対決!!天本博士対クラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百二十七話
第三百二十七話 掃除
博士がだ。また言い出した。
「さて、後片付けじゃな」
「部屋の掃除ならもうしましたよ」
小田切君は博士にすぐに答えた。
「トイレもお風呂も」
「そちらではない」
「あれっ、じゃあ何処を掃除するんですか?」
「街を掃除するのじゃ」
そうだというのであった。
「これからのう」
「街をですか」
「うむ、街には汚物が溢れておる」
珍しくまともなことを言っているように聞こえないでもなかった。
「だからそれをじゃ」
「掃除するんですか」
「そういうことじゃ。それでじゃが」
「何か掃除機でも発明したんですか?」
「これじゃ」
こう言って出してきたのはだ。ロボットだった。
銀色に輝き禍々しい牙と爪を生やしている。そうしてである。
八本の腕がある。その全てに爪があるのだ。全体的に仏教で言う明王を思わせる外見である。見れば目つきはかなり悪い。
そのロボットを見てだ。小田切君はまず言った。
「これが掃除用ロボットですか」
「そうじゃ」
「あまりそうは見えませんね」
小田切君は実に素直だった。
「というかですね」
「何に見えるのじゃ?」
「殺人用に見えますね」
そうとしか見えないのであった。その爪と牙を見てだ。
「これっていつもの感じの」
「その通りじゃがな」
博士もここで言った。
「実はのう」
「またですか」
「街の汚物を掃除するのじゃ」
そういう意味の掃除であった。
「暴走族やヤクザや不良の類をだ」
「博士って本当にそういう人種が嫌いなんですね」
小田切君はあらためてそのことを認識した。
「何かと」
「うむ、嫌いじゃ」
博士もこのことを否定しない。そうしてだった。
「では。早速このロボット達をじゃ」
「街に解き放つんですね」
「さて、それではじゃ」
博士は言った。
「掃除のはじまりじゃ」
こうして掃除ははじまったのだった。博士にとっては掃除であり他の者には違うそれがだ。またしても幕を開けてしまったのである。
第三百二十七話 完
2010・10・20
ページ上へ戻る