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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第五十話 若手集会

闇慈たちがグレモリー家の本邸にやって来た翌日。闇慈と一誠はそれぞれの勉学に励んでいた。一誠は社交や悪魔の文字などをミリキャスと一緒にペンを走らせていた。
闇慈は見習い執事として熟練の執事たちから礼儀作法や紅茶の淹れ方など、執事の基本的なことを学んでいた。そして他の部員たちはリアスに連れられ、観光をやっているみたいだった。

「ふむ。君は中々、筋が良いな。礼儀作法もすぐに覚え、紅茶を淹れる際のポイントもすぐに習得してしまう」

「そんなことはありませんよ。唯僕は他人のために働き、そして笑顔を見せてもらいたい。それだけです」

「その心掛けは大したものだ。君は立派な執事になるぞ!」

「そのためにもご指導。よろしくお願いします!!」

「ふむ。では次のステップに進もう」

「はい!!」

そんなこんなで闇慈は執事の基礎を習得することが出来た。

~~~~~~~~~~~~

そしてリアスたちが観光から戻ってくるとすぐに魔王領に移動しなければならなかった。以前説明した新人悪魔の紹介らしい。
部員全員、駒王学園の制服に着替えると列車に乗り、魔王の領土を目指した。そして列車に揺られること3時間。列車は都市的な街に着いた。装飾などは人間界とは少し異なっていたが近代的で人間界と似通った文化を感じさせた。

「ここが冥界の首都なのかな?」

「ここは魔王領の都市の『ルシファード』。旧魔王ルシファー様がおられたとされる、冥界の旧首都なんだよ、闇慈君。そしてここからは地下鉄に乗り換えるよ。表から行くと騒ぎになるからね」

「・・・そのことは何となく予想が付くよ。リアス先輩の事だよね?祐斗」

「そう言う事だよ」

そして地下鉄のホームで電車が来るのを待っている間、リアスの周りからは男女問わない、黄色い声がホーム中に響き渡っていた。
そして余談だが『黒衣の死神』や『赤龍帝』の名前が冥界に響き渡っているの原因なのか声はかけられなかったが闇慈や一誠の事を見ている野次馬もいたそうだ。

~~~~~~~~~~~~

リアスたちは地下鉄を乗り継ぎ、地上に出ると大きなビルの前に出た。そしてその中に入るとリアスが注意点を何点か上げた。

「いい事?何があっても平常心でいること。何を言われても手を出さないこと。上にいるのは私たちにライバルよ、無様な姿は見せられないわ」

その言葉に全員が頷くとエレベーターに乗り、上階へ目指した。そして出入り口が開くとリアスが一人の男性が目に入ったのかその男性に声をかけた。

「サイラオーグ!」

そのサイラオーグもリアスに気付き、近づいてきた。黒髪の短髪でワイルド系のイケメンだった。筋肉質で武闘家を思わせるような体格をしていた。

「久しぶりだな、リアス」

「ええ。変わりないようで何よりよ。初めてのものもいるわね。彼は『サイラオーグ』。私の母方の従兄弟でもあるのよ」

「俺は『サイラオーグ・バアル』。バアル家の次期当主だ」

「バアル・・・確か魔王様の次に力を持つ『大王』の名前でしたよね?」

「そうよ、アンジ」

闇慈の名前を聞いたサイラオーグは闇慈に近づいてきた。

「お前がライザーや堕天使コカビエルを倒した『黒衣の死神』か?」

「はい。僕は黒神闇慈。貴方のおっしゃった通り、黒衣の死神を名乗っています。どうぞお見知りおきを」

闇慈は執事が挨拶するようにサイラオーグと挨拶を交わした。

「あまり強そうには見えねえが・・・その魔力のデカさ。どうやら本当らしいな、お前と戦える日が楽しみだぜ」

「それで、こんな通路で何をしてたの?」

リアスがサイラオーグに尋ねると少し呆れ顔になってリアスに答えた。

「くだらんから外に出てきただけだ」

「くだらない?中でケンカみたいなものが起きているんですか?サイラオーグさん」

闇慈の質問にサイラオーグが頷く。

「そんなとこだ。アガレスとアスタロトもすでに来ていてな。あげくに『ゼファードル』だ。着いて早々、ゼファードルとアガレスがやり始めたんだよ」

サイラオーグが言い切った瞬間・・・

ドガァァァァン!!!!

と会場内で何かが爆発するような音が響き渡った。闇慈は反応するや逸早く、会場の扉を開くと・・・

「ゼファードル、こんな所で戦いを始めても仕方なくてはなくて?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」

眼鏡をかけ、青いローブを身に纏った闇慈と同い年位の女子と・・・

「ハッ!言ってろよクソアマッ!俺がせっかくそっちの個室で一発仕込んでやるって言ってやってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが固くて嫌だね!へっ、だから未だに男も寄って来ずに処女やってんだろう!?ったく、魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女臭くて敵わないぜ!だからこそ、俺が開通式をしてやろうって言ってんのによ!」

下品な言葉を発している上半身裸でタトゥーが入った緑髪を逆立てているヤンキーな男性が一食触発の状態だった。

「彼らが貴方を外に出した原因ですか?サイラオーグさん」

「ここは時間が来るまで待機する広間だったんだがな。もっと言うなら、若手が集まって軽い挨拶を交わす所でもあった。ところが、若手同士で挨拶したらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ、問題の1つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔達はどうしようもない」

サイラオーグが説明している間に、ヤンキーな男性の沸点があまりに低いのか魔力弾を女性に向かって放った。それを見た闇慈はセイクリッド・ギアを発動させ、ボロ衣の漆黒のマント・・・AMCマントを纏うと魔力弾と女性の間に身体を滑り込ませ、その魔力弾をAMCマントで弾いた。

「ああん?何だてめえは!?俺とそこのクソアマとのケンカに割って入ってくるんじゃねえよ!!」

ヤンキーは闇慈に殺気を込めた言葉を発していたが闇慈は構わずに、女性に話しかけた。

「大丈夫ですか?」

「な、何者ですか!?これは私とそこの凶子との問題です!!そこを退きなさい!!」

「それは出来ません。例え貴女が彼と対抗出来る力を持っているとしても、女性を傷つけさせるわけには行きませんから」

とことん女性には甘く優しい闇慈だが、ヤンキーは無視されたことが逆鱗に触れたのか今度はかなり大きめの魔力弾を作ると・・・

「俺を無視すんじゃねえ!!消し飛びな!!」

「あ、危ない!!」

闇慈に向かって放った。女子は悲観な声を上げたが闇慈はデスサイズ・ヘルを取り出すと・・・

「コカビエルの方が数倍マシだな・・・」

魔力を注ぎ、その魔力弾を横に一閃し、霧散させた。

「俺の魔力弾が!?・・・っ!?その姿。てめえ!!黒衣の死神か!!」

「えっ!?」

「ご名答だ。これ以上やると言うのなら一瞬で終わらせるぞ?」

「ほざいてろ!!さしずめライザーやコカビエルを倒したってのは出鱈目だろう?ここで俺がてめえを倒してやるぜ!!そしてそこのクソアマを犯し・・・」

闇慈は一瞬でヤンキーとの距離を縮め・・・

「黙れ。ゲスが・・・」

デスサイズ・ヘルの柄を鳩尾に叩き込み、壁に串刺しにした。ヤンキーは気絶したらしくそのまま壁にもたれかかった。

「おのれ!!」

「ゼファードル様をよくも!!」

「・・・」

ヤンキー達の眷属が闇慈に飛び掛ろうとしたが、闇慈は真紅の魔眼と魔力解放の覇気で眷属を威圧し、失神させた。それを見ていたサイラオーグが感嘆の声を上げる。

「流石だな。ゼファードルの眷属達を覇気と威圧だけで失神させやがった。これがコカビエルやカテレアを倒した死神の真の力か。さっきとは別人じゃねえか」

「アンジィィィ!!!」

しかしリアスの反応は凄く怒っていた・・・

「貴方なにしてるの!!問題は起こさないようにってあれをほど言ったじゃない!!」

「す、すみません、リアス先輩。でもケンカを止めたくて仕方なく」

「良いじゃねえか、リアス。お陰で俺が出なくて良かったんだからよ?」

「サイラオーグ!!貴方まで!!」

リアスが頭を抱えている間に闇慈は駒王学園の制服姿に戻ると女性の方を向いた。

「お怪我はありませんか?」

「え、ええ。貴方が本当に・・・黒衣の死神」

「こんな姿をしていましたからね、意外でしたか?」

その女性は首を横に振ると自己紹介をし始めた。

「私は『シーグヴァイラ・アガレス』。大公、アガレス家の次期当主です」

「ご丁寧にありがとうございます。僕は黒神闇慈。黒衣の死神を名乗っていますが、今はグレモリー家で執事見習いとしてやっています。どうぞお見知りおきを」

闇慈はサイラオーグ同様に執事の挨拶をすると跪き、彼女の右手に軽くキスをした。そして闇慈は一礼をするとリアスたちの元に戻っていった。

「ふふ。あの凶子よりよっぽど紳士的な方ですわね」

シーグヴァイラはその姿をじっと見ていた。
 
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