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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百十五話 紅に染まる海

              第百十五話 紅に染まる海
「・・・・・・これは本当なのですね」
ラクスはレイと正対していた。思い詰めた顔で彼に問う。
「嘘を言っている顔に見えますか?」
「・・・・・・いえ」
それに応える。とてもそうは見えなかった。
「彼は人類そのものを滅亡に追いやろうとしています」
「それには私も気付いていましたが」
「では私達は同じ筈です」
彼は言う。
「私達の目的は」
「それを止めること」
「だから私は今ここに来たのです」
「同志を探して」
「はい」
こくりと頷く。
「ラクス=クライン、貴女もまた同志を探しておられるのだから」
「御存知でしたか」
「噂でしたが。ですが今は」
「それで私に何をせよと」
「私は動きたいのです」
レイはラクスの顔を見据えていた。
「私もまた人なのだから」
「レイ=ザ=バレル」
ラクスは彼の名を呼んだ。
「はい」
「私は実は貴方にお会いするつもりでした」
「それでは」
「はい、同志を探していましたから。その貴方が今来られたということこそが神のお導きなのでしょう」
「有り難い。ではこれからは」
「ええ、ですが私はまだやるべきことがあります」
「やるべきこと」
「貴方は伝説を授けられます」
ラクスは言う。
「そして貴方のお友達は運命を」
「シンにですか」
「彼もまた私達の同志となるべき方」
「ですがあいつは」
「あの方は気付かれます」
レイを安心させるようにして述べる。
「あの方もまた私と同じなのですから」
「貴女と!?」
「はい、そしてあの方だけではなく」
ラクスは述べる。
「キラ=ヤマト、そしてアスラン=ザラもまた。お二人にも授けるものを授けてからです」
「貴女が出られるのは」
「その前に。お願いできますか」
ラクスはあらためてレイに頼む。
「運命を司るあの方を。あるべき場所へ」
「わかりました」
レイはその言葉に頷いて応える。
「タリア艦長にもお話しておきます」
「私からも」
「お願いします。ですがまだあいつには」
「ええ、まだ」
二人はまだシンには話さないでいるつもりでいた。
「あの方とキラ様こそが運命と自由を司る方々」
「それを導くのが貴女ですか」
「私だけではありませんが」
「!?」
レイはラクスの目を見た。今その目は光が消え、まるでガラスの様になっていた。
しかしそれで全てを見透かしているようであった。何もかもを。その目で彼と話をしているのであった。
「伝説と正義もまた」
「一人は私、そしてもう一人は」
「貴方も御存知の方です」
「・・・・・・彼ですか」
「はい」
ラクスはレイの言葉にあらためて頷いた。
「そして同志達が」
「ロンド=ベルに集い」
「彼を止めなければなりません」
「わかりました。それでは」
「はい」
二人は同時に手を差し出し合った。そして握り合う。
「行きましょう」
「人間の未来の為に」
「私を、いえ彼を倒す」
レイは不思議な言葉を口にした。その言葉の意味はまだ殆どの者は知らない。だがラクスはそれを知ったうえで彼を受け入れたのであった。
デスティニーガンダムとレジェンドガンダムがミネルバ隊に配備されることとなった。そのパイロットはもう決定していた。
「俺と御前だ」
レイはミネルバが停泊している港でシンに対して言った。
「今日正式に決まったそうだ」
「そうか」
シンはそれを聞いても落ち着いた顔であった。
「驚かないのか?」
「わかっていたことだからな」
彼はそう答える。別に迷いや焦りは見られなかった。
「御前もレジェンドに乗るんだな」
「ああ、それでスピットブレイクに参加する」
彼は言う。
「御前のインパルスはルナマリアが乗ることになった」
「あいつがねえ」
「何かあるのか?」
「いや、インパルスは癖の強い機体だからな」
それがシンの考えであった。
「あいつで乗りこなせるのかって思ってな」
「それは心配ない」
「心配御無用か」
「あいつも赤服だ。そしてもう一機ガンダムが配属される」
「何だ?」
「セイバーだ」
そこへハイネがやって来た。
「ハイネ」
「ジャスティスの開発中に派生型として誕生したものだ。変形機能を持つ高速機動タイプらしい」
「そうなのか」
「それは俺が乗ることになった。宜しくな」
「ああ、これでミネルバ隊もガンダムが四機か」
「ザラ隊に並んだな」
「それも全てザフト製だ」
ハイネが言う。
「そこがザラ隊とは違うな」
「そうだな。あいつも今どうしているかな」
シンはふと思い出したように呟いた。
「今一つ合わないところがあったが」
「御前はまた突っかかり過ぎるんだ」
ハイネがそう言って嗜める。
「戦意があるのはいいがもう少し落ち着け」
「ちぇっ」
「今度はパナマだ。そこでも御前の力が必要なんだからな」
「そこでデスティニーをはじめて実戦でか」
「そう、そして」
レイは言いかけたところで止めた。
「どうした?」
「いや、何でもない」
ハイネに尋ねられたが答えはしなかった。
「悪いが用事を思い出した。艦長は何処だ」
「ミネルバの中だ。多分艦長室だな」
「わかった、では今から行く」
「ああ、それじゃあな」
レイは二人と別れてミネルバの中へ入った。そしてタリアにもあのことを話すのであった。これからの為に。

モルジブに向かうロンド=ベル。アークエンジェルの中でカガリがキラに言っていた。
「おい御前」
「何?」
キラはカガリのいきなり攻撃の意志を漂わせる声に身構えながら応えた。
「前から思っていたけれどな」
「うん」
「あのフレイって女いるだろ」
「フレイがどうかしたの?」
「御前あの女に甘過ぎだ」
カガリは言う。
「何でああなんだ、御前は」
「だって僕が彼女を守るって決めたから」
キラはそれに返す。
「だから・・・・・・」
「御前見てたら何でも一人でしょいこもうとするな」
カガリは呆れ気味にそう述べた。
「少しは周りを頼ったらどうだ。いつも言われてるだろ」
「そうだね」
「無責任は確かに悪いし他人に迷惑をかけるのもよくない」
「カガリ、だったら」
「御前は黙ってろ!」
後ろから声をかけようとするキサラを一喝した。言いたいことはわかっているのだ。
「わかってる、だがな」
「だったら少しは」
「女はやらなくちゃいけない時があるんだ!」
「それは男の台詞だが」
「ええい五月蝿い!そもそも私はだな」
「あの、カガリ」
除け者にされそうな感じになっていたキラがあらためて声をかける。
「何だ!?」
「人に迷惑をかけるのはやっぱり」
「五月蝿い!御前まで言うか!」
「だって」
「フン、まあいい。どうせ私は御前やエイジさんとは違うからな」
「わかっていてどうして」
「だからいいだろ。御前といいユウナといい全く・・・・・・おっと」
慌てて口をつぐむ。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
カガリは急に静かになった。
「とにかく御前はもっともっと人を頼れ、いいな」
「うん・・・・・・」
「私が今言うのはそれだけだ、いいな」
「わかったよ、それじゃ」
「もうすぐまた戦いだからな、用意しとけよ」
「うん」
「私も出るしな」
「結局出るんだね」
「何だ!?悪いか!?」
「いや、別に」
けれど言いたいことはちゃんとあった。
「ただ、大丈夫だよね」
「・・・・・・いい加減にしないと殴るぞ」
その言葉は本気であった。
「私を信じろ、いいな」
「わ、わかったよ」
実際に拳を握り締めているのを見てはこう言うしかなかった。
「じゃあな。私も用意がある」
「じゃあカガリ今から」
「ああ行くぞキサカ」
キサカに声をかける。
「戦闘用意だ」
「わかった。では」
「よしっ」
カガリに気合が入る。彼等は彼等で戦闘準備に入った。
そしてキラも。今モルジブでの戦いがはじまろうとしていた。
モルジブに到着するとまだザフトは展開していなかった。フェイがついつい美しいマリンブルーの海と鮮やかなスカイブルーの空を見て言う。
「日光浴には最適じゃない。戦争なのが残念ね」
「日光浴ってどうやって?」
「水着に決まってるじゃない、何言ってるのよ」
ジュドーにそう返す。
「トーゼンでしょ、トーゼン!!」
「へっ!?」
「そんなのどうやって着るのよ」
シルビーが目をしばたかせていた。
「ロボットで水着・・・・・・ねえ」
マサトも首を傾げさせる。さしもの彼でも首を捻ってしまう。
「どんなのかなあ」
「私は普通に着てるけれど」
「いや、美久はまた別だよ」
「そうなの、有り難う」
「けれどフェイ」
「この美少女戦士フェイ様のプロポーションに皆いちころてわけよ」
「あっちの世界じゃそうなのかしら」
「どうなのかな」
セシリーとシーブックにもそれはわからない。
「けれどまあ美人なんじゃないかな、ロボットにしては」
「リュウセイは気に入ってるみたいだしね」
「ああ」
「こらフェイ!」
ハッターがここでフェイを叱る。
「無駄話は無駄!敵はそこまで来てるんだぞ!」
「もーーー、ハッターのくせにいちいち五月蝿いわよ」
「貴様なんぞにハッター呼ばわりされる覚えはないと言ったはずだっっ!」
「じゃハッちゃんでどぉ?」
「だからそれも駄目だと言っている!」
呼び名にはとかく五月蝿いのである。それがハッターだ。
「漢の中の漢、ハッター軍曹と呼べ!」
「暑苦しいからヤダ」
「むむっ!」
フェイに言い返され言葉を失う。だがすぐに復活する。
「ならばはぐれマーズ一番星アファームド=ザ=ハッターっっ!!」
「何かどんどん長くなっていってない?兄さん」
「まあそう言わずに聞いてあげよう」
大介はマリアと比べてやはり優しかった。
「彼のこだわりだからな」
「こだわり過ぎだけれど」
「これならどうだ?」
「長いからヤダ」
「ぐぐっ!むむむ!」
またつっぱねられてもがき苦しむハッター。それを見る豹馬と甲児が言う。
「いい漫才コンビだな、あの二人」
「そうだな、絶妙だぜ」
「ハッター、フェイ、いい加減にしろ」
「ブラザー」
「それとも補習室行きを希望するということか?」
「わかったわよ」
「くうっ、俺の呼び名が」
「呼び名はどうでもいいだろう」
「ライデン、御前にも熱意がわかってくれないのか」
「そもそも戦闘前だ」
「ううっ」
ライデンの方が大人であった。ハッターもこう言われては何も言えない。
「だから前に集中してくれ、いいな」
「わかった。ではな」
「うむ」
「ザフト部隊接近!」
ここでトールが報告した。
「総員第一戦闘配備!」
「対モビルスーツ戦用意!」
それを受けてマリューとナタルが指示を出す。全艦それは同じであった。
戦闘用意を整えていると前方からザフトの軍勢がやって来た。数自体は多くないが四機のガンダムがそこにいた。
「イージスも・・・・・・アスランか!」
キラはイージスの姿を認めて言った。
「四機のガンダムが勢揃いか。あいつらもしつこいねえ」
ムウはメビウスの中から言う。
「まあそれだけ必死ってことかな」
「カガリはまだ出撃していないのかな」
キラはふと辺りを見回した。
「できれば出て来て欲しくはないけれど」
「攻撃目標は敵母艦だ」
アスランは自分の部隊に指示を出す。
「短時間で勝負をつけるぞ」
「了解」
「わかりました」
フィリスとエルフィがそれに応える。ミゲルは自分のオレンジのジンを前に出してきていた。
「もう前にですか」
「ああ、動けるうちに動いておく」
ミゲルはジャックにそう応えた。
「できるだけいいポジションを確保しておかないとな」
「わかりました、じゃあ俺も」
「頼むぞ、ミゲル」
アスランはその動いているミゲルに対して声をかけた。
「連中はかなり手強いからな」
「ああわかった」
ミゲルはその言葉に頷く。
「あのシンと互角に渡り合ったパイロットがいるそうだな」
「・・・・・・ああ」
アスランはそれがキラのことだとわかっている。だから少し苦い声になった。
「あいつの相手は俺がする」
「いいのか?」
「構わない。その為のガンダムだしな」
「じゃあ私達は隊長のフォローを」
「任せて下さいね」
フィリスとエルフィはアスランの後ろにつく。ディアッカはそんな様子を見ていつもの軽口を叩く。
「アスランの奴リーダー風を吹かせてくれるねえ」
「ディアッカ」
そしてニコルがいつものように彼を注意する。
「彼を指揮官に指名したのはクルーゼ隊長ですよ。その指示に従わなければ軍機違反になります」
「わかってるって」
ディアッカも軽口だけでそれはわかっている。だからすんなりと終わった。
「見せてもらうぞアスラン」
イザークはアスランに顔を向けてきた。
「御前の指揮ぶりをな」
「ああ」
「じゃあザラ隊の初陣と行こうか」
ディアッカが言う。
(行くぞキラ!)
「アスラン!」
「キラ」
コウがキラに言う。
「もうわかってると思うが迷いは自分を殺すことになるぞ」
「わかっています!」
「キラ・・・・・・」
「だったらいいけれど」
サイとミリアリアはそんなキラを気にかける。フレイはそれとは別の感情を持っていた。
(守ってね、キラ)
呟きながら今度はコーディネイター達を見据える。
(あいつ等皆やっつけて)
彼女はコーディネイターへの憎しみを捨ててはいなかった。その心のまま敵を見据え続けていたのであった。
ザラ隊が前に出る。まずはディアッカが散弾砲を放つ。
「これは挨拶代わりってやつさ!」
「むっ!」
その前にはヒイロ達がいた。ガンダムの白い翼が舞う。
「やる・・・・・・だが」
ヒイロは即座に跳んだ。散弾砲の攻撃はそれであえなくかわされる。
「おいおい、相変わらず動きが速いなおい!」
「ディアッカの今の攻撃をかわしたのか」
ミゲルがそれを見て呟く。
「ロンド=ベル、やはり強いな」
「ええ、あの方が言われるだけはありますね」
「そうだな」
エルフィに応える。この会話は彼等だけがわかる会話であった。
「死ぬなよ、エルフィ」
「わかっています」
エルフィはミゲルにそう返す。
「プラントの為にも、人類の為にも」
「ああ。じゃあ俺は仕掛けに行くぞ」
「はい」
「ジャック、後ろを頼む」
新型機であるガズウートに乗るジャックに声をかける。なおミゲルが乗るのはエルフィと同じゲイツRである。ただしミゲルのものは彼のカラーリングであるオレンジだ。
「いいな」
「了解、じゃあ任せて下さい」
「よし。黄昏の魔弾の力見せてやる」
すっとロンド=ベルに斬り込む。ライフルを乱射した後ですぐにサーベルを抜く。それでエマのスーパーガンダムに斬りつけてきた。
「まだっ!」
だがエマはそれを自身のビームサーベルで受け止める。そのまま鍔迫り合いに入った。
「やられるわけには!」
「今のを受けたのか」
ミゲルはエマの今の動きに目を瞠った。
「やはり。ナチュラルとかそういう問題じゃないな」
そう呟いた時だった。一瞬隙ができた。エマはその隙を見逃さずすぐに動いてきた。後ろに一旦跳びそこから攻撃に転じてきたのだ。
「これでっ!」
「ムッ!」
隙は作ったが一瞬のことである。ミゲルはすぐにそれを受け止め返したのであった。
「やるっ!」
「この程度なら!」
エマはその目でミゲルを見据えてきた。
「やられはしないわ!」
「そうか、なら!」
ミゲルは離れた。そして今度はライフルで撃とうとする。
「これなら!」
「やらせない!」
エマが動いたのは彼と同時だった。すぐにビームライフルを放つ。
狙いも正確だった。ミゲルは攻撃を諦めそれをかわすので精一杯であった。
「この俺が・・・・・・押されているのか」
「ミゲルさん!」
後ろからジャックの声がする。
「そいつは俺が!」
狙いを定めて攻撃を仕掛けようとする。ミゲルはそんなジャックに対して言った。
「無理はするな、フォローだけでいい」
「フォローだけですか」
「そうだ、具体的には今のでいい」
「はあ」
「メインは俺がやる」
エマのスーパーガンダムから目を離すことはない。
「だからだ」
「けれどそれだけミゲルさんに負担が」
「いや、これでいいんだ」
「これで!?」
「そうだ、二人で前に出てもそのガズウートじゃな。動きが鈍い」
「動きが」
「俺のゲイツRは接近戦もいける。だから安心しろ」
「わかりました。それじゃあ」
「こいつは手強い」
歴戦の戦士であるエマの実力を認めないわけにはいかなかった。
「やっぱりあの方が注目されるだけはあるな」
「ええ」
「今っ!」
「ムッ!」
ここでエマが上にあがった。ポジションを取る。
そして上からビームライフルで攻撃を仕掛けてくる。ミゲルもジャックもエマを前にして何とか持ち堪えているといった有様であった。その力はコーディネイターにも匹敵していたのであった。
イザーク、ディアッカ、ニコルの三人はドラグナーの三人と戦っていた。
「おっ、こいつ俺のと似てるな」
タップはバスターを見てまずはこう言った。
「いいねえ、お仲間ってやつだ」
「馬鹿っ、あいつは敵だぞ」
「おっとそうか」
ケーンに笑って返す。
「しかし確かに似ているな」
ライトはそれに頷くところを見ていた。
「あの青いガンダムはケーンのに似ているしな」
「来い!腰抜け共ォ!」
「声はトウジに似てるけどな」
「あとトマーシュか」
イザークの声を聞いて言う。
「どけ!ナチュラルがあ!」
「おっと」
デュエルのシヴァが来たがそれを左右にかわす。
「油断大敵っと」
「しかし、やっぱりいい腕してやがるぜあいつ」
タップはあらためてイザークを見た。
「ケーン、止められるか?」
「お安い御用」
「来たな!ドラグナー!」
イザークは今度はビームサーベルを出してきた。
「ならば!これで!」
「どうやら俺が御指名らしいな」
「じゃあ俺はあの緑のガンダムだな」
「俺は・・・・・・むっ」
ライトはマギーの反応を見て異変に気付いた。
「ライト!」
「わかってますって」
急を知らせてきた同じタイプのメタルアーマーに乗るカールに返す。
「俺の敵はもうすぐそこか」
その時であった。目の前に黒い影が姿を現わした。
「おっと!」
繰り出されるビームサーベルを後ろに跳んでかわす。そこに今度は爪が来た。
「二段重ねか、徹底しているね」
「くっ、わかっていたようですね」
ブリッツが姿を現わす。ニコルはミラージュコロイドで姿を消して接近してきたのである。ステルスを駆使したブリッツならではの戦法であった。
「勘がいい」
「生憎こっちも随分と実戦を積んでいてね」
ライトはそれに応える。
「そういう戦法も随分見てきたのだ。こっちにもいるしな」
デスサイズヘルカスタムのことである。
「もっともマギーちゃんが知らせてくれなきゃ大変なことになってただろうな」
「けれどここは」
「通らなくちゃいけないっていうんだろ?」
「ええ」
ニコルはライトの言葉に頷いた。
「プラントの為にも」
「じゃあこっちもだ」
ライトは言った。
「ここをどくわけにはいかないのさ。わかってくれたかな」
「なら・・・・・・!」
「そう簡単にはやられるわけにはいかないんだよ、じゃあやらせてもらうぜ!」
ブリッツのランサーダートをかわして反撃に転じようとする。だがここでブリッツはまた姿を隠してきた。
「ムッ!」
「ここです!」
「おっと!」
右から現われ斬りつけてきたのを受け止める。ライトを以ってしてもかなりの強敵であった。ドラグナーチームの三人はザフトの三機のガンダムと戦う。そして。
ショウとトッド、それにマーベルの三人がアスラン達と対峙していた。
「他のモビルスーツは私が相手をする」
バーンが彼等に対して言う。
「卿等はその赤いガンダム達を頼む」
「おいおい。随分気軽に言ってくれるな旦那も」
トッドがそれを聞いてぼやく。
「あの赤いガンダムもパイロットもかなりの腕だぜ」
「そうだな、それに」
ショウはイージスの後ろの二機、とりわけバビに目を向けていた。
「あいつ・・・・・・強いぞ」
「ああ、じゃあそっちは俺が行くぜ」
トッドはフィリスが乗るそのバビを見て応えた。
「じゃあ私はあのゲイツね」
「そうだな」
こうなるとショウの相手は決まっていた。アスランしかいなかった。
「あの赤いガンダムか」
「クッ、オーラバトラーか」
「隊長、彼等は」
フィリスが言う。
「ああ、わかっている」
ビーム兵器は効果がない。それはもう聞いていた。
「それにあのビルバインに乗るのは」
「ショウ=ザマですよね」
エルフィが応えた。
「そうだ、彼の相手は俺がする」
アスランはこの強敵の相手に自分自身を選んだ。
「このイージスなら」
「いえ、隊長」
そう呟いた彼にフィリスが声をかけた。
「何だ、フィリス」
「イージスで戦うのではないです」
「じゃあ一体何で」
「御自身で戦われて下さい」
「あ、ああ」
アスランはそれに頷いた。この時は機体に頼るなということを言っているのだと思ったがそれとはまた違う意味であった。だがこれはフィリスにしかわからないことであった。
「いいですね」
「わかった、それじゃあそうさせてもらう」
「はい」
「敵、来ました」
ビルバインと二機のダンバインが来た。
「よし、死ぬなよ」
アスランはそれを見て身構えると共に二人の少女に対してこう言った。
「ここを切り抜けて敵の母艦に向かわなければいけないからな」
「了解」
「わかりました隊長」
二人はそれに頷く。そして敵と対峙する。
ビルバインは一直線にアスランのイージスに向かって来る。アスランはそれを見てすぐに攻撃に移った。
「例えビームは左程効果はなくても」
アスランはまずいつもの様に機先を制する事を狙っていた。
「これなら!」
変形する。そしてスキュラを放った。
「オーラバトラーといえど!」
強烈な光の帯がビルバインに襲い掛かる。これならばやれると思った。しかし。
効果がある以前の問題だった。ビルバインは分身しそれをかわしたのであった。
「クッ!」
「やっるうう!ショウ!」
「いや、はしゃいでいられる相手じゃない」
ショウは横で騒ぐチャムを止めた。
「後で直撃だった」
「そうなの?」
「ああ。あれを喰らったらビルバインでも」
「じゃああいつかなり強いの?」
「強いな、遠距離戦は不利だ。ここはやはり」
オーラソードを抜いた。そこから急降下を仕掛ける。
「これで!」
「来たな!」
イージスを元の態勢に戻しビームサーベルを抜く。それで受け止めた。
「速い!」
「何てスピードだ!」
二人は互いの攻撃を見てそれぞれ言った。
「今のを受けるか!」
「聖戦士は伊達じゃないってことか」
ショウは一時離れた。そしてまた突っ込む。
「だが接近戦ならオーラバトラーが!」
「!!」
アスランの動きに変化が起こった。今まで以上に素早い動きを示してきたのだ。
何かが弾ける前触れであろうか。咄嗟に出したビームサーベルでビルバインのオーラ斬りを横に薙ぎ払う。その返す刀で突きをコクピットに入れてきた。
「危ない!」
ショウはビルバインを勘で捻った。それで攻撃をすんでのところでかわしたのであった。
「ショウ、今の!」
「ああ、動きがさっきまでと全然違ってた」
ショウは全身から冷や汗が流れるのを感じながらチャムに応えた。
「もう少し遅かったら・・・・・・」
「何なの、このガンダムのパイロット」
チャムも驚きを隠せなかった。
「何か、ジェリル達とは違う気を感じるよ」
「オーラ力か?」
「そうじゃない、それとは別に」
「ニュータイプか」
「それともまた。例えて言うとね」
チャムは言う。
「キラやジブラルタルの時のあのインパルスガンダムに似てるよ」
「・・・・・・コーディネイターの力か!?」
今のショウにはこう思えた。
「それが今」
「ううん、違うみたい」
だがチャムはそれを否定する。
「何か特定の人だけだから」
「じゃあ何だ!?」
「それまでは。けど」
「けど」
「あのバビっていうモビルスーツからもそれ感じるよ」
フィリスはトッドのビルバインと戦っていた。流石にトッド相手には分が悪かったがそれでも持ち堪えていた。
「チッ、思ったより手強いな」
それはトッドも感じていた。
「何だってんだこいつ、ニュータイプや聖戦士とも違うな」
「アスラン隊長ももう少しで」
フィリスはトッドと戦いながらアスランの様子にも目を向けていた。
「私達と同じに」
ザフト軍のパイロット達はそれぞれの思惑を胸に目の前の敵と戦っていた。だがそれでもロンド=ベルの前には退けられて用としていた。戦いはこのまま終わるかと思われた。しかし。
「レーダーにあらたな反応です!」
トーレスが叫ぶ。
「新手か!?」
「はい、これはバルマーのものです」
「くっ、こんな時に」
まっすぐにこっちに来ます!その数六百!」
「ザフトの数はもうかなり減っているな」
ブライトはまずそれを問うた。
「はい、まだガンダムやその周りにいるモビルスーツは残っていますが」
「なら彼等への抑えを残せ!後は戻すんだ!」
「そしてバルマーに」
「そうだ。急げ!さもないと母艦が沈められるぞ」
「もう来てます!」
「弾幕はれ!」
サエグサの報告に応える。
「敵を近付けさせるな!いいな!」
「了解!」
迎撃態勢を整えていく中、一機の戦闘機が出撃しようとしていた。
「私も行く!」
「ですがカガリ様」
カガリであった。キサカは彼女に対して何かいいたげな顔をしていた。4
「相手は」
「相手がどうとか言っている場合か!」
だがカガリは心配そうな顔のキサカを一喝する。
「御前もユウナも。全く私を何だと思っているんだ」
「お転婆お姫様だと」
「何っ!」
実に率直なユウナの言葉であった。
「御前まで!それが本音か!」
「はい」
「まあいい。とにかく今は大変な時だ」
スカイグラスパーに乗り込む。
「後は頼むぞ、いいな」
「結局出撃されるのですね」
「本当に嫌なんだな」
「ユウナ様が甘やかされるから。お父上も」
「・・・・・・いい加減にしろ」
泣きそうな顔になっているキサカに対して言う。
「とにかく行く、いいな」
「御気をつけて」
何はともあれカガリは出撃した。バルマーの軍勢の前に姿を現わしてきた。
「あの機体」
ムウが最初にそれに気付いた。
「お嬢ちゃんのか!?」
「遅れて済まない。機体の整備に手間取った」
「無茶だカガリ」
やはりカガリであった。キラが彼女に言う。
「単独行動で勝てる数じゃないよ」
「大丈夫だ、支援ぐらいはやってみせる」
「遊びじゃないんだぜ、お嬢ちゃん」
ムウがそんなカガリに言う。
「言い出した以上は働いてもらうぜ」
「わかってるさそんなこと!」
カガリはそれに応える。
「じゃあ仕掛ける。いいな!」
「艦長・・・・・・」
「仕方ないわね」
マリューはナタルに応える。
「本当ならケーニヒ二等兵に行ってもらうつもりだったけれど」
「先に出られては」
「ケーニヒ二等兵、それでいいかしら」
「え、ええまあ」
トールは操縦席から応えた。
「俺はまあどっちでも」
「そう、だったらいいわ」
「後ケーニヒ二等兵」
「はい」
今度はナタルに応えた。
「君はパイロットになるからな。昇進することになる」
「あっ、そういえばそうですね」
サイがそれを聞いて思い出したように言う。連邦ではパイロット等は将校が務めることになっているのである。
「准尉か少尉だ、それでいいな」
「わかりました」
「そして君達もだ」
ナタルは今度はサイ達に顔を向けてきた。
「私達もですか?」
「君達はカレッジにいたのだろう?」
「はい」
ミリアリアが答える。
「では大学生だ。そこからの志願者になるから将校待遇になる」
「あっ、そうか」
カズイが言われて気付く。
「大学生や卒業者はそうした待遇でしたね」
「そういうことだ。わかったな」
「了解」
「何か階級だけキラと一緒になるんだな」
「その分責任も出来るぞ」
ナタルは彼等にそう断った。
「それは認識しておいてくれ、いいな」
「了解」
「何か凄くなってきたな」
「アークエンジェルって今士官少ないしね」
マリューはふと苦笑いを浮かべた。
「やっぱり十人は欲しいから」
最低将校は十人はいないとまともな艦艇運営はままならないのである。今は動いているのが不思議な程であるのだ。
「これから何かとお願いね」
「わかりました」
カガリが出撃している間にも戦いは進んでいた。既にバルマーの軍とロンド=ベル本隊は激しい戦いの中にあった。
「去りやがれっ!」
ダンクーガが断空剣を横に払う。それでバルマーのマシンをまとめて薙ぎ払う。
「御前等次から次へと出てきやがってよ!うざいんだよ!」
「藤原、怒るのはいいが」
アランがここで言う。
「まだ敵は多い。油断はするな」
「わかってるぜ。けどよ」
「どうした?」
「今回はシャピロはいねえな」
「そうだな」
「シャピロだけじゃない」
タケルがそれに応える。
「兄さんもいない」
「そういえばマーグの隣にいつもいるあの女もな」
京四郎も気付いた。
「いないな」
「ではこれはまた偵察か」
「多分そうだな」
亮がアランに応える。
「また俺達の戦力を探るつもりだろう」
「相変わらずそういうところがせこいな、バルマーは」
「けどそれで戦っちゃ駄目ってことはないしね」
雅人と沙羅が言う。
「それで本隊が来ても噛み切ってやるまでだよ」
「強いな、結城は」
「あんたに言われると何か違うね」
「そうか」
アランは忍達とは違いやはりクールであった。
「ではいつも通り頼むぞ」
「おお、キラ!」
忍は足止め部隊に加わっているキラに声をかける。
「そっちは頼むぞ!」
「わかりました」
「御前の力見せてやれ!そして纏めて叩き潰してやれ!いいな」
「また凄いこと言うわね」
レミーがそれを聞いて呟く。
「忍ったらまた」
「あいつらしくていいんじゃないか?」
だが真吾はそれにかえって感心していた。
「豪快でな」
「男は気迫ってね」
「キリーが言っても何かサマにならないわね」
「生憎軽いキャラクターなもんでね」
「だがそれがキリーの持ち味だからな」
「フォローサンクス、真吾」
「けれどあの彼もね」
レミーは今度はキラに目を向けた。
「頑張ってくれてるわね」
「ああ。一皮剥けたかな」
「少年から戦士にってやつだな」
「もうすぐもう一皮剥けるかもね」
「じゃあ惚れるかい?」
「それもいいけど私は年下はちょっとね」
「じゃあアムロ中佐はどうだい?」
「悪くないわね」
思わせぶりに真吾に返す。
「けどアムロ中佐ってマチルダ少佐のことが気になってるみたいよ」
「おいおい、あの人はウッディ少佐の奥さんだぜ」
「淡い思い出ってやつかしら」
「ウッディ少佐はいい人だけどな」
「キリーの御贔屓の人よね」
「ふふふ、何かと気が合うのさ」
「けれどマチルダさんって昔赤い彗星のプロマイド持っていたらしいぞ」
「あら、何でまた」
「さてな。前世では夫婦だったとかかもな」
「だったら驚きよね」
「レミーも実はアムロ中佐とそうだったかもな」
「変なこと言わないでよキリー」
ゴーショーグンの三人は戦闘の中でも相変わらず軽かった。その時キラはザラ隊の四機のガンダムを前にしていた。既にショウやドラグナーチームはバルマーに向かっている。
「アスラン」
「ストライク・・・・・・キラか」
「・・・・・・・・・」
キラはアスランの問いに沈黙していた。
「サハラとジブラルタルのことは聞いている。やはりまたロンド=ベルに」
「アスラン、僕は」
「言い訳はいい」
アスランは己の心を押し殺して言った。
「今の俺とお前は敵同士だ、それだけだ」
「そうだね」
「あれがキラ=ヤマト」
フィリスがキラを見ていた。
「ラクス様が仰るSEEDの持ち主」
「サハラとジブラルタルでの戦いぶりはかなりのものね」
エルフィが彼女に通信を入れてきた。
「間違いないわ」
「そうね。今見せてもらうわ」
「ええ」
二人は互いのコクピットの中で頷き合う。
「SEEDの力を」
「また会ったな!」
ここでイザークが前に出て来た。
「傷がうずくんだよ!」
「デュエル!」
キラはイザークのデュエルが動いたのを見て身構える。
「ストライクゥゥゥゥッ!!」
「また来るのか!」
「俺もいるぜ!」
バスターが攻撃を浴びせてきた。挨拶代わりにミサイルを放つ。
「うかうかしてると撃墜するぜ!」
「距離をとればバスターの砲撃を食らうことになる」
ディアッカのバスターを見て間合いを詰めにかかる。
「接近するんだ!」
だがその前に。突如として黒いガンダムが姿を現わした。
「そうはいきませんよ!」
「ブリッツ!」
ニコルのブリッツであった。
「イザークの傷のお礼はさせてもらいますよ!」
「踏み込みが速い」
ニコルのブリッツのビームサーベルを右にかわして言う。
「これがブリッツの間合いなのか」
「三機のガンダムの攻撃をかわしたわね」
「ええ、イザークさん達の攻撃を」
フィリスとエルフィはそのままキラの動きを見ていた。
「見事ね。やはり」
「いえ、まだ結論を下すのは早いわ」
エルフィが言う。
「完全に読むには」
「そうね」
「君達は母艦に向かってくれ!」
アスランがここでフィリス達に言う。
「ストライクは俺達が相手をする!だから!」
「それでいいんだな」
ミゲルがアスランに問う。
「フォローに回らなくても」
「ああ、こっちは四機、敵は一機だ」
アスランの判断は妥当と言えるものであった。
「やれる、心配は無用だ」
「よし、わかった」
ミゲルはアスランのその言葉に頷いた。
「行くぞフィリス、エルフィ、ジャック」
「了解」
三人はそれに従いミゲルについていく。
「だが。無理はするなよ」
ミゲルはあらためて三人に言う。
「敵はロンド=ベルだけじゃないからな」
「バルマーも」
「そうだ、前からプラントにも姿を現わしてきている。あいつ等は敵だ」
プラントもまたバルマーを敵として認識していた。だから今剣を交えようとしているのである。
「いいな」
「けれどロンド=ベルへの攻撃を優先ですね」
「そうだ」
これは変わってはいない。ミゲルはジャックに答えた。
「手強いが。一気に沈めるぞ」
「ええ」
「ミゲルさん、けれど」
エルフィがここで言った。
「どうした?」
「バルマーはこちらにも来ています」
「その数五十」
「くっ、仕方がない」
フィリスにも言われて仕方なく方針を変える。
「まずはバルマーの相手をする、いいな」
「ですね」
「ここは」
「ロンド=ベルとの戦いで戦力を消耗し過ぎたな」
ミゲルは戦局を見て少し忌々しげに呟く。
「失敗したか」
「それにこちらの四機のガンダムは」
キラのストライク一機に足止めを受けていた。実にまずい状況であった。
「嫌な流れだな」
ミゲルの顔の苦いものがさらに濃くなった。彼はその顔のままバルマーのマシンにライフルを放つ。
「だがな。やらせるわけにはいかない」
素早い動きで攻撃を次々に放つ。狙いは外すことなく敵を次々に撃ち抜いていく。だが。
「これは一時撤退も考えた方がいいな」
戦局を冷静に見ているからこその考えであった。ミゲルは潮時と考えていたのであった。
この時アスラン達はまだキラのストライクと戦っていた。既にキラの目からは表情が消えている。
「見える・・・・・・!」
彼には四人の動きが完全に見えていた。激しい攻撃をかわし、的確に反撃を浴びせていく。それにアスラン達は為す術もなかった。
「おい、このストライク!」
ディアッカが叫ぶ。
「どうなってるんだ!?動きがよくなってるぞ!」
「そんな筈がない!」
イザークはそれを否定する。
「奴も疲れている筈だ!それでどうしてだ!」
「けれどこれは実際に・・・・・・うわっ!」
「ニコル!」
ニコルはすんでのところでビームライフルによる攻撃をかわした。
「大丈夫です。しかし」
「ああ。強い」
アスランでも相手にはなっていなかった。今のキラはまさしく闘神であった。
「この強さは一体」
彼が知っているキラのものではなかった。それどころか。
「シンより上か!?」
ザフトきってのエースよりも上かとさえ思った。
「だとしたらあいつは」
「ここを通すわけにはいかないんだ」
キラはコクピットの中で呟く。
「例えアスラン、君でも」
「キラ!」
ここでキラに援軍が来た。
「無事か!助けに来たぞ!」
「カガリ!」
カガリのスカイグラスパーであった。彼女はバルマーとの戦いからこっちに移ってきたのである。
「あの赤いガンダムだな、敵は!」
「あっ!」
キラが気付いた時にはカガリはもうアスランのイージスに向かっていた。
「こいつを倒せば・・・・・・!」
「よせカガリ!無茶だ!」
「仕留めてみせる!」
だがカガリは彼の言葉を聞こうとしない。そのまま突き進む。
「私だって一機位!」
「何だこいつ」
アスランもカガリのスカイグラスパーに気付いた。
「攻撃が迂闊過ぎる。素人か!?」
目くらめっぽうに攻撃を浴びせてきているだけである。それを見て言ったのだ。
「これで!」
「甘い!」
カガリの攻撃をかわしたつもりだった。だが僅かのミスがあった。
動きが遅れた。そしてバーニアに被弾してしまった。
「くっ!」
「やったか!?」
「くそっ、まだだ!」
だがそれでも動けた。ビームライフルを放つ。
「!!」
カガリはそれを避けられなかった。右の翼に受けてしまう。
「し、しまった!」
「態勢を立て直して!」
キラが必死に叫ぶ。
「だ、駄目だ!」
しかしカガリの返答はよいものではなかった。
「コントロールが利かない!」
「えっ!?」
「不時着する!後は頼む!」
「カガリ!」
カガリは海へと落ちていく。キラはそれを必死に探そうとするが周りにいる敵達のせいでそれは出来なかった。
アスランもまた。離脱しようとしていた。
「アスラン!」
ニコルが彼に声をかける。
「さっきのでバーニアがやられた!」
アスランは言う。
「離脱する!後は頼む!」
「後を頼むってよ」
アスランも戦場から離れた。ディアッカはそれを見ながら言った。
「どうする!?見ればもうこっちの損害もよ」
「徹底だな」
ミゲルが言った。
「逃げるのか!?」
「違う」
イザークに対して言う。
「これ以上の戦闘は無理だからだ。下がるだけだ」
「クッ!」
「またすぐに戦うことになる。我慢しろ」
「・・・・・・わかった」
イザークは苦渋に満ちた顔でそれに頷いた。
「では下がるか」
「ああ。後ろは俺が持つ」
ミゲルは言った。
「ダメージの大きい奴から下がれ。いいな」
「了解」
ミゲルの言葉に従いザフトは撤退していく。彼等が下がるとバルマーも姿を消していった。
「敵機撤退です」
ミドリが報告する。
「よし、これでここは奪還したな」
大文字がそれを聞いて言う。
「まずは何よりだ」
「それじゃあお次はお転婆お嬢様の捜索だな」
「海の中のようだな」
デュオとウーヒェイが言う。
「それなら問題はない」
「そうですね、僕達のガンダムは水中でも大丈夫ですし」
トロワとカトルが海に向かう。
「では今から捜索に向かう。見つけ次第連絡をする」
「へえ、ヒイロ君達が行くんだ」
ミリアリアはそれを見て意外と言いたげな顔をした。
「何かおかしいの?」
「いえ、ヒイロ君って無表情だから。つい」
こうトールに返す。
「そんなのしなさそうだから」
「ヒイロさんはいい人ですよ」
そう言った彼女にルリがモニターから声をかけてきた。
「ホシノ少佐」
「ルリでいいです。ヒイロさんは優しいのです」
「そうなんですか」
「ただ。感情を表に出さないだけなのですよ」
ルリはそうヒイロをフォローする。
「それだけです」
「わかりました。じゃあ」
ヒイロ達と連絡を取ろうとする。しかし。
ここで通信が入って来た。三輪からだった。
「コラ!何をやっとるか!」
「何って」
「この人があの三輪長官か」
ミリアリアとカズイが呆れた顔を浮かべる。いきなり三輪の濃い顔を見たのだから無理もない。
「早く太平洋に戻って来んか!何をしておるのだ!」
「何って言われても」
「なあ」
トールもサイも困った顔を浮かべる。
「あの、長官」
「何だ!?」
マリューをジロリと睨み据える。
「一体何が」
「今シンガポール近辺でバルマーの軍勢が出没してきているのだ!何とかせよ!」
「は、はあ」
「わかったな!すぐに来い!以上だ!」
言いたいことを言うとさっさとモニターから消えた。後には呆気に取られるマリュー達が残された。
「まあ気にしないで」
ミサトがマリューを宥める。
「あの長官はいつもああだから」
「それは知っていますが」
「だからよ。聞き流しておけばいいのよ」
「けれど厄介なことになったわね」
リツコがミサトの横で渋い顔をしていた。
「カガリちゃんを探すつもりだったのに」
「そうよね。けれどあの長官がいるし」
「探す?どうする?」
「いえ」
だがここでナタルが言った。
「彼女は一先MIA扱いとして先に向かいましょう。命令を優先させるべきです」
「MIAねえ」
ミサトはそれを聞いて難しい顔をした。
「それが妥当なんでしょうけれど」
「あの」
ここでキラが尋ねてきた。
「何だ、ヤマト少尉」
「MIAって一体」
「ミッシング=イン=アクション」
ナタルはキラにこう言った。
「戦闘中行方不明という意味だ。基本的には戦死扱いになる」
「そんな」
「命令を優先させる。捜索は諦める」
「待ってくれバジルール中尉」
アムロが間に入ってきた。
「それは早計だ。現にヒイロ達が向かっているしキサカさんも同行している」
「そうだよ。若しかして海の上じゃなくてどこかの島に流れ着いているかも知れないんだ」
「同じ部隊の仲間だろ。諦めるにはまだ早いんじゃないかい?」
ジュドーとケーラも言う。だがナタルの考えは変わらない。
「今はバルマーを迎撃する方が先です。それに後の捜索はマドラスの部隊に任せておいてもいいかと」
「マドラスの部隊にか」
「それでどうでしょうか」
「それなら問題はないか」
アムロもそれに傾いた。彼が頷くとロンド=ベルでは非常に大きい。
「だが。仲間を大事にしたい」
「ですから捜索依頼を」
ナタルも困った顔になる。彼女も非情ではないのだ。
「僕が残りましょうか」
キラが名乗り出て来た。
「そしてカガリを」
「それは駄目だ」
だがナタルはそれを許さなかった。
「君一人でどうにかなるものではない。命令に従え、いいな」
「くっ・・・・・・」
「それでは我が軍はこれよりシンガポールへ」
「わかったわ」
マリューは遂にそれに頷いた。こうしてロンド=ベルはモルジブから去ることになったのであった。
「ナタルさんもなあ」
モンドはラー=カイラムの中でぼやいていた。
「お堅いつうか何て言うか」
「あの人典型的なカチコチ軍人さんタイプだよね」
「そうだよね。何か」
エルとイーノも言う。
「ああいうのが道を間違えると三輪のオヤジみたいになっちゃうんじゃないか?」
「まさか」
ファがビーチャに応える。
「いや、ああしたタイプは結構やばいな」
だがビルギットがここで言った。
「下手をするとな。真面目な分だけ」
「何かそう考えると危ないよね」
「そうだな」
プルとプルツーがそれを聞いて言い合う。
「一歩間違えると、か」
「エマさんみたいな人ともまた違うしな」
シーブックとジュドーも言った。
「けれど」
「どうしたジュドー」
カミーユが問う。
「さっき結構優しいこと言ってなかったかな」
「そうかしら」
少なくともルーはそれは感じていなかった。
「そうは思わなかったけれど」
「じゃあ俺の気のせいかな」
「いや、バジルール中尉は案外優しいぞ」
リュウが若手にこう述べた。
「あれで色々考えているんだ」
「そうですかね」
リュウに言われても今一つ実感がわかない。
「俺達はそうは思いませんけれど」
「まあそう言うな。バジルール中尉にも考えがあるんだ」
「はあ」
「それにちゃんと捜索願いは出されているしな。本当に非情な人ならそんなことしないだろ」
「まあそうですけれど」
スレッガーにも言われて何となく応える。
「そういうことだ。まあバジルール中尉もわかってもらおうとか考えてないしな」
「おかたいのは事実だしな」
「むしろロンド=ベルが異常なんだろうな」
カイとハヤトが言った。
「軍隊で戦争やってるんだし」
「中には戦場で歌ってるのもいるしな」
「いや、あれはちょっと」
カイはバサラを指していた。
「かなり、ねえ」
「ああ、異常だ」
アムとレッシィが述べる。
「話には聞いていたけれど彼凄いわね」
さしものセイラもバサラには何も言えない。
「早瀬中尉も何も言えないし」
「というか聞いてないんじゃ」
「人の話は耳に入らないみたいだし」
「また厄介な奴だな」
スレッガーもそれには言う言葉がない。
「まあバサラはバサラなんで」
アムロがフォローめいたことを述べる。
「そういえばあいつは!?」
話が出たところでバサラに気付いた。
「何か見ないけれどよ」
「まさか」
フォウの直感が今閃いた。
「カガリちゃん探しに」
「おい、だとしたら大変だぞ」
カミーユが驚きの声をあげる。
「あいつまた」
「けれどもう出て行ってるんですよね、多分」
「そうだろうな」
アムロはカツに応える。
「だとしたらもう手遅れだ」
「相変わらず滅茶するわね」
「まあバサラらしいけれど」
クリスとバーニィがぼやく。
「とりあえず彼に任せる?」
「そうだな」
こうなってはどうしようもない。そう言うしかなかった。
「彼なら何とかするかも知れないしな」
「ダバ、バサラを信じてるのね」
「信じてるさ、仲間だからな。ただ」
「ただ?」
「あの破天荒さには。正直驚きを隠せないけれどね」
マクロスの艦橋では未沙が頭を抱えていた。ナタル以上の潔癖な軍人気質でありロンド=ベルの鬼の風紀委員長である彼女も彼だけは如何ともし難かったのであった。
この時カガリは。何故かアスランと一緒にモルジブの中にある一つの島にいた。
「下手に動くな」
アスランはカガリに銃を向けていた。
「動けば相手が女だろうと撃つ」
「くっ」
カガリは歯噛みするがどうにもならない。
「俺も御前もさっきの戦闘で友軍からはぐれたようだな」
アスランは言う。
「それがよりによって同じ島に流れ着くとはな。因果なものだ」
「私を捕虜にする気か!?」
「生憎俺の機体の通信機も使えない状況だ」
アスランは答える。軍人としてはいささか迂闊な言葉ではある。
「とりあえず救援が来るまで御前の自由は奪わせてもらうぞ。またさっきのようにいきなり襲われては困るからな」
「ちっ」
「・・・・・・しかし」
ここでアスランの口調が少し変わった。
「御前本当に軍人か?」
それが不思議だったのだ。軍人にしては迂闊な部分が多いからだ。
「私は軍人じゃないない!」
カガリはそれに対して答える。
「ロンド=ベルには成り行きで所属しているだけだ!」
「そうか」
アスランはそれを聞いてすっと笑った。
「何がおかしい!?」
笑われたと思ったカガリはキッとなって返す。
「いや、地球連邦軍内で最強の独立部隊と言われるロンド=ベルのメンバーにしては随分と抜けているなと思って」
「余計なお世話だ!」
また叫ぶ。ここで空が急に暗くなりゴロゴロと鳴りだした。
「雷か」
カガリはその暗くなっていく空を見上げて呟いた。
「雨になるな」
「雨って」
「ああ、そうか」
驚いた顔になるアスランを見て気付いた。
「プラントにいたらわからないよな。雨が降るんだよ、こうなると」
「そうなのか」
「ああ、とにかくここにいたら」
「わかった、場所を移動するぞ」
カガリに対して言う。そして場所を移動しようとする。ここでカガリが問うた。
「御前、私を縛ったりしないのか?」
「武器のない御前が暴れたところで大したことはない」
アスランはそれに応えて言う。
「そういうことだ。安心しろ」
「わかった」
二人は洞窟を見つけた。そしてその中に入った。
洞窟の中で火を囲んで向かい合う。アスランは軍用リュックから何かを取り出した。そしてカガリに手渡す。
「レーションだ」
それをカガリに見せて言う。
「食えよ」
「敵の施しは受けない」
カガリは毛布にくるまっていた。服は糸からつるしている。どうやら雨か何かで濡れてしまったらしい。
「ザフトのものでも食料は食料だ」
アスランはそんなカガリに対して言う。
「食べないと身体が持たないぞ」
「いいのか?」
カガリはアスランに問う。
「隙を見て御前の銃を奪えば形成は逆転だぞ」
「えっ」
「そうなれば御前馬鹿みたいだからな」
「ふふふ」
アスランはそれを聞いて急に笑いはじめた。
「はははははは」
「何で笑うんだよ」
「いや、懲りない奴だなと思って」
そしてカガリにこう述べた。
「銃を奪おうとするなら殺すしかなくなる」
「うっ」
「だからよせよ」
言葉を詰まらせたカガリに言う。
「そんなことを考えるのは。せっかく助かった生命なんだからな」
「ふん、ザフトに生命の心配をしてもらうとはな」
「俺はプラントを守るために戦っているんだ」
減らず口を叩くカガリにそう返した。カガリも負けてはいない。
「それはこちらだって同じだ」
そう言い返す。
「御前達が攻めて来て地球をメチャクチャにするからだ」
「俺の母はユニウスセブンにいた」
アスランはまた言った。
「えっ!?」
「只の農業プラントだった。何の罪もない人達が一瞬の内に死んだんだ。子供までな」
「それは・・・・・・」
「ロンド=ベルがやったことじゃないのはわかってる。ブルーコスモスの強硬派がやったこともな」
「じゃあどうして」
「それで黙っていられるか?御前は」
あらためてカガリに問う。暗い顔で俯いていた。
「どちらにしろナチュラルとコーディネイターは」
「けれど私達だってな」
カガリはそんなアスランに言い返す。
「御前達の攻撃で」
「・・・・・・よそう」
アスランは話を止めた。
「ここで御前とそんな話をしても仕方ない」
「そうか、そうだよな」
カガリも俯いた。しかし。
「それでも・・・・・・!」
「!?」
突如としてアスランに襲い掛かってきた。そして銃を奪う。
「俺の銃を!」
「御前を撃つ気はない!」
銃を構えて言う。ダークグリーンの下着姿で。
「けどあれは・・・・・・」
そのうえで言う。
「御前が乗っている機体は地球を攻撃するんだろ!」
「えっ!?」
「造ったオーブが悪いってことはわかってる!けどあのモビルスーツは地球の人達をたくさん殺すんだろ!」
カガリは叫ぶ。
「それなら私だって・・・・・・!」
「なら撃て」
「えっ」
アスランは思い切ったことを言った。
「その引き金を引いているのは俺だ」
そしてそれを認めた。
「俺はザフトのパイロットだ。機体に手をかけさせるわけにはいかない。どうしてもやると言うのなら」
言葉と目の色が強くなった。
「俺はお前を殺す」
「殺すのか」
「そうだ、それならな。それでもいいのか」
「くっ・・・・・・!」
カガリの負けだった。銃を放り捨てる。だがここで彼女はミスをしていた・
銃が暴発した。そしてアスランに向かって弾丸が放たれた。
「うわっ!」
「しまった!」
「銃をそのまま投げるやつがあるか!暴発するだろう!」
「ご、御免」
「全く、そんなことも知らないのか」
「いや、それは」
「まあいいさ。・・・・・・うっ」
アスランは左手を押さえた。見れば怪我をしていた。
「その傷は・・・・・・」
「何、大したことはない」
「けど手当てしなきゃ」
「気にしなくていい」
「いいからやらせろよ」
今度は銃を持たずに近寄ってきた。
「手当てするから」
「いいって」
「いいからやらせろよ」
拒むアスランに対して言う。
「このままじゃ、私借りの作りっぱなしじゃないか。だから少しは返させろ」
「・・・・・・わかったよ」
そこまで言われては仕方がない。彼もそれに頷くことにした。
そして手当てを受ける。手当てが終わると。
アスランのバッグの通信コールが鳴った。同時に洞窟の中に誰かが入って来た。
「誰だ!?」
「間違いないぜ、この声は」
カガリの声に反応してきた。
「あんたの言う通りだったな」
「この島で雨宿りといえばここなのですよ」
「ああ、どうやらそうらしいな」
「お役に立てて何よりです」
「その声・・・・・・バサラか!?」
「ああ。迎えに来てやったぜ」
「そ、そうか」
バサラの声を聞き急に冷静になる。
「済まないな」
「まあ礼はこっちの人に言ってくれ」
「こっちの人」
「はじめまして」
紫の髪の男が現われてきた。
「熱気バサラさんにお会いしまして」
「御前がか」
「はい、それで案内をさせて頂きました」
「そうか。済まない」
「え、お役に立てて何よりです」
男はそう答えただけであった。だが決して名乗ろうとはしない。
「どうやら迎えが来たようだな」
アスランはそれを聞いて言う。
「それもお互いに」
「そうだな」
「じゃあこれでお別れだ」
「ああ、短い間だったがな」
二人はそれぞれ言い合う。
「ところで御前名前は?」
カガリは問う。
「俺か?俺はアスラン」
(アスラン。彼が)
紫の髪の男はその名に微かな反応を示した。
「アスラン=ザラだ」
「そうか。私はカガリだ」
カガリも名乗った。
「戦争が終わったらまた会おう」
「そうだな。その時に」
「またな」
「ああ」
二人は挨拶を交わす。そしてアスランが洞窟を後にした。
「じゃあロンド=ベルに戻るか」
「そうだな」
カガリはバサラの言葉に頷いた。
「けれど私のスカイグラスパーは」
「俺のバルキリーに乗れ」
バサラはそう提案してきた。
「何とか二人でもいけるからな」
「いいのか?」
「構やしねえよ。その為に来たんだからな」
「そうか、済まない」
「礼はいいって言ってるだろ。じゃあ帰るぜ」
「うん」
「その前にだ」
「何だ?」
「早く服を着な」
「えっ!?」
言われてようやく気付いた。下着姿のままだったのだ。
「そんな格好で行くわけにもいかねえだろ」
「ば、馬鹿見るな!」
「わかったぜ。じゃあ俺は入り口で待ってるからよ」
「あ、ああ」
顔を真っ赤にしてそれに応える。バサラは平気なままであった。
「早く来いよ」
「わかった」
バサラと紫の髪の男はその場を後にする。その時男は思った。
(SEEDを持つ者同士が巡り合いましたか)
彼は何かを知っていた。
(これはまた。面白いことですね。これが運命ですか)
「ところで」
「はい」
バサラが声をかけてきたのでそちらに顔を向けた。
「あんたはこれからどうするんだい?」
「私は少し用がありまして」
「そうか。あんたも何かと忙しいみたいだな」
「まあ何かと」
「わかった、じゃあここでお別れだな」
「そうですね」
「機会があったらまた会おうぜ」
「ええ、その時はまた」
すっと笑みを浮かべてきた。
「宜しくお願いします」
「ああ」
男は島を後にしてバサラも服を着たカガリと共にロンド=ベルに戻った。とりあえずここでの騒動も終わりカガリも復帰することとなったのであった。

第百十五話完

2006・9・20  
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