」
ブロッケン伯爵もあしゅら男爵も不敵に笑っていた。
「地獄で見ております」
「貴方の御活躍を」
そのまま炎に包まれる。断末魔の言葉は二人共同じであった。
「ドクターヘル万歳!」
そう叫んで爆発の中に消えた。後には何も残らなかった。
「これで最後かよ」
「そうだ」
甲児に鉄也が答えた。
「彼等のな」
「長いようで短かったな」
甲児は珍しく感慨に耽っていた。
「あいつ等との戦いは」
「そうだな。だが甲児君」
今度は大介が声をかけてきた。
「今は感慨に耽っている時ではないぞ」
「ああ、わかってるさ」
甲児もそれに応えて感慨から戻った。
「次の戦いだよな」
「そうだ。おそらく次は」
「こら!」
早速三輪から通信が入って来た。間髪入れずであった。
「うわ、本当にすぐね」
「何か見ていたんじゃないかな」
メイリンとアーサーは三輪の登場に露骨に嫌な顔を見せていた。
「さっきから呼び出しておるのに何故出て来ん!」
「申し訳わりません」
大文字がそれに応える。
「やっぱり大文字博士ってできてるわよね」
「そうよね。あたしだったらさっきので切れてるわよ」
ルナマリアとメイリンが彼等のやり取りを見て囁き合う。
「いきなりこら、じゃあねえ」
「全くよ。シンやカガリの気持ちもわかるわ」
「何をしておったか!」
「戦闘中でした」
「言い訳はよい!」
殆ど話になっていない。三輪の言うことは相変わらず滅茶苦茶であった。
「すぐに静岡に向かえ!」
「静岡にですか」
「そうだ!いいな!」
「静岡っていうと」
「甲児君や勝平君の地元よね」
「ああ」
「何か久し振りだな」
二人はそうルナマリアとメイリンに返した。
「戻れるけれど嬉しい?」
「いや」
勝平はメイリンにそう返した。
「あのおっさんに言われるとな」
「かえってムカッ腹が立つぜ」
「やっぱりね」
「あたしでもそうなるわね」
ルナマリアも言う。
「わかったな!以上!」
三輪はそこまで言うと勝手にモニターを切った。そして話を一方的に終わらせるのであった。
大文字はそれを受けて大塚長官に通信を入れた。彼はすぐに出て来た。
「では長官、そういうことで」
「わかった」
彼は快くそれに応えてきた。
「それではな。健闘を祈る」
「有り難うございます。それでは」
「うむ」
後のことを任せて静岡に向かう。休んでいる暇はなかった。
「連戦になりますね」
「ああ」
ブライトはトーレスに応えていた。
「持ちそうか?」
「何とか」
「ダメージはありますけれどね」
サエグサも答える。
「戦闘に支障はないかと」
「そうか。ならいい」
「ですがブライト艦長」
ここでマリューが通信を入れてきた。
「補給はどうしますか。このままですよ」
「一旦光子力研究所に向かう」
ブライトはマリューにそう返した。
「そこですぐに補給を受け」
「それからですか」
「そうだ。その程度の時間はあるだろう」
「わかりました。しかし」
マリューは難しい顔をしていた。
「あの長官は」
「ラミアス艦長」
ブライトはそんな彼女に対して言った。
「それ以上の言葉はな。止めておこう」
「わかりました」
マリューはそれに頷いた。そしてそのまま静岡に向かうのであった。
「さてと、だ」
トッドはゴラオンの格納庫にいた。そこで仲間達と話をしていた。
「何かあちこちを盥回しにされてるな、どうも」
「そうよね」
キーンがそれに頷く。
「あの長官本当に人使い荒いよね」
「全くだ」
ニーもそれに同意であった。
「それが俺達の宿命と言ってしまえばそれまでだがな」
「何かすっごい腹立つのよね」
チャムが思いきりむくれた顔になっていた。
「いつもいつもあの態度でさ。何様なのよ」
「あれだろ?連邦軍でも相当もてあましてるらしいな」
「ああ」
トッドにショウが応えた。
「そうらしいな。ミサトさんが言っていた」
「だろうな。しかしよくあんなのを重職に置いてるぜ」
「もっとまともな人材がいるでしょうにね」
マーベルがそう言って首を傾げさせる。
「連邦軍もわからないわね」
「何でも気がついたらなっていたらしいな」
ショウがまた応えた。
「気がついたらって」
キーンがそれを聞いて目を顰めさせる。
「それであんなのがトップに」
「洒落になっていないぞ」
ニーも言う。
「あんなのを司令官にするのは」
「アラスカじゃ私達ごと敵を潰そうとしていたわよね」
「ああ」
トッドはリムルのその言葉に苦い顔を見せてきた。
「サイクロプスだったな。何考えていやがるんだ」
「それがあの長官なんでしょうね。それがどうしたって居直ってるらしいわね」
「うわ」
キーンはマーベルの言葉にあらためて呆れた。
「そんなこと言う人なんて流石にバイストンウェルにもいなかったわよ」
「全くだ」
バーンもそれに頷く。
「あんな男ははじめて見た」
「あのおっさんを何とかしねえとな。これからも厄介なことになるぜ」
「皆困ってるしな」
ニーが言う。
「あれはどうしようもない」
「叩けば幾らでも埃出そうだよね」
「埃どころじゃないかもね」
マーベルはキーンにそう返した。
「捕虜虐待とか色々やってそうよ」
「ああ、それ絶対あるぜ」
トッドがそれに応えて言った。
「あのおっさん地球人以外への偏見すげえからな」
「地球人の中でもな。自分の敵には容赦しないな」
ショウはそう言葉を続けた。
「アズラエルさんですら辟易する位だからな」
「あの裏勇者さんも癖の強いお人だがな」
トッドはここでアズラエルを勇者と言った。
「あのおっさんは癖が強いとかそういうんじゃねえからな」
「そうね」
マーベルはトッドの言葉に応えた。
「どうにかならないかしらね、本当に」
「さてな」
トッドはまた苦い顔を見せてきた。
「このままずっとあのおっさんとも揉めたままだとトラブルの元だしな」
「何とかしたいわね」
そんな話を格納庫で話をしていた。彼等にもどうにもならない問題がそこにあった。
だがそれでも彼等は戦場に向かう。静岡は再び戦乱に覆われようとしていた。

第百三十話完

2006・12・13  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧