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対決!!天本博士対クラウン

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第五百五話


              第五百五話  ライゾウの新しい趣味 
 ライゾウは家のリビングにおいて安楽椅子の上に寝そべってそのうえでくつろいでいた。しかしただくつろいでいるのではなかった。
 リビングに入った華奈子は部屋の中に流れている音楽を聴いて安楽椅子の上のライゾウに対して言った。
「クラシック?」
「ああ、そうだよ」
 その通りだとだ。ライゾウも答える。
「今聴いてるんだよ」
「あんたクラシック好きだったの」
「好きになったんだよ」
 こう返すライゾウだった。
「それでなんだよ」
「何時の間に好きになったのよ」
「この前な。ちょっと縁があって聴いてな」
 ライゾウは椅子のうえでどべっとした感じで寝ながら答える。
「それからだよ」
「ふうん、そうなの」
「いや、クラシックもいいよな」
「何かあんたの台詞じゃないみたいね」
「そうか?」
「だって。あんたいつもロックとかポップスじゃない」
「どっちも今でも好きだぜ」
 ライゾウの趣味は音楽鑑賞だ。このことは変わらない。
 そしてそれに加えてだというのである。
「で、それと一緒にな」
「クラシックもなのね」
「いいよな、聴いてみるとな」
「そうね。けれど本当にね」
「意外かよ」
「ええ。けれどあんた音楽のセンスはいいわね」
 このことは華奈子も言えた。
「それもかなりね」
「だろ?おいらは音楽のセンスがあるんだよ」
「態度悪いけれどそっちはいいのね」
「おい、態度だけ余計だよ」
「だって実際にあんた態度悪いから」
 こう言ってはばからない華奈子である。
「あたし嘘は言わないから」
「使い魔を労わる気持ちはないのかよ」
「本当のことを言うのが労わりだと思うけれど?」
「ちっ、全くいいご主人だぜ」
「それにしても。チャイコフスキーって」
 華奈子はこの音楽家も美奈子に教えてもらっていた。
「また面白い音楽家の歌聴くわね」
「そうだろ。おいらのセンスはいいんだよ」
「とりあえずそのセンスは認めるからね」
「じゃあジュース持って来い」
「あんた使い魔だからあんたが持って来なさいよ」
「本当にいいご主人だぜ」
 また言うライゾウだった。その我侭さは健在だった。


第五百五話   完


                 2012・7・11 
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