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八条学園騒動記

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第百六十九話 騒ぎにしてしまう二人前編その二


「何か他にもいそうだな」
「そうね、それに」
 ここからが二人の本領発揮であった。
「まだいそうよ」
「ああ、日本のだけじゃないな」
 こんなことを言い出してきたのである。
「これはな」
「まだいるわ。それも校内に」
「よし、それなら」
「行きましょう」
 いつものとんでもない行動の開始であった。
 その解説の仕事を放り出してであった。何処かに行こうとする。他の部員達はそれを一斉に止めようとする。流石に解説者がいなくなっては困るからだ。
「ちょ、ちょっと待てよ」
「何処に行くつもりなんだ?」
「仕事は?」
「事件だ」
「事件の香りがするわ」
 こんなことを言い出してきたのだった。
「だから行くんだ」
「やってやるわ」
「またか」
「はじまったわね」
 皆そんな二人を見て呆れてしまった。
「いつもの発作か」
「全く。厄介なことになったのね」
 同じ部活の面々からもそう思われている彼等だった。
「全く。何て言ったらいいのやら」
「つける薬ないし」
 彼等の評価もこんなものだった。
「まあ放っておくか」
「そうね。どうにもならないから」
 こう言って本当に放置した。二人はそのまま部室を出て何処かに行く一行を追うのだった。
「さあ、推理のはじまりだ」
「このうえないスリリングなゲームのね」
 二人共今はハードボイルドになっていた。
「じゃあ行くか」
「見つからないようにね」
 とか言いながら彼等の五メートル程度後ろを歩きながら騒いでいる。部員達はそれを見て流石に総員でこけた。呆れる以上のものであった。
「おい、それが尾行か!」
「何考えてるのよ!」
 こう叫ぶ。
「何処の大昔の特撮なんだ」
「まぼろし探偵じゃないのよ」
 彼等もこの古典的作品を知っているのであった。
「それを今やるか」
「しかも騒ぎながら」
 有り得ないことだがそれをやらかすのが彼等なのだった。
 皆唖然としながらその彼等を見送る。それからまた話をした。
「どうなると思う?」
「どうなるって?」
「だから。連中は目的を達成できるかどうか」
「具体的に言えばあの人達の正体がわかるか」
 そういう問題なのであった。
「どうかな、それは」
「できるかな」
「無理でしょ」
 結論はすぐに出た。
「いつも通りね」
「まあそうだろうな」
「あいつ等自分達でまともに事件を解決したことないしな」
「騒動を大きくしたことはあるけれど」
 つまりトラブルメーカーというわけである。
「出て来るだけで話を無茶苦茶にするし」
「一応風紀部に連絡する?」
「そうだな」
 そしてこんな話もするのだった。
「野放しにしておいたらまずいし」
「何するかわからないし」
 扱いはまさに危険物であった。 
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