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八条学園騒動記

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第二百十八話 白々しいスキャンダルその二


「鈍足ね」
「あれじゃあ外野厳しいよね」
「サードの方がいいのかも」
 ナンシーはこうも言った。
「肩も守備もいいんだし」
「そうかもね。レフトでもあの足だと」
「辛いわ」
 ナンシーは言い切った。
「あれじゃあね」
「レフトも動くからね」
「そりゃチームによってはとんでもないレフトもいるけれど」
 悪い意味でとんでもないというのである。
「全然守れない人がね」
「それは昔からいるね」
「レフトは確かに守備では重要じゃないけれど」
「うん」
「それでも。彼は守備と肩はいいから」
「これだよね」
 ジョルジュは携帯を取り出した。そこにはそのスター=ガンの守備の映像があった。それを実際に彼の目で見てみるとであった。
「確かにね」
「上手いでしょ」
「普通にかなりの守備だよ」
 ジョルジュはこうナンシーに述べた。
「打球反応は速いしグラブ捌きもいいし」
「安定してるわよね」
「うん、それに丁寧に守ってるしね」
 見ればその守備はだ。真面目であった。
「それに肩だってね」
「凄いわよね」
「強肩だね。レフトの深い場所からホームまで一直線だよ」
「けれど足は」
 その映像を見てだった。やはりであった。
「遅いね」
「そうでしょ。遅いでしょ」
「うん、遅いね」
 打球反応はいいがだ。遅いのだった。足が遅くてだ。打球に間に合わない場面が見られるのだった。そこが大きな問題なのだった。
「ううん、それもかなりね」
「左右の瞬時のフットワークはいいのに」
 これが打球反応だった。
「だからこれを見たら」
「見たら?」
「外野には向いてないわ」
 そうだというのである。これがナンシーの見方だった。
「ここをどうかすることね」
「それじゃあ何処がいいかな」
「サードね」
 そこだというのである。
「サードがいいわね」
「サードなんだ」
「守備も肩もいいから」
 それがあった。
「ほら、ジャンプ力だって」
「あれっ、ジャンプ力あるね」
「そうでしょ?結構なものでしょ」
「うん」
 丁度ジャンプしてキャッチする場面があった。上に来たボールをそうして捕球したのだ。その跳躍は確かにかなりのものがあった。
「こういうの見たらね」
「これで何でサードじゃないのかな」
「サードの人がまた凄いのよ」
「守備が?」
「そう、鉄壁の守備でね」
 それでだというのだ。
「その人がいるから」
「そんなに守備が凄い人なんだ」
「天才よ。ショートはもっと凄いけれどね」
「ひょっとして第二工業科って守備凄いの?」
「滅茶苦茶凄いわよ」
 実際そうだというのである。
「もう八条学園高等部じゃダントツかもね」
「そこまでなんだ」
「そういうチームだから。このスター=ガン選手はね」
「足が問題になるんだね」
「例えばサードとレフトをコンバートして」
 ナンシーはこんな考えも披露した。 
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