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八条学園騒動記

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第二百十七話 イエロージャナリズムその二


「青い肌の人間とかいないでしょ」
「いや、だから絵の具でしょ」
「そうなんでしょ」
「これって」
「あくまで話を聞かないのね」
 憮然として返すナンシーであった。
「私はこう言ってるのに」
「ううん、あくまで宇宙人だと言うのね」
「あんたも言うわね」
「大体八条スポーツだろうが」 
 フックがこのことを指摘した。
「そうだろ?これって」
「うん、そうだけれど」
 これはナンシーも認めた。はっきりとだ。
「それがどうしたの?」
「八条スポーツは書いている内容全部嘘じゃねえかよ」
「嘘っていうのね」
「一面に堂々と嘘を書く新聞だろうが」
 そうであるというのだ。
「そうじゃないのか?」
「それは気のせいよ」
 しかしナンシーは澄ました顔で話す。
「それはね」
「じゃあこの宇宙人もか」
「そう、エルビス星人ね」
「いるっていうのかよ」
「だからいるって言ってるじゃない。観光で連合に来てるのよ」
「ウルグアイ領ビクトリーノ星系にか」
「そうよ、そこにね」
 その来た場所まで話される。
「そこに来たのよ」
「強引だな、全く」
「そうそう、それでだけれど」
 ナンシーはさらに話すのであった。
「八条新聞だけれど」
「何かあったのか?そっちは」
「スポーツ担当なのよ」
 それだというのだ。
「それで今は野球の記事書いてるけれど」
「そうか、頑張れ」
「そうじゃなくてよ。最近学校の注目の選手を探してるけれど」
 フックの言葉にこう返す。
「誰か知ってる?それで」
「ああ、野球か」
「そうよ。誰か知ってる?」
「一応な」
 知っていると答えるフックだった。
「第二工業部の野球部でな。外野手でいいのがいるぞ」
「第二工業部なのね」
「ああ、第二工業ブラックソックスだ」
 チーム名まで話される。
「そこの一年生でな。外野手でな」
「何て名前の子なの?」
「確かスター=ガンとかいったな」
「スター=ガン選手ね」
「ああ、そうだよ」
 こう話すのであった。フックはナンシーにさらに話す。どうやらその外野手のことをかなり知っているようである。そしてその選手は。
「強肩俊足でな」
「ふんふん、それで?」
「守備範囲もかなり広くてな」
「センターかしら」
「ああ、そうだ」
 肩と足、それに守備を聞いてだ。ナンシーはすぐに察した。
「センターだ」
「それで他には?」
「パワーヒッターだ。打率は今一つだがな」
「ふうん、中々面白そうな選手ね」
「どうだ?取材してみるか?」
「ええ」
 ナンシーはフックの言葉にすぐに頷いた。
「それじゃあ行って来るわね」
「そうするか。じゃあな」
「有り難う。今日にでも取材に行って来るわね」
「御前もそういうの色々と調べてるんだな」
「ジャーナリストは勉強よ」
 こう答えるナンシーだった。 
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