八条学園騒動記
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第三十四話 彼女ゲット!その三
やって来たのは三人だった。二人は普通の連合の服だったが最後の一人は明らかに違っていた。マウリアの服だったのである。
「よし、話通りだな」
「はい。先輩」
後輩達はその女の子に声をかけてきた。
「この人が前お話していた」
「カムイさんですね」
「はい、そうです」
彼等は答える。
「カムイ先輩です」
「はじめましてカムイさん」
「は、はい」
カムイはその言葉を聞いて直立不動になって席を立ってきた。
「はじめまして」
カチコチになって挨拶をする。
「カムイ=サシンです。どうぞ宜しくお願いします」
「アーメンガードと申します」
そのマウリアの女の子はにこりと笑ってきた。褐色の肌に黒い目と髪が実によく合っている。マウリア風の美少女と言ってよかった。
「アーメンガードさんですか」
「はい、八条学園の二年です」
「っていうと」
「カムイさんの同級生です」
「そうですね」
そう彼女に返す。
「何分大きな学校ですから」
「御存知なかったですか」
「ええ、すいません」
そうアーメンガードに謝罪する。だがふと思った。
(待てよ)
心の中で呟く。
(この俺がノーマークの女の子だと。しかも留学生でこれだけ目立つ女の子が)
そこがまず不思議であった。
(何かおかしいな)
そう思って後輩達に囁くのであった。
「おい」
「はい」
「この人何時厚生委員会に入ったんだ?」
「ずっと最初からいましたけれど」
「ずっとか」
「ええ」
後輩達は答える。
「そうですけれど」
「そうだったのか」
しかし話を聞いて余計にわからなくなった。かなり長い間学校にいたのにやはり彼が知らない。そこに何かあるのではと思ったのである。
「御存知なかったんですか」
「ああ、本当にな」
そう後輩達に返す。
「誰なんだ、一体」
「ところで」
「あっ、はい」
アーメンガードの言葉に顔を向ける。
「カレーを注文して下さったんですね」
「はい」
そう彼女に応える。
「ここの店本格的なカレーいけるんで」
「そうだったのですか」
「どうですか、お味は」
アーメンガードに尋ねる。
「いいですか?」
「はい、すごく」
彼女はにこりと笑って答えてきた。
「このスパイスの加減が絶妙です」
「そうなんですか」
「はい。それで音楽ですが」
「結構色々な曲がありますよ」
カムイは意外と仕切り上手なところを見せてきた。てきぱきとした動きで彼女に応える。かなり場慣れした雰囲気がそこにあった。
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