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八条学園騒動記

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第二百十八話 白々しいスキャンダルその三


「そうしていけばいいんじゃないかしら」
「それもいいかもね」
「私はそう思うわ」
 実際そうだというのである。
「やっぱりね」
「成程ね」
 そんな話をしていた。そうしてであった。
 そのスター=ガンに追いついた。そうしてであった。
「あの、新聞部の者ですけれど」
「写真部です」
 まずはそれぞれ名乗って彼のところに来た。
「ランニング中ですけれど宜しいですか?」
「取材を」
「あっ、はい」
 その彼は気さくに応えてきた。悪い性格ではないらしい。
「わかりました」
「はい、それじゃあ」
「御願いします」
 こうしてランニングをしながらの取材をした。自転車に乗りながらだがナンシーは記事を取りジョルジュは写真を撮った。その動きは見事だった。
 そしてだ。その時だ。ナンシーは彼に言った。
「あのですね」
「はい」
「スター=ガン選手のフットワークですけれど」
 さりげなくはじめた。
「凄く内野向きに思いました」
「そうなんですか」
「はい、そう思います」
「ですが僕は」
 首を傾げさせるスターだった。
「外野ですしね」
「そうですか」
「けれど内野ですか」
「はい」
「わかりました」
 それでもだった。ナンシーの言葉は届いた。そうしてであった。
「一度監督とお話してみますね」
「そうですね。それがいいと思います」
「わかりました」
 こんなインタヴューだった。それからだった。
 第二工業科ブラックソックスでだ。一つの動きがあった。
「コンバートしたらしいよ」
「サードとレフトでなのね」
「あっ、やっぱりわかるんだ」
「ええ、わかるわ」
 にこりと笑ってジョルジュに返すナンシーだった。
「そうなると思ってたから」
「というかそう仕向けたんだね」
「適材適所よ」
 ナンシーの次の言葉はこれであった。
「あの人の守備はサード向けだったから」
「サードは足の速さよりも打球反応だからね」
「強いボールがよく飛んでくるしね」
 これはジョルジュもよくわかっていた。伊達に取材に出ている訳ではない。
「だからだよね」
「そう。彼の守備だとレフトよりサードよ」
「それであのチームの元のサードは」
「足も速いから」
 もう一人のこともしっかりと見ているナンシーだった。
「結果的に守備はかなりよくなるわ」
「成程ね。それでなんだけれど」
「どうしたの?急に話を変えてきたけれど」
「これ読んで」
 ジョルジュはあるものを出してきた。それは。
 見ればそれは新聞であった。しかし八条スポーツではない。それとは別のだ。八条スポーツと並ぶお笑い記事で知られている新聞であった。
 その一面に出ていたのはだ。
「・・・・・・私じゃない」
「そうだよね」
「何で私が出てるのよ」
「というか記事見た方がいいよ」
 こう勧めるジョルジュだった。
「はい、そこもね」
「って何よこれ」
 写真から記事を見るとだ。それはナンシーにとってさらにショッキングなものだった。 
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