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カンピオーネになってしまった赤髪の少年の物語

作者:marcury
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赤のプロローグ

僕の名前はエリオ・モンディアル。
数年前にフェイト・T・ハラオウンという人物に保護され、戸籍上フェイトさんの子供ということになっている。
フェイトさんは優しくて美人で強い。
フェイトさんは僕を保護してくれるときに僕に優しく接してくれた。
そしてキャロという新しい家族も出来た。
キャロ・ル・ルシエは生まれたときから持っていたレアスキル『竜魂召喚』という能力のせいで生まれた村の人達から恐れられその村を追放された。
そして、そんなキャロをフェイトさんは僕と同じように引き取った。
やっぱりフェイトさんはとてもいい人だ。
だから僕はフェイトさんに恩返しをするべく、キャロを守るべく機動六課に入った。














はずなのに、


















「はぁい♪ ようこそ♪」












なんか目の前に可愛い女の人がいる!?(キャロには劣るが)




(おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい!!)




僕は六課の数少ない休日を使って一人でおいしいと噂のラーメン屋に来た。
そこでラーメンを食べた。うん、おいしかった。豚骨ラーメンすごくおいしかった。十杯食べた。
そして十一杯目を頼もうとしたときだ。
僕とほぼ同時に豚骨ラーメンを頼んだ人がいた。
僕の隣に座っていた人で見た目四十代くらいの結構かっこいい系の人だった。
その人も僕と同じで十一杯目を頼もうとしていた。
ほんのちょっとの差で僕の方が速くその豚骨ラーメンは僕の物になった。
隣の人はちょっといらっとしていたが、すぐさま表情を戻し店員に注文しようとした_________が、




『豚骨ラーメン、終了でーす』




その言葉を聞いて隣の人は絶望していた。
僕は内心『勝った』と思いつつ豚骨ラーメンが来るのを待っていた。
そして、注文した豚骨ラーメンが僕の所に来ようとしたその時だった。


止まった。


文字通り全てがだ。
時間が止まったのだ。
僕は突如起きた異変に戸惑っていたが、すぐに管理局員として原因を探った。
そして原因いや、犯人が見つかった。


僕の隣にいた人物が僕に渡される筈だった豚骨ラーメンを食べていたのだ。



その時、僕の中で何かが切れた。
時間が止まっただとか、原因を探って事の解決に急げだとかはどうでもよくなった。



そのあと何が起きたかは覚えていない。



気付いたときには男はひれ伏していて、僕エリオ・モンディアルが立っていた。



そして、豚骨ラーメンに手を伸ばそうとして意識を失った。









(うん、おかしい)
どう考えても繋がらない。
気絶して目が覚めたら何でこんな異空間みたいな所にいるんだよ。
僕は恐る恐る目の前にいる綺麗な女の人に話しかけた。



「あの、ここは一体.....?」






「ここは生と死の狭間の空間よ♪」






ますます分からなくなった。





「.....頭大丈夫ですか?」
「何か心配されちゃった!?」
いやいやいきなりそんなこと言われたら心配するしかないと思う。
目の前の可愛い女の人はortの体勢をとっていた。
顔を伏せていて見えないがきっと涙を流しているんだと思う。
「あの.....泣かないでください.....きっと良いことありますって」
「原因は君なのに励まされちゃった!?」
この人はきっと賑やかな人なんだなと思った。
というかこのままだと状況の把握が出来ないな。
「それで、もう一度聞きますがここがどこか教えてくれませんか?」
「だから~生と死の狭間の空間だって言ってるじゃな~い.....」
目の前の女の人の様子を見るとどうやら本当のことを言っているっぽい。
「それじゃあ、僕は何でその生と死の狭間の空間っていう所に居るんですか?」
あのラーメンのところからどうやってここに繋がったのかどう考えても分からない。
すると女の人は僕の考えていることを察したのか説明してくれる。
「ここはね、神を殺した者が来る場所なのよ」
「神を殺した?」
神ってあの神様のことなんだろう。
その神様を僕が殺したって一体.....
「君はあのラーメン屋さんで会ったはずよ」
神にね、そう言った。
「いや、神様がラーメン屋に居るわけないじゃないですか.....」
そうだったら神様に対しての僕のイメージがまる崩れだな。
「君の隣に座っていた人居たでしょ?」
「はい、居ましたけど.....」
忘れるわけがない、僕の豚骨ラーメンを横取りしたあの男を。
「その人が神よ」




「は?」




さすがにポカーンとしてしまった。
あの男、豚骨ラーメンを横取りしたあの男が神?
信じられるわけがない。
「その表情だと信じてない様子ね」
「当たり前でしょう!信じられるわけがないでしょ!」
神様がラーメン屋で豚骨ラーメンを食べているだなんて信じられない。
「神だってラーメンとか食べるのよ」
随分と神様は庶民的な味覚なんだ。
「いやだとしても、あの人が神様だって証拠が無いじゃないですか」
そう、証拠が無い。
「もしかして覚えてないの?」
「何をですか?」
「君はラーメンを巡って神と死闘を繰り広げて、勝ったのよ」




「は?」




本日二度目。
またもや僕は口をポカーンとさせていた。
「いや~まさか神に戦いで勝つとわね~。しかもその理由がラーメンを巡っての戦いだなんてね」
「ちょっと待ってください!おかしいですって!あの人が神様だったら僕が勝てるわけないじゃないですか!」
神様っていう位だ。
桁違いの強さに決まってる。
まだフェイトさんやシグナムさんからまだ一本もとれないのに神様に勝てるわけがない。
「でも、君は勝った」
女の人は先程とはうってかわって真面目な表情になる。
「神という存在はね、人間が強くなったとしても勝てないの。努力だとか才能だとかは神の前では意味を成さないの。神はそういうレベルじゃない、努力や才能では絶対に埋められない差があるの」
蟻が象にいくら頑張ったって勝てないのと同じこと、そう言った。
「でも、それならどうやって勝ったんですか?それこそ僕じゃ勝てないじゃないですか?」
この人の言っていることははっきり言って矛盾している。
そうだったら僕はどうやって神様に勝ったのか。
「運だとか思いだとかそういう力だと思うわね。人間は時々すごい力を発揮するからね」
「はあ................」
無理矢理納得させられたとしか言えない。
理屈じゃ勝てない存在、それが神らしい。
でもそれなら気になることがある。
「僕はどんな神様を殺したんですか?」
勝った相手のことは気になるだろう。
「彼の名前は『帝釈天』。または『インドラ』と呼ばれているわね」
「『帝釈天』?『インドラ』?」
名前的に地球の神様なのかな?
「あとは自分で調べてね」
「どうして?ここで教えてくれてもいいじゃないですか?」
「この場所から出るとここであった記憶は全部消えちゃうからね」
まあ、もう一回来たときに記憶はもとに戻るんだけどね、そう付け足した。
「君にはサービスで何個か記憶を維持させておくね」
女の人は片目を閉じてウインクする。
うん、可愛い。
キャロには劣るが。
「1つは君が神を殺したこと、もう1つは君が殺した神の名前。そして最後」
女の人はそう言うと一息つく。


「君が『カンピオーネ』になったこと」


「『カンピオーネ』?」
聞き慣れない単語を聞いて脳が疑問を感じた。
「地球のイタリアという国の言葉でチャンピオンという意味よ」
そう言うと女の人は一息ついてからこう言った。



「その者は覇者である」



「 ? 」
女の人は突然そう言った。
僕は意味が分からず首をかしげた。


「天上の神々を殺戮し、神を神たらしめる至高の力を奪い取るが故に」


その者は王者である。
神より簒奪した権能を振りかざし、地上の何人たりともからも支配されないが故に


その者は魔王である。
地上に生きる全ての人類がその者に抗えないが故に」


そして、女の人はこう言った。



「その者の名は『カンピオーネ』」



「.....覇者........ 王者..........魔王」



僕はその女の人の語りに圧倒されていた。
その3つの単語からその存在がどういう存在なのかまったく想像することが出来なかった。
「そう、『カンピオーネ』はその全てになれる存在なのよ」
女の人は僕の方を向き指を指しながら、


「それが、君よ。八人目の『カンピオーネ』」


僕はその言葉を聞き、動けなくなっていた。
(ぼ、僕が.....『カンピオーネ』.....?神を殺した?覇者、王者、魔王?)
心の中でそう考えながらも、僕は女の人に対して口を開いた。
「あの、それはつまり僕は神と並ぶ存在になっちゃったってことですか?」
「ええ、人間の中なら間違いなくこの世界最強ね」
女の人は軽い調子でそう言うが僕は思考が追い付かなくなっていた。
「それって、フェイトさんやシグナムさんよりも強いってことじゃ.....」
目の前の女の人に対してフェイトさん達の名前を出してもわかるはずがないのだか僕は自然と口に出してしまっていた。
「そのフェイトさんやシグナムさんって人達がどれくらい強いのかは知らないけど間違いなく瞬殺ね」
「しゅ、瞬殺ですか.....?」
女の人はバッサリと僕の発言を切り裂いた。
「だって君は『カンピオーネ』なのよ? 神を殺した者なのよ? そんな存在に人間程度が勝てるわけがないじゃない」
女の人はニコニコとそう言ったが、その表情がとても怖く思えてしまった。
すると、女の人は「あっ」と気付いたように僕にこう言った。
「『カンピオーネ』の能力の説明してあげなきゃね」
「『カンピオーネ』の能力?」
能力とは一体何なんだろう、僕は素直にそう疑問を感じた。
「『カンピオーネ』はね、殺した神の『権能』を使えることができるのよ」
「『権能』?」
「『権能』っていうのは神が持つ能力のことを言うのよ」
神の能力、それを聞いただけでとてつもない力を連想してしまった。
「君の場合は『帝釈天』の『権能』を使えるのよ」
権能のことは自分で調べてね、そう付け足した。
「更に『カンピオーネ』になるととてつもない身体能力と魔力、魔力耐性がプラスされるのよ」
先程の権能だけでもびっくりなのに更に能力があると言うのか。
「一つは破格の魔力量」
「破格の魔力量?」
「そっちの世界で言えばEXランクの魔力ね」
「..........」
ポカーンと口が開いてしまった。
「二つ目に魔力耐性。そっちの世界のどんな魔法攻撃を受けても無傷で済むくらいの耐性ね」
「..........」
更にポカーンとしてしまう僕。
「三つ目は身体能力。これはあれね、魔法を使わなくてもそっちの世界の魔導師くらいなら圧倒できるくらいの身体能力ね」
そして女の人は言った。


「様は世界を単独で滅ぼせるくらいの力を持っているってことね」


「..........」
もう、開いた口が塞がらなかった。
というか、
「どんだけチートなんですか!?」
思わず突っ込んでしまった。
「まあ、神様殺したくらいだからこれだけの力が手に入って当たり前なんだけどね」
女の人は普通のことだというように言う。
「というかそんな人があと七人も居るんですか?」
さっき女の人は言った。


____________八人目のカンピオーネ


僕も含めて世界に八人もそんな人が居たら管理局の立つ瀬がないというか..........
「まあ、みんな世界を滅ぼそうだなんて考えてないから大丈夫なんじゃないかしら」
というかみんながそんなことを考えたら八人で戦争が起きるわね、世界が消滅するって言う特典付きでね、そう付け足した。
「僕はそんな危険人物になってしまったんですか..........」
先程とはうってかわり僕がortの体勢をとってしまった。
「まあ、あんまり気にしない方が良いと思うわよ。他の『カンピオーネ』も気にせず普通に過ごしているし」
女の人はうつ向く僕をしゃがんで慰めてくれた。
ありがとうございます..........そうやって気遣ってくれて嬉しいです。
僕は内心でそう思っていると、ふと女の人は立ち上がる。
「さて、そろそろ時間ね」
時間?なんのことだ?
僕も立ち上がる。
「そろそろ君も元の世界に戻らないとみんなが心配してるころだしね」
「あっ」
たしかにそうだった。
僕は慌て出す。
「僕が来て何時間くらいたっていますか!?」
僕が店でラーメンを食べていたのは一時くらいだったはず。
一体何時間たっているのか、考えただけで寒気がした。
「大体六時間くらいね」
六時間......今.........七時.........門限六時...........死んだ。
「ど、どうしたの?顔が真っ青よ.....」
今の僕の顔は自身の真っ赤な髪色とは対照的な色だった。
「い、いえ..........気にしなくても大丈夫ですよ..........」
「そ、そう.....」
女の人はあまり納得してなさそうだったが退いてくれた。
「じゃあ、開けるわね」
女の人がそう言うと僕たちの居た場所に扉が現れた。
扉の中は光輝いていた。
「それじゃあ.....頑張ってね.....」
「はい......頑張ります.....」
僕は女の人にそう言って扉を開けようとする。
「あ、そうだ........」
僕はそう言えばしてないことに気付いた。
「あの、名前を聞かせてもらっていいですか?」
ここから出たら記憶が消えてしまうのだからあまり意味はなさそうに思えるが、もしまた、ここに来ることになったら記憶は戻るのだから意味はあるだろう。
「僕の名前はエリオ・モンディアルって言います。時空管理局所属の三等陸士です」
「そして、その肩書きに『カンピオーネ』も増えたのよね」
女の人は笑ってそう言った。
僕はそれに対し苦笑いをしていた。
「あなたの名前は?」
僕がそう言うと女の人は僕の背中をトンッと押した。
「うわっ」
僕はそのまま体勢を崩し、扉の中に吸い込まれる。
でも、ちゃんとその名前は聞けた。


「私の名前は『パンドラ』よ」


女の人、パンドラさんは笑顔でそう言った。
僕はその『パンドラ』という名前をしっかりと心に刻んだ。
確信は無いがきっと覚えている、そう思った。
僕は扉の中に吸い込まれ、光に包まれて意識を失った。























この物語は僅か十歳にして神を殺し、八人目の『カンピオーネ』になった一人の赤髪の少年の新たなる神話の物語である。








 
 

 
後書き
駄文ですがよろしくお願いします。 
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