対決!!天本博士対クラウン
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第二百六十四話
第二百六十四話 はっきりしない理由
いつもとは全く違いとにかくはっきりしない華奈子、タロとライゾウもそんな主を見てそのうえでこう尋ねるのだった。尋ねずにはいられなかった。
「まあとにかくだけれどね」
「何があったんだよ」
そのはっきりしない理由を尋ねたのである。
「まずはそれを話してみてよ」
「おいら達にさ」
「うん、実はね」
ここでその理由を話しはじめる華奈子だった。俯き加減で浮かない顔で話す。
「今美奈子がね」
「喧嘩したとか?」
「それだったら仲直りを」
二人もいつも仲がいいわけではない。時々喧嘩もしたりする。そしてすぐに仲直りをする。こうしたごく普通の姉妹関係であるのだ。そうした意味でもだ。
「したらいいじゃないかな」
「それだったらな」
「喧嘩じゃないのよ」
しかし華奈子はそれは否定した。
「喧嘩じゃないのよ」
「んっ!?それじゃあ」
「何なんだよ」
「美奈子今度コンクールに出るのよ」
美奈子は音楽の分野で非常に高い評価を得ているのである。それと対象的に華奈子はスポーツでかなり高い評価である。姉妹でも二人のタイプはそれぞれ全く違っているのだ。
「それでそっちの練習に忙しくて」
「それで魔法の方にはなんだ」
「あまり時間を、なんだな」
「ええ、そうなの」
それで今は、というのである。
「だから美奈子とはとりあえずは」
「御主人もスポーツの大会前は念入りにトレーニングするしね」
「それと同じだな」
「だからわかるのよ」
自分もそうだからというのである。赤い法衣と大きな縁のとんがり帽子の中での言葉だった。
「美奈子のことがね。だから今は」
「一人で魔法の勉強をするしかない」
「そういうことなんだな」
「そうなのよ。とりあえず今はね」
また言う華奈子だった。
「そうするしかなくて」
「じゃあ今は我慢して一人でやるしか」
「それしかないんじゃないの?」
「折角二人でする魔法考えたんだけれどね」
それが残念でもあるらしい。表情が晴れない理由は一つではないようである。
「どうしたものかしら」
「困ったね、それは」
「いや、待てよ」
ここでライゾウがふと閃いたのだった。
「御主人、旦那、それだったらさ」
「どうしたの?」
「また急に」
華奈子とタロはその彼の言葉を聞く。ここでまた話が動くのだった。
第二百六十四話 完
2010・2・13
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