対決!!天本博士対クラウン
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第五百六話
第五百六話 タロもまた
タロも庭でだ。ノートパソコンを自分で叩いてだ。
ネットでユーチューブを出してそこから音楽を聴いていた。その音楽はというと。華奈子は彼のところにも来て言うのだった。
「あんたはあんたで」
「ご主人どうしたの?」
「いや、音楽聴いてるのね」
「うん、クラシックをね」
「あんたの聴いてるのは」
何かとだ。華奈子はタロにも話した。
「ショパンよね」
「うん、ピアノだよ」
「ピアノ好きだったの?」
「ピアノっていうか奇麗な音楽ならね」
それでだというのだ。
「何でも聴くよ」
「ふうん、そうなの」
「その辺りライゾウと同じだと思うけれど」
「それはそうね」
その通りだとだ。また答える華奈子だった。
「あんた達っていい音楽は何でも聴くわね」
「そういう主義だよ」
「だからチャイコフスキーでもショパンでも聴くのね」
「うん。ご主人も聴くよね」
「聴くわ。最近はね」
やはり美奈子に言われてのことだ。
「そうなったわ。フルートも吹くようになったし」
「そういえばサックス以外にも」
「吹いてみればこれがね」
どうかというのだ。
「意外といけたし」
「フルートだけじゃないの」
「ないわ。ただね」
「ただ?」
「やっぱり美奈子の方が上手ね」
フルートのことをだ。華奈子は話す。
「専門でやってるだけはあるわ」
「それを言ったらご主人もじゃない」
「サックス?」
「そう。サックスだと美奈子さんよりご主人の方が上手でしょ」
「そうね。それは確かにね」
サックスには自信があった。こちらは華奈子のものだった。
「あたしも自信あるし」
「そうだよね」
「けれど。美奈子サックスも上手だから」
安心していないという顔だった。明らかに。
「あたしも安心できないわ」
「多分美奈子さんもそう思ってるから」
「そうなのね。美奈子の方も」
「そう。お互いだと思うよ」
「ライバルってことかしら」
双子の姉妹であるだけに余計にだとだ。華奈子も気付いたのだった。二人はまさにそうした姉妹だったのである。
第五百六話 完
2012・7・11
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